カイロ ザッピング



丸亀製麺のかけうどんが食べられる

 
私事ですが、20年以上前から、全てのお米、小麦製品、蕎麦、トウモロコシ等を食べていると咳き込みや腰痛になり、もしやと思い全ての穀物を筋力で検査すると陽性になっていました。仕方なく全ての穀物を厳しく制限し、サツマイモ、ジャガイモを主食にしてきました。ところが、1か月ほど前から、すべての芋類が筋力検査陽性になり食べられなくなり、代わりに小麦製品のみが筋力検査陰性になり、うどん、そうめん、焼きそば、パン(乳製品をほとんど含まない製品)が食べられるようになりました。久しぶりに外食ができると近所の丸亀製麺に行ってかけうどんを注文し、現物で検査し陰性であることを確かめ食べました。患者さんにも同じ現象が起こっていないか調べると、10年以上前から私と同じ全ての穀物と全ての動物性食品(肉、魚、乳製品、卵)が筋力検査陽性になる女性が陰性になっていました。この女性は毎食後お腹が硬くなりひどい腹痛を訴えていたのですが、食品を制限することにより症状は治まっていました。早速、うどん、そうめん等の小麦製品が食べられ、丸亀製麺のかけうどんなら外食できる旨伝えました。本人は半信半疑で喜んでいましたが、その後お腹が硬くなりひどい腹痛がでたとの連絡はありません。ただ、同じ様な制限をお願いしている患者さんが多くいるのですが、未だ食べられるようになったのはこの患者さんだけです。どのようなメカニズムが働いているのか分かりませんが、この様な患者さんが一人でも増えることを期待しているところです。

令和5年7月5日


モラリストの死

 
塩野七生ファンである私は、最新作の「誰が国家を殺すのか」(新潮新書)を読んでいて、「五十年昔の三十代が考えていたこと」の一節に、観念的な平和論が支配的だったあの時代、安全保障を現実的に論ずることすらが難事であった時代に、当時三十代であった高坂正堯著「世界地図の中で考える」(新潮選書)を五十年後の今の三十代はどう読むだろうか、考えてしまう、というところで私には息苦しかった七十年代にタイムスリップしてしまいました。その時代二十代前半であった私は、高坂先生のお名前は「諸君」等の雑誌では拝見していたのですが、残念なことに今まで高坂先生の著書を読だことがありませんでした。その上高坂先生が六十二才の若さで亡くなられていたとは露とも知らずにいました。

 服部龍二著「高坂正堯」(中公新書)の終章 最後のメッセージ の「モラリストの死」で、肝臓がんで亡くなられた経過が詳述されていましたので紹介したいと思います。1996年2月18日、京大附属病院で肝臓がんを宣告され、病院からの弟の節三さんとの電話で、「どこも痛くも痒くもないのに、何でがんなんや。しかも、医者はその理由はわからんといっている。理由のわからんような病気がどこにあるんやろ」医師の診断は、何もしなければ一年以内、手術すれば二、三年というものだったそうで、「あと二、三年生きたい」と手術を望んだそうです。しかし、忙しさに紛れ、手術は3月18日になり、手術時には手遅れの状態で腫瘍摘出をあきらめ、そのまま蓋をする以外なかったとのこと、5月15日に亡くなられたとのことです。

 三十年前の高坂先生はヘビースモーカーではないが普通に吸っていて、お酒も召し上がっていたとのことですが、何の症状もない時点からわずか三か月で亡くなられたとのこと、今の医療レベルから当時の処置を判断することはできませんが、せめて開腹手術をしないという選択肢はなかったのかと、高坂先生と節三さんとの会話を読み悲しく思いました。

令和5年5月30日


元気なうちに介護施設に入所するのはいかがなものか

 
介護保険制度ができて四半世紀が過ぎましたが、その本来の設立目的に反するマイナス面も認識されるようになってきたのではないでしょうか。本来介護保険は足らざるを補うものであるべきなのが、多くの家族で親の介護を自分でできることでも介護保険制度に頼り始め、それが当たり前、当然の権利と考える人が多くなってきたように思えます。それを子供達が見て育っていけば、それは家族の崩壊にもつながかねません。すでに少子高齢化の段階に入って久しい我国ですから、近い将来財政的に破綻するのは避けられず、制度の維持もままならない時代が来そうです。また、親の側も子供には迷惑を掛けられないと、元気なうちに介護施設に入所する高齢者が多くいます。介護施設の設備とそのサービスは、職員の努力と公的な資金援助により年々向上していることは認めますが、思わぬ落とし穴も見えてきました。

