目崎臨床カイロプラクティック

こぼれ話

        
                                                 「 人生は短い。未来はすでに始まっている。 」



大豆はほどほどに

 
動物性の蛋白質にアレルギー反応を示す患者さんには、豆腐や納豆等の大豆製品と大豆プロテイン製の肉もどきを食べてもらっていますが、その量が多くなりすぎると、骨粗鬆症の原因になることがありますので注意が肝要です。最近、この様な食事制限を行っている患者さんが、捻挫した右踵の痛みが3週間しても取れないと訴え来室しました。検査してみると関節の動きの制限はなく、カルシウム不足を示唆する骨棒で骨と関節部にTLすると陽性になりました。ところが、カルシウム剤でそれらのTL陽性を陰性にできませんでした。そこで、大豆でTLすると陽性になりました。この患者さんの踵の痛みの原因は、大豆を過剰に食べたことによる骨吸収の亢進によるものと推定しました。この件に関して、以前エストロゲンに構造がよく似ている大豆に含まれるイソフラボンは、稀に骨形成を促すエストロゲンに拮抗する作用を示すことがあるとのM.F.ホリック著「骨の健康と栄養科学辞典」の記事を紹介したことがあります。イソフラボンはある限度を超えて摂取すると、患者さんによっては逆効果になることを頭に入れておかなければなりません。テレビや新聞にて、大豆製品には様々な有効成分が含まれているので体によいと言われ、豆乳、豆腐、納豆等を毎食大量に食べている患者さんがいます。何でもほどほどに食べることが大切なようです。

平成30年12月11日


サプリメントにはご用心

 
70代の女性。4日前から下痢を繰り返し、その翌日だけ38℃の高熱がでて、下痢は今朝も続いて食欲がないと来室しました。下痢でカイロプラクティックの治療室に来るというのも変なのですが、まず脊柱の検査をしてみましたがサブラクセイションはありませんでした。筋力検査では、ウイルス疾患を示唆する発泡スチロール棒、呼吸器疾患を示唆する木の棒、腸疾患を示唆する水の入ったガラス瓶によるTLがそれぞれ陽性になり、後頭部で炎症を示唆する手背面によるTLも陽性になりました。ウイルス性の感染症による下痢と食欲不振ではないかと疑い、これらのTL陽性を陰性にするものを探していると、抗ウイルス薬では陰性にならないのに、なぜか葛根湯で全てが陰性になりました。葛根湯は副作用もないので飲んでもらうと、その翌日には症状はなくなりました。しかし、そもそもの感染症と思しきその原因が分からないので患者さんに聞いてみると、珪素のサプリメントを飲んでいるとのことでした。早速何時も携帯している珪素のサプリメントを検査してみると、発泡スチロール棒で陽性になり、患者さんの全身でもTL陽性になりました。この患者さんは健康セミナーに出席してエネルギー溢れる講師の言葉を信じて、飲むだけでなく、料理にもかけて食べていたとのことでした。このセミナーには多くの信者がいるそうですが、驚くほど高額なサプリメントをよくも売りつけたものだと、感心するやら呆れるやら。長年の経験では、患者さんが飲んでいたサプリメントで有効なものは一件もありませんでした。患者さんが訴える症状の原因が薬やサプリメントの副作用であることを排除するため、初診時に必ずそれらの検査を行うようお勧めします。

平成30年11月20日


水にも力があるようです

 昭和の時代には農閑期はどの温泉地も湯治の客で混雑したものですが、現在は一部の有名な温泉地を除いてどこも閑古鳥が鳴いています。おそらく、温泉地に湯治に行っても治らないと思い定めたためかもしれません。しかしながら、長い年月昔の人々が湯治に効果を認めたのは、けっして思い込みや錯覚ではないと思います。以前温泉には力があり、特定の温泉には特定の人々に効果があると書きましたが、今でもその考えに変わりはなく、私自身もその効果を求めて群馬県の万座温泉に定期的に湯治に通っています。ところが、同じ様に特定の水には特定の人を助ける力があるようなのです。

 脊柱のサブラクセイションがなく、多くの食品にアレルギー反応を示し、右後頭乳突部にて炎症を示唆する手背面TL陽性、消化器系に問題があり、食べ物を口に入れるとウット戻す様な感じがあり、食が細くなり痩せて体力が低下していく患者さんがいます。その悪循環を断つうえで喜多嘉和株式会社製造の商品名「飛騨の天然水」が有効でした。一部の患者さんではそれ単独で全てのTL陽性を陰性にするほどの力がありました。ただ、アレルギー食品を食べられるようになるほどの力はありませんので、食品の制限は続けなければなりません。この水がどのような疾患に有効か、他に力のある水がないかをこれから調べていくつもりです。今までペットボトルの水は飲めるか否かのみを検査してきましたが、水に力があるか否かを検査したことはありませんでした。この水には力はあるため、飲める人と飲めない人がいます。また、飲める人でもいつまでも飲めるとは限りませんので、検査したうえで勧めてください。

 あまりおいしくないせいか、通販では購入しにくく、ホームセンターのビバホームの一部店舗でしか販売されていません。なお、購入の際は、「飛騨の雫」、「日田天領水」等の似た銘柄がありますので注意してください。

平成30年10月9日

注意: 通販できないものかと直接製造会社に連絡した患者さんの話では、「飛騨の天然水」と「飛騨の雫」はラベルが違うだけとのことです。現在各店舗で販売されている「飛騨の天然水」の在庫がなくなった時点で、中身が「飛騨の雫」の「飛騨の天然水」という力のない水になってしまうのか、それとも「飛騨の天然水」は販売中止になってしまうのか分かりません。理由は分かりませんが、サントリーの「南アルプスの天然水」で起きたことと同じことが起きてしまうのかもしれません。

平成30年10月14日



インフルエンザが流行りだしているようです

 
6月28日の「こぼれ話」で紹介した同じタイプ、タミフル、リレンザが役に立たないインフルエンザに罹った患者さんが今週から来室しています。症状は鼻水、くしゃみ、咳などで、重症化してはいませんが、体力の弱った患者さんには要注意です。

平成30年9月22日


ビタミンC点滴療法適応の患者さん達

 
久しくビタミンCの点滴療法適応の患者さんが来ませんでしたが、この2週間ほどの間に8人の患者さんに美容整形外科に行って点滴を受けてもらいました。行ってもらう理由は様々で、一人目の50代半ばの女性の患者さんは、左肩が痛く動かせないため生活に不自由をきたしていたのですが、一週おきに2回点滴をしてもらいました。二人目の50代後半の女性は、過労で腹痛を訴え、普段入れている仙腸関節の過可動性に対するブロックを入れることができなくなり、1回だけ点滴を受けてもらいました。三人目の患者さんは、20代前半の女性で、背中一面に湿疹ができていたので点滴を受けてもらいました。四人目の患者さんは、40代前半の女性で、7月に風邪をひいて以来咳が止まらず、痰が喉に張り付いているようだということで点滴を受けてもらいました。五人目の患者さんは、40代前半の男性で、呼吸が苦しく肩甲骨周囲と胸の筋肉が痛いという訴えで点滴を受けてもらいました。六人目の患者さんは、50代前半の女性で、空咳が続き体がだるいということで点滴を受けてもらいました。七人目の患者さんは、50代後半の男性で、副腎性の高血圧症で医師から処方されている降圧薬を服用すると体調が悪くなるというので点滴を受けてもらいました。八人目の患者さんは、40代後半の女性で、症状はないのですが左の乳房に様々なTL陽性が出たため点滴を受けてもらいました。

 8人全ての患者さんは過去に何回か点滴を受けてもらったことがあります。各患者さんにはそれぞれ異なるTL陽性サインがあり、共通して左右の腋窩と鎖骨下のリンパ節で器質的疾患を示唆する指先によるTL陽性サインがでていました。それら全てのTL陽性サインはビタミンCの錠剤一瓶、ビタミンC30グラムで全て陰性になり、なおかつビタミンCの副作用はありませんでしたので、ビタミンC25グラムの点滴を受けてもらいました。症状に関して、点滴療法は即効性が期待できます。症状のなかった8人目の乳がん予防のため受けてもらった患者さん以外、ほぼ全員で症状は軽快しました。カイロプラクティックが予防医学としての役割を担うためには、アジャストメントだけでなく、有効と思われる様々な治療法を適宜取り入れる必要があると思います。ビタミンCの点滴療法は適切なタイミングで行えば、その中でも特に有効な治療法と思われますのでお勧めする次第です。

平成30年9月4日


KIRIN
の「アルカリイオンの水」がお勧め

 
消化器系の弱い患者さんには、東京都在住であるなら、ペットボトルの水を買わないで水道局の水を飲むように言っていました。外出先でどうしてもペットボトルの水を買う必要があるなら、以前は「サントリーの南アルプスの水」を推薦していたのですが、なぜか販売に力を入れ始めた1年以上前から筋力検査陽性になり、次にファミリーマートの「安曇野 天然軟水」を推薦していました。しかし、これも数か月前から筋力検査陽性になってしまいました。消化器系に問題のある患者さんが合わない水を飲んでいると腹痛、腹部の緊張感を訴えるようになりますので探していると、KIRINの「アルカリイオンの水」が筋力検査で唯一OKになりました。アルカリイオン水というだけあって、PHが8.8から9.4ということで、逆流性食道炎の患者さんには特にお勧めです。不思議なことに、1年ほど前に検査した時には筋力検査陽性だったのに、「南アルプスの水」と反対に販売に力を入れ始めてからOKになりました。因みに、健康な人はどのペットボトルの水を飲んでも症状はでませんのでご安心を。

平成30年8月2日

 Asahi「おいしい水」も筋力検査でOKになります。この水はアルカリイオン水と違って力がありますので、飲める人と飲めない人がいます。検査したうえで勧めてください。現在のところどの様な効能があるかは分かりません。

平成30年10月23日


動悸、血圧上昇、首肩コリの原因が歯科治療だった
 

 長年来室している患者さんが、動悸、収縮期の血圧が20ミリ上がった、首肩がこる、口内が腫れる等の症状を訴えて来室しました。検査してみると、サブラクセイションはありませんでしたが、筋力検査で今まで出たことがなかった左胸にて心臓疾患を示唆する炭素棒によるTLと、細菌感染を示唆するステンレス棒によるTLが陽性になりました。細菌性の心膜炎ではないかと疑ったのですが、まさかと思い患者さんに何か心当りはないか聞いてみると、歯科治療を受けていると教えてくれました。早速歯茎にステンレス棒でTLすると陽性になりました。これらTL陽性を陰性にするものを探していると、口内洗浄液と歯磨き粉のリステリンのスペアミント、デンターのナチュラルミントでTLが陰性になりました。数日中に症状は治まり、症状の原因が歯科治療であったと推定しました。歯科治療の際、歯茎の血管に直接細菌が侵入し、細菌性の心膜炎のようなサインが出たものと思われます。この歯科医院の器具の消毒は徹底されているのでしょうか。

平成30年8月1日


納豆は全ての人にとって健康食品なのか

 
最近納豆が健康に良いと注目され、販売量が倍増しているとマスコミで喧伝されていました。腸内細菌の働きに注目が集まるようになり、世界的にも発酵食品に含まれる乳酸菌や納豆菌の評価が高まっているため、海外でも消費量が増えているとのことです。ただ、ビタミンKを多く含む納豆が全ての人にとって健康食品であるかは疑問です。血行を悪くする要因としては、高血糖、高コレステロールが知られていますが、納豆を食べ過ぎてビタミンKを摂り過ぎても困ります。ビタミンKは肝臓で血液を凝固させるために必要なフィブリノーゲンを合成するうえで必須なビタミンですが、過剰に摂取すると血栓の材料が増えて血行が悪くなる人もいます。納豆に含まれるナットウキナーゼには血液サラサラ作用があると言われていますが、血行の良し悪しは全ての要素の総和によるのであり、人それぞれということです。一般的に言って、健康に良いと言われる食品でも摂り過ぎるのは良くないというのが経験則です。現在、心筋梗塞の手術後に処方されるビタミンK拮抗薬のワーファリンを服用している患者さんは、納豆を食べないよう指導されています。また、脳梗塞後のリハビリで渡される健康手帳でも納豆は食べないように書かれているものがありました。梗塞で倒れた人に向かって、発症前は納豆は血行を改善すると言って、発症後は食べてはいけないと今でも言っているのでしょうか。結局、症状のない健康な人は、何でもほどほどに食べろということです。

平成30年7月11日


スイカは果物

 
右股関節痛を訴える70代半ばの女性が来室しました。可動性触診では、脊柱と四肢で制限されている部位はありませんでした。筋力検査では、右股関節部にて血行障害を示唆するダイアモンドによるTLが陽性になりました。このTL陽性は糖尿病薬のベイスンで陰性になりました。ベイスン錠は腸で糖分の吸収を遅延させる働きがあり、ベイスン錠が有効ということは、糖質を制限すれば血行が回復し、症状が改善すると考えられます。股関節は血行の悪くなりやすい部位であり、患者さんに甘いものを食べていないか聞いたところ、毎日暑いためスイカを食べているとのことでした。スイカは果物ではなく野菜と思っていたようです。果物に含まれる果糖は血糖を上げるのに時間がかかるため、糖尿病の患者さんには負担が少ないと言われていますが、いずれブドウ糖に分解されるのですから注意が必要です。この患者さんは以前からしばらくすると食品の制限が弛み始め、その後しばらくして様々な症状がでて、厳しく制限すると症状が楽になるということを繰り返しています。糖尿病、糖尿病予備軍の人々は、頻繁にスイカを食べることは無理なようです。

平成30年7月4日



新型インフルエンザが流行しているかも

 昨日、鼻水と喉の痛みを訴える患者さんが2人来室しました。呼吸器疾患を示唆する木の棒とウイルス感染を示唆する発泡スチロールによるTLが陽性になり、今までの様にタミフルでもリレンザでも陰性になりませんでした。症状のひどさから言って普通の風邪ではなく、今話題になっている新型のインフルエンザによるものかもしれません。何となくうすきみ悪く、体力が低下している病み上がりの人、老人、子供は注意が必要です。風邪症状の患者さんが来室した時、発泡スチロール棒でTLが陽性になるか、タミフル錠かその材料であるスターアニス(八角)で陰性になるかを確認してみてください。

