不妊の原因

 不妊を当治療室の適応症として専門に治療しているわけではありませんが、稀に不妊に悩む女性が来室します。産婦人科の専門病院で何ら理由が見つからないのに妊娠しないという30代前半の女性が年初に来室しました。その女性は結婚して4年近くなり、3回体外受精を試みたのですが、卵割は確認できても着床しないため妊娠しないとのことでした。症状は、肩こり、貧血ぽい、生理時に腰痛、便秘になる、排卵時の基礎体温がバラバラになる等でした。可動性触診では、制限されているレベルはありませんでしたが、仙腸関節に過可動性がありました。筋力検査では、婦人科疾患を示唆するプラスチック棒、体液の停滞を示唆するアクリル棒、出血を示唆する真鍮棒、血行障害を示唆するダイアモンドによるTLが、特に下腹部にて陽性になりました。食品の検査では、肉類、卵、乳製品、海藻、菜っ葉類、納豆、アルコール、砂糖、果物、コーヒー、お茶類が陽性となり、それらを厳しく制限してもらいました。週一で7週間、仰臥位で仙腸関節を安定させるブロック治療を行いました。4週目に仙腸関節が安定するのに1時間近くかかるので検査すると、骨盤を構成する仙骨、腸骨でカルシウム不足を示唆する骨棒によるTLが陽性になり、ネイチャーメイドのカルシウム2400㎎で陰性になりました。カルシウムの錠剤による副作用もありませんでしたので、早速当日から600㎎の錠剤を4錠毎日摂ってもらうことにしました。その後2週間で仙腸関節は安定しブロックを入れる必要がなくなり、4週間するとカルシウムの錠剤が陽性になり必要なくなりました。この間、排卵時の基礎体温も安定するようになり、全てのサインが陰性になりました。その一ヵ月後に妊娠し、現在は産婦人科に通院しています。

原因不明とされる不妊のカイロプラクティックから見た原因
1.尾骨損傷
2.仙腸関節の過可動性
3.脊柱のサブラクセイション、特に下部腰椎と仙腸関節と股関節のサブラクセイション
4.骨盤臓器の血行障害 等が考えられます。

 十数例と症例は少ないのですが、私の経験では、不妊及び流産に苦しむ女性において、上記の原因の一つ以上が関係していました。その中で特に多いのが食生活を原因とする子宮内の血行障害でした。不妊に対する産婦人科の先生方の研究が著しく進歩したにもかかわらず、食生活を原因とする胎盤における血行障害は見過ごされてきたのではないかと思います。近年それを薬で対応しようとしているようですが、各人に合った食品の制限を行うことの方が無理なく改善できると思います。また、流産を繰り返すケースでは、仙腸関節の過可動性がありますので、ブロック治療が出産直前まで必要になるかもしれません。

 不妊で悩んでいる夫婦は決まって高額なサプリメントを飲んでいました。これらのサプリメントは全て効果がないだけでなく有害でした。患者さんが行うべきことは、食品の制限であり、それが最も有効で害がありません。この食品の制限は、出産後も婦人科疾患の予防のために続けるよう指導してください。

平成29年7月31日