生活習慣


                            
あなたの体はあなたが食べるものからできている

目次
 
1.姿勢
 2.運動
 3.食生活
    食品アレルギー
    その検査法
    適応例
     ⅰ.脳梗塞、心筋梗塞の予防
     ⅱ.一部の不妊症
     ⅲ.注意
 4.健康補助食品
    同じ健康補助食品でも効能に差がある
    水、石鹸、シャンプーの適否
    必要性の有無の検査法
    健康器具
 5.カルシウム不足
    検査法
    注意点
 6.医薬品
    薬の副作用
    薬の有効性と副作用の検査法
    診断への利用法
 7.水分補給


 
病気と遺伝子の関係を研究するうえで、一卵性双生児を対象にした疫学が古くから行われてきました。彼らのゲノムは同じですが、一生の間に同じ病気になる確率は三割ほどだそうです。そして、二人が同じ環境にいる時期が長いほど、同じ病気になる確率は高くなるそうです。同じゲノムでも七割近くが違う病気になる原因は、生活習慣だと考えられています。そして、その生活習慣のうちで最も影響力が大きいのは食生活です。食物を通して体内に入ってくる様々な分子がDNAのメチル化、アセチル化、すなわち遺伝子のスウィツチのON OFFに関係し、最近話題になっているエピジェネティク(DNAの配列に変化を起こさず、細胞分裂を経て伝達される遺伝子機能の変化やその仕組み)な作用が生じると考えられています。


1.姿勢

 骨格系が効率良く重力負荷を受け止めるためには、患者さん自身が姿勢に気をつけなければなりません。脊柱の関節に可動性があり、脊柱の土台である仙骨底が水平で安定しているなら、後から見て多少の彎曲があったとしても問題はありません。この様な患者さんはよい姿勢をとると気持ちがいいはずです。よい姿勢とは、脊柱の前後面の彎曲を保持する姿勢です。肩の力を抜いて、ちょうど頭頂から糸で引き上げているような姿勢です。背筋を伸ばした敬礼のような姿勢は、胸椎、腰椎の彎曲をなくす姿勢で、この様な姿勢はとても疲れやすい悪い姿勢です。同様に、あぐらをかく、低いソファーに腰掛けるのは、腰椎部の前彎をなくす悪い姿勢です。


2.運動
 
健康を目的として運動するなら、毎日30分程歩くだけでよいのです。歩くことにより、全身の関節が穏やかに動き、バランスを取り戻すことが可能になります。特定の筋肉を鍛える運動、腹筋や背筋を鍛える運動は、骨格系のバランスを崩しやすいので止めるように指導してください。健康に大切なのは、良いバランスであり、強い筋力ではありません。運動は楽しくやり、頑張らないことが健康には大切です。


3.食生活
 病気がなぜ起こるかという基礎研究は急速に進んでおり、それによると、これまで全く違うと考えられてきた病気の根本的な原因が、実はよく似ているということが分ってきました。例えば、がん、アルツハイマー病、糖尿病の根本的な原因の一つが、慢性の炎症であることが分ってきたのです。炎症時に生産される活性酸素により、正常細胞のDNAを傷つけることによって細胞のがん化が促進され、アルツハイマー病の原因タンパク質が増え、脂肪細胞からはインシュリン抵抗性を高める物質が生産されることが分ってきました。この慢性的な炎症を発症させる原因で最も重要なものが、日々食べているアレルギー食品ではないかと思います。

