腰痛の原因が甲状腺機能低下だった患者さん

 
84才の女性が腰痛、膝痛、左手首痛を訴えて来室しました。触診の検査をすると、脊柱に可動性が制限されているレベルはなく、膝、手首の可動性も制限されていませんでした。筋力検査では、仙腸関節(SIJ)でのサブラクセイションを示唆する手掌面でのTLが陽性にならず、SIJの過可動性はありませんでした。その他の患部でのTLでは、甲状腺の機能障害を示唆するチタン棒によるTL、骨のカルシウム不足を示唆する骨棒によるTLがそれぞれ陽性になりました。チタン棒のTL陽性は、甲状腺の機能低下の患者さんに処方されるチラージン1錠で陰性になるのですが、この患者さんはチラージン錠を受け付けてくれませんので、医師に処方してもらうことができませんでした。そこでハーブか生薬で何か有効なものがないか探していると、柿の葉が副作用もなく有効でした。患部での骨棒によるTL陽性も柿の葉を患者さんの体に乗せると陰性になりますので、骨のカルシウム不足も甲状腺機能低下が原因と推定しました。食品の検査では、肉類と乳製品、海藻、砂糖、果物が陽性になりましたので制限してもらいました。念のためカルシウム錠が飲めるか筋力検査で調べてみると、副作用なく有効でしたので日にネイチャーメイドのカルシウム錠を2錠を飲んでもらいました。

 1か月後来室したとき、腰、手首、膝、特に腰の痛みは完全になくなっていました。手首、膝の痛みも気にならない程度に軽減していましたので、柿の葉を続けてもらうことにして治療を終わりました。甲状腺ホルモンは骨を作る働きがありますので、その機能低下は骨粗鬆症の原因にもなります。甲状腺の機能低下には、柿の葉の他にレモングラス、カモミール、セントジョージワートが有効ですので、サンプルを揃えてみてはどうでしょうか。骨密度が低下して関節痛を訴える原因として、食事からのカルシウムの摂取量が少ない、閉経後の性ホルモンの減少、日に当たらないためのビタミンD不足、骨に重力負荷を掛けないことによる骨形成の低下等が考えられますが、甲状腺の機能低下が主な原因であることもあるのです。海藻に含まれるヨード分を多く摂ると甲状腺の機能が混乱する体質の人が一定の割合でいますので、海藻はそのまま食する以外に出汁としても利用されているので注意が肝要です。

令和5年2月18日