妄想ウルトラマン80■
■第29話■怪獣帝王の怒り

本列島に残された秘境・鬼矢谷(きやだに)が怪獣騒動で沸いていた。300年に一度よみがえるという怪獣伝説の残るその村には、怪獣ツアーまで訪れる有り様。実はこれ、欲に目がくらんだ村長が起こしたデマであった。

…が、本当に怪獣が出現してしまって、さあ大変。肉食の渓谷怪獣キャッシーに逃げ惑う人々。「怪獣は俺のものだ」と争う村長と観光会社の男。

エイティの登場で、怪獣は誰にも知られることのない場所へ運ばれ、長い眠りにつくのだった。

っぽいといえば安っぽいが、意外と上品なコメディではないだろうか。怪獣騒ぎで観光客を呼ぼうとする村長、マイナスエネルギー大放出。怪獣を捕まえて見世物にしようと企む怪獣ツアー会社の男も、マイナスエネルギー大放出。鬼矢谷に頻発する地震で目を覚ました怪獣との因果関係は?だが、本作が初期に掲げたテーマ(人間の憎しみや悲しみといったマイナスの力が怪獣を生む)にも結びつくストーリーではなかったか。■これだけ毎週毎週怪獣が出現しておいて、このストーリーは成り立つのかとも感じるが、「そんなにぴょこぴょこ怪獣が出るわけないもんね」というUGM広報部のセラが作品世界のバランスを保っているように思う。■UGM気象班の小坂ユリ子を「ユリちゃん」と呼ぶ矢的隊員に「ちょっと親しすぎるのよ!」とツッコミを入れる城野エミ隊員。こういうシーンを丁寧に積み重ねていけば…、良かったのに。■怪獣の鳴き声をテープで流す村の消防団員と村長。テープを消しても怪獣の鳴き声が聴こえて…ホンモノ出現!!て、ベタでもテンポ良し。■観光会社社長が怪獣をヘリコプターで捕獲しようとするシーンがシュール。社長自身は一切画面に登場せず、怪獣とヘリコプターの特撮シーンのみ。黒煙吹いて墜落するヘリコプターに、社長の生死は描かれず。トンデモねぇといえばトンデモねぇ。■怪獣を見て「ゴーストロンに似ている」といったオオヤマキャップについて触れないわけにはいくまい。「帰ってきたウルトラマン」第8話に登場したゴーストロンは40メートル。60メートルの怪獣キャッシーはゴーストロンの4倍だというから、エイティ世界におけるゴーストロンは15メートルのはず…。細かいことをゴチャゴチャいっても面白くないが、エイティ前作のアニメ「ザ・ウルトラマン」第27話(脚本は本作品と同じ若槻文三)にも怪獣軍団の一匹としてゴーストロンが登場しており、若槻氏お気に入りの怪獣だったのだろうか。■「間違っても(怪獣に)人間の味を覚えさせるな」と命令するオオヤマ。冷静な表情でトンデモねぇこと命令しております。■エイティが怪獣に噛み付かれ、「あ、ウルトラマン80が食べられる!」と叫ぶフジモリ隊員。知性が感じられません。(2003/1/1)

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