 40年前吐くような頭痛が切っ掛けで私の治療室に来室された90代半ばの患者さんが、一人身のため20年ほど前に大手の介護施設に元気なうちに入所しました。設備も介護サービスも申し分ないのですが、この患者さんに聞くところによると、70人近い入所者の内、認知症になっていないのは自分と数人だけで、その人々も数年すると認知症になり、話し相手がいなくなって寂しいとのことです。栄養士の指導に基づく食事と定期的な健康診断を受けているにもかかわらず、何かがおかしいとしか思えません。私の治療室に来室していた患者さんには、穀物と動物性のタンパク質を制限するとともに、極力薬を飲まないようにお願いしていたのですが、施設の協力を得て入所後もそれを実行してくれたことが認知症にならない理由なのかもしれません。7年前転倒し大腿骨頸部骨折の手術を受けましたが、今でも歩行器を使って施設内を歩いているとのことです。先回りして介護施設に入所するのではなく、禁酒禁煙、腹八分、必要もない薬やサプリメントを飲まない、元気なうちは人に頼らず自宅で頑張る、というのが良いと思うのですが。

令和5年5月7日 
 

正しい咬合面とは?

 昨日テレビを見ていて、矯正歯科で噛み合わせの治療と称し合わないマウスピースを入れられたリ、健康な歯を抜歯したり、削ったり、合わない差し歯を入れられ症状が悪化したという患者さん達の裁判所に歯科医を訴えている映像が流されていました。私の治療室でも顎関節の違和感、痛みを訴える患者さんが多くいましたが、その多くは脊柱、特に上部頸椎のサブラクセイションか単にカルシウム不足によるものがほとんどでした。顎関節の矯正を必要としている患者さんもいますが、顎関節単独というのは稀なケースです。真に噛み合わせの問題があるなら、それはカイロプラクターの適応外で、専門の矯正歯科医に治療をお願いするしかありませんが、信頼する歯科医に正しい咬合面という概念の有無を伺った折、その様なものはありませんとのお答えでした。歯科医の中で正しい咬合面に関する合意が得られていないなら、患者さんの立場からはできる限り保存的な治療でお願いするのが無難かと思います。どの医療の世界でも、科学的なように見えて科学的な根拠もなく治療が行われていることはあるものです。歯科の世界でも、虫歯でもない、歯槽膿漏でもなく、原因の分からない歯の痛みを訴える患者さんがいますが、この様なケースで患者さんは、神経を焼くとか抜くとか言われ治療を受けていますが、その痛みの原因は解明されていないため、対症療法としてその様な治療が行われているのが現状です。医療事故に会わないためには、医療を過信することなくうまく利用するという心がけが大切です。因みに、私の信頼する歯科の先生はお年で引退されてしまいましたが、よりストレスの少ない咬合面を探すため、薄い紙をかませてその高さをみつけようとしていました。

令和5年4月15



ゆすり、たかりにご用心!

 
昨日30台後半の女性が1ヵ月前から、何ら思い当たることなく右腰部の自発痛が始まり、続いて右肩、両手首が痛くなったと来室しました。脊柱、骨盤、四肢関節を触診しましたが可動性の制限はなく、サブラクセイションはありませんでした。筋力検査では、痛いという関節に炎症反応はなく、内臓体壁反射の有無を検査すると、膵臓の反射部位である左季肋部においてのみTL陽性反応がでました。従って、症状は膵臓の病変の反射痛であろうと推定し、ビタミンC点滴療法の適応を調べたところ効果が認められたので、近くの美容整形に行って点滴療法を受けるように説明しました。とその時、矯正をしてもらうために来たと言ってコートを着てそそくさと帰ってしまいました。呆然と見送ってしまいましたが、気が付くと治療室中に垢臭い異臭が漂い、彼女がホームレスだったのではないかとその時気付き、一昨年同じ経緯で矯正をしない私に向かって罵詈雑言を吐きながら帰って行った男のことが頭に浮かびました。開業から40年以上経ちますが、こんなことは一昨年と今回の2回だけです。彼女の狂気と体の悪さを思い、後味の悪い一幕となりました。検査をし必要のない矯正をしないことが、この様なトラブルに巻き込まれない必須要件です。治療者の心の隙をつくゆすり、たかりが流行っているようです。ご用心ください。

