妄想ウルトラマン80■
■第32話■暗黒の海のモンスターシップ

次いで起きた謎の船舶消失事故。それはまるでバーミューダトライアングルの事件のようだった。調査を開始したUGMの前に出現する不気味な謎の物体。それに乗り込んだ猛らの前に謎の電気ケーブルが…。この物体を動かしていたのは何か。そこには意外な結末が待っていた。(予告編より)

矢的猛がアキラ少年の故障したラジコン船を修理したことから2人の交流が始まった。アキラ少年の父親は外国航路の船長で、明日帰ってくるという。気掛かりは「謎の船舶消失事故」。

このまま船舶消失事故が続けば、タンカーも貨物船も日本に入れず、石油や資源の供給がストップしてしまう! 調査に向かったスカイハイヤーが操縦不能になり、矢的猛は脱出する。しかし、その目の前で謎の物体が海面に浮上し、アキラ少年の父親の船が座礁してしまう。

謎の物体の正体は、15年前に巨大氷山にぶつかり転覆したコンピューター制御の大型貨物船クイーンズ号だった。名付けて「すくらっぷ幽霊船バラックシップ」。バラックシップは氷山に負けない体を作るために、強力磁力合金で船を引き寄せつつ、15年前にプログラミングされた航路をたどっていた。最終目的地は東京湾。このままでは甚大な被害が!

矢的猛とフジモリ、アキラ少年がバラックシップに乗り込み、アキラ少年の活躍で父親も無事救出された。エイティのサクシウム光線で暴走したコンピューター船は海の藻くずと化したのだった。

しも父親の船が危なくなったらUGMが守る、というアキラ少年との約束を果たせず、「嘘つき!」と絶叫される矢的猛。父親を救出するまでのヒューマンドラマである一方、根底に流れるのは、「コンピューターを過信してはいけない。使い方で良くも悪くもなる」といったコンピューター万能主義の否定だ。少年との交流が前面に出ており、エンディングではアキラ少年に「僕もUGMの隊員になれるかな」とまでいわせ、その父親役がガッツ石松であることなども重なって、表面上は第2次ウルトラのテイストだが、ストーリーは意外とSFではないか。電気ケーブルが触手のように飛んできて人を襲うのは、愛嬌。「コンピューター」の表現も哀愁漂うものがある。恐るべき技術の進歩よ。
■海の上を疾走するスカイハイヤー、バラックシップの攻撃を受け火花を散らすスペースマミー、水にぬれ輝くエイティのウエットスーツ…。質感最高。水面上で繰り広げられる特撮が美しい。(2004/9/12)

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