HMA-9500MkUの修復         


最終更新     2012/12/12
修復開始  2011/3/8
 
 ここ暫く金田式アンプの製作が中心になってしまい、HMA-9500MkUも部屋の隅に哀れな格好で放置してあります。
これじゃああまりにも申し訳ないので修復をすることにしました。
HMA-9500MkUの改良のページを見ると約5年も経つんですね。
前回(5年前)は改良したつもりが壊してしまうというなんともお恥ずかしい状況で、これは修理をしてやらねばと金田式アンプの製作をしばし中断することといたしました。
  

  
焼損したノンカットオフバイアスモジュール
   
  
悪夢のような試運転から4年も経ったのでどこをどうしてどうなったのか全く覚えていません。
まあ、トランジスタが真っ赤になって火を噴いた(本当に火が吹き出た)ことは鮮明に覚えています。
原因はその後いろいろ考えてみたのですが、サービスマニュアルを見るとMOS-FETのケースとヒートシンク間の容量でも動作不安定になると書いてあるので、電線を引っ張りまわしたことで発信したのではないかと思います。
オリジナル基板はLチャンネルとRチャンネルでジャンパー線も異なっている位ですから、かなり微妙な状況が想像されます。
配線はオリジナルに戻すことにしましょう。 
  



 取り外したトランジスタ

トランジスタを取り去ったモジュール
 
トランジスタの選別を行いました。 NPN、PNPのhfeを測定し、ほぼ同じものを選別します。
まあなんと小さいのでしょう。
昨年老眼鏡を買ったのでこんな細かい作業も全く問題なし!!
 

   
こんな感じで測定 
   
選別したPNPとNPNのトランジスタ
モジュール修理完了          2011/3/10

モジュールにトランジスタを取り付けました。
老眼鏡を使っても厳しい作業です。 半田がてんこ盛りになったのはご愛嬌ということで。
 

HMA-9500Uの特徴のノンカットオフバイアスモジュール。 もっと大きな(普通サイズの)トランジスタで組んだほうが良いのかもしれません。
 
修復再開 2012/11/2
 
またまたあっという間に2年近くが過ぎてしまいました。
自作パワーアンプも再組立て完了しましたので次はいよいよ9500の修復に移りましょう。
今回の修復のポイントは、、、、オリジナル配線に戻すことです。
問題はFET周りで、ソケットを廃棄してしまったのでFETに電線を直付するしかないので、そのあたりにひと工夫が必要です。
あとは、前回のトラブルでどこまで部品が壊れているかがまた問題。
コンデンサは新しいものに交換したので、今回は抵抗も安いオーディオ用に交換という手も、、。
とりあえず半導体関係のチェック、交換から行いましょうか。
  
分解 2012/11/3
 
基板を修理する前に分解です。
前回のトラブルの名残が残っていますね。 溶断したヒューズが悪夢を思い起こさせます。
 


  
火を噴いた基板は外してあります
   
この配線の引回しがトラブルの元

  
配線を取り去り基板を外しました
  
ヒートシンクも外します
 
ここまでばらしたのですから再度塗装を行いましよう。
フルレストアの開始です。
  

塗装 2012/11/4

まずは、お化粧直しといきましょう。
4年も裏返しで置いておいたらヒートシンクとトランスに敷物の跡が付いてしましました。
うまくきれいになりますでしょうか。
  


  
トランスとコンデンサカバーを外します
  
トランスにクリア塗料をかけます
 
トランスに付いた敷物の跡を目の細かい耐水ペーパーで慎重に消していきます。
こすりすぎると塗装が剥がれてしましますので慎重に慎重に。 描いてある絵を消さないようにしなくては。
ペーパーで擦ると白っぽくなってきますが、クリアをかけてやれば消えるるので大丈夫。
本日はトランスとコンデンサカバーを塗装しておしまい。 ヒートシンクは黒を吹いてからクリアをかけます。
シャーシは組み上げてからクリアを吹きます。
しかし、改めて細部を見るとヒートシンクやトランス、コンデンサのカバーなどよくできていますね。 金をかけた躯体です。
さすがに日立製、メーカーの特色が出ているといえます。