令和5年3月25日



「寿命が尽きる2年前」 
  
久坂部 羊 著(幻冬舎新書)

 
帯に下記の要約があります。

 人はみな自分の寿命を生きる。自分の寿命はどこまで延ばせるか。「死を受け入れるのはむずかしい」と人は言うが、その達人はいるのか、
楽な方法はあるのか。悔いなき人生を全うするには?

    老衰とは「老化で死ぬほど衰えて死ぬ」ことで、当然つらい。
    寿命は延ばすより縮めない。
    寿命に逆らえば(延命治療etc.)最悪の苦しみがもたらされる。
    意外にも、がんなら「ほぼ2年後の死」がわかる。
    寿命が尽きる2年前とは「いつ」で、具体的に「何をなすべき」か。

 臨床医である著者は、死を受け入れる知恵として多くの先人たちの箴言を紹介していますが、その中に、良寛和尚が大地震に被災した知人に宛てた手紙を紹介しています。

  災難に逢う時節には、災難に逢うのがよく候 死ぬ時節には 死ぬがよく候 是はこれ災難をのがるる妙法にて候

 つまり、拒んでも訪れるものは、受け入れることで、無用な煩いを避けられるということです。逆に言うと、自分の都合にとらわれて現実を拒んでいる人は、無用に苦しまなければならないということになります。

 医療機関で原因が分からず様々な症状を訴える患者さんを、病名がつかない状態を維持しながら症状を改善することも我々予防医学の責務だと思います。医療の限界を知り、いざ病名が付いた患者さんに対して何ができるのか。普段治療法のことばかり考えている私達は、この様な本を読んでみるのもいいのではないでしょうか。

令和5年2月4日


「高額な医療費にあえぐ中国のがん患者」

 
19日のNHKBS1で放送された中国のがん患者の現状は、中国の人々の現代医学に対する信仰にも似た信頼感と実際に行われているがん医療とのギャップの大きさ故に、見ている者を切なくさせる内容でした。中国で行われているがん治療は、日本と同じ外科手術、放射線、化学療法ですが、人口に比例して乏しい医療資源に多くの患者さんが集中する故に、選択枝もなく一律な治療になり、それを年収の5倍以上の費用を出してまで自分の順番が来るのを待つという、それは精神的にも経済的にも過酷な現状でした。転移のない浸潤性ではない早期がんなら、その様な試練を乗り越えてでも受ける価値はあると思いますが、そうでないなら和田洋己先生の食事療法を選択したほうが寿命は伸びるのではないかと思ってしまいました。もしも中国の医師ががんの性質を見極め選別することができ、食事療法の力を認め、伝統の漢方治療を融合することができるなら、少ない医療資源のなかでもより多くのがんの患者さんが救われるのではないかと思ったりもしました。しかし、今の中国の人々は、漢方医に対して文革時代の「裸足の医者」のイメージを強く持っているからなのか、日本に来てつまらない市販薬を爆買いしています。そんな様を見ていると、私の思いは甘ちょろい夢なのかもしれません。

令和5年1月24日


神経細胞の寿命

 
寿命の長い神経細胞でも老化とともにその機能は低下していきます。その機能低下による症状は、最初は違和感、痺れなどで、次の段階は痛み、運動障害であり、その次の段階は麻痺であり、最後はその死による無感覚であろうと思います。カイロプラクティックの哲学でいうサブラクセイションは、椎骨の変位による神経根への物理的刺激によるものと定義されますが、臨床で患者さんが訴える症状には、サブラクセイション以外の寿命を原因とするものも多くあるはずです。いい例が、高齢の患者さんが噛むと歯が痛くて食べられないと訴えるケースで、歯科医は抜歯したり、神経を焼いたり、噛み合わせを調整したり、マウスピースを入れたり、TMJの矯正を行ったりしていますが、治療効果ははかばかしくないようです。原因が分からず痛みが治らないなら、歯科医は何を指標として治療してよいか途方に暮れているはずです。そんな時、もしも歯科医が筋力検査で神経疾患を示唆するアルミ棒TL陽性の有無を判定でき、そのTL陽性を陰性にする治療法を見つけるべく試行錯誤を行うなら、何らかの活路を見出すことができるかもしれません。

