この一年

 
今年も後わずかになり、この一年がどのような年であったかを振り返ってみたいと思います。私の治療において、脊柱の矯正に関してこの数年あまり変化はありませんでしたが、食養に関しては大きな転機を迎えた一年となりました。特に食品の制限に関して、長年私の筋力検査で陽性になる食品を、医師の立場から制限すべき食品とする書籍、即ち「和田洋巳著「がん劇的寛解」(角川新書)と宇野良治著「乳酸菌と食物繊維が腸を壊す」(宝島社新書)の2冊に出会うことができたことが大きかったと思います。この出会い以前は、制限すべき食品の一部に関しては一致しても、その他の食品に関してそうならず、私の検査結果を裏付けてくれる一貫した医学的論説に出会うことが少なく、患者さんへの説明は、一致する部分を繋ぎ合わせて行うしかありませんでした。そんな中、「がん劇的寛解」では体をアルカリ性に傾ける食品、酸性に傾ける食品に関して、「乳酸菌と食物繊維が腸を壊す」では乳酸菌やビフィズス菌と腸内細菌の関係に関して、私が筋力検査で制限すべき食品としたものとほぼ一致し、より自信をもって患者さんに説明できるようになりました。2冊についてはトピックスで取り上げましたので、是非本を購入され一読されることをお勧めします。

 私は自らの健康を維持するため、30年以上食品アレルギーを起こすと思われる食品を制限してきたおかげで、20代から40代まで悩まされた腰痛はほぼ無くなりました。私の腰痛の原因は、整形外科医が言う様々な病名でもなく、残念ながらサブラクセイションでもなく、結局食品アレルギーだったようです。73才になる現在、日常生活で腰痛を全く感じなくなり、現在は全ての穀物と動物性タンパク質、そしてアルコールを制限する食生活を10年近く続けています。食品の制限の延長線上に、筋力検査を利用した薬用植物による慢性疾患に対する治療法があり、コロナの予防と副反応に対する治療法もあります。私のような患者さんがどの治療室にも多く来ているはずです。食品アレルギーに注目していただきたいと切に思う次第です。

 令和2年から続くCOVID19のためか、ブームが去ったためか、カイロプラクティックに対する人々の感心が無くなってきたためか、自由診療の私の治療室では新患が目っきり少なくなってきました。10年20年と長く来室されていた患者さんが年とともに少しづつ減る一方、10年、20年ぶりにひょこり来室する患者さんもいるのですが、総数では少なくなってきました。それと、なぜか近年脊柱を矯正する必要のある新患の患者さんが少なくなってきました。これは私の治療が食養に重点を移してきたためかと思うのですが、理由は分かりません。食養が主体になれば、同じ患者さんの来室回数も減り、売上は少なくなります。これは治療成績が向上したとしても、致し方ないことのようです。カイロの哲学が当てはまる患者さんの割合は、昔教えられたより少ないと思うこの頃です。

 21世紀になっても、世界には人間の命を恐ろしく軽く扱うグロテスクな大国が二つあり、その一つであるロシアによるウクライナ侵攻が2月に始まりました。幸いなことに、戦況は西側陣営の援助によりウクライナが優勢に進められているようです。ウクライナの祖国防衛戦が貫徹されることを祈るばかりです。日本にとっても、ロシアのGDPを考えれば近い将来通常戦力の軍の再建はできないと予想されます。幕末以来150年以上にわたり日本の北方の脅威であり続けてきたロシア軍の衰退は、日本にとっては近年にない僥倖です。その上来年になれば、3年近く続いたコロナ禍も徐々に治まってくれると予想されます。そうなればエネルギー危機も物価高もやがて沈静化し、新しい時代がやってくるのではないかと期待しております。その時、カイロ界はどの様な姿になっているでしょうか。来年はカイロプラクターの真価が問われる一年になると思います。

令和4年12月10日