 昔から毎日30品目以上の食品を満遍なく摂ることが栄養学的に優れていると言われてきましたが、それは制限すべきアレルギー食品を見つけることが出来ないときの次善の策といえるかもしれません。例えば、我々が栄養学的に優れていると考えていた牛乳、乳製品に対しても、日本人の85%は乳糖分解酵素であるラクターゼを十分に分泌できず、腹痛、下痢、腹部膨満感を訴える人々がいます。この症状を乳糖不耐といいます。牛乳、ヨーグルト、チーズを含む乳製品は、この不耐の他に、アレルギー物質、インシュリン様成長因子等を含むため、健康を考えるなら極力摂らないようにしたいものです。詳しくは、「牛乳には危険がいっぱい」フランク・オスキー(東洋経済新報)、「乳がんと牛乳」ジェイソン・プラント著(径書房)を参考にしてください。我々は既存の栄養学的常識をひとまず置いて、日々の食生活を再点検する必要があると思います。日本人には長年受け継いできた食生活のほうが栄養学的に優れている点が多いのです。各人の体質には個性があり、その人その人にあった食生活があるはずです。筋力検査を利用してその様な食生活を実践することができるなら、まさに医食同源を実践することになるのです。このことはほぼ全ての人に当てはまることです。治療の現場でも、患者さんが訴える症状の原因が、サブラクセイションではなく、食品アレルギーであったということは存外多いのではないでしょうか。

 また、アレルギー反応を示す食品を取らないと、今注目されている腸内細菌の構成にも良い影響があるかもしれません。腸内細菌の構成は患者さんごとに違うそうで、細菌の食糧になる食品も各人違うはずです。従って、腹部でアレルギー反応を示す食品を摂らないことは、腸内細菌の構成を改善することにも繋がると思います。、

(食品アレルギーについて)
 食品アレルギーとは、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」(日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会作成「食物アレルギー診療ガイドライン2012」)と定義されます。ただ、私がこのHPでアレルギー食品と呼ぶ食品は、筋力検査陽性の食品であり、このなかにはガイドラインが定義する食品だけでなく、血管作動性物質等の毒性物質を多く含む食品、不耐食品、過剰に摂取している食品等が含まれています。私の筋力検査ではそれらを区別することができないので、まとめてアレルギー食品と呼んでいることをご了承ください。

 私の筋力検査の経験によれば、食品アレルギーはごく一部の特異体質の人々の問題ではなく、全ての人に当てはまる問題だと思います。80才以上の健康な老人に共通することは、この食品アレルギーがほとんどないかとても少ないことでした。彼らが何か特別なものを食べたり飲んだりしている訳ではないのです。アレルギー食品を食べると、免疫系がそれを異物と認識し排除しようとするため、いま話題になっている活性酸素が大量に発生し、細胞を傷つけてしまいます。長寿者はこの活性酸素の発生量が少ない人々ではないでしょうか。だからこそ、一般の人はこのアレルギー食品を摂取しないことが健康で長寿になる秘訣だと思います。世の中はグルメの時代ですから、あまり無理に説得しようとすると患者さんから反発を受けることもあります。長生きするために好きなものを食べずに我慢するか否かは個人の価値観によるのであり、どう生きるかは個人の自由だからです。

(検査法)
 アレルギー食品を見つけるには筋力検査を利用するのが最も便利です。まず食品サンプルを用意します。シリカゲルで乾燥させたものが利用しやすいのですが、最近はスーパーにて様々な乾燥食品が販売されているので便利です。患者さんの腹の上にサンプルを乗せて検査します。筋力検査陽性なら、その食品は全身的なアレルギー食品です。次に特定の臓器、例えば心臓の上にTLして陽性になるなら、その食品は心臓に何らかの病変の原因になりうると推定します。具体的には、ほうれん草、納豆を患者さんの上に乗せて筋力検査陽性になるなら、その患者さんはほうれん草、納豆に多く含まれるビタミンKに対して拒否反応を示したと推定します。ビタミンKに感受性の高い人がビタミンKを過剰に摂取すると血栓ができやすくなり、脳梗塞、心筋梗塞の原因になります。

 痛む関節にTLして陽性になるなら、その食品がその関節の症状の原因かもしれません。慢性関節リュウマチは自己免疫疾患とされていますが、関節における食品アレルギーも症状の一因ではないかと思われる患者さんが多くいました。上記と同じ検査方法で関節毎にアレルギー反応を起こす食品を探していくと、関節毎に様々な食品が陽性反応を示します。この陽性反応を示す食品の制限を続けることによって、通常痛みとこわばりが半減し、関節の破壊をある程度抑制できた症例があります。この数年、良いリュウマチの治療薬が処方されるようになってきました。ただ、リュウマチの患者さんの症状を抑えるにはそれだけでは足りず、いずれかの抗炎症薬、鎮痛薬も必要です。その患者さんにとって最も副作用の少ない有効な薬を選択しなければなりません。