 寿命は食事制限により伸びることが知られていますが、その一方で脳の神経細胞は、老化により糖を十分に取り込むことができず、そのエネルギー源であるATPを産生する能力が低下するという相反する現象が起こっているそうです。そのため食事制限だけでは脳の神経細胞の機能低下を改善することはできないと思われます。カイロプラターはサブラクセイションがあればアジャストメントを行い、ないならアルミ棒TL陽性を陰性にする、例えば薬効のある植物の組み合わせ等を探すのも一手かと思います。患者さんの体質は様々です。このTL陽性を陰性にする組み合わせには、今のところこれという再現性のあるものは見つかっていません。臨床を積み重ねていく過程で、その先に何か新しい展開があることを期待しています。

令和5年1月1日



油はω3、ω6、ω9のどれにしようか

 
私は筋力検査の結果に基づいて合わない食品を見つけ制限してもらってきました。その際、患者さんに筋力検査の結果をどのように説明すれば実践してもらえるかが問題でした。そのため患者さんの頭に入りやすい説明の仕方を探して様々な健康読本を渉猟し、患者さんに合わない食品の問題点を記述したヵ所があれば、それを参考に説明してきました。しかし、私の筋力検査とどうしても整合しない健康情報が多くあります。その代表的な食品が食用油です。現在日本では、心臓病のリスクを低く抑えられるとして、ω3とω6に分類される油の比率は1:2以下が理想とされているそうですが、実際にはω6に分類される油が多く、その比率は1:10とのことです。そのためでしょうか、ω3系の亜麻仁油、エゴマ油、シソ油、青魚に注目が集まっているようです。そんな中、10月10日発行の崎谷博征著「ω3神話の真実」(秀和システム)は、ω3は必須脂肪酸でないどころか、不必要かつステロイドと同じ免疫抑制を引き起こす毒生物質であり、特DHAとEPAの危険性を指摘し、現代医学や健康ポップカルチャーのいう詐欺に引っ掛かっていけないとまで警告を発しています。本書は代謝過程の説明でカタカナの化学物質名が連続するため、私の様な文系の人間には理解できませんが、その言わんとするところは分かるような気がします。

 私の筋力検査では、確かにDHA、EPAは陽性になりますが、ω6系のナタネ油が、コレステロールを適正に保つというω9系のひまわり油が共に陽性になります。また、穀物アレルギーの人は、米油、コーン油が陽性になります。これをどう説明するかは置くとして、崎谷先生のご本のお陰で、ω3と6の比率に関係なく、患者さんには筋力検査上一番無難なω6系の紅花油をお勧めできるようになりました。

令和4年11月27日


全てのTLが陽性になった患者さん

 
70才の男性で、愁訴は左手を握ったときの違和感なのですが、全てのTLが陽性になりました。脊柱のサブラクセイションはなく、左肘の肘内障を矯正し、手首の手根骨を矯正することにより症状は改善しました。ただ、全てのTLが陽性になりましたのでその原因を探しました。大抵このような患者さんの愁訴の原因はアレルギーなのですが、抗アレルギー薬では陰性にならず、抗菌軟膏で陰性になりました。患者さんに痔疾はないか聞いてもないとのこと、どこか細菌が侵入するところを探していると、口内の歯周病菌が歯茎の傷から血行を介して全身に回ったためかと推定しました。口内洗浄液のリステリンのオリジナルを乗せると全てのTL陽性が陰性になり、歯磨きの後に口内を洗浄するように言って治療を終わりました。帰り際、患者さんに聞くと、左手だけでなく体全体に何となく違和感があったと話してくれました。TL陽性が何を示唆しているか判断できるか否かが治療の良し悪しを左右すると思います。症状は思いがけない原因で起こるものだと感じた次第です。

令和4年11月3日



トピックスで紹介した「がん劇的寛解」が書店から消えました

 
和田洋巳著「がん劇的寛解」(角川新書)を患者さん達にも読んでもらおうと推薦したのですが、都内のどの大型書店に行っても店頭に置かれていません。食品の制限によってがんを寛解させるという本書の内容が医学界で問題視されたためでしょうか、私的には、食品の制限を加えることにより、今のがん治療にさらなる延命効果が望めるばかでなく、がんの予防という意味でも大きな効果が期待できると思うので残念です。第2版の発行を期待しております。