平成30年6月28日


腸脳相関を実感

 
右腰痛、右眼瞼下がぴくぴくする、便が細くなったと40代後半の女性が来室しました。患者さんは帝王切開で6年前に出産したため腸に癒着があり、その為便が細くなり、腰痛になるのだろうと医師に言われ、右眼瞼下のぴくぴく感には抗てんかん薬のリポトリールが処方されていました。触診では、脊柱、頭蓋骨、TMJに制限はありませんでした。筋力検査では、腸疾患を示唆する水の入った瓶、神経系の興奮状態を示唆するアルミ棒、血行障害を示唆するダイアモンド等のTLがそれぞれ陽性になりました。リポトリールは患者さんのぴくぴくする部位のアルミ棒TL陽性を陰性にし症状を抑えますが、その他の部位では全身で陽性になりますので服用を止めてもらいました。食品の検査では、肉類、乳製品、卵、アルコール、砂糖、蜂蜜、果物が陽性になり制限してもらいました。腸のTL陽性を陰性にする健康補助食品を探していると、生姜で陰性となりました。生姜で他のTL陽性も陰性になりましたので、毎日朝昼晩と小さじ一杯飲んでもらいました。食事制限と生姜を飲んでいるうちに、2週間ほどで全ての症状が軽くなっていきました。食事制限と生姜により腸内細菌叢の構成が改善され、それが右眼瞼下のぴくぴく感を改善したのでしょうか、最近話題になっている腸脳相関を実感する経験となりました。ところで、リポトリールは未知の受容体に結合し、どこかのニューロンの働きに影響を与えるかもしれません。眼瞼下のぴくぴくするぐらいの症状の患者さんに3年も処方する薬とは思えないのですが。

平成30年6月18日


尻もちをついても尾骨の屈曲病変が原因とは限らない

 70代前半の女性。2週間前から右鼠径部が痛くて歩くのがつらく、階段を一段づつしか上がれないと訴えて来室しました。患者さんの話では、2週間程前に自転車で衝突し、尻もちをついたことしか思い当たりがないとのことでした。近所の整形外科医院に行って右股関節部のレントゲンを撮ったのですが、骨に異常はないと言われ、ストレッチとリハビリ運動を行ってきたのですが全く改善がなく、反って悪化しているとのことでした。脊柱の可動性触診では制限部位はなく、尾骨サブラクセイションの有無を検査するため手掌面でTLしましたが陽性にはなりませんでした。代わりに、器質的疾患を示唆する指先によるTLが左右の大腿骨の頚部で陽性になり、骨粗鬆症を疑いカルシウムの錠剤一瓶を体表に乗せると、左側だけ陰性になりましたが、右側は陽性のままでした。以上の検査結果から、症状の原因は尾骨の屈曲病変ではなく、骨粗鬆症に伴う転倒による大腿骨頸部の骨損傷の疑いが強いと推定しました。リハビリもストレッチもやめて、すぐに近くの大きな病院で再度検査を受けるように言って治療を終わりました。この様なケースは過去に3回ありまして、いずれも入院して人工骨頭を入れる手術となりました。整形外科医院のレントゲン検査で骨に異常がないと診断されても、たまたま先生が見過ごしてしまうこともあります。骨密度の低い70代以上の女性の転倒後の股関節部の痛みの治療は慎重でなければなりません。

平成30年6月11日


心筋梗塞、脳梗塞は予防できないものか
 
 数日前に歌手の西城秀樹さんが脳梗塞で亡くなり、3か月前に俳優の大杉連さんが心筋梗塞で亡くなり、3年前に町村衆議院議長が心筋梗塞で亡くなりました。脳血管疾患の原因は食生活にあり、その改善無くしてこの様な悲劇を予防することはできません。20年以上独自に筋力検査で制限すべき食品を見つけ、少なくとも血行の悪い患者さんには牛肉、乳製品、砂糖、果物、アルコール、葉物の野菜、納豆を制限してもらってきました。私のこの様な経験を裏付けてくれるような書籍を探していたのですが、今まで私の筋力検査の結果と一致するような食養に関する書籍に出会ったことがありませんでした。そんな中、今年5月に出版された鶴見隆史著「食物養生大全」(評言社)は、過去に例を見ないほど制限すべき品目が一致し、ようやく頼りになる食養の書籍に出会うことができたとほっとしています。そんな鶴見先生とも違うところはありまして、先生は一律に果物を健康食品とされ、納豆を酵素の豊富な血液サラサラ食品として推奨しているのですが、患者さん一人一人の体質が違うからでしょうか、私の筋力検査では一律に果物と納豆を健康食品とすることはできませんでした。その他は非常に参考になる説明満載の一書であり、食養に関心のある方には是非一読されることをお勧めする次第です。

平成30年5月20日


果物は健康食品なのか?

 
食養に関する本のほとんどで、果物は健康食品であり、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞のリスクを下げると書かれています。食物繊維が重要なのでしょうか、果汁100%のジュースでは血糖値が上がってしまうそうで、果物はそのままを食べるのが良いと言うのです。ところが、私の治療室では、ジュースはもちろん果物はこれらの疾患の患者さん全てで筋力検査陽性になり、制限してもらわなければなりませんでした。リスクは下げるが、発症したら制限しなければならないのでしょうか。長期に亘り果物を制限していると、そのうち食べられるようになるかと検査しているのですが、血糖値が低くても陽性のままです。その為、当治療室では、今市販のおいしい果物の果糖が10%をはるかに超えているためだと患者さんには説明してきました。研究論文にあるリスクを下げるという意味には、調査対象者各人の体質は考慮されていないように思います。果物が健康食品であるという多くの研究論文と、一部の患者さんで果物が筋力検査陽性になるという当治療室の検査結果との間のギャップは、埋めることができないでいます。

平成30年5月13日


スムージーに注意


 
スムージーが流行っているそうですが、スムージーって何? そんな驚きとがっかりな経験でした。左胸の自発痛を訴えて50代の女性が来室しました。患者さんは年令的にも乳がんではないかと心配していたのですが、検査してみると血行障害を示唆するダイアモンドによるTLと心臓疾患を示唆する炭素棒によるTLが陽性になり、そのいずれもが血栓塞栓症予防薬であるビタミンK拮抗剤のワーファリン錠で陰性になり、ビタミンKの過剰摂取を原因とする一時的な心臓の血行障害による症状と推定しました。患者さんの話を聞くと、友人とケールや名前も知らないカタカナ名の緑の濃い葉物野菜とイチゴ、パイナップル等の果物をミキサーでかくはんしスムージーを作り飲んだとのことです。この患者さんには、血行障害を予防する目的で、以前から肝臓で血液の繊維素の産生に必要なビタミンKを豊富に含む葉物の野菜、血糖値を抑える目的で砂糖と果物を制限してもらっていました。にも拘らず、膵臓がんの患者さんに効果があったという噂が広まり、友人仲間と一緒に飲んでしまったとのことでがっかりです。以前がんに野菜スープが流行ったのと似た現象です。一部の人には、今回のスムージーは以前の野菜スープと違って習慣的に飲むと心筋梗塞や脳梗塞の命に関わる問題を起こしうるので、患者さんには注意を喚起しなければなりません。救いは、美味しそうでもないため長続きしそうにないことでしょうか。

平成30年5月4日


胸帯が必要な患者さん

 花粉症の時期を過ぎても、咳やくしゃみが止まらない、胸の中央部の奥の方が痛い、頭痛や肩こり等に苦しむ患者さんがいます。その原因の一つに、肋軟骨の損傷があります。花粉症による長期に亘る激しい咳、くしゃみが原因で肋軟骨が損傷し、それが原因で様々な症状がでるという悪循環に陥いっていることがあります。肋軟骨は骨ですから、その治療は固定するしかありません。しかし、呼吸のため常に胸郭は拡張収縮していますので、完全に固定することはできません。従って、緩い固定ですが弾性胸帯で固定するしかないのです。固定の必要性の有無の判定は、肋軟骨部への手掌面によるTLが陽性になり、弾性胸帯を装着して陰性になるか否かです。注意すべきことは、胸帯を2枚以上必要とするかもしれないことです。3枚以上必要なら、より固定力が強いサラシ固定が必要です。正確に充分な期間固定しないと、肋軟骨の損傷部位が偽関節になり、いつまでも治らないだけでなく、肺組織の炎症を招き、肋間神経痛の原因にもなります。胸帯の装着は、最初は我慢できる範囲で強く締めて昼夜一週間、後は寝るとき以外TL陽性が陰性になるまで2~3週間程装着してもらいます。

平成30年4月26日


スギとヒノキの花粉は採集してありますか

 あと少しで花粉症の季節も終わろうとしていますが、来年の花粉症対策にはスギとヒノキの花粉のサンプルがどうしても必要です。症状の原因を特定するためにも、植物公園に行き、スギとヒノキの雄しべにごみ袋をかぶせて棒で叩き、スプーン一杯でいいですから花粉を採集してください。

平成30年4月2日



治療は患者さんの反応に応じて毎回変化していく

 アジャストメント、薬、健康補助食品、食品の制限等、患者さんに何らかの刺激を与えると、次回は違った状態で来室します。当然治療もそれに対応した治療になります。悪いサインのない状態を健康とするなら、それを目指して検査し毎回同じ治療になるということは、何の変化もないか、あるレベルまで行って戻ってきてしまっているかのどちらかだということを意味します。ある症状に対して続けてこの様なことが起こるなら、治療に何かが足りないと考え、足りないものを探していくというのが治療だと思ってきました。ところが、最近患者さんと話していて気付いたのですが、患者さんの中には治療者が加える一定の同じ刺激を辛抱強く受け続けることによって、自身の治癒能力がジワジワと働いて治っていくと考えている患者さんがいるのではないかと。だからこそ、治らなくても長期に亘って同じ医療機関に通い、同じ治療を受け続けることができるのではないかと。どの様な治療を受けるかは、その患者さんのプライバシーではありますが、科学的権威を信じて治るのを待つか、人間の体はけっこう丈夫にできていると考え、治癒能力が働き始めるのを気長に待つか、それ程鈍くはないと考え原因を探しそれに適した治療を受けるか、患者さんと治療する側の考え方はそれぞれです。両者のギャップは想像以上に大きいようです。

平成30年3月30日


甲状腺の機能低下による認知症

 
今月のトピックスのアルツハイマー病に関連して、当治療室に甲状腺疾患を原因とする認知機能が幼児化してしまった患者さんがいることを述べました。この80代の女性の患者さんは、10年前に初めて来室された時は身体的には非常に健康でしたが、甲状腺疾患のTL陽性サインがあり、甲状腺の機能低下症に処方されるチラージン錠に反応し、副作用が認められませんでしたので、掛かりつけの内科医を受診するようにお願いしました。食品の検査では、海藻類以外陽性になる食品はありませんでした。早速御家族が内科医院に連れて行って血液検査をしたのですが、甲状腺に関する異常値は出ず、各種の医療機関で検査をしても原因が分からないまま、2年程経過して再度来室されました。その時にはすっかり痩せ、認知機能が幼児化した状態になっていました。ご家族のお話では、検査で異常値がでないことにはチラージン錠を処方できないと医師に言われたとのこと、再度当治療室で検査しても同じ結果になり、結局ご家族が心療内科の医師にお願いして処方してもらい服用することができるようになりました。それと、昨年6月18日のこぼれ話の「プラセボ効果だけではなかったかも」で紹介したビタメジン錠が甲状腺のサインを消してくれるので服用してもらいました。徐々に言葉の数が増えてきて、体もふっくらしてきましたが、認知機能の回復というレベルには届きません。カイロプラクターである私の範囲を超えていると思いますが、当方の検査結果と病院の血液検査の結果が一致しないまま、チラージンとビタメジンの錠数の確認のため月に一回定期的に来室されています。

平成30年3月17日


花粉症には冷湿布で

 急に暖かくなり、スギ花粉の飛散もピークを迎え、花粉症に悩む患者さんも増えてきたところだと思います。そんな時、冷湿布が一時的ではありますが思いの外役に立ちます。まず、皮膚がかぶれないよう、その患者さんに合う冷湿布を筋力検で選びます。花粉症の患者さんは共通して肩甲間部と上部腰椎部に炎症がありますので、脊柱上に選択した冷湿布を貼ってください。鼻や喉等の症状のある部位より脊柱上に貼る方が効果がある理由は、交感神経の興奮を抑える作用によるものと思われます。簡単な治療法で、アレルギー剤を服用するより副作用もなく、思いの外効果があります。是非試してみてください。

平成30年3月14日


心窩部痛は心疾患の反射痛かも

 
一昨日、俳優の大杉連さんが心不全で急逝したとの報道を聞き、66才の若さでなぜと思わずにはいられませんでした。その後の報道では、以前から胃が痛いと漏らしていたとのことですが、大杉さんはどの様な治療を受けていたのでしょうか。一般に、心臓疾患の前駆症状としては、左胸部痛と左肩から左上肢への放散痛が知られていますが、心窩部痛も良く知られた症状です。心臓の異常は健康診断で行われる心電図には現れにくいため、胃腸の問題と誤診されることがあるようです。私の経験では、カイロプラクターとしては残念なことなのですが、この様なケースでサブラクセイションが原因であったことはなく、特異なケースを除いて、全てのケースの主な原因は食習慣でした。日々の食習慣を改善し、この様な不幸な事故を防ぐことができないものかと思います。筋力検査における心疾患の反応は、心窩部ではなく左胸面での炎症を示唆する手背面によるTLが陽性、心疾患を示唆する炭素棒(黒田光線の5000番)によるTLが陽性、血行障害を示唆するダイアモンドによるTLが陽性になり、胃腸疾患を示唆する銅棒によるTLが陰性になります。これらの反応がでたなら、主な疾患は胃腸疾患ではなく心疾患の可能性が高いと推定します。この様なケースでは、食品の制限は必須ですが、重篤ならバイアスピリン等の薬品の服用が必要になることが多く、専門の医師の診断を仰がなくてはなりません。大杉さんは以前から様々な症状に苦しんでいたのではないかと思います。どんな症状でも、それは体からのお知らせです。症状が示唆していた疾患を予防できなかったのは残念というほかありません。

平成30年2月23日


雪で滑って首が回らない

 
22日に降った雪が凍り、足を滑らせ背中から落下し首が回らなくなった患者さんが来室しました。打撲した胸椎部と脊柱全てを検査しましたが、サブラクセイションも肋軟骨の損傷もありませんでした。しかし、尾骨部は打撲していないにも拘らず、尾骨の屈曲病変がありました。尾骨の屈曲病変は体にかかる大きな重力負荷に対するショックアブソーバーの様な働きがあるのかもしれません。早速尾骨を矯正し、頭蓋骨のSBSの屈曲病変を矯正しました。矯正した時点で首が少し回るようになり、数日のうちに症状はなくなりました。雪で滑って尻もちをつき、転んだ時に階段の角などでどこかを打撲し組織損傷が生じていないなら、その症状の原因は尾骨の屈曲病変だけかもしれません。尾骨にTLして陽性になり、磁石を乗せて症状のある部位にTLして陽性になるなら、尾骨矯正が必要です。尾骨の屈曲病変は自己矯正することができず、終糸を介する硬膜管への牽引作用に対して脊柱の関節の過可動性によって順応するしかありません。牽引ストレスに対して順応できれば、放っておいても症状は軽減していきます。順応できなければ症状はいつまでも持続します。尾骨の屈曲病変だけなら、即効性を期待できます。今回の大雪では私の治療室に一人しか来ませんでしたが、テレビで見ていると多くの人々が勢いよく転倒しています。症状を長引かせないためにも、是非尾骨の屈曲病変を矯正してください。

