再度ビタミンC点滴療法について
カイロプラクティックの治療室には様々な原因で症状を訴える患者さんが来ます。症状の原因がサブラクセイションではない患者さんの中に、一部の医師ががん治療にも使っているビタミンCの点滴療法が有効な患者さんがいますので、今回は2例の患者さんを紹介しようと思います。
症例1.70代前半の女性です。症状は陰部が赤く腫れ、親指の先ほどの大きさの腫瘤が突き出ていて痛い。病院で検査しても悪性ではないが、様子をみて治らないなら手術をする必要があるかもしれないとのことでした。その他に常時腰痛、右肩こりがあると訴えていました。
初診では細菌感染を示唆するステンレス棒によるTLが陽性になるのみでしたので、そのサインを陰性にできる消毒薬の商品名マキロンを1日1回患部に噴霧してもらいました。2週間ほどした2回目の検査では、細菌感染のサインはでませんでしたが、腸疾患を示唆する水の入った瓶によるTL、膀胱疾患を示唆する陶器によるTL、内出血を示唆する真鍮棒によるTLが陽性になりました。これらのサインはビタミンCの錠剤を規定量の数倍患者さんの体表に乗せても陰性になりませんでしたが、一瓶丸ごと大量に乗せると陰性になりました。1瓶のビタミンCを患者さんのどの部分に乗せても陽性になることはありませんでしたので、点滴療法の副作用はないと判断し、美容整形医院で美白を目的に行われているビタミンCの25グラムの点滴療法を受けてもらうことにしました。1回目の点滴療法後、1週間して陰部の腫れと痛みはなくなったのですが、突き出ている部分に変化は見られないとのことでした。検査すると陶器によるTLとステンレス棒によるTLが陽性になりました。再度ビタミンCで試してみると全てのサインが陰性になりましたので、2回目の点滴療法を受けてもらいました。その1週間後、サインは全て陰性になっていましたので、しばらく様子をみることにしました。幸いにも1月ほどして症状は落ち着いたようです。
この患者さんは数年にわたりシャワートイレで排尿時毎にビデで陰部を洗浄していたとのこと、粘膜部の常在菌を洗い流していたため雑菌の繁殖を招いてしまったようです。同様に、排便を促すためもあって肛門部をシャワーを最強にして出血するほど洗浄していたとのこと、お陰で脱腸ぎみになっているとのことでした。過度な清潔志向で粘膜のバリアーを壊し雑菌の侵入を許し、不必要な治療を受けるところでした。
症例2.80代半ばの女性。長年老々介護をしてきて疲労困憊し、度々転倒するようになり、意識を失うほど頭部を打撲して救急搬送されたとのことです。幸い頭部に重度の損傷はなかったとのことですが、体中の関節が痛く、片目がぼやけてはっきり見えないとのことでした。病院からはなぜかツムラの五苓散、ビタミンB12のメコバラミン、ビタミンEのユベラが処方されていました。
初診では、全身で出血性疾患を示唆するステンレス棒によるTL、浮腫を示唆するアクリル棒によるTLが陽性になる以外、重篤なサインはありませんでした。病院から処方された五苓散、ユベラ、メコバラミンは筋力検査陽性になりましたので止めてもらいました。症例1の患者さんと同じく、ビタミンC1瓶で全てのサインが陰性になりましたので、早速美容整形医院に行って点滴療法を受けてもらいました。この患者さんは点滴療法を受けた翌日から関節の痛みと目のぼやけたのが治ったとのこと、あとは様子をみてもらうことになりました。度々転倒したのはこのせいだったのかもしれません。
注意 ビタミンCの点滴療法は、変異細胞のある全ての患者さんに適応するわけではなく、全ての変異細胞がビタミンCを吸収してくれて破壊できるわけでもありません。ただ、ビタミンC点滴療法が適応になるなら、変異細胞を減らすことはできますので、延命効果はあります。私の経験では、ビタミンC点滴療法は必要最小限しか患者さんの体は受け付けてくれないようです。症例1の患者さんの様に連続2回打つ患者さんは稀で、通常は単発的に1回打つことができ、時に驚くほどの効果を発揮します。ただ、必要以上に点滴を繰り返し受けてしまうと、免疫細胞が集まる指標となる活性酸素の発生を抗酸化作用のあるビタミンCで消去してしまうため、免疫系の働きが妨げられ、思わぬ症状を引き起こしかねません。必ず筋力検査で、TL陽性のサインが陰性になり、副作用がないことを確認してから受けてもらってください。がんに対するビタミンCの治療効果がアメリカの治験で認められなかったのは、恐らくこのためかもしれません。
人間誰でも年をとり無理な生活を続けていくと変異細胞が生まれ、その数が一定以上に増えると様々な症状が出ると考えられます。その意味で、ビタミンCの点滴療法は一部の患者さんには有効な治療法だと思います。患者さん向けのビタミンC点滴療法の作用メカニズムの説明としては、「細胞内で細胞膜と細胞骨格の材料となるコラーゲンを作る際に必要なビタミンCを、経口摂取の10倍以上の濃度で一度に大量に吸収させると、一時的に細胞内に大量の活性酸素が発生し、正常な細胞内ではそれを一瞬にしてカタラーゼという酵素の働きで消去できる一方、変異細胞ではその様な酵素を持たないため、選択的に変異細胞の細胞核のみが破壊される」とのことです。