令和4年9月30日

 昨日東京駅前の丸善の新書コーナーに「がん劇的寛解」第7版が棚の片隅に並べられていました。初版が3月20日ですから、静かなそして大きな注目を集めているのだと思います。是非一読されることをお勧めします。

令和4年10月14日

 各大型書店では本書が角川新書の棚に並べられるようになりました。

令和4年11月19日



訃報

 
近藤 誠 先生が8月13日に亡くなられていたことを、今日東京駅前の丸善で平積みになった先生の最新の単行本の前に立てかけられている手書きのポスターを見て知りました。先生の著書との最初の出会いは、1994年11月10日第1刷発行の「抗がん剤の副作用がわかる本」」でした。その以前からがん治療、特に抗がん剤治療に疑問を持っていましたので、目を開かせていただいたという強い印象が今も残っています。その後もがん治療業界からの強烈な批判を受けながら長きにわたり著作活動を続けられ、その勇気に対して尊敬の念をもって拝見しておりました。先生の「がん放置療法」の評価は賛否半々ということかもしれませんが、先生の存在なくして、過剰ながん治療を是正する動きは起こりえなかったと思います。開拓者としての先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

令和4年9月3日


首筋、肩甲間部の強い自発痛を訴える患者さん

 
50代半ばの女性。1年半前、寝違いで整形外科に行き左肩に低周波治療器と思しき筋肉がビクビク動く端子を当て通電しているうちに症状が悪化したそうです。2回MRI検査をしましたが、原因は見つかりませんでした。その間、以前から処方されていた高脂血症の薬の他に、鎮痛薬、筋弛緩薬、ビタミン剤、サプリメントを飲み続けても埒が明かず、さらに半年前、カイロプラクティック治療で座位にて膝で背中を押され、本人の言では劇的に症状が悪化したとのこと。以来高脂血症の薬、鎮痛薬、カルシウム剤、ローヤルゼリー、ビタミン剤を飲んでいました。

 当治療室での検査では、サブラクセイションはなく、甲状腺機能低下、婦人科疾患、膵臓疾患、骨粗鬆症、ホルモンのアンバランスのサインが出ました。症状の原因を探す過程で、婦人科疾患に利用される桂枝茯苓丸を乗せると全てのサインが陰性になり、副作用なく飲めるので薬局で購入してもうことにしました。今まで飲んでいた薬、サプリメントは全て陽性になりましたので止めてもらい、食品の検査では、牛肉、乳製品、海藻、砂糖、蜂蜜、アルコールが陽性になりましたので制限してもらいました。患者さんの話では、骨粗鬆症と診断されて昆布、ワカメを毎日食べるようにしていたとのことです。以上の検査結果から、症状の原因は、閉経により女性ホルモンが不足していることに加えて、海藻のヨード分を大量に摂取したため甲状腺機能が低下し、骨粗鬆症が悪化したようです。膵臓のサインは合わない大量の薬、サプリメントを飲んでいたためであり、加えて不必要な物理的刺激を受け続けていたため症状が悪化したと推定しました。2週間後に来室することを予約して治療を終わりました。経過を追ってみます。

令和4年8月13日

 この患者さんから2週間後ではなく5日後の今日診てもらいたいとの電話がありました。患者さんの話では、桂枝茯苓丸を最初に飲んだ後、元気が出てきて痛みを忘れるほどだったのですが、2~3日して飲んだ後は元気は出るのですがそれはすぐなくなり、動悸、不安感が午前中強く出るとのことで、首の痛みは変わらないとのことでした。触診ではサブラクセイションはなく、筋力検査では甲状腺の機能低下と骨粗鬆症のサインが陽性になっていました。桂枝茯苓丸を検査すると陽性になっていたため飲めなくなっていました。代わりにネイチャーメイドのカルシウム剤1錠を患者さんの体表に乗せると全てのサインが陰性になり副作用もなく飲めるようですので、食品の制限を守り1日1錠1瓶飲んだ後か症状が改善しないときに来室するように言って治療を終えました。この患者さんは本来非常に健康であるにもかかわらず、閉経期によくみられる骨量の低下に対して、不適切な食生活と様々な薬、サプリメントを大量に飲んだことによる薬害が症状の主な原因であったようです。

