妄想ウルトラマン80■
■第30話■砂漠に消えた友人

く発光する物体が地上に落下、出動したUGM隊員が目にしたのは無残にも破壊された街並みであった。繰り返される破壊活動にもかかわらず、UGMは破壊者の姿を確認することが出来なかった。UGMが発進すると姿を消す破壊者。「(我々を)見張っている奴がいる!」

UGM広報部セラの中学時代の先輩、毎朝タイムス土山記者がUGM担当として基地を訪れていた。アフリカ取材で行方不明になった土山が無事帰還したことを喜ぶセラ。しかし、土山と青木カメラマンを透視した写真には骨が一本も写っていなかった。「ザタン星人!」宇宙の侵略者が暗躍している…矢的隊員は確信した。

宇宙観測センターで土山らを包囲するUGM。セラを人質にした土山(ザタン星人)だったが、銃を奪ったセラが土山に銃口を向けた。「オマエは土山先輩じゃないな!」

セラ涙の銃弾に倒れるザタン星人。「すべてを破壊せよ」星人の命令を得て姿を現した侵略怪獣ザタンシルバー。レーザーも新型化学兵器GZ爆弾も効かないザタンシルバーは、超金属製ロボットだった。エイティは超低温ガスを放出する特殊能力「フリージィングレーザー」でザタンシルバーの体内メカを凍らせて見事、勝利を手にした。

土山先輩との懐かしい日々を想い、涙に崩れるセラ。アフリカの地でその命を散らした土山はもう戻らないのだ。

頭、破壊された街並みは雰囲気満点で良い。CG特撮以前の職人技とでもいうべき仕上がりだ。■矢的隊員の乗ったUGM戦闘機シルバーガルが、ザタン星人の仕業で操縦不能になる。空中分解目前の超スピードで飛行し、機体にも限界が迫る。特撮で描かれたその様子も素晴らしい。■シルバーガル機内に落ちていた「T」と刺しゅうされたハンカチから、土山記者を調べる矢的。土山のアパートに不法侵入するのはいかがなものか。そのうえ収穫もほとんどなしとは。■矢的の不法侵入中、土山を見張らされる城野エミ隊員。穏やかな日差しの下、普段着の矢的と城野…というのはイマジネーションを膨らませることが出来るシーンなのだが、その前に「今日は学校休みなのかな」と思ってしまうのは切ない。■矢的の行動に気付いていた土山は、城野に話しかける。操作不能のシルバーガルから帰還した「矢的隊員のほうが、よっぽど宇宙人的だ」と。「矢的隊員が宇宙人だなんて…」とつぶやく城野、良いシーンだあ。■怪獣ザタンシルバーは、全身銀色だが硬質感はあまりない。二足歩行王道型怪獣である。頭からは三本、触手のようなものが後方に向かって伸びているが、これもロボット的でない。胸には特徴的なエラ(?)があるが、言葉では表現しづらいので失礼する。■特殊な液体でカラダを溶かす化学兵器GZ爆弾も特撮的見せ場だったが、物語上は?だ。ザタンシルバーの強靭さを表現した…ということか?■エピローグ、セラの回想シーンにツッコミをひとつ。土山先輩に励まされて中学時代のセラが完走したのは、「寒中マラソン大会」だったはず。だのに、青々と稲の育つ田んぼが一面に…。これでは、せっかくの悲劇もドッチラケだ。(2003/1/2)

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