平成30年2月2日


健康食品には注意が肝要

 
定期的に来ている患者さんが、右臀部と右股関節部の痛みを訴えていつもより早く来室しました。この患者さんはいつものようにサブラクセイションは見つかりませんでしたが、問診する過程で、甜茶と生姜を主体とする5~6種類のお茶よりなる健康食品を飲んでいることが分かりました。患者さんの話では、これを飲むと目のゴロゴロ感が良くなるので頻繁に飲んでいるとのことでした。この健康食品の副作用が症状の原因ではないかと思い、これを腹部にあてて筋力検査しましが陰性でした。ところが、症状のある右臀部と股関節部にあてると陽性になりました。即刻この健康食品を止めてもらうと、数日で症状は軽くなりました。実は、以前この患者さんがこの健康食品を飲んでもいいか確認を求めてきたことがあり、腹部に乗せて検査すると陰性でしたので、大丈夫と言ってしまったことを思い出しました。この健康食品の主成分である甜茶は一部の患者さんのアレルギーに効果があり、それで目のゴロゴロ感に効いたのかもしれません。患者さんは体の一部に効果があるものが、まさか他の部分に副作用を生じるとは想像できなかったと思いますが、ひょっとするとこれが原因ではないかと思いサンプルを持って来室しました。大抵の健康食品は上腹部に乗せて検査すると陽性になりますので、飲んだり食べたりしないように言えるのですが、稀に陰性になることがあります。その様なケースでは、全身で副作用がないか検査する必要があるということです。患者さんには申し訳ないことをしてしまいました。

平成30年1月18日


尾骨の屈曲病変の診断は筋力検査で

 フラフラすると訴える患者さんの治療歴を問診していると、カイロプラクティックの治療室のレントゲン診断で尾骨が90屈曲しているので尾骨矯正が必要と言われ、2回治療を受けたとのことですが、症状の改善は得られませんでした。当治療室で検査していくと、患者さんの問題は尾骨の屈曲病変ではなく、穀物アレルギーによるものでした。尾骨の屈曲病変の診断要件は、尾骨部に集中する物理的な衝撃を受け、それを契機に症状が発症すること、人差し指の掌面で尾骨にTLして陽性になり、磁石を体表に乗せると症状のある部位でTL陽性になる必要があります。90屈曲しているように見えても、それにより終糸を介して硬膜管に緊張が生じていなければ矯正する必要はありません。尾骨の屈曲病変は機能的な問題であり、レントゲンでその有無を診断することはできません。その診断はあくまでも筋力検査で行わなければなりません。因みに、この患者さんは歯科医院でも平衡感覚の障害に対するTMJの治療としてマウスピースをはめ、歯を削る治療を受けていました。尾骨の屈曲病変同様、TMJにも問題はありませんでしたので、マウスピースも歯を削る様な治療も止めてもらいました。歯科医の間で正しい噛み合わせがきちんと定義されていませんので、歯を削ると取り返しのつかない事態になる可能性があります。不必要な治療を行わないためにも、筋力検査の精度を高めることが求められます。

平成30年1月15日



穀物は全てだめという人


 人類が農耕を始めたのが1万5千年前から、日本人が米を食べ始めたのはほんの2千年前から、その米を毎日のように食べられるようになったのはほんの数百年前からです。人類進化の二百数十万年のなかで、新しい食物である米、小麦などの穀物に最初アレルギー反応をしめした人々がいても、乳糖不耐に対する自然淘汰ほどには、この短い間に彼らが自然淘汰されるということは考えられません。従って、今でも穀物にアレルギー反応をしめす人々が世界中に一定の割合いると考えられます。事実、欧米でも穀物アレルギーを原因とするセリアック病に苦しんでいる人々が人口の数%いるということです。エネルギーの多くを穀物から摂っている日本では、その数倍はいると私は思います。

 20年以上前、筋力検査で食品を検査しはじめたころ、穀物が陽性になった患者さんに穀物を食べないように言うと、一様に奇異な感じをもたれたものです。近年、夏井睦著「炭水化物が人類を滅ぼす」(光文親書)、ウイリアム・デイビス著「小麦は食べるな」(日本文芸社)等が出版されるようになり、ようやく穀物が病気の原因になりうることを人々が理解してくれるようになってきました。和食は健康によいと言われていますが、糖質が多いことが問題になっています。もしも米、小麦、そばが筋力検査陽性になったなら、エネルギーを穀物から多く摂っている日本人は、欧米人よりも食事のやりくりが大変なのではないかと思います。私の経験では、穀物アレルギーの人が穀物を完全に制限すると、症状の改善には驚くほどの効果があります。その一方で、外食に苦労し、食生活が物足りなくなり、人付き合いも悪くなりがちになります。穀物は量を制限しても食べる量が多くなりますので、中途半端に制限するだけでは効果がありません。やってみる価値はあるのですが、結構つらいものがあります。何を選択するかは本人の問題ですが・・・。

平成30年1月1日



80代の症状のないがんの患者さんに手術は必要なのか?

 今年2人の80代の大腸がんの患者さんが手術後数か月で再発し、辛い日々を過ごしています。検診でがんが見つかるまで、ほぼ症状もなく自立して生活できていたのが、手術後歩行がつらくなり介護を必要とする生活になってしまいました。2人の患者さんには、いくつかのTL陽性を陰性にするべく食事制限をお願いし、健康補助食品を飲んでもらい、症状はほぼなくなっていました。手術後、多くのTL陽性が現れ、それらを陰性にするべく努力しましたが、私にはまだわからないTL陽性があるようです。最近医療レベルが向上したためか、がん専門医の間では、80代のがん患者でも積極的に根治を目指して治療を行う方針だとマスコミなどで伝え聞いていました。ひょっとすると、医師達は寿命を百才まで伸ばせるとでも考えているのでしょうか。どの様な治療を受けるかは医師と患者さんの合意の上で進められるのですが、その過程で経過を観察するだけという選択肢が、80代の症状のない患者さんには提示されてもいいのではないかと思った次第です。

平成29年12月5日



不適応症のケース

 20年前から徐々に右膝が痛くなり、2週間前から何ら思い当たる原因もないのに歩行時に左膝が痛くなったという70代後半の患者さんが来ました。その他に右腰が凝っている、首肩凝りがあり、10年以上整形外科と接骨院に通っているとのことでした。触診では、脊柱と骨盤と膝に可動性の制限されている部位はありませんでした。筋力検査では、左右の膝でTL陽性になることはありませんでしたが、両乳房で炎症を示唆する手背面によるTL、婦人科疾患を示唆するプラスチック棒によるTL、腋窩と鎖骨窩のリンパ節にて器質的疾患を示唆する指先によるTLが陽性になりました。検査結果から、症状の原因はサブラクセイションや筋骨格系の問題ではなく、乳がんを疑いました。ビタミンCの点滴療法が有効か検査したのですが効果は見込めず、制限すべき食品を検査するのみで治療を終わりました。これ以上当治療室でお役に立てることはありませんでしたので、病院の乳腺科に行って乳房を検査するようにお話しすると、患者さんは最近乳房にしくしく痛むような感じがあったが、この3年検診を受けていないと話してくれました。

 この様な検査を受けてもらう上で注意すべきことは、病院に行って直ぐに何かが見つかるとは限らないことで、それを患者さんに了解してもらわなければなりません。私の経験でも最長3年後に病気が見つかったというケースがありました。現在の検査精度では3ミリ以下の腫瘍は発見できず異常なしになることが多いそうです。この様な不適応の患者さんに対して、検査を継続的に受けてもらい病気を早期に発見してもらうこともカイロプラクターの務めではないかと思います。

平成29年11月19日


出産で後ろ向きにしか歩けなくなった患者さん

 20年以上前のことでしょうか、難産の末元気な赤ちゃんを出産したのですが、出産後腰痛と坐骨神経痛のため前に歩くことができず、ご主人に手を取られて後ろ向きになって治療室に入って来た患者さんがいました。ご主人は奥さんと赤ちゃんの世話で仕事に行くことができず、小さなお子さん3人と一緒にいらっしゃいました。トピックス86でも紹介した患者さんと同じく尾骨の屈曲病変があり、初診だったか2回目だったか尾骨矯正をし、間接法による脊柱の矯正と仙腸関節の過可動性に対するブロック、SBSの屈曲病変の矯正、腹圧を高めるためのサラシ固定を行いました。初診でそろそろとゆっくり前に歩けるようになりましたが、その後はお母さんに連れられ、一人でなんとか当治療室に来るまで回復するのに3~4回、10日ほどかかったでしょうか。トピックスで紹介した患者さんとは違って、骨盤内の組織をかなり損傷していたものと想像します。2~3週間ほど、計7~8回ほど当治療室に通われたでしょうか、充分に回復しないうちに来なくなり、その後の経過は分かりません。不安そうだったご主人、奥さんとお子さん達はどうしているか、ふと思い出しました。

平成29年11月12日


小中学生に腰痛が増えている?

 昨日民放で、小中学生に腰痛を訴える子が増えていて、その原因が教材の増加によりランドセルが重くなったためかもしれないと放送していました。ランドセルが重くなる一方なのに、子供たちの筋力が低下しているためとしていましたが、はたして本当のところはどうでしょうか。私は、お菓子類、ジュース、スポーツ飲料、カフェインを多く含む飲料、乳製品などを過剰に摂り過ぎる食生活が主な原因と考えるのですが。子供たちが接骨院でマッサージ指圧を受けているのを見て、なにか虚しさを感じてしまいました。親御さんは小学生の我が子に腰痛や肩こりがあるとは思ってもいません。ましてやその腰痛肩こりが生活習慣病の前兆であるかもしれないとは想像だにできないと思います。この子供たちが将来の成人病予備軍にならないよう、まずは食生活を見直し、それから運動させるというよりもっと外で遊ばせて欲しいところです。

平成29年10月28日


生活習慣病は予防が第一

 60代後半以上の患者さんで、めまい、胸苦しさ、首肩の凝りや痺れ、吐き気、不安感等を訴えて来室する方が多くいます。検査すると、その原因の多くはサブラクセイションではなく食生活からくる血行障害で、脳梗塞や心筋梗塞の前兆と思わせる症状を訴える患者さんも多くいました。従って、血行が著しく障害されている患者さんに対する当治療室の治療としては、食品の制限を指導し、抗酸化作用を期待してビタミンC又はE、EPAやDHA等のサプリメントの内で何か合うものがないか検査するだけでした。自由診療の私の治療室に来る患者さんは、切羽詰まった状態になるまで来てくれない患者さんがほとんどです。当然この様なケースでは患者さんが期待する様な即効性がありませんので、初診だけで終わり、食品の制限を継続して行ってもらうことができないでいます。しかし、その様な患者さんが不幸にも梗塞を起こし、運よく再起できたとして、この食品の制限は再発を予防する上で思いの外効果が期待できますので、続けてくれることを願っています。その一方、症状の原因が緊急を要するものでない時、大抵は1週間もしないうちに症状は軽快します。梗塞の予防には、特にアルコール、砂糖、果物、牛肉、乳製品、葉物野菜、納豆、海藻、それと日々飲んでいる健康食品等を検査し、陽性になる食品があるなら、長期に亘りそれらを制限してもらわなくてはなりません。厳しく制限すると、症状は思いの外早く軽くなります。そんな経験をした患者さんから、30代の息子が普段から気分がすぐれず、朝気持ちが悪くて食べたものを吐き、病院で精密検査を受けても異常は見つからず、さりとて当治療室には来たくないとのこと、緊急時になったら連れて来てもよいか聞かれました。当治療室は予防が第一で、緊急時の救急医療を行うところではないとお断りしたのですが・・・・どうしても患者さんの求めるものとフィットしません。

平成29年10月21日


注目!新刊「がん光免疫療法の登場」
(青灯社)永山悦子著、小林久隆協力

 本書は、画期的ながん治療を考案したとしてバラク・オバマ元大統領が2012年の年頭教書演説で紹介した小林久隆NHI(米国立衛生研究所)臨床センターフェローへの著者による取材をもとにした医療解説書です。本書の題名である「がん光免疫療法」とは、特定のがん細胞にのみ結びつく抗体に無害なIR700という蛍光物質をくっけ点滴で体内に送り込み、ON.OFスイッチとして近赤外光の照射を利用し、そのがん細胞だけ狙って光らせることによって、光エネルギーでがん細胞の細胞壁のみを物理的に攻撃し破壊するという治療法です。アメリカのトーマス・ジェファーソン大学で実施された治験に対して、「他の治療法がなかった頭頚部のがんの患者さんに対して十分に通用する治療法と考えられる」として最も優秀な臨床治験に送られるブルーリボン賞を受賞したそうです。多くの研究者の努力により、現在特定のがんに結びつく抗体が20種類ほど開発されているそうですが、いずれ全てのがんに結びつく抗体が開発される日が来ることを期待しています。また、近赤外光が届かない深部のがんの治療が課題として残っているとのことですが、小林先生のご努力で解決される日が来ると思います。その治験の成績は目を見張るものがあり、過去に比類するものを読んだことがありません。詳しい成績については本書をお読みください。早期に日本での治験が望まれていますが、楽天の三木谷浩史会長の資金援助を得て実施されるそうで、来年中、うまくいけば年内にも実施されるそうです。

 この治療法は従来のがんに対する免疫療法とは次元を異にする療法であり、いずれ三大治療法とされている外科治療、抗がん剤治療、放射線治療を凌ぐがんの標準治療になる可能性があります。昨年話題になったオプチーボの奏効率が3割以下で、免疫機能にブレーキを掛けるT細胞の働きを抑制するため副作用としてⅠ型糖尿病などの自己免疫疾患が認められるとのことです。対してこの療法は光エネルギーという物理的な力を利用するため原理的に副作用は考えられず、繰り返し行うことができるため7割以上の奏効率を目指しているとのことです。また、この技術を利用して、再生医療における山中伸弥先生のIPS細胞の作成過程で生まれるがん化する可能性のある細胞を取り除くことにも応用できる可能性があるそうです。近年の分子生物学の進歩を土台とするこの様な斬新ながん治療が生まれつつあるのは、がん治療がその歴史の大きな転換期を迎えているからかもしれません。それに日本の研究者が関わっていることを誇らしく思うのは私だけではないと思います。二人に一人ががんになる時代で他人事ではありません。この療法が日本でがんの標準的な治療法になる日が一日でも早く来ることを、そして今がんと闘っている人々にそれが間に合うことを願うばかりです。是非書店で購入し一読されることをお勧めします。

平成29年9月19日



胃痛の原因が食品アレルギー?