(適応例)
ⅰ.脳梗塞、心筋梗塞の予防
 日本人の三人に一人はガンにより、そしてもう一人は脳梗塞と心筋梗塞を原因として亡くなっています。そのどちらもサブラクセイションより生活習慣が大きく関わっています。食生活が豊かになるとともに、アルコール、肉類、乳製品、砂糖を多く摂るようになり、高脂血症や糖尿病が増え、それと共に血行が悪くなり、脳梗塞、心筋梗塞、腎臓疾患が増えています。それなのに医療の現場では、積極的に生活習慣の改善を指導していません。残念ながら、現代医学の検査には血行の良し悪しを診断する検査法がありません。そんな中、筋力検査を利用すれば、陽性になる食品を制限し、必要ならビタミンEその他の健康補助食品を摂り、血行障害のサインを陰性にすることによって、これらの病気の多くを予防することができます。最も注意すべき食品は、牛肉、乳製品、アルコール、砂糖、果物、ビタミンKを多く含む菜っ葉類、海藻、納豆です。

 患者さんが訴える腰痛、下肢の痺れ、肩こり、頭痛、手の痺れの原因が、サブラクセイションではなく、梗塞の危険信号であることが多くあります。また、抹消の血行が悪くなると血圧も上がり、くも膜下出血の危険も高まります。日本は老齢化社会を迎えて、食生活を原因とする血行障害にまつわる社会的コストは莫大なものになろうとしています。的確に筋力検査を利用できるなら、カイロプラクターは隠れ糖尿病を発見し、脳梗塞、心筋梗塞、腎臓疾患を予防する分野で貢献できます。

 カイロプラクターはサブラクセイションのアジャストメントに注意が向いていて、生活習慣の問題に注意が向きません。日々行っている治療以上のことを、自分と自分の家族に行うことはできません。大切な人々を守るために、まず自らの生活習慣を改善し、これらの疾患の予防に努めなくてはなりません。

ⅱ.一部の不妊症に有効
 流産、不妊に悩む女性のうち、食生活を原因とする胎盤の血行障害が原因であることが多くあります。下腹部にTLした状態で、脂質として牛肉、乳製品、糖分として砂糖、果物、アルコール、ビタミンKを多く含む食品として菜っ葉類、海藻、納豆等を検査してみてください。陽性になるなら、それらの食品を制限します。その他、甲状腺の機能障害を伴う女性もいますので、ヨード分を制限する目的で海藻を制限します。婦人科器官の血行障害による流産、不妊症は、現代医学において見過ごされていますので、ダイアモンド、プラスチック棒で検査して陽性になるなら、食事制限だけでなくビタミンE、フィッシュオイルなどの健康補助食品も必要になるかもしれません。骨盤の安定を目的とするブロック治療と共に行ってみてください。

 一般に、妊婦さんの治療において、仙腸関節を安定させ、脊柱を矯正する必要があるなら間接法で矯正し、食事制限を行うことによって、流産の予防、逆子の矯正に効果が期待できます。

(注意)
1.
アレルギー食品は年齢とともに増えていく傾向にあります。定期的に全ての食品を検査してください。

2.最近、市販されている銘柄米を検査していると、ステンレス棒でTL陽性になるお米が多くありました。お米に限らず、同じ食品でも価格に関係なく品質に優劣があります。注意してください。

3.患者さんがカイロプラクターの指示に従って食品の制限をするか否かは患者さんの判断です。その一方で、患者さんにあれを食べてはいけません、これを飲んではいけませんなどと指示することは、このグルメの時代に患者さんに嫌われること間違いなしで、その上、食事制限が主な治療となる患者さんの治療回数は大幅に少なくなります。治療室の経営を考えるなら、食事制限は治療者にとっては経済的に大きなマイナスです。食事制限が必要だと思っても、無理をしてまでそれを行うか否かはまったく治療者の判断です。


