妄想ウルトラマン80■
■第45話■バルタン星人の限りなきチャレンジ魂

ルタン星人がまた来襲した。再び企む地球征服…。まずは正也少年の心を利用し、ウソUFO写真をめぐる少年たちのけんかを勃発させた。このけんかを発端に、世界戦争を起こさせ、その隙に地球征服を−という壮大な作戦! バルタン星人の顔を模した円盤に立ち出現した6代目バルタン星人は、少年たちを人質に巨大化した。しかし、エイティの登場で作戦は阻まれ、初代マン直伝のウルトラスラッシュで真っ二つにされてしまうのだった。

ルトラマン80最大の問題作。もちろん、石堂淑朗脚本作品。
■「缶蹴り」という牧歌的遊びから、子供たちの取っ組み合いのけんかが始まるという、微笑ましい冒頭なのだが、バルタン星人は笑う「怒れ、怒れ、もっと怒れ」…。正也少年にウソUFO写真を撮らせ、「これがけんかのもとになるとは、お釈迦さまでもご存知あるめえ」とのたまうバルタン。6代目は実に下世話だ。「くそっ、UGMのあいつかあ!」って、6代目は矢的猛がエイティだとも気付いていない。ウルトラ宇宙人の代名詞バルタンも、石堂さまにかかるとこうなるのだよ。
■「子供と子供がけんかする。男と女がけんかする。家と家とがけんかする。そしておしまいには、国と国とがけんかする。ミサイル発射、手裏剣しゅしゅしゅ。日本は滅びる、地球は滅びる!」…大丈夫か、バルタン。
■そもそも、UGMがいてエイティがいて、怪獣や宇宙人が現れるドラマ世界において、UFOは信じる信じないの問題ではなく、存在しているものだろうから、子供に「みんなの前にUFOを呼んでみろ。じゃないと写真は信じない」といわせてしまっては、世界自体が崩壊しないか。
■その上、UGM気象班のユリ子ちゃんまでもが、「UFOを見たという人は、何か心の底にたまっているものがあって、そのはけ口にUFOを利用するのではないでしょうか」なんて語ってしまう…。黙ってUGMを辞めなさい。
■とにかく、心地いいほどに矛盾だらけの映像ドラッグ。ありがとう石堂さま。そして「ウルトラQ」からシリーズに参加した野長瀬三摩地監督最後のウルトラ作品だと思うと、愛しくてたまらない。
(2005/8/17)

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