 1年前から夜間咳が止まらず、常時鼻水が止まらないという50代後半の女性が来室しました。脊柱にサブラクセイションはありませんでしたが、患部においてアレルギーを示唆するコルク棒で陽性になりました。早速食品の検査をすると、全ての肉類、卵、乳製品、イカ、タコ、エビ、カニ、アルコール、砂糖、果物、カフェインを含む飲み物、海藻が陽性になりました。これらの食品を制限してもらうと、長年の症状が2週間もしないうちに改善しました。その患者さんが子供さんと旅行に行き、1日だけ制限すべき多くの食品を食べてしまいました。その翌日から、最初38.7℃の熱が出て、次に、胃から背中に広がる自発痛に苦しむようになり、本人は膵臓の病気ではないかと心配し来室しました。検査するとやはり食品のアレルギーが原因で、その上、動物性食品で唯一食べられる魚類も筋力検査陽性になってしまいました。食品の制限を厳しく守れば症状はなくなると伝えると、本人は膵臓疾患ではなかったことに安心したようでした。アレルギー食品を食べ続けていくと、より多くの食品が筋力検査陽性になるようです。私としては、患者さんに食品を制限するように言うのは気が重いのですが、より重大な病気の予防にもなりますので、敢えて強く言うようにしています。それでも制限が緩む患者さんが多くて困ります。

平成29年9月11日


食品アレルギーによる症状は様々

 60代半ばの患者さんがある日突然強い胸やけと消化器全体の重苦しさを訴えるようになりました。原因を探ると、穀物に対する食品アレルギーによるものでした。幸い症状は穀物を完全に制限して1週間ほどして軽くなりました。この患者さんは今まで穀物にアレルギー反応を示すようなことはなかったのですが、今回はその症状の激しさに驚きました。ある時突然ある食品に反応するようになることは珍しいことではありませんし、穀物のアレルギーによる症状も様々です。私の場合は腰が抜けた様な腰痛になるのですが、激しい咳、600を超える様な心房細動、めまい、痺れや麻痺を訴える患者さんもいました。なかには症状が全くでず、筋力検査の陽性反応だけが出る患者さんもいました。この様なケースでは食品を制限しようというモチベーションが上がりませんので、いつか何らかの疾患が発症するのではと心配になります。食品アレルギーによる症状は、現代医学的な薬物治療では治りませんので、食品の制限を行うしか症状を軽減する方法はありません。「炎症は万病のもと」というように、健康を維持する上で全ての食品をより頻繁に検査する必要があるようです。治療者は常に症状に囚われることなく、その原因を探求しなければならないということでしょうか。

平成29年8月19日


「医者は患者をこう診ている」 
グレアム・イーストン著(河出書房新社)

 
本書はイギリスの家庭医・総合診療専門医として特別に訓練を受けたGP(General Practitioner)が担うプライマリーケア制度における診察風景を、GPの側からみた現場を紹介する作品です。イギリスの医療制度では、原則医療費は無料で、限られた予算を無駄なく使うため、各GPに1500人から2000人の登録患者が割り当てられ、治療を受けたい患者さんはまずGPの診察を受け、必要があると認められた患者さんのみ専門医のいる病院の治療を受けられます。カイロプラクティックの治療室に来る患者さんの愁訴の原因はサブラクセイションだけではありませんので、当然カイロプラクターも他の原因を検討しなければなりません。その際に、ある日の午前中に10分間隔で18人の患者さんの様々な問題をいかに診断し治療するかを著者の側から紹介するという本書の内容は、カイロプラクターにとっても参考になると思います。私もイーストン先生の様なGPに診察していただけたらと思いますが、私の住む世田谷区では、イギリスのGPに相当する開業医が年々減少し、何か問題があるといきなり病院に行く患者さんが増え、病院の混雑がますます慢性化しています。

平成29年7月28日


百害あって一利あり

 
受動喫煙による健康被害が問題となり、国会では飲食店での喫煙を一律に規制すべきか否かの議論が山場を迎えているようです。それ程タバコによる健康被害が問題になっているにもかかわらず、喫煙文化研究会著「タバコはそんなに悪いのか」と題する本が店頭に並んでいました。内容はタバコによる害は認めるものの、精神的にリラックスする益も理解して欲しいとの、喫煙者側からの訴えとでもいうものでした。その中に、免疫学の権威である奥村康 順天堂大学名誉教授の「喫煙は脳内でドーパミンやセロトニンの分泌を促し気分をリラックスさせる効果があり、喫煙者にパーキンソン病が少ないのもドーパミンの効果で説明できるし、うつ病の治療法の一番は喫煙である。だから喫煙者に自殺は少なく、自殺者2000人を調べたところ、喫煙者は一人もいなかったという調査結果がある。」(奥村康著「不良長寿のすすめ」宝島出版)との引用文がありました。また、本の帯には養老孟司先生の「喫煙者のほうがアルツハイマーになる人が少ないというデータがありますが、これは当たり前なんです。ニコチンが脳に直接きいているんだから。」という評が添えられていました。よく「タバコは百害あって一利なし」と言われてきましたが、喫煙者にはパーキンソン病やアルツハイマー病が少なく自殺者も少ないという点で、「百害あって一利あり」とすべきなのかもしれません。そう言えば、今までタバコの有益な効果という観点から検査したことはありませんでした。ただ、当治療室の筋力検査では、タバコは全ての患者さんで肺又は体のどこかの部位で陽性になり、害の大きさにより利害のつり合いをとれないでいます。

平成29年7月12日


水は水道局の水道水に限る

 
当治療室ではペットボトルの水はサントリーの「南アルプスの水」を推薦していたのですが、昨年末から理由は分かりませんが筋力検査で陽性となり、お勧めすることができなくなりました。味にこだわらなければ、東京都の水道局の水が値段的にも品質的にもベストです。敢えてペットボトルの水を探してみると、ファミリーマートで販売している「安曇野の水」だけが陰性でした。外出先で水が飲みたくなったら、水道の蛇口から直接飲むのがベストで、安曇野の水以外の水は避けた方が良いようです。ただ、ビルの貯水槽の管理が悪い時はこの限りではありませんのでご注意ください。

平成29年7月3日

*ローソンで販売されているキリンのバナジウム入り富士山の水も陰性でした。


カイロジャーナル無料配布の中止

 
昨日配達されてきたカイロジャーナル89号のトップページに、1989年以来年3回無料で配布してきた当紙を、来年の3月号で中止するとの斎藤信次社長の記事が掲載されていました。カイロジャーナルはカイロ並びにオステ界における唯一自由に意見を発表できる業界紙であり、その存在は業界にも私にとっても貴重なものでした。私もカイロプラクティックはアジャストメントだけではなく食養を実践しなければホリスティックな治療にはなりえないと、症例をもって何度か投稿し掲載させていただき、読者からの質問に答えるなどしてきましたが、今となっては良き思い出となってしまいました。記事の「出版物及び関連商品がこうも売れなくなるとは思いも寄らなかった。」との言葉が胸に刺さります。毎年支払う健康保険料が高くなり、何かあれば保険のきく医療機関で治療を受けたいというのはあたりまえのことです。私も2年前にロイドのトムソンテーブルを購入した時、エサキのスタッフが近年ドロップテーブルが全く売れないと嘆くのを聞き、自分の治療室の患者数が近年少なくなりつつあることもあって、自由診療のカイロ界の不景気を実感しておりました。しかし、カイロジャーナルの配布が中止になるとは思ってもいませんでした。

 D.C.が数百人もいて、アメリカからのカイロに関する情報が溢れるようになったにもかかわらず、カイロ界が不景気であるということは、医療保険制度の違うアメリカ流のカイロプラクティック治療への患者さんの支持が得られなかったということです。医療費が高く健康保険に入れない国民が数千万人いるアメリカと、国民皆保険制度の整った日本の患者さんの間には、カイロプラクティックに対して求める内容に大きな違いがあるように思います。日本でカイロの自由診療の治療室に来る患者さんは、医療機関の治療では対応してもらえない患者さんがほとんどで、日本のカイロプラクターはアメリカよりも高い治療レベルを求められます。私自身としては以前から言っている通り、日本のカイロプラクターは他の医療機関にはできないサブラクセイションに対するより的確なアジャストメントを行うだけでなく、筋力検査を利用した患者さん毎の食養も行わなければならないと思います。これからの日本のカイロ業界は、アメリカのカイロを最善として受け入れ普及させていくだけでなく、不足する部分を分析し改良する必要があることを自覚しなければならないと思います。何ができるか各カイロプラクターは自問し実践しなければカイロに未来はありません。カイロジャーナルの無料配布の中止はその前兆であり警告なのかもしれません。カイロジャーナルが復活する様な環境になることを祈念し、斎藤社長ほか社員の長年のご努力に感謝する次第です。

平成29年6月23日


プラセボ効果だけではなかったのかも

 
プラセボというタイトルでNHKスペシャルで放送するくらいですから、プラセボというカタカナも馴染みのある言葉になってきました。人の想いと気持ちがその人の体をコントロールすることはよくあるそうですが、その反対に、プラセボと思っていたことが、実際には効果を上げていたという例もあるはずです。そう思った切っ掛けは、三村芳和著 「カラダの知恵」(中公新書)の第6章「暗示というコトバ」1.忘れられない患者 のところを読んだ時のことです。そこにはプラセボ効果の例として、1970年代終わりに三村先生が大学病院の外科の研修医だった時に受け持った甲状腺がん末期の患者さんの症例が紹介されていました。

 その患者さんは肺転移をきたし、がん性胸膜炎により胸水があふれるほどに溜まり、呼吸ができず眠ることもできない状態に陥っていました。若き三村先生は先輩医師を手伝って胸水を抜く以外為す術もなかったそうです。そんな折、患者さんから子供のためあと1月長く生きたいと懇願され、苦悩した先輩医師が一計を案じ、ビタミンB群を主成分とするビタメジンを新薬の抗がん剤と称して試してみることにしました。結果は意外なもので、肺に無数にばらまかれた腫瘍は病勢を落とし、胸腔に溜まった血液を含んだリンパ液の量も減り、10日ほどの内に呼吸も楽になってきました。先生はこの信じられないような現象を、新薬に対する信頼がプラセボ効果をもたらしたと考えました。しかし、思わぬ失策でニセ薬の正体がばれてしまい、薬の効果は切れてしまったそうです。患者さんはニセ薬と知って数日の内に容態が激変してしまったそうです。

 三村先生は40年近く前の体験を、今でもプラセボ効果と信じているようですが、果たして何の故なくしてその様な劇的な現象が起こり得るものでしょうか。早速ビタメジンの効果を試してみることにしました。私の治療室にはサンプルとして患者さんから頂いたビタメジン錠がありますので、甲状腺ホルモン製剤のメルカゾールやチラージンを受け付けない甲状腺疾患の数人の患者さんでビタメジン錠が有効か否かを検査することにしました。不思議なことに、全ての患者さんでビタメジン錠は甲状腺疾患のサインを消してくれ、受け付けてもくれました。そのメカニズムは分りませんが、ビタミン剤のビタメジン錠には一時的にでも甲状腺疾患に何らかの効果があるのかもしれません。三村先生の患者さんの容態が激変してしまったは、逆のプラセボ効果が働いてしまったのかもしれないと、ふと想像を逞しくしてしまいました。

平成29年6月18日


予防できないものか

 50代前半の活動的な男性が、動作時の右肘、左手首の痛み、歩行時の両膝痛、常時続く首、肩、両側の肩甲骨周囲のこりを訴え、友人の紹介で来室しました。本人はゴルフが原因と信じていましたが、検査の結果、脊柱と四肢のサブラクセイションは見つからず、血行障害と心臓疾患のサインがでました。これらのサインは高脂血症薬を体表に乗せると陰性になりました。食品の検査では、魚類を除く全ての動物性食品とアルコール、砂糖、乳製品、果物が陽性になり、制限するようにお話ししました。ご本人は思いもよらぬ説明に納得しかねるようで、接待での飲酒、喫煙も止められないようです。高脂血症の薬や抗酸化作用を有するサプリメントも受け付けてくれません。予防するにはただ食品の制限と禁煙を行うしかないのですが、果たして患者さんは本気で実行してくれるでしょうか。この患者さんを紹介してくれた友人も同じ原因で食事制限を行ってもらっているのですが、50代の若さで梗塞が起こらないか心配です。

 食生活が原因で血行が悪くなり、その結果血圧が上がり、降圧剤を服用し、薬の副作用により様々な症状がでて、その症状を抑える薬を服用するという患者さんが多くいます。この連鎖を断ち切らねばならないのですが、長年続けてきた美酒美食に慣れた食習慣を変えることは至難なことです。

平成29年5月31日


不足するカルシウムの補給は難しい

 
私事ですが、最近朝起きぬけに瞬間的に腰仙部に痛みが走るようになりました。幸いその後は動き出すと何事もなかったかのように一日症状もなく過ごすことができるのですが。腰痛の原因をあれこれ探していると、カルシウム不足が原因のようなのです。私も68才になりましたので、食品から摂るように心掛けていたのですが、大量に不足しているようで、毎日3000㎎ものカルシウムの錠剤を飲まなくてはならなくなりました。以前にも骨のカルシウム不足の原因となる生活習慣についてトピックスその他で言及してきた手前、私自身でもそれを実行してきたつもりでした。カルシウムを排出する利尿作用を亢進させるカフェインの摂り過ぎ、人により骨形成を阻害する可能性のある大豆イソフラボンの摂り過ぎ、骨の新陳代謝を司る甲状腺機能に影響する海藻類の摂り過ぎ、カルシウムイオンを消費する砂糖の摂り過ぎ等を控え、カルシウム豊富な乳製品は体質に合わないため、他のカルシウムを多く含む食品を積極的に摂り、腸でカルシウムの吸収を高める効果のあるビタミンDを多く含む食品を食べ、骨吸収の抑制と骨形成の促進効果を有するビタミンKを多く含む食品を許される範囲で食べるよう心掛けてきたのですが、気が付いてみたらひどいカルシウム不足になっていました。何か他の原因があるのかもしれません。それとも、これが老化というもので、避けられない現象なのでしょうか。カルシウムの錠剤を飲み始めて一月ほどで痛みは軽くなってきましたが、まだ少し残っています。

 カルシウムが不足すると、年令に係わらず筋骨格系の痛みや痺れだけでなく、神経系の機能低下、虫歯や歯槽膿漏等の原因にもなります。だからと言って、カルシウムの錠剤を安易に飲み過ぎると、人によっては腎臓結石のような石ができてしまうこともあります。私の筋力検査では、ほとんどの人でカルシウムの不足により症状が出るまで錠剤を飲むことはできませんでしたし、いつまでも飲むこともできませんでした。また、患者さんが病院で処方されるビタミンD錠等の骨粗鬆症・骨代謝改善薬もあまり期待できないようです。人間誰でも年をとるとある時点で突然ひどくカルシウムが不足するようになり、全身の骨が変形し骨折しやすくなり、姿形が年寄りぽくなります。そしてこのような患者さんが多くいます。頭蓋骨が変形して老人顔貌にならないよう、転倒して簡単に大腿骨の頸部を骨折しないよう、先手を打って補給する方法はないものか探しているところです。

