菜種油には危険がいっぱい
 
 20年以上食品サンプルを作ってアレルギー検査を行ってきましたが、迂闊にも、植物油は腹部に乗せただけで検査していました。その上、サンプルとしてゴマ油、キャノーラ油、オリーブ油しか揃えていませんでした。この様な検査の結果はほとんどが陰性で、菜種油を含む植物油を制限すべき食品とは考えてきませんでした。そんな折、2013年5月10日に奥山治美著「本当は危ない植物油」(角川ONCテーマ)が出版されました。

 奥山先生によれば、コレステロール悪玉仮説のせいか、コレステロールを下げる植物油のリノール酸は「善」とされてきましが、リノール酸を多く食べると、リノール酸→アラキドン酸→ホルモン様物質の産生の増加→動脈硬化性疾患、ガン、アレルギー・炎症性疾患など、多くの病気の原因になるそうです。そのためリノール酸を控えてリノレン酸を多く摂るように喧伝されてきました。そこで、菜種油は他の油よりもリノール酸(オメガ6)がそれ程多くなく、αーリノレン酸(オメガ3)がと多いという観点から、世界的に広く使われてる様になってきたそうです。

 菜種は我国では古くから栽培され、主に灯りとして使われてきました。菜種には甲状腺肥大を起こす毒性物質と、心臓に脂肪蓄積を起こす脂肪酸が多く含まれているため、もともと食用になる油ではありませんでした。その後、カナダの研究者たちがこの2種類の有害物質を大幅に減らした品種を開発し、「キャノーラ種」と名づけ世界に広めました。ところが、品種改良したはずのカノーラ菜種油を与えたラットの心臓に脂肪蓄積が見つかり、カナダを中心に安全性の検査が盛んに行われ議論されてきました。菜種油にはその他にダイオキシンでも問題とされた環境ホルモン(内分泌撹乱物質)に似た有害物質が含まれ、精子の減少、前立腺ガン、不妊、脳神経系への影響が心配されているそうです。ダイオキシンはその対策が効を奏し、年々その量は減少してきています。その一方で、油脂の25%以上を植物油から摂っている日本人は、問題があると思われる菜種油を大量に消費しています。

安全な油は?

 
奥山先生はラット、豚等の動物実験を通して安全な油のランキング付けをしています。
健康に良いと思われる植物油
 第一位、シソ油、エゴマ油
 第二位、亜麻仁油・フラックス油
 第三位、なし
  植物油には微量の有害成分があり、動物性脂肪のほうがはるかに安全だとしています。 
健康に悪いと思われる植物油
 第一位、部分水素添加したカノーラ油や大豆油(マーガリンなど)
 第二位、カノーラ菜種油
 第三位、パーム油
 第四位、リノール酸対リノレン酸比の高い多くの植物油
健康に良いと思われる動物油
 
第一位、魚油
 第二位、バター(バター脂)
 第三位、ラード(豚脂)
 第四位、牛脂

私の検査結果

 奥山先生がこれだけ論理立てて植物油の危険性を警告してくださったのだから、これは是非検査し直してみなければならないと、私はサンプルを大幅に増やし、カノーラ油、ひまわり油、紅花油、コーン油、大豆油、米油、パーム油、エゴマ油、ごま油、グレイプシーズ油、綿実油、シソ油を揃えて全ての患者さんにその適否を検査してみました。免疫疾患の慢性関節リュウマチ症の患者さんは腹部にサンプルを乗せただけでも陽性になりましたが、それ以外の患者さんでは腹部にサンプルを乗せても陽性になりませんでした。あれこれ調べていくと、額と下腹部に乗せて検査した時だけ陽性になる油が出てきました。ほぼ全ての患者さんでカノーラ油、ひまわり油、パーム油、綿実油、シソ油は陽性となりました。サンプルのなかで陽性にならなかった油は紅花油コーン油だけで、この二種類の油を推薦します。奥山先生は本の中でシソ油を薦めていますが、サンプルの品質が悪かったためでしょうか、全ての人で陽性になりました。また、バター、ラード、牛脂を推薦していますが、私の検査では推薦することはできませんでした。大豆油は以前トピックスでも紹介したイソフラボンのせいでしょうか、特に閉経後の女性で関節部に乗せて検査すると陽性になりました。

 ガン等の悪性疾患は食品に含まれる添加物、有害物質に敏感な人に多いようで、その予防にはこれらの物質を極力摂取しないようにすることが大切です。大きな病院の婦長さんだった患者さんにカノーラ油の話をすると、病院内のセミナーで教えられていたとのこと、知らぬは私だけかとガックリきました。私は以前から朝起きると両手がはばったく感じられ、これも年のせいかと思っていましたが、油を紅花油に変えてから1週間もしないうちにその症状が軽くなってきました。サンプルを揃え、額、卵巣上の下腹部に乗せて検査してみてください。思っていた以上にその影響力が大きいことに驚くと思います。

                                 平成25年6月11日