ウルトラマン８０第２８話

妄想ウルトラマン８０■

■第２８話■渡り鳥怪獣の子守歌

突然、夜空に飛来する流星群。見とれるカップルたちの前に隕石のような異常物体が多数落下する。それは焼け爛れた怪獣の破片だった。また別の場所には怪獣の卵が落下、調査に向かった矢的の目の前で孵化してしまう。矢的を母親と思い込む怪獣バル。

怪獣バルは、１０年に一度、群れを成して宇宙を渡る非常におとなしい「渡り鳥怪獣」で、東京上空に落下し人々を恐怖に陥れている怪獣の破片も、バルの死骸であった。バルの天敵、スペースジョーズ・ザキラが食い尽くしていたのだった。

バルを食い尽くし力を蓄えたザキラは、地上で保護されているバルを求め飛来する。立ち向かうエイティ。しかし、圧倒的なパワーの前に力尽きてしまう。それを見たバルは、動物的本能から天敵ザキラに挑むが、到底かなう相手ではない。悲鳴を上げるバルに、立ち上がるエイティ。しかし時すでに遅く、バルはその幼い命を散らした。

怒りのエイティによってザキラは倒された。魂となって仲間のもとへと飛び立つバル。「さよなら、バル」矢的は一人つぶやくのだった。

グドンとツインテール。弱肉強食の怪獣ワールド再び。眉間から“ＰＬ法クリア確実”な発光する「角らしきもの」を生やしたバルは、いかにも弱そうで良い。落下した異常物体を「実は、焼け爛れた怪物の破片であった」とナレーションでネタばらししてしまうのも微笑ましい。■我らがスペースマミーが２度も宇宙に飛び立つが、ザキラの攻撃に完敗。「ザキラは力を蓄えて地球侵略を考えているのではないか」というオオヤマキャップに乾杯。万が一の場合に備えた戦闘訓練のシーンは、結局本筋と関係なし。深くは考えず、とにかくカッコいいので、演出意図に拍手。■宇宙空間でスペースマミーのハッチを開け、変身する矢的は、さすが宇宙人。もっと視覚的に面白いシーンに出来たのでは…などと思ってみる。■怪獣２匹が争う様子って、純粋に楽しい。が、最終的に「悲しいお話」として演出的にまとまっているか…というと疑問は残る。もったいない作品だ。（２００２／１１／１０）

空前絶後の「80」検証本『君はウルトラマン80を愛しているか』を読む
◆（監督・湯浅憲明が語った『ウルトラマン80』より）「何故自分よりはるかに小さい人間を見て母親と思うのかと、ライターと大激論を交わしたことがありました」
■メーン監督だった湯浅氏の「人間の演ずる部分は理にかなわないことはやってはいけない」という演出姿勢に拍手を！　ま、湯浅監督の作品『ガメラ』シリーズは結構ハッチャケてたようにも思いますが…。
（2006／7／17）

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