平成29年5月4日



カイロ治療8日後に脳内出血で亡くなったアメリカの若い女性は、なぜ病院に行かなかったのか

 
3月29日のテレビ番組で、カイロ治療を受けて8日後に脳内出血で急死した若いアメリカの女性のケースが取り上げられていました。検死の結果では、頸椎矯正と血管損傷の因果関係は認められなかったということですが、我々カイロプラクターにとってはショッキングな報道でした。ただ、このケースの問題は他のところにあるようです。というのは、番組の参加者と視聴者の感心が、カイロプラクティック治療が危険ということより、この女性がなぜ早く病院に行かなかったのかというほうに向いていたからです。そう考えるのは、日本人が日本の医療保険制度を当たり前のように思っているためです。彼女ももちろん病院に行きたかったはずですが、医療保険に入っていなかったのか、入れなかったのか。なにしろ、真野俊樹氏の本によれば、先端医療が世界一といわれるアメリカでは、虫垂炎の手術で腹膜炎を併発し一週間入院すると700万円近く請求されることがあるそうで、当然保険料もべらぼうに高くなります。彼女は仕方なく代替療法としてサプリメントを飲み、カイロプラクティック治療を受けていたのだと思います。悲しいことに、アメリカのカイロプラクターも彼女の問題がサブラクセイションではなく脳血管疾患であることを鑑別できなかったようです。もっとも、アメリカのカイロプラクターはサブラクセイションのアジャストメントだけに専念していますので、鑑別できることを期待するほうが無理なのかもしれません。ただ、このケースでは、たとえ現代医学的治療を受けても、一時的な延命効果しか期待できなかったと思います。唯一この悲劇を予防する治療法は、より早期に食習慣を変えるように指導することしかなかったのかもしれません。信じられないかもしれませんが、超大国のアメリカでは、経済的に余裕のない患者さんには医療の選択肢がないということです。日本とアメリカを含む他の先進国の医療制度に興味のある方は、3月30日発行の真野俊樹著「日本の医療、くらべてみたら10勝5敗3分けで世界一」(講談社α新書)をお読みください。

平成29年4月1日


医療の光と影

 昨年の5月に食事が喉を通らなくなり、近くの病院で検査したところ、胃がんのステージⅣと診断され、胃の全摘手術を受け、抗がん剤の点滴と抗がん剤を服用しているという60代の女性が来室しました。この患者さんは、どこにがんが転移しているか分からないという理由で、半年の間に同じ抗がん剤の点滴を8回受け続け、2月初旬に私の治療室に来室した時は、これから9回目の点滴をする直前でした。ただ、左腎機能が低下して排尿時に痛みがあって出にくくなり、尿管の検査をする必要があるとのこと、両手足のむくみ、首屈曲時に頭全体がグワーンとする、顔の痺れ、口内炎等の症状を訴えていました。私の治療室では食品の制限とひどい便秘に対してセンナを推薦する以外対処できませんので、9回目の点滴は止めて、他の病院に行って検査及び治療を受けるように言って治療を終わりました。検査を受けている過程で黄疸症状が現れ、血液検査でALT(GPT)が400代、AST(GOT)が700代と肝機能が極端に低下し、命に係わる状態にまでなり、胆汁を抜くカテーテル治療を試みましたがうまくいかず、余命数か月と宣告されたとのことです。どの様な治療を受けるかは、お医者さん任せではなく、患者さん自身も必要最低限の知識を持って判断しなければならないとは思うのですが、この様な極端なケースは初めてです。医療の光として3月7日の「副作用のない抗がん剤の誕生」を紹介した一方で、今回の様なケースに出会い、医療現場に存在する影を実感しました。

平成29年3月13日


新刊の紹介
 「副作用のない抗がん剤の誕生」
 
奥野修司 著 (文藝春秋社)1,500円
 
 講談社ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したフリージャーナリストの奥野修司氏による本書は、崇城大学教授の前田浩博士が開発した革命的な副作用のない抗がん剤の創薬過程を一般人にも分かりやすく解説した注目の一書です。2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死ぬ時代で、がん治療の革新が望まれています。しかしながら、分子生物学が著しい進歩を遂げているにも拘らず、がん治療による延命効果は期待したほど伸びてはいません。そんな中、抗がん剤をターゲットの腫瘍にピンポイントで送り込み、副作用を心配することなくがん細胞のみを殺すという医学界の長年の夢を、前田浩博士は斬新な方法で実現しようとしています。博士は分子量(分子の相対的質量)4万以上の高分子は、正常な血管壁からは漏れず、腫瘍の血管壁からだけ漏れて腫瘍組織内に留まることを発見しました。この発見から、博士は従来の抗がん剤を高分子の物質とつなぐことによって、正常な血管からは漏れず、巨大な穴が開いた腫瘍の血管からのみ漏れ出てピンポイントで抗がん剤が集まるという、理論的には副作用のない魔法の弾丸ともいえる抗がん剤の開発に成功し、目覚ましい臨床成績を上げているそうです。今話題の肺がんの分子標的薬のオプチーボの平均延長余命が7ヵ月程であることを考えると、前田博士の抗がん剤の革新性は際立っています。2015年度のノーベル生理学、医学賞を受賞した大村智先生が「癌との闘いに光明を示した一科学者の独創的な戦略と優れた戦術の展開に引き込まれる」と絶賛する本書は、がん治療の最前線を知るうえで是非一読すべき本と思いお勧めする次第です。

平成29年3月7日



やらないで良かったのか

 
数年前の年も押し詰まった雨が降りしきる夕暮れ、ひどい急性腰痛の60代の男性が家族と共に自ら運転して来室しました。一通りの検査で、本人は健康体であり、原因は尾骨の屈曲病変のみで、肛門から指を挿入して尾骨の先端を後方に引き出す旨説明したところ、この男性がそれ以外の矯正法はないかと質問してきました。私がその様な治療法はないことを説明すると、その男性は昔お尻を階段の角にしたたか打ち、その後ぎっくり腰を繰り返すようになり、痔疾にもなって、ある医師に痔核を腐らせて治すという、私には分からない治療法を受け、常時肛門から膿が出ている様な病状まで悪化させて現在に至っているとのこと、よって肛門から指を挿入する治療法は受けられないとのことでした。この男性の痔疾と急性腰痛の原因は尾骨損傷であり、矯正すれば腰痛だけでなく、いずれ痔疾にも良い効果が期待できると再度説得したのですが、男性は治療を受けることなく、降りしきる雨の中を帰っていきました。今思うと、あの時男性が意を決して私の治療を受けたら、果たしてどんな結果になっていたのか。それとも、やらないで良かったのか。時々その時の男性が帰っていく光景が頭を過ります。トピックスで取り上げた医業に関する医政局長の通達の別紙5の③の「医師の専門的な配慮が必要な場合でないこと・・・肛門からの出血の可能性・・・」があったかどうか、分からないままです。

平成29年2月25日



サプリメントは止める
 
 
初診時、患者さんに毎日食べている食品を検査するだけでなく、飲んでいる薬やサプリメントを持ってきてもらい検査しているのですが、サプリメントが有効だったことはほとんどありませんでした。健康に関心があり、友人に勧められたり、テレビのコマーシャルを見て良かれと思い高いお金を出して飲んでいるのですが、効かないだけでなく有害なことも多く、全て止めてもらわなければなりませんでした。最も多く利用されているビタミンCでも、胃腸の負担になり、長く飲むことはできません。骨粗鬆症のためのカルシウムの錠剤は結石のできやすい体質の人には非常に危険です。サプリメントや薬の検査で大切なことは、症状のある部位にも当てて検査することです。長く飲んでいて肝臓の負担になり、肌症状がでたからとわざわざ皮膚科に行き、必要でもない抗菌薬やステロイド剤を処方され服用していることもありました。症状の原因はサブラクセイションや何らかの疾患とは限らないのであり、生活習慣が原因かもしれません。治療者は食養にもっと関心を持たなければと思う次第です。

平成29年1月29日


がん体質について

 
長寿社会の日本において、2人に1人ががんになる時代です。がんという病気は、1つのがん細胞が5年10年20年かけて成長し、3ミリ大、1億個、1センチ大、10億個の大きさになって初めてがんと診断されると言われています。ならば、我々治療室に来る患者さんのなかには、いずれがんと診断されるであろうがん体質の患者さんが半数近くいるということになります。この様な患者さんに対して、カイロプラクティックの哲学のみをもって治療しようとすることは、まったく見当違いな治療になる可能性が高いということになります。私の経験でも、症状の原因となるサブラクセイションをいくら探しても見つからないケースが数多くあり、自分の検査方法に問題があるのではないかと、悩む時期が長く続きました。触診の精度が向上するにつれ、サブラクセイションの有無を判断できるようになり、症状の原因を他に捜すようになりました。ただ、症状の原因ががん体質からくるのかもしれないと分かってからも、私のホームページでは、がんに関する記述を控えていました。がんに関する記述がほとんどないことを不思議に思っていた方がいたかもしれません。それは、開業して間もない頃、私は現代医学的な治療を拒否して丸山ワクチンを打っている乳がんの患者さんの治療を引き受け、症状を悪化させてしまったという苦い経験があり、以来私にとってがんはカイロプラクティックの適応外であると自分自身を戒めてきたからです。

 その経験から30年以上たち、もしも様々なTL陽性反応を全て陰性にすることができるなら、がんを治すことはできなくとも、その発病と再発を遅らせ、がんと少しでも長く共存できるようになるのではないかと、様々な治療法を試してきました。私の経験では、がんと診断された患者さんにサブラクセイションがあることは少なく、代わりに様々なTL陽性反応と、感染症やアレルギーがないにもかかわらず腋窩や鎖骨下等のリンパ節にて指先のTL陽性反応が共通してありました。その様な患者さんに対する治療とは、サブラクセイションがあれば的確なアジャストメントを、それに加えて、全てのTL陽性反応を陰性にするべく食養とビタミンCの点滴療法を適時行うというものです。

 新患の半数近くが、症状があっても検診で異常なしと診断され、サブラクセイションもなく、同じ様なTL陽性反応を示していました。それらの患者さんにも同じ様な治療を行い、がんと診断されないことを目標に治療しています。ただ、この様なとりとめのない目標に向かって患者さんに努力してもらことは、治療方針への納得と症状の改善がなければならず、それはとても難しい挑戦です。

平成29年1月1日


甲状腺の機能低下による突発性難聴と腰痛

 
40代の女性。午後11時に急に右耳が聞こえなくなり、翌朝耳鼻科に行くと、突発性難聴との診断を受け、ステロイド剤と血行改善薬などの薬を処方されました。この患者さんはアレルギー体質で、この様な薬を服用すると腹部が硬直して強い腹痛を訴えるのが常で、案の定これらの薬は全て陽性になり服用を待ってもらいました。触診では、サブラクセイションはありませんでした。筋力検査では、神経の興奮を示唆するアルミ棒、炎症を示唆する真鍮棒、心疾患を示唆する炭素棒、血行障害を示唆するダイアモンド、甲状腺疾患を示唆する銅棒が患部で陽性になりました。これらのTL陽性を陰性にする薬を探していると、甲状腺機能低下症の治療薬のチラージンで全てのTL陽性が陰性になりました。しかし、チラージンは陽性になり服用できません。健康補助食品でTL陽性を陰性にしてくれるものを探していると、カモミールが有効で飲むことができることが分かりました。早速カモミール小さじ1杯を日に3回オブラートに包んで飲んでもらいました。症状は2日後にはほぼなくなりました。

 チラージンが有効だったということは、甲状腺の機能低下が症状の原因だったことを示唆しています。即ち、甲状腺の機能低下により心臓機能が低下し、頭部の血行障害をきたし、症状が出たというように解釈できます。一般に、突発性難聴の原因は、生活習慣からくる内耳周囲の血行障害が原因であることが多いのですが、稀にこの様なケースがありますので注意が肝要です。

平成28年12月14日



新刊の紹介

 
「ケトン体食ががんを消す」 (古川健司著 光文社親書847)
 
 1923年にオットー・ワールブルクは、がんが糖質を好み、それを栄養源にしている事実を発見し、1931年にノーベル医学賞を受賞しました。90年以上前に、がん治療への大きなヒントが提示されていたのです。しかし、今日までこの発見はがん治療の現場では全く生かされてきませんでした。近年糖質制限が健康法として喧伝されるようになってきましたが、がんのエネルギー源を断つ目的で糖質制限を行うという一般向けの本が初めて出版されました。著者の古川先生は消化器外科の医師ですが、現在は多摩南部地域病院外科に勤務し、栄養療法のケトジェニッ化に成功し、ステージ4のがんの患者さんに対しても臨床成績をあげているそうです。医学界では糖質制限により生まれるケトン体に対して、ケトアシドーシスの危険性を指摘する意見が大勢ですが、本書において古川先生は、ケトン体そのものに危険性がないこと、それと糖質制限を行ってはいけないケース、即ちⅠ型糖尿病と原発性の肝臓がんを除いて、その実践方法としての栄養療法を丁寧に説明しています。2人に1人ががんになる時代です。患者さんや家族ががんになった時、カイロプラクターとして何もできなくて情けない思いをした経験があるのは私だけではないと思います。ただ理論的裏付けがないため、カイロプラクターができることに躊躇していたのかもしれません。もしも筋力検査を使ってオーダーメイドの食事療法を行うことができるなら、必ずやがんの予防、そして治療に役立つのではないかと思います。その意味で、本書はカイロプラクターの必読の書と思う次第です。

平成28年11月13日



インフルエンザの患者さんが来ました
 
 
今季最初のインフルエンザの患者さんが来ました。1週間前より、熱はありませんでしたが、全身の関節が痛く、特に両肩が90度以上外転できないとの訴えでした。ウイルス感染を示唆する発泡スチロール棒、肝臓疾患を示唆するガラス棒、血行障害を示唆するダイアモンド、アレルギーを示唆するコルク棒、炎症性の疾患を示唆する真鍮棒によるTLが陽性になり、抗ウイルス薬のタミフルで全てのTL陽性が陰性になりました。ただ、タミフルは陽性になり服用できません。その原材料であるスターアニスでも同じ結果で、副作用を検査すると陰性でした。市販スターアニスをミルミキサーで粉状にしてオブラートに包んで飲んでもらうことにしました。抵抗力の落ちた患者さんに限って、この様な処置が必要かもしれません。

平成28年11月2日

 

便秘は万病の元

 便秘の治療を目的にカイロプラクティックの治療室に来る患者さんは少ないと思いますが、、私の経験では、慢性的な腰痛や首肩の症状を訴える患者さんの多くが、便秘に悩んでいました。サブラクセイションへのアジャストメントにより便秘が治る患者さんもいることはいるのですが、それはわずかしかいませんでした。多くの人々が便秘に悩み、便秘薬をあれこれ試しながら服用しています。その中には、飲んでもよく排便できないとか、排便できるけど副作用があるかもしれないとと思いながら便秘薬を服用している方も多くいました。便秘は万病の元であり、便秘の治療はホリスティックな治療の一翼を担う大切な要素だと思います。一般に、便秘が治るか否かには、アレルギー食品を制限したり、規則正しい生活や排便を我慢しない等数多くの要因が考えられますが、まずはその患者さんに合った便秘薬をいかに選択するかです。便秘薬には、アロエ系、センナ系、大黄系、ハーブ系、乳酸菌系、酸化マグネシウム系、その他に医師が処方する薬等、数多くあります。毎日長期に亘り服用するものですから、最も効果があり副作用が少ない下剤を選択しなければなりません。また、長く同じ便秘薬を服用していると、副作用が強くなってくることがありますので、定期的に検査する必要もあります。