4.健康補助食品
 患者さん達は驚くほど多くの健康食品をとっています。漢方薬、アガリスク茸、メシマコブ、霊芝、プロポリス、ローヤルゼリー、クロレラ、プロテイン、各種ビタミン、カスピ海ヨーグルトその他多くの健康補助食品に驚くような大枚を払っています。大切なお金をいっぱい払えば、何かが得られると思っているようです。残念ながら、患者さんが摂っていた市販の健康補助食品で有効なものはほとんどなく、逆に害になっているものがほとんどでした。よく効く薬ほど害が大きいのと同じことで、だれかに効果があったという健康食品にはその他の人には害があるはずです。だれにでも効き副作用のない健康食品などというものはありません。良かれと思って自分に合わない健康補助食品を摂ったために、反って健康を害してしまったという患者さんは、いま読者が想像する以上に多くいるのです。

 その一方で、患者さんの病気に特異的に効果のある健康補助食品があるのも事実です。その様な健康補助食品を見つけることができるなら、驚くような効果があります。その様な健康補助食品を探す目安は、全てのTL陽性を陰性にできるか否かで判断します。患者さんが何を飲んでいるかに注意し、適応でないならその健康補助食品を止めさせる必要があります。私の経験では、市販の健康食品やサプリメントで有効なものはほとんどありませんでした。

(同じ健康補助食品にも効能に差があります)
 市販されている製品毎に効能に差があります。販売されている製品に第三者の手掌面をかざして、製品のオーラの高さを検査してください。オーラが低いようでしたら、その製品には効能がありません。予め効能の高い製品を見つけておき、患者さんに推薦してください。

(水、化粧品、石鹸、シャンプーの適否)
 健康補助食品と共に、患者さんは高価な化粧品、石鹸、シャンプーを利用していることが多く、その多くに筋力検査では問題がありました。天然水ではファミリーマートで販売している安曇野の水以外にお勧めできる水はありません。それよりも、東京都在住の方は水道水のほうがお勧めです。化粧品では資生堂のドルックスシリーズ、石鹸、シャンプーでは花王のホワイトの様な安い石鹸、メリットなどがお勧めです。概して、安い製品に問題がないようです。

(必要性の有無の検査法)
 そんな訳で、健康食品は患者さんの体質に合わせて選択しなければならないのです。構造のところで説明した様々なTL陽性がサブラクセイションのアジャストメントにより陰性にできないなら、まず、そのTL陽性を陰性にする健康食品があるかどうかを探してみなければなりません。もしもTL陽性を陰性にできる健康食品があったなら、その健康食品はその患者さんに特異的に効くと判断できます。検査方法は、患者さんの腹の上にサンプルを乗せTL陽性が陰性になるか、陰性になるなら、他の臓器、例えば肝臓、腎臓、胃、腸等に副作用がないかを検査します。その方法は、サンプルを乗せた状態で手背面で各臓器にTLして陰性であるなら副作用はありません。どこかの臓器又は器官上でTL陽性になるなら、その部位にてそのサンプルは副作用を有していると考えられます。TL陽性を陰性にできない、そして何らかの副作用があるなら、その健康食品を摂取させてはなりません。効果のない有害な健康補助食品を止めさせることも治療の一部です。

 健康補助食品はエピジエネティクスな作用を持つ有力な治療手段です。人間のDNAが一人一人違っているように、患者さんに必要な健康補助食品も違うはずです。自然界には健康補助食品の材料は無限にあります。生薬の原料もその一部です。アメリカ大陸でも、ヨーロッパでも、アフリカでも、人間は昔から薬としてそれらを利用してきました。どれだけサンプルを集め、それらをいかに取捨選択して組み合わせることができるかは治療室の実力に係っています。

(健康器具)
 その他、磁石やゲルマニウム等を利用した健康器具を利用している患者さんが多くいますが、同じ方法でその良し悪しを判断し、止めてもらうべき器具は止めてもらわなくてはなりません。一般に、これらは効果がないだけでなく体に合うものがありませんでした。


