「健康不安」に殺されるな
僕が最後に伝えたかった一番大事なこと 近藤 誠 著(ビジネス社)
近藤誠先生は2022年8月13日、虚血性心不全でこの世を去りました。本書は、近藤先生が「日本人の心身を脅かす一番の敵こそが『健康不安』であり、それに対抗する最強の武器は『免疫』である」というテーマのもと、亡くなる3日前まで書き続けていた遺稿をまとめたものです。
内容は、世界一の長寿国をおおう「健康不安」の正体、コロナ禍でわかったからだを守る最強の武器「免疫」のひみつ、「がん」と闘ってはいけない本当の理由、ピロリ除菌の是非、免疫がカギを握る意外な「やまい」、「ワクチン」とその「副作用」の真実、「脅しの医療」に対抗するために、等です。近藤先生の一貫した言説と共に、体温を上げると「免疫」ではなく「死亡率」がアップ、夢のクスリ「オプチーボ」で激烈な副作用が起きる理由、天然痘根絶後も続けられた種痘による悲劇、肺炎球菌、インフルエンザ、新型コロナのワクチンの実態等、何となくそんなものかと見過ごしていたことに気づかされる、そんな一書です。本書を一読されることをお勧めします。
「あとがき」において、肝心なことは「がん治療に多くをのぞまない」こと。基本的に「つらい症状をとってもらう」ことを目標にしてください。「本物のガンは治らない」ことを素直に認めないと、長生きもできないし、ラクに死ねない。「国が15年後もがん死は増え続ける」と予測するように、がん治療の将来にたいした夢も希望もありません。しかし、悲観することはないのです。人間にとって一番大切なことは、「自由に生きる。なにものにもわずらわされずに生きる。」ことではないでしょうかと言い、最後に、僕は「がん放置」においてこそ、やまいという観念から死ぬまで開放されることができると思っています、と結んでいます。先生にその努力と存在を否定されたかのように感じた医学界は、先生を蛇蝎のごとく嫌いました。それでも先生は、最後まで自らの信念を貫き通し、患者さんの生活の質の向上を目指し、その一生を完結したと思います。先生のご冥福を心より祈る次第です。
令和5年7月16日