 その方法として筋力検査を利用します。便秘に悩んでいる患者さんには、腸の疾患を示唆する水を入れたビンで下腹部にTLするとどこかに陽性部位があります。次に、その
陽性部位を陰性にする下剤を探します。さらに、その便秘薬が体のどこかで副作用を起こさないかを確認するため、その下剤で体表のあらゆる部位にTLし陰性であることを確認します。特に大黄を主成分とする大手製薬会社の便秘薬は全て副作用を示唆する陽性反応がありましたので注意が肝要です。また、便秘解消に大量にヨーグルトを毎日食べている患者さんがいますが、なかには前立腺疾患や乳房又は婦人科疾患の危険性が高まる患者さんがいますので注意が肝要です。このようにして選択した便秘薬を服用することによって便秘が改善するなら、腰痛等の症状や大腸がんの様な疾患を予防することができるのではないかと思います。悲しいことに、治療者自身が便秘に悩んでいないと、この問題の重大性に注意が向かないものです。慢性疾患に対して、カイロプラクティックがいうところの自然治癒力だけで対処することはできません。補助的な治療を継続する必要があります。患者さんのために是非下剤のサンプルをできるだけ多く揃えて試してみてください。

平成28年10月7日


キンモクセイの花が咲き始めました

 甘い香りが好まれるせいか、近年キンモクセイが町中に多く植えられるようになってきました。私の住む東京の世田谷では、25日からあの独特の香りが町中に漂うようになり、それと前後して咳、痰、37度ほどの熱を訴える患者さんが来るようになりました。キンモクセイの花粉によるアレルギー症状と聞いてもピンとこない方もいると思いますが、特に抵抗力の弱い患者さんに限って症状のひどいことが多く、その方たちが普通の風邪と診断され、抗菌薬などを処方されることがないよう、注意が肝要です。まず、キンモクセイの花の下に紙をかざし、花房をしごくようにして採取しサンプルを作ってください。症状のある部位で細菌感染を示唆するステンレス棒、ウイルス感染を示唆する発泡スチロール棒によるTLが陰性、アレルギーを示唆するコルク棒によるTLが陽性であることを確認してください。次に、花粉のサンプルで症状のある部位にTLし、その部位のみで陽性なら、キンモクセイの花粉が原因の一つかもしれません。念のため、抗アレルギー薬でそのTL陽性が陰性になるか確認してみてください。クミン、ナズナ、レモングラス、プーアール茶等が有効かもしれません。ただ、キンモクセイの花粉の飛散は1~2週間で、スギ花粉の様に長々と飛散しないことが救いです。今まで秋の花粉症といえば、ブタクサなどの雑草の花粉を思い浮かべてきましたが、キンモクセイの花粉も頭に入れておかなければならない時代になってきたようです。

平成28年9月29日


血液検査の基準値を信じて

 血糖値が基準値以下なので、安心して毎日甘いお菓子を食べていた患者さんが、血行障害のために一人はめまい、一人は左下肢全体の自発痛を訴えて来室しました。どちらの患者さんも、血行障害を示唆するダイアモンドによるTLが頭部と下肢にて陽性になり、糖質の消化、吸収を遅延させる作用の糖尿病薬ベイスンを体表に乗せるとそれらが陰性になりました。食品では二人とも全ての肉類、乳製品、果物、砂糖が陽性になりました。久しぶりに来室されたこのお二人には、以前からこれらの食品の制限をお願いしていたのですが、どちらも空腹時の血糖値が80代、HbA1cが5.2以下だったためでしょうか、少しぐらいはいいだろうと自己診断して食べてしまっていたようです。健康診断の検査数値の一覧表を渡される一般の方々は、検査数値をどう解釈したらよいのでしょうか、心配になりました。

平成28年9月14日



SBSの屈曲を矯正して現れた左側屈回転

 
右目の奥がシバシバして、特に夕方目を開けているのがつらい、首がはって呼吸がしずらい、右手の合谷部位がこる、朝寝起きがつらくめまいがすると訴える40代の男性の患者さんが来室しました。筋力検査では、血行障害を示唆するダイアモンドのサイン以外陽性になるものはなく、比較的健康な体質でした。初診で脊柱の矯正を行い症状は大分改善したのですが、5日後の2回目に検査すると、脊柱の可動性減弱ヵ所はなくなっていましたが、頭蓋骨のSBSの屈曲病変がありました。早速それを矯正すると、左TMJの後方上方変位とSBSの左側屈回転が現れてきました。TMJそしてSBSの順にそれらを矯正すると症状はほぼなくなりました。頭蓋骨矯正を行う時、最初に感じた動きと、矯正後に違う動きを感じることが多々あります。最初から決めて矯正しそれで終わりというのではなく、頭蓋のある部分を矯正したなら、再度頭蓋骨全てを触診し、全ての頭蓋骨の動きが正常になるまで繰り返し触診する必要があります。

平成28年8月22日


豆類全てにアレルギー反応を示す腰痛の患者さん

 
ちょうど1年前、友人に抱えられて来室した20才の男性です。その半年前に貧血で救急搬送され、2週間前から腰痛が徐々に強くなり、昨日ストレッチをしたら特に悪化し、一人で歩行できなくなりました。可動性検査では制限部位はありませんでしたが、筋力検査では貧血を示唆する鉄棒、カルシウム不足を示唆する骨棒、出血を示唆する真鍮棒によるTLでそれぞれ陽性になり、鎖骨窩と腋窩のリンパ節で器質的疾患を示唆する指先によるTLが陽性になりました。以上の検査結果から、この患者さんの腰痛の原因はサブラクセイションではなく、何らかの造血系の疾患によるものと推定しました。当治療室で治療することはできませんので、ビタミンCの点滴療法が有効か検査したところ、全てのTL陽性サインが陰性になる上、どこにも副作用のサインがありませんでした。早速美容整形にてビタミンC25gの点滴療法を1回だけ打ってもらいました。食品の検査では、豆類全てが陽性になりましたので、できるかぎり制限してもらいました。幸い腰痛は二日ほどでよくなり、1週間後の検査で2回目の点滴の必要はなく、定期的に血液検査を受けるように言って治療を終わりました。

 この患者さんが1年ぶりに骨盤が捻じれているように感じるといって来室しました。検査してみると、1年前と同じく可動性の制限はありませんでしたが、骨棒によるTLが陽性になるのみでした。幸いネイチャーメイドのカルシウム剤が飲めるので、日に1200㎎飲んでもらい、それだけで症状はなくなりました。この患者さんは私の指示通りこの1年豆類を全く食べていないとのことで、治療者としては、全ての豆類のみが陽性になるという稀なケースに遭遇し、1年前に造血系の疾患を心配していたサインが嘘の様になくなっていたことに驚くとともに、アレルギー食品を制限することによって病気を予防できると再認識した次第です。

平成28年7月22日


水素水は ?

 抗酸化作用を謳って宣伝されている「水素水」をサンプルとして購入し、患者さんに試していたのですが、全ての患者さんで陽性となり、勧めることはできませんでした。そんな折、毎朝水素水を本人の表現でがぶ飲みしていた親子が来室しました。母親は飲み始めてから便秘になり、中学生の息子はランニングの最中に失神し頤を打撲するなどして、水素水は効かないだけでなく危険な飲料の可能性さえあります。中高年の多くが服用しているサプリメントは、一部の患者さんで有効なビタミンC、E、カルシウム以外はほとんど筋力検査陽性になります。服用しないように指導しているのですが、メーカーの宣伝がうまいためか、すぐに手をだし失敗を繰り返してしまいます。サンプルを揃えて服用しないように注意を喚起してください。飽食の現代における食養の基本は、食べてはいけない食品や飲料を摂取しないことで、不足する栄養成分を補給するのは補助的な手段です。

平成28年7月6日


「脳が壊れた」 
鈴木大介著 (新潮新書)

 本書はまだ41才という若さで脳梗塞に襲われたルポライターの著者が、高次機能障害発症後に経験した第三者には目に見えない様々な現象を克明に言語化した闘病記です。私の様に骨格のサブラクセイションを探し、体が発するサインを見つけて食養を指導することだけを使命と考え、患者さんの感じる辛さに思い至らなかった治療者にこそ、本書は必読の書と思われ、是非同業の治療者の皆様にも一読をお勧めする次第です。そういえば私の患者さんの中にも、退院後に5分おきに時刻にかまわず電話して親類一同周囲の人々を怒らせたり、人格が変わって気遣いがなくなってしまった患者さん達がいて、どうしてしまったんだろうと心配するだけだったことを思い出します。本書はその帯にある養老孟司さんのコメント、「感嘆!深刻なのに笑える、感涙必至の闘病記ドキュメント」の通り、とても読みやすいのですが、理解してやれなかったことを反省させられる一書でもあります。

 ところで、私はフリージャーナリストとして現役復帰した著者の不規則な生活を考えると、読みながら病気の再発は必定ではないかと感じていたのですが、本書の最後の方の「我慢しないダイエット」の項で、「野菜と肉(低脂肪のささ身や胸肉中心)、そして魚を、我慢せずに腹いっぱいがコンセプト。テーブルから追い出したのは白米とパンと麺類と揚げ物。と書くと流行りの糖質制限カットかと言われそうだが、どうしても炭水化物を食べたければ芋類、蕎麦は食べるし、間食に煎餅は食うし、チョコレートは齧るしなので、フラストレーションはたまらない。」とありました。この食生活なら、ひょっとして再発を予防できるかもしれないと、わずかながら希望をいだきました。それというのも、最後の蕎麦、煎餅、チョコレートは別として、穀類にアレルギーのある患者さんに私が制限するように指導している品目と乳製品以外ほぼ同じになるためで、どの様な根拠で始めたのか、そちらにも興味をそそられました。

平成28年6月24日
 


80代半ばの女性に手術は必要なのか ?

 
15年来、月に1回ほどのペースで来室している80代半ばの女性のケースです。最初は腰痛、不眠症を訴えていたのですが、近年は症状もなく、サブラクセイションもありませんでした。ただ、肝疾患を示唆するガラス棒、ウイルス性の疾患を示唆する発泡スチロール棒、カルシウム不足を示唆する骨棒によるTLが陽性になっていました。ナズナと市販のカルシウム剤300㎎、ビタミンC剤500㎎でこれら全てのTL陽性が陰性になるので時々服用してもらい、肉類、乳製品、アルコール、砂糖、果物を制限してもらっていました。ところが、この患者さんが1月の健康診断で上行結腸にガンがみつかり、胆嚢とともに摘出手術を受けたというのです。患者さんが高齢なことと転移もないことから、抗がん剤や放射線治療は行わなかったとのことでした。幸い手術後も症状はなかったのですが、1か月ほどして検査すると、循環器系以外のすべてのTLが陽性になっていました。その上、ナズナ、ビタミンC、カルシウム剤は受け付けてくれなくなっていました。TLの結果を信じれば、敢えて手術をする必要はなかったのではないかと思うのですが、実際に腸内にガンがみつかったのですから、手術するしかないのかもしれません。この様なケースで健康寿命をどう永らえることができるか、これからも経過をみていくつもりです。それでも、症状のない高齢者に根治的な手術が必要なのか、何か割り切れないでいます。

平成26年6月17日


尾骨痛の原因は?
 
 30代半ばの女性。1週間ほど前の朝、起きて座れないほど尾骨付近が痛くなりましたが、翌日には軽くなり、現在は前屈時に同じところが痛いと来室しました。病歴では、4年前にバセド病のため放射線治療を受け、甲状腺機能低下治療薬のチラージンを1錠服用しているとのこと、それと2年前に妊娠出産時に血糖値が200を超えたためⅠ型糖尿病と診断され、インシュリン注射をしているとのことでした。触診ではサブラクセイションは見つからず、筋力検査で尾骨にTLしても陰性でした。ただ、骨棒によるTLが全身の骨格で陽性になり、カルシウム錠を10錠以上乗せると陰性になりますが、カルシウム錠は受け付けてくれませんでした。また、チラージンを4錠乗せると陰性になり、チラージン錠は受け付けてくれました。以上の検査から、尾骨痛の原因は、尾骨の屈曲病変ではなく、甲状腺ホルモンの不足からくる骨格系のカルシウム分の不足によるものと推定しました。治療としては、症状が軽くなるまで数日チラージンを日に4錠服用すること、筋力検査で陽性になった甲状腺に関係する海藻、糖尿病に関係するアルコール、砂糖、果物、その他に牛肉、乳製品を制限するように言って治療を終わりました。残念ながら、尾骨痛と甲状腺の関係を理解してもらえなかったようで、その後の経過は分りません。患者さんの説明では、掛かりつけの病院が妊娠時の一時的な高血糖を自己免疫疾患によるⅠ型糖尿病と診断し、インシュリンの不足を補うという理由で最少単位のインシュリン注射を処方しているというのが不可解でした。それと食事制限を全く指導していないということも心配です。糖尿病の治療からすると、甲状腺の治療においても、果たして放射線治療を行う必要があったのかと疑問に思います。甲状腺の手術後のケースを今年の2月5日の「症状の原因はいろいろ」でも紹介したのですが、今回はうまくいきませんでした。都内の私立の某大学病院の治療に不安を覚えた次第です。

平成28年5月11日



両下肢の麻痺の原因が血行障害と思われる症例

 50代半ばの男性。35年前にオートバイ事故でT4、5を強打し、以来杖をつけば歩行できる状況が続いていました。ところが、3年前から突然足に力が入らなくなり、特に1週間前から杖を突いても歩行が困難になってきました。脊柱の可動性の検査では、T4、5を含め制限されているレベルはありませんでした。筋力検査では、血行障害を示唆するダイアモンドによるTLが全身で陽性になりましたが、神経系の興奮を示唆するアルミ棒によるTLでは陽性になりませんでした。これらのTL陽性は、糖尿病治療薬のベイスン等と高コレステロール治療薬のリピトール等を一緒に乗せると陰性になりました。ただ、どの糖尿病薬も高コレステロール薬も筋力検査で陽性になるので、医師に処方してもらうよう説得することはできませんでした。以上のことから、両下肢の麻痺は、主に損傷を受けてただでさえ血行が悪かったT4、5レベルの脊髄周囲の血行が、食習慣によりさらに障害されたためと推定しました。健康診断でも血糖値とコレステロール値が高くなっているとのことで、筋力検査陽性になったアルコール、肉製品、乳製品、大豆製品、ビタミンKを豊富に含む菜っ葉類、海藻、糖質では砂糖、果物等の食品の制限を厳格に守るように言って治療を終わりました。この様な経歴の患者さんを治療する時、事故による脊髄損傷が悪化したためと決めつけず、治る可能性を追及しなければならないと思います。問題はこの患者さんが長期に亘り薬に頼ることなく実行してくれるかに掛かっています。さもなければ近い将来、この患者さんにさらに重篤な脳梗塞又は心筋梗塞が発症すると思われます。食品の制限を行えば歩けるようになると言っても、俄かには信じられないかもしれませんが、やってくれることを期待しています。