5.カルシウム不足
 骨のカルシウム不足の原因には、1.カルシウム摂取量の不足 2.カルシウム量をコントロールしている甲状腺と副甲状腺の機能の異常 3.カフェインの摂り過ぎによる利尿作用の亢進 4.エストロゲン等のホルモン分泌の低下 5.砂糖の摂り過ぎによるイオンバランスの平衡を保つためにカルシウムが多く消費される等が考えられます。

 最も多い原因は、カルシウム摂取量の不足によるものです。2000年の厚生省の国民栄養調査によれば、日本人の1日のカルシウムの摂取量は547ミリグラムで、必要量とされる600ミリグラム以上よりはるかに少なく、現在でもほぼ全ての人で不足しているはずです。そのカルシウムの不足が四十肩、膝痛、腰痛の原因であることは思いのほか多くあります。一般に、カルシウムは年をとるにつれ全身の骨格から徐々に抜けていきます。全ての骨から均等にカルシウム分が抜けていき、体がゆっくりとダウンサイズしていけば、腰痛、膝痛、四十肩に苦しむこともありません。不均衡に、急速にカルシウム分が抜けてしまうために、骨格系の辻褄が合わなくなり、様々な関節痛に苦しむことになります。特に、女性は閉経後にそれが著しいため、その対策をとらなければならない人が多くいます。カルシウムを十分に摂ることができず血中のカルシウム濃度が低下すると、二次的な副甲状腺機能が亢進し、骨吸収が進み骨粗鬆症になります。年令相応にカルシウム分が抜け、体のダウンサイズを遅くし、筋肉や皮膚のたるみを少なくすることができるなら、老化を遅くし、美容にも役立ちます。また、カルシウムが極度に不足していると、たとえサブラクセイショがあっても、アジャストメントを受け付けなくなります。

 カルシウムの補給法:毎日カルシウムが豊富といわれる牛乳を飲んでいるからカルシウム不足にはならないと思っている患者さんがいます。そんな患者さんでひどくカルシウムが不足している人が年齢を問わず多くいます。コリン・キャンベル著「葬られた第二のマクガバン報告」によれば、乳製品を世界中で最も多く摂っているアメリカ人女性に、大腿骨頚部骨折が最も多いとのことです。牛乳にアレルギーを示す患者さんは、乳糖分解酵素のラクターゼを分泌することができませんので、効率よく牛乳からカルシウムを吸収できません。カルシウムを摂るのに最も無理のない方法は、日々の食事でアレルギー食品以外のカルシウムを豊富に含む食品から摂ることです。「フィット・フォー・ライフ」の著者ハービィー・ダイアモンドによれば、消化できない蛋白質の一種カゼインのなかにカルシウムは拘束されているため、カルシウムを取り出すにはラクターゼが必要だからなのだそうです。

 カルシウム剤の注意点:食品から摂ろうとしても足りないか極端に不足しているなら、錠剤で摂らなければなりませんが、体質的に錠剤を呑むと腎臓や尿管に結石が出来てしまう患者さんがいます。患者さんにカルシウムを錠剤から摂れるか否か、摂れるならどの錠剤を何錠摂るべきかを指導してください。市販されているカルシウム剤は様々な原料から製造されていますので、どの錠剤が適応であるかを検査しなければなりません。また、カルシウムだけでなくマグネシウムを一緒に摂らなければならないと言われますが、理由はわかりませんが、市販のその様な錠剤に有効な製品がありませんでした。錠剤の種類が決まったなら、1/2錠から何錠まで必要かを検査してください。

 食生活の注意点:動物性蛋白質やナトリウムを多く摂ると、体内が酸性に傾き、酸塩基平衡を保つため腎臓からカルシウムが排出されていきます。動物性食品や塩分、糖分を控えるように指導しましょう。


6.医薬品
(薬の副作用)
 大抵の患者さんは、医師が自分の体質に合わせて薬を処方してくれているものと思って飲んでいます。中には驚くほど大量の薬を飲んでいる患者さんもいます。しかし、現在の医学では、各患者さんの体質に合わせて薬を処方することは残念ながらできません。筋骨格系の問題と思われている腰痛、肩こりの様な症状が、実は飲んでいる薬が原因であったというのは珍しいことではありません。