令和4年8月17日


大腸がん幹細胞が化学療法後に再発するメカニズムの解明

 
一昨日、NHKのニュースで、化学療法後に大腸がんが再発するメカニズムを慶應大学の研究チームが解明したとのニュースを見ました。早速ネットで検索すると、化学療法時、一部のガン幹細胞は基底膜にしがみついて休眠状態を維持していて、YAPシグナルの活性化とともにクローン増殖を再開するとのことです。このメカニズムは大腸がんに限られるものではなく、他のがんでも起こっていると推定されるそうで、研究の進展が待たれるところです。

 私の勝手な推論なのですが、がんの標準治療を受けた患者さんの中に、繰り返しビタミンCの点滴療法が適応になる患者さんがいます。これ等の患者さんの中に、サブラクセイションがなく腰痛、首肩の痛みを訴え、様々なTL陽性反応がでていて、点滴毎にほとんどの症状とTL陽性反応が消える患者さんがいます。この現象を患者さんには、点滴後数時間だけ、血中の濃度が消化器から吸収される数十倍になることにより、体中の細胞が大量のビタミンCを吸収し、細胞内でコラーゲンなどを産生する過程で大量の活性酸素が生まれ、それを消去するカタラーゼなどの酵素を持たないがん細胞の細胞核だけが破壊され死滅すると説明してきました。ただ、全てのがん細胞がビタミンCを大量に吸収し死滅するわけではないので、点滴療法が必要なサインが出たら再度受けるようにお願いしてきました。今回の研究報告にある一部のがん細胞が休眠状態にあるという報告は、そのためにビタミンCを吸収していなかったと考えられるので、私的には腑に落ちるものでした。

令和4年7月18日


日常生活で死を考えることが少なくなってきたためでしょうか

 
5年ほど前でしょうか、乳がんと診断された50代の患者さんがどなたかの紹介で来室しました。検査したところ、脊柱のサブラクセイションはなく、婦人科疾患を示唆するプラスティック棒等のTL陽性反応がでました。それら全てがビタミンC1瓶で陰性になり、副作用も認められませんでしたので、延命に効果があるからとビタミンCの点滴療法を受けていただくようお願いしました。私が延命と言うまで、この患者さんはリラックスしていたのですが、その瞬間目つきが変わり、延命とつぶやいて不安そうな雰囲気になってしまいました。病院で乳がんと診断されたにもかかわらず、ご自分がこれからどのくらい生きられるのかを考えることはなかったようです。制限すべき食品の検査をしてその日の治療は終わりましたが、それっきりになってしまいました。がんは治る病気だとか、あと5年もすれば治療法が開発されるなど、マスコミが根拠のない明るい治療の未来像を振りまくからなのか、それとも核家族化のせいで日常生活から死を考える機会が少なくなってしまったためなのか、いずれにしてもあの後、患者さんが大騒ぎを起こさなければいいのだがと、ふと思い出すことがあります。

令和4年7月16日


カルシウムの補給法における問題

 
多くの食品の制限をお願いし、カルシウム分を食事から十分補給できない患者さんで、明らかにカルシウムが不足して骨粗鬆症を心配しなければならないケースでも、骨格のどの部位でもカルシウム不足を示唆する骨棒TL陽性にならない患者さんがいます。この様なむずかしい患者さんでは、市販のカルシウムの錠剤だけでなく、医師が処方しているカルシウム剤やビタミンD錠でも筋力検査陽性になってしまいます。カルシウム不足のサインが出ない状態でこれらの錠剤を服用すると、便秘等の副作用が出ますので、服用してもらうことができない患者さんがいます。ビタミンCの点滴療法や何らかの薬草の組み合わせを服用した後、骨棒TL陽性が出てきて、カルシウムの錠剤を服用することができるようになることがありますが、再現性のある方法を見つけられないでいます。以前紹介した丸山優二著「臓器たちは語り合う」(NHK出版新書)にあるように、錠剤からカルシウムを大量に吸収するには、体の中で何らかの準備が必要なようです。他の臓器との関係を無視してカルシウムの不足には錠剤を大量に服用すれば良しとはいかないようです。

令和4年7月3日