平成28年4月19日



骨折の後療法は筋力検査に従って

 正月に妹がキャスターのついた椅子に乗っかり高所の作業をしようとして転倒し、左手をついて橈骨下端と舟状骨を縦方向に骨折してしまいました。近所の整形外科医が驚くことに自らレントゲンの通しで整復してくれたのですが、ギブスを外すのに2か月近くかかりました。ギブスを外した時点で、手首を全く背屈できない他自動運動に制限がありましたので、関節の可動性を回復させることができるか検査しましたが、手掌面TL陽性になりませんでした。10日ほどは手掌面TL陽性になりませんでしたが、2週間近くたってようやくTL陽性になり、肘と手首を矯正することができるようになりました。その後1週間は毎日TLが陽性になり、肘と手首の関節操法を行いました。しかし、その後は自動運動の可動域がいまだ不十分で、力を入れると痛いにもかかわらず、TL陽性になることはありませんでした。過ぎたるは猶及ばざるが如しということなのでしょうか。幸い現在は不自由なく使えるまでに回復しました。骨折の後療法は無理に関節の可動域を広げようとするのではなく、TL陽性になる時まで待って関節操法を行うべきことを家族で体験しました。

平成28年4月1日

可動性の不思議

 
30年近く、1~2ヵ月に1回のペースで定期的に脊柱の矯正を続けている女性の患者さんで、最初仰臥位で頸椎部の触診をすると制限部位がなく、腹臥位でも腰椎部と上部胸椎部の触診で制限部位がありませんでした。そこで四肢関節を検査していると、両股関節がTL陽性になり、屈曲制限がありました。チャレンジ陽性になりましたので、ドロップテーブルで矯正すると、上部頸椎部の可動性が以前の様に制限されるようになり、TLにもチャレンジにも反応するようになってきました。引き続き上部胸椎、下部腰椎も可動性が制限されるようになってきましたので、いつもの様に直接法で矯正し、仙骨の傾きを間接法で、最後に仙腸関節の過可動性を矯正するためブロックを入れて治療を終わりました。
 
 メジャー、マイナーに係わらず、可動性が制限されている椎骨が筋力検査のTL陽性になるなら、私はそれらを矯正の対象にしています。即ち、マイナーな可動性の制限は、アンバランスな脊柱における重力負荷を受け止めるための防御反応であったとしても、立っている時はもちろん寝ていても制限されているなら、それらを開放しなければメジャーサブラクセイションはアジャストできないと考えているからです。しかし、矯正すべき可動性の制限がこの様に消えたり現れたり、TL陽性になる現象をどう理解すべきなのでしょうか。

平成28年3月22日


慢性関節リュウマチの患者さんにビタミンCの点滴療法が必要になった症例

 長年慢性関節リュウマチに苦しむ60代の女性で、当治療室ではアレルギー食品を制限し、抗炎症薬を選択する以外治療法がなく、症状を充分に鎮静化できないでいました。その様な状況において、4年前から専門医により今評判の抗リュウマチ薬として知られるアクテムラを点滴静注してもらうことになりました。その効果は劇的で、朝寝ていて布団を自分で剥ぐこともできないほど全身の関節が痛かったのが、ほぼ普通の生活を送れるほどに改善していました。ところが、昨年の暮れから、右手首のみが常時痛くなり、アクテムラの点滴期間を短くしても改善せず、当治療室に半年ぶりに来室しました。早速検査してみると、以前は関節部においてのみ神経系の興奮を示唆するアルミ棒TL陽性があるのみで、他の内科的病変を示唆するTLは全て陰性であったものが、今回は全てのTLが陽性になっただけでなく、腋窩、鎖骨下のリンパ節でも陽性になり、何らかの変異細胞が生まれつつあるのではないかと疑わざるを得ない状態になりました。そこでビタミンCの点滴が適応するかを検査したところ、全てのTL陽性が陰性になりましたので、美容整形に行ってもらい25gの点滴をうってもらいました。1週間後に来室してもらい検査しましたところ、全てのTL陽性が陰性になり、2回目の点滴は必要ありませんでした。しかし、症状はあまり軽減していませんでした。長く症状がなかったため、食品の制限が甘くなっていたためかもしれません。経過を観察することになりました。
 
 アクテムラはIL-6が作用する受容体に結合して免疫活性を抑制し炎症を抑える働きがありますので、結核の様な重篤な感染症の危険性が喧伝されています。当治療室でも細菌感染を示唆するステンレス棒によるTLが陽性になるか4年間継続して検査していたのですが、いきなり変異細胞が生まれつつあるのではないかというサインがでてしまいました。効果の高い薬には必ず副作用を伴います。免疫活性を抑制すれば、感染症だけでなく変異細胞の発生を許してしまう可能性が高くなることは考えられることであり、一部の患者さんで点滴療法にはそれを予防する効果があると思われます。この様な患者さんをサポートするうえで、点滴療法は頼りになる治療法だと思います。

平成28年2月23日


症状の原因はいろいろ

 50代の女性で、3年前に甲状腺の乳頭がんのため甲状腺を全摘し、甲状腺ホルモン製剤のチラージンを日に3錠服用していました。症状は左腰痛と左大腿の坐骨神経痛、左肩と頭の付け根の痛みで、これらの症状は手術後コンビニで働き始めてからということでした。脊柱の可動性を検査しても、制限されている部位はありませんでした。筋力検査では、甲状腺の疾患を示唆する銅棒によるTLが陽性になる以外、陽性になるサインはありませんでした。症状の原因をあれこれ探していると、チラージンを1錠追加すると全てのサインが陰性になりましたので、試しに日に4錠服用するように言って治療を終わりました。甲状腺の全摘のため、体の新陳代謝のレベルがコンビニで働くことに耐えられなかったためと考えられます。

 カイロプラクターは、筋骨格系の症状と思われる多くはサブラクセイションが原因と考え、治らないならそれは自分の治療に問題があると思い悩み、果ては消耗してしまうことが多いのではないかと思います。カイロの哲学がいう以上に、このケースの様に症状の原因がサブラクセイション以外であることは少なくないのです。カイロプラクティックを学び始めた頃の情熱を徒に消耗しないためには、カイロプラクターはまずサブラクセイションの有無、即ち関節の可動性の制限を確認し、それがないなら他の原因を探し治療する。それが患者さん、そしてカイロプラクターにとって最も良いのですが。

平成28年2月5日


バナナに異変

 スーパーで食品を買うとき筋力検査でその良し悪しを判断し購入しているのですが、この一か月以上バナナが陽性になるため購入できないでいました。何故だろうと思っていたのですが、今まで食べ過ぎていたためかと考えるだけで、通り過ぎていました。一週間ほど前にNHKのBSでバナナ病のことが放送されていましたので、ひょっとするとこのためかと思い、早速ネットで検索しました。それによると、世界に流通しているバナナは、種ではなく挿し木により栽培されるクローン植物であり、キャベンディッシュ種という品種がその95%を占め、すでに中米ではトロピカルレースと呼ばれる菌類により壊滅的な被害を受けているとのことでした。
 早速バナナを購入して検査すると、細菌感染を示唆するステンレス棒、ウイルス感染を示唆する発泡スチロール棒によるTLでは陽性にはならず、菌類の感染を示唆する紙でTLすると陽性になり、アジアの生産地でもこの菌による被害が近いうちに発生するかもしれないと不安になりました。ネットではバナナ病に感染したバナナを食べても問題はないとのことでしたが、近い将来バナナが市場から姿を消してしまうかもしれません。酵素が黄色バナナの何倍も多くなるという「黒バナナ健康法」なる本が出版され、どの様なものかと思っていたのですが、それどころではなくなりました。

平成28年1月21日



新興宗教と思われて

 当治療室の食品の検査で多くの食品が陽性となり、それらを制限することにより症状が改善した患者さんでも、家族や友人から何かの宗教にはまってしまっているのではないかと心配されることがあるようです。本人が何より納得して行っているにもかかわらず、その様な誤解を受けてしまうのは残念ですが、それが世間一般の受け止め方なのでしょうか。そんな中、お米神話が健在な日本において、最近「糖質が人類を滅ぼす」、さらにはお米が病気の原因とまで謳う新書が出版されるようになってきたことは、人々の食品に対する既成概念を打ち破る切っ掛けになるかもしれません。制限すべき食品について、ただ筋力検査で弱くなったというだけでなく、制限すべき理論的な説明を心がける必要があるようです。それでも誤解はなかなか解けないようですが。

平成27年12月29日



アトピー性皮膚炎の原因が食品のアレルギーだった症例

 50代の女性で、乳児の時から全身の皮膚炎に苦しみ、かゆみと全身一皮剥けた様なカサカサした突っ張った皮膚のため、関節の可動域を十分動かすことができませんでした。サブラクセイションはなく、筋力検査陽性になる食品が数多くあり、魚、肉、卵、乳製品、大豆、果物、砂糖が陽性になりました。皮膚に付ける石鹸、シャンプー、化粧品の全てが陽性になり、極力それらを使わないようにお願いしましたが、保湿剤としてユースキンAを使うことができました。こんなに多くの食品の制限を続けることは無理かなと思っていたのですが、1か月後、皮膚の状態はめだって改善はしていませんでしたが、かゆみは治まりました。8か月後、見た目にはまだ皮膚の状態は変わりませんが、突っ張りがなくなり、関節を動かすことができるようになりました。これからも食事制限を続けてくれるとのことで、経過を追っていくつもりです。アトピー性皮膚炎の患者さんの症状とアレルギー食品には個性があり、穀物全てが陽性になるケースもあります。治療の主体はアレルギー食品の制限であるため、患者さん毎に検査する必要があります。問題は症状の改善がすぐに得られないにも拘らず、制限を続けることができるかに掛かっています。

平成27年12月12日



腰痛の原因が肋軟骨の損傷だった症例

 30代の男性で、2週間前にフットサルをした後から、長い座業時に腰に違和感と右足先に痺れを感じるようになったとの訴えでした。検査してみると、サブラクセイションはなく、内科的なサインもない非常に健康な患者さんでした。ただ、左右の肋軟骨に手掌面でTLする時と、立位で腹腔にTLする時に陽性になりました。腰痛の原因は肋軟骨の損傷ではないかと思い、胸帯で肋軟骨部を固定すると、全てのTL陽性は陰性になりました。恐らく、フットサルなどで捻るか打撲したために肋軟骨が損傷したのかもしれません。腰痛が起こるメカニズムは、肋軟骨を起始部とする腹筋の働きが低下し、腹腔の内圧が下がり、前方の体重負荷を受け止めることができなくなり、腰椎部に負担が増加することによるものです。この損傷は固定するしかありませんので、へたに矯正しようと肋軟骨部にショックがいくと治癒しにくくなりますので、原因の正しい診断が求められます。肋軟骨の損傷は、慢性化すると偽関節化し、慢性的な腰痛や肩こりの原因になりますので注意が肝要です。

平成27年12月8日



脊柱管狭窄症と診断された80代半ばの女性の腰痛の原因が大豆だった症例

 今まで足腰に自信があった80代半ばの患者さんが、今年の夏に2万歩歩いた後から、疲労時に腰痛と大腿外側にヒリヒリする痛みを感じるようになり、杖をつかなければ安心して歩けないようになりました。整形でのMRI検査で脊柱管狭窄症と診断され、痛み止めを処方され、コルセットを装着することになりました。触診では、サブラクセイションはなく、筋力検査では、骨密度が年齢平均の107%もあるのに腰椎部で骨棒によるTL陽性が出るだけでした。このTL陽性は抗アレルギー剤で陰性になりましたので、患部でアレルギー食品を探すと、大豆のみが陽性となりました。患者さんに食生活を聞いてみると、最近大豆製品を多く摂るようになったとのことです。これから経過を見ていくことになりますが、大豆だけというのは初めてのケースです。健康な80代の女性のウイークポイントが大豆だったというのは驚きです。

平成27年11月18日


カルシウムの補給において
 

 骨粗鬆症を予防するにおいて、患部で骨棒によるTL陽性になった時、それを陰性にするべく、カルシウム豊富な食品を摂るように勧め、副作用なくカルシウム剤が服用できるならその錠数を決めて摂取してもらい、骨形成を妨げる食品を制限するなどして努力してきました。しかし、カルシウム不足が疑われる症例でも、カルシウム豊富な食品だけでなくカルシウム剤でもそれを陰性にできず、全く補給を受け付けてくれないケースが時々ありました。この様なケースのなかで、ビタミンCの点滴療法を受けてもらうと、再び今までの補給法に反応してくれるケースがありました。今までカルシウム補給を受け付けてくれない壁をブレークスルーする方法を模索していたのですが、これという決め手は見つかりませんでした。今回ビタミンCの点滴療法に反応してくれたということは、その患者さんに何らかの病理的疾患があるということを示唆しており、あらゆる補給法を受け付けなくなるという現象は、生命力が衰えて骨を含む全ての組織が収縮していく過程に起こった現象と考えるべきなのかもしれません。何れにしろ、カルシウムの補給法の壁をスルーする方法を見つけるべく努力するのはもちろんですが、その背後にある疾患にも目を向けなけらばならないと感じた次第です。

平成27年10月29日                         


穀物アレルギーが原因だった症例
 
 十数年来体調不良を訴えて時々来室する患者さんに、サブラクセイションの問題ではなく、穀物を含むアレルギー食品が原因であるから、それらを制限するように言ってきたのですが、穀物の量を減らすだけで、完全に制限することはできませんでした。その患者さんが3年前から、特に夜間動悸が激しく、治まるまで室内を動き回り眠れないとのこと、病院で検査を受けることになりました。検査では、一時的に脈拍が600/分を超えるまでになり、生命にかかわる心臓の疾患を前提に治療を始めることになりました。ところが検査しても心房細動の原因となる所見は見つからず、伝導系に問題があるようだとのこと、内服薬による治療をうけることになりました。しかし、激しい動悸は治まることなく、不安感で精神的にも衰弱し、切羽詰まって漸く穀物を含む食品の制限を完全に実行してくれるようになりました。心臓の細動はその後しばらくして治まり、3年ぶりに夜間眠れるようになりました。当治療室では、今流行りの糖質制限を勧めているわけではなく、アレルギー食品としての穀物の代わりにイモ類を摂るように言っているだけです。今回の症例では、穀物アレルギーの激しさに驚いただけでなく、主食であるお米、パン、麺類を制限することが、人によってこれほど難しいことなのかと改めて実感した次第です。恐らく今まで教えられてきた医学的常識からすると、心臓の細動の原因が穀物のアレルギーだなどということにはリアリティーを感じられなかったのかもしれません。

 平成27年9月8日


カイロプラクティックはこれから衰退期に入ろうとしているのか
 
 カイロのブームが去って久しくなりますが、先日カイロテーブルのメカニックと話している折、近年トムソンテーブルを購入するカイロプラクターが極端に少ないことを知りました。私は骨格構造は一定のパターンで歪み、その中には徒手ではなかなか矯正できないリスティングがあるため、カイロプラクターは何をおいてもトムソンテーブルを利用しなくてはならないと考え、セミナーでもその様に言ってきました。具体的には、OccのASとC1のRAのベクトル等を徒手で正確に矯正できるカイロプラクターがほとんどいず、トムソンテーブルを利用するなら、これらのリスティングは手順を踏めば比較的簡単に誰にでも矯正できるからです。それでもトムソンテーブルが売れないのは、その使い方を知らないためかもしれません。上部頸椎部は最も重要な矯正部位であるにもかかわらず、多くのカイロプラクターが3次元の的確な矯正の必要性を感じることなく、いい加減なスラストを加えており、それはカイロプラクターとしては情けないことだと思っています。治療者も患者さんも、カイロとはこんなものだと思っている、それはまるで虚構のマトリックスの世界に住んでいるかのようです。フレクションテーブルは売れても、トムソンテーブルが売れないということは、カイロプラクティックが衰退期に入ったということを示唆しているのではないかと心配です。