(薬の有効性と副作用の検査法)
 どの薬にも効果とともに害があります。薬の害を少なくするために、全ての患者さんに対して現在飲んでいる薬を検査してください。検査方法は以下の様に行います。初診時に一日に飲む分の薬を持ってきてもらいます。まず、薬の有効性を検査します。何らかの疾患があり、サブラクセイションのアジャストメントでTL陽性を陰性に出来ないなら、処方されている薬がTL陽性を陰性にできるか検査します。陰性にできるなら、その薬は有効であり、何錠で陰性になるかを検査します。陰性になった錠数が一日に飲む分量です。次に、その薬の副作用を検査します。薬を患者さんに乗せて、もう一方の手掌面を各臓器の体表面にあてて筋力検査を行います。どこかで陽性反応がでたなら、その薬はその部分に副作用があると推定します。最後に、有効かつ副作用がないと判断された全ての薬を乗せて検査します。TL陽性にならないなら、その全てを服用することができます。

(注意)
 患者さんが訴える症状の原因が、サブラクセイションではなく飲んでいる薬が原因だと推定したら、アジャストすることなく医師の診察を受けるように指導してください。医薬品にかんして注意して欲しいことは、たとえ副作用があると思っても、安易に副作用の話をするのではなく、必ず医師に相談するよう患者さんに説明する慎重さが大切です。患者さんと掛かりつけの医師との信頼関係を傷つけてはなりません。

(診断への利用)
 現代の薬学の進歩は目覚しく、医学の進歩に多大な貢献をしていますが、主要な病気に対する医薬品はほとんど開発され尽くされているとのことです。我々カイロプラクターの立場からすれば、この進歩し充実した医薬品を診断に利用しない手はありません。薬の作用と副作用を判断するだけではなく、患者さんの病気の診断に利用するのです。

 方法は簡単です。患者さんのTL陽性がある薬を体表に乗せて陰性になるなら、副作用はともかくその薬が有効であり、その薬が示唆する病気であると判断できます。検査するためには多くの種類の薬を必要とします。全ての患者さんが服用している薬を一日分だけ預かり、その作用と副作用を定期的に検査すると共に、それらの薬を病因別に分類してください。サンプルの薬の種類が増えるにしたがって、診断の精度は上がっていきます。


7.水分補給
 食生活が豊かになり、水をあまり飲むことなく、水分をコーヒー、お茶、ジュース、スポーツドリンクなどから摂る人が多くなりました。カフェインには利尿作用があるため、お茶やコーヒーは良い水分補給にはなりません。糖尿の人ではジュースやスポーツドリンクは糖分が多いので禁忌です。なかには水分はビールから摂るという人や、トイレに行く回数を減らすために水分を控えているという人までいます。このためでしょうか、長期にわたり徐々に塩分の浸透圧バランスが悪化し、体内の水分が慢性的に不足し、それが様々な症状の原因になっている患者さんが多くいます。また、糖尿病の患者さんのなかには、体内の水分が不足することにより、血糖値の割りには血行が障害され、脳、心臓の梗塞を起こしそうな患者さんがいます。病院に入院時、ルーテーンの様に点滴を受けますが、それで少し症状が落ち着くのは、点滴による水分補給によるためかもしれません。

 症状としては特に老人における視力低下、肩こり、胸苦しさ、運動機能の低下、手足の痺れ等様々です。

 筋力検査では、水分不足の患者さんは頭部にてアルミ棒、プラチナ、ダイアモンドのTL陽性が水のボトルを体表に載せると陰性になります。

 飲んでもらう水の量は、体表に計量カップを載せ、水を注いでいって、全てのTL陽性が陰性になる量が1回分の給水量です。これを1日に数回行った合計量が1日の給水量です。この様な患者さんで水分補給のために今までよりも1日1ℓほどの水を余分に飲んでもらうことがありました。