平成27年9月2日



ビタミンCの点滴療法について
 
 最近ビタミンCの点滴療法を1回だけ受けてもらう患者さんが4人いました。各人それぞれ違う症状を訴えていたのですが、骨格構造に問題はなく、筋力検査で肝臓、大腸、食道に炎症を示唆する手背面、そのほかのTL陽性反応がありました。15グラム程のビタミンCでその全てが陰性になり、副作用も認められられませんでしたので、点滴療法を受けてもらい、歩行困難、膀胱炎症状等の症状はいずれも速やかに改善しました。人間には日々変異細胞が何千個も生まれているそうですが、医学的検査で見つかる前に、その全てとはいかなくてもその多くを消去できたなら、症状の改善だけでなく病気の予防又は発病の遅延ができるのではないかと思います。ビタミンCの点滴療法を念頭に入れ治療にあたってみてはどうでしょうか。

平成27年8月30日



熱中症予防には水又はOS-1
 

 連日35度を超える暑さが続き、体調を崩す患者さんがでてきました。特に老人や体力の弱っている患者さんで、頭痛、めまい等の症状の原因が熱中症であるケースがありました。この様な患者さんは全身で手背面TL陽性になり、水又は大塚製薬の経口補水飲料のOS-1で陰性になりました。老人や体力の衰えている患者さんは、水だけでなくOS-1が有効で、若く比較的体力のある患者さんは、利尿作用のあるコーヒーやお茶類よりも水で陰性になりました。習慣的にカフェイン飲料を飲んでいる人が多く、また、イオン飲料が体に良いと思っている人が多いため、飲みやすいペットボトルについ手がでてしまいますが、とにかく水を飲むことが大切です。テレビで1リットルの水に砂糖20グラム、塩3グラムを混ぜて自家製の経口補水液を作ることを勧めていましたが、糖質過多の人が多いことを考えると、効果がないだけでなく有害ですらあります。イオン補給に推薦されているポカリスエットやアクエリアス他の飲料も同じ理由で問題がありますので、患者さんには勧めないでください。この暑さのせいで、秋口に多くの患者さんが体調を崩すのではないかと心配です。

平成27年8月8日


腰痛にビタミンCの点滴療法が効くかもしれないのに

 
30才の2児の主婦で、18才より腰痛になり、出産後に増悪し、姿勢に関係なく常時痛く、眠れないとのこと。小学生から特に左肩が凝り、肩こりがひどいときは頭痛、耳鳴り、めまいがするとのことです。脊柱、骨盤、尾骨に問題はなく、血行の問題もありませんでした。症状のある部位で婦人科疾患を示唆するプラスティック棒によるTLが陽性になり、7グラム以上のビタミンCを体表に乗せると、全てのTL陽性が陰性になるので、ビタミンCの点滴療法を勧めました。しかし、患者さんは紹介した美容整形に行ってはくれませんでした。将来起こるであろう子宮の疾患をある程度予防できるかと期待したのですが。患者さんには点滴で腰痛が治るという私の説明にリアリティーを感じられなかったのかもしれません。私の一人相撲になってしまいました。

平成27年7月27日


「ファルマゲドン」 
デイビッド・ヒーリー(みすず書房)

 本書のタイトルである「ファルマゲドン」とは、製薬企業を意味するファーマ(pharma)と、世界終末戦争を意味するアルマゲドン(armageddon)を組み合わせたものです。医療問題を救うのは、エビデンスに基づく医療だと、医師たちは教えられ、その様に行おうとしていますが、そのエビデンスの基礎となる比較試験に問題があるというのです。即ち、科学的な見せかけ比較試験、定量化、統計への依存等により、特に1990年代よりその根底が知らず知らずのうちに変質してきているといいます。「治療誘発性の有害事象に関する報告の80%は正しいものだったことが分かっている。おこなわれた臨床試験の30%近くが報告されないにままに留まり、報告される試験の50%はほぼすべてゴーストライターによって執筆され、公表された研究の25%では、医薬品のネガティブな結果が、効果が高く安全であるというエビデンスにすりかえられられている。そして100%のケースにおいて、臨床試験のデータを精査することができなくなっている。こうした事実を考えれば、医師や患者の観察が、臨床試験のエビデンスより信頼性が低いと示唆するのは理に適っているとは言えないだろう。」と。エビデンスに基づく医療の核心である臨床試験の多くが製薬企業の資金援助で行われているため、データが操作され、外部からのアクセスができず、企業のゴーストライターによる都合のいい解釈をした論文が有名医学雑誌に数多く公表され、それがエビデンスとなり、そのエビデンスに基づくガイドラインに縛られて医師は患者の個性を見過ごし、様々な測定値に従って不必要な医療を行っている。その為、アメリカの平均寿命は、他の先進国に比べて着実に低下している。地球上のどの国よりも保健医療に巨額を注ぎ込んでいるというのにと、近年の米英の医療のありかたに警告を発しています。
 私はTL陽性を陰性にする医薬品の効能から患者さんの病態を推測しています。各医薬品の標的臓器に対する効能が非常に高いためでしょうか、はっきりと筋力は強くなり、診断には大変役に立ちます。その一方で、その医薬品のほとんどが体のどこかで陽性になり、服用することを推薦できないでいますが、それが何故なのか分かりませんでした。漠然と医学の進歩を信じていたため、非常にショッキングな内容でした。4000円と高い本ですが、一読をお勧めします。

平成27年7月11日


「病気知らずの体を作るビール健康法」 大川章裕(幻冬舎)
 
 6月10日に出版されたこの本は、ビールで体の酸化を食い止めることによって、認知症、動脈硬化、骨粗鬆症を予防しようという、ビール好きには願ってもない飲める口実を与えてくれる待望の一冊の様に思いました。読後すぐにビールの原料であり、有効成分を含むというホップで患者さんを検査してみました。残念ながら、ホップが有効という患者さんはまだいませんが、これからしばらく検査していくつもりです。念のため、著者によれば、ビールが病気の予防に有効な量は、中瓶1本、大ジョッキー1杯までとのことです。以前読んだ本に、リンゴの皮に抗腫瘍効果があるとの記述があり、数か月検査しているのですが、いまだ有効とする患者さんは一人もいません。普段身の回りにある食品を多く食べれば病気を予防できるならありがたいのですが、そうならないところが惜しいところです。

平成27年6月30日



「食は現代医療を超えた」 
真柄俊一著(現代書林)
 
 6月16日に出版されたこの刺激的なタイトルの本は、コリン・キャンベル著「葬られた第二のマクガバン報告」とほぼ同趣旨の内容で、動物性食品を止めれば、がんも心臓病も治ると謳います。その一方で、これらの本とは別に、昨年末に出版されたジョン・J.レイティ著「野生の体を取り戻せ!」(NHK出版)は、穀物を止めれば、がんも鬱も肥満も高血圧もないと謳います。レイティの本はウイリアム・デイビス著「小麦は食べるな!」(日本文芸社)、釜池豊秋著「糖質ゼロの食事術」(実業の日本社)、夏井睦著「炭水化物が人類を滅ぼす」(光文社新書)とほぼ同趣旨の内容です。この様な食事を変えることにより健康を取り戻そうとする出版物が急激に増えたことは、以前から食品の制限を指導してきた私の様な治療師にとっても、患者さんの意識を変える上で大変ありがたい風潮です。ただ、どちらも著者達の長い臨床経験に基づいているにもかかわらず、私の経験では、どちらか一方の主張のみに適応する患者さんや両方の主張に適応する患者さん、具体的には、肉類と乳製品だけでなく穀物も制限する必要のある患者さんがいるところに問題があります。つまるところ、どちらの主張が正しいかと思い悩むより、患者さんの個性に合わせて一人一人検査しなければならないということです。

平成27年6月19日


再度、人工関節を安易に入れていないか

 
 平成26年1月のトピックス34でも取り上げたのですが、また同じ人工関節を挿入したことによる症状を訴える患者さんが来ました。今回の患者さんは10ヵ月前に左膝関節に人工関節を挿入したケースで、挿入後はひざの痛みがなくなりとてもうれしかったそうです。1ヵ月前から、膝は痛くないのですが、本人の平熱より1度以上高い36.8°の熱が続き、喉の痛みがあるそうです。喉周囲を検査したのですが何の異常も見つからず、不安を感じるとのことでした。当治療室で検査すると、脊柱にも四肢にもサブラクセイションは見つからず、感染症のサインもなく、左膝周囲にて炎症反応を示唆する手背面TL陽性とアレルギー反応を示唆するコルク棒TL陽性があるのみでした。
検査の結果から、発熱は人工関節に対するアレルギー反応による微熱ではないかと推定しました。これから様々な症状が現れると思われますが、当治療室では患者さんの力になれないのが残念です。どうしても整復できないような粉砕骨折であるなら、最新の人工関節は患者さんにとって大きな恩恵になるでしょうが、歩行時に膝が痛いぐらいで、いきなり人工関節というのは過剰な医療としか考えられません。技術の進歩に過度に頼りすぎることなく、医療は控えめであるべきだと感じた次第です。
 
 平成27年6月10日



医師の一言

 御茶ノ水にある某大学病院の乳腺科で5年前に乳がんの手術を受けた58才の女性が、ほかに症状はないのですが時々わずかに不正出血があるため、同じ病院の婦人科で検査を受けました。細胞診の標本で、判定は可能ではあるが一部固定が不十分な面がみられる状態とのことでしたが、腺由来の異型細胞がみられるとして再検査になりました。幸い再検査では、PET検査でも腫瘍マーカーでも異常は認められませんでした。ところがこの担当医は、年齢的にもう利用しない臓器であるからと、子宮と両側の卵巣の摘出手術を受けるよう強く勧めてきました。通院の予約でも4~5時間待ちするぐらい混雑する病院ですので、手術の順番待ちも一杯なため、2日の猶予で返答するよう求められたとのことです。この患者さんがこの医師を怖がり、自分の意思をはっきり言い出せないでいると、手術をすれば今なら救うことができる、手術をしないと出血が止まらなくなり「汚い死に方」をするとの脅しの様なセリフを吐いたそうです。世の中には小説に出てくるようなひどい話があるものだと、呆れるとともに怒りを感じました。この病院に通う他の多くの患者さんも、似たような応対から予防的な臓器の摘出手術を承諾してしまっているのでしょうか。もう使わない臓器とか、汚い死に方とか、医師というよりも人間として許せない言葉に心が暗くなりました。幸いこの患者さんはこの病院では手術を受けないことに決め、後日ほかの医療機関で検査をやり直すとのことです。

平成27年5月22日


セミナーを終えて

 
 17日に最初の「目崎臨床カイロプラクティックセミナー」を無事開催することができました。6名の出席者の先生方に、カイロの面白さを様々な方法でアピールすることによって、心の窓を開けることができたなら、これから地味な検査法の習得を末永く続けてくれるかもしれません。もしもそれができたならなら、この試みは成功だったと思うのですが、はたしてどうだったでしょうか。メールアドレスや開催時刻の間違いなど、自分の不注意で出席した先生方にご迷惑をかけたこと、反省することしきりです。

平成27年5月18日


脳梗塞の患者さんを一人でも減らすには

 町村衆議院議長が軽い脳梗塞のためその職を辞するとの報道がなされましたが、国政のトップの方々の健康管理はどの様なものなのか疑問に思いました。血行が悪くなる原因は患者さんそれぞれ違うため、その予防法も違うはずで、それが為されないために梗塞を起こしてしまうのではないでしょうか。当治療室でも、血小板の数が50万以上という特異な患者さんもいましたが、その多くは生活習慣を改善することにより予防できるはずです。歌手の西城秀樹さんの近況がテレビに放映されていましたが、思っていた以上に病状が進行している様で心が痛みます。町村さんも西城さんも納豆、葉物、乳製品、果物、海藻を健康のためと思い余計に食べているのではないかと、他人事ながら心配になります。以前からこのHPで述べているように、筋力検査により制限すべき食品をみつけ、それを実践してもらうだけで、多くの患者さんの梗塞は予防できるはずで、カイロプラクターはそこに貢献できると思います。

平成27年4月21日


幼児の脊柱には、スラストはもちろん間接法も禁忌

 既にテレビでご覧になった方もいると思いますが、今月の5日の朝刊に大阪府警がNPO法人「子育て支援ひろばキッズスタディオン」の元理事長姫川尚美容疑者を、幼児死亡にかかわる業務上過失致死の容疑で逮捕したとの記事が掲載されていました。テレビで施術と称する行為を見たのですが、幼児に対して危険極まる行為が行われていました。時々この様な厚顔無恥な人物の行為が、いかにも自身に満ちた施術であるかのように誤解されることがあります。なぜお母さん達はこんなところに大事なお子さんを連れて行ってしまったのでしょうか。ひょっとして、お母さんたちはNPO法人だから信じてしまったのかもしれません。現代医学的検査では、サブラクセイションを認識できませんので、それによる将来起こりうる病変を見過ごすことになり、その因果関係が分からなくなり、容疑者の責任が曖昧になる可能性があります。今回の事件は皆さんが想像する以上に大変なことであり、強い憤りを覚えます。

 ここで改めて乳幼児の治療における注意点を確認したいと思います。人間の骨格の骨化が完了するのは6~7才ごろで、小学校入学時がその時期に当たります。骨化前のこっかくへの異常な衝撃は、関節が変位するだけでなく、骨そのものの変形を引き起こす可能性があります。特に、頭蓋骨や上部頸椎部の骨化は遅く、個人差もあり、物理的な衝撃には非常に脆弱です。難産や落下等の事故により衝撃を受けた赤ちゃんは、それが原因で様々な発達障害が生じることがあります。そのなかで最も多いのがOcc-C1の右圧縮サブラクセイションですが、この矯正にスラストを利用して矯正しようとする治療者がいます。スラストは骨化前の上部頸椎に回復しがたい損傷を与える可能性がありますので禁忌です。では刺激量が少ないから間接法なら良いかといえば、静止点にもっていっても、筋肉や靭帯が未発達なため自己解放する力がなく、逆に変位を強める危険性がありますので。やはり禁忌です。

 あえて矯正法を紹介するなら、3次元の矯正姿位にて指先の軽い圧を矯正方向に持続的加えて待つという方法しかありません。それと、前から気になっていたのですが、SOTの創始者であるディジョネットD.C.の「Cranial Techniqe 1979-1980」にある足首をもって逆さ吊りにして振り子の様にぶら下げ、重力の力により可動性をつけるという方法は、赤ちゃんが食べたものを吐き出し、喉に詰まらせる危険がありますので注意が必要です。このテクニックは危険な割に効果が限られているため、私はお勧めいたしません。

平成27年3月5日