  
配線開始 2012/11/7
 
トランスの塗装が完了しましたので配線にかかります。
 


  
トランスとコンデンサカバーの取付け
  
ACラインと電源周りの配線

  
平滑回路のΛコン
  
電源基板
 
電源周りの配線を行いました。 メーカー製のアンプは配線がしやすいですね。
端子が酸化しているので半田付けには注意と手間が必要。
  
FETの確認 2012/11/7
 
ヒートシンクの塗装も終わりFETの取付を行います。
その前にFETのチェックを行います。
結果は、、、、2SK135が1個、2SJ50が2個昇天していました。
片チャンネルは全て取り換えが必要です。
どうせなら全交換ということに。
 


  
昇天していたFET

  
選別したFET
まあ、前回のトラブルでドライバー段のトランジスタが火を噴いたのですから、終段のFETも無事では済まないと思っていましたが、やはり片チャンネルはほぼ全滅でした。
今も鮮明に覚えていますが、トランジスタのリードが赤熱し、玩具花火のように、まさしく火を噴いたのですから。
手持ちのFETが2台分はありますので全交換としましょう。
ドレイン電流150mAの時のVgsでペアを組みました。
基板のほうをどうしようかと考えていますが、かなりの電流が流れたはずなので、どこまで影響があるかがよくわかりません。バイアスモジュールも焼損したのでその周辺も心配です。
トランジスタはできる限り交換、抵抗も抵抗値の確認だけでは不安なので、基本的にはほぼ全て交換しようと思います。
中途半端に交換して、また火を噴いたのでは大事ですから。
それに抵抗くらいでしたら全交換してもそんなに費用がかかりませんし。
問題は終段のFETをどう配線するかです。
 
 
抵抗とダイオードの交換 2012/11/18
 
抵抗を交換するため在庫を調べたら、ありましたありました。
そういえば抵抗関係は以前購入してあったのでした。
その他の部品も確認すると半導体関係は一式そろっています。
とりあえず手持ちの部品で交換し、不足分を購入することにしましょう。

   

  
外した抵抗とダイオー

  
交換後
外した抵抗とダイオードを調べてみると、抵抗関係の破損はないようです。
ダイオードは1個不良。 
但し抵抗は1個カラーコードの見間違いで若干抵抗値の違うものが付いていました。

 
FETの取付 2012/11/18
 
部品の交換は終了しました。
結局1W以上の抵抗を除いて1/4Wの抵抗は全て交換、ダイオードは全て交換、トランジスタも電源を除いて全て交換、終段のMOS-FETも全て交換しました。
初段のFETも交換しようかと、、、、。
※結局FETも交換しました
  

  
アンプL、Rチャンネル基板
  
バイアスモジュール周辺


  
終段のMOS-FET
  

 ← 他のアンプからの流用なので足が短い
 
これで基板関係は完了しました。
外した部品は全て確認しましたが、悪夢のような焼損事故の結果 ダイオード3個、ドライブ段のトランジスタ2個、ノンカットオフバイアスモジュール、終段のMOS-FET3個が不良となっていました。
オリジナルはヒューズ抵抗を使用しているので半導体関係はかなりの確率で保護されているのでしょうが、当方の9500は全て”普通”の抵抗にしてあるので、このようなことがあると被害が甚大になります。
こんなもんで済んでよかった、、、、と言ってもテスターでは分からないダメージを考え全交換としました。
リレーの接点も清掃しました。
FETの足が短いので基板との接続の仕方が問題です。 ソケットを捨てなければよかった。
あとは基板の取付と配線、、、あと少し。

    
FETの配線 2012/11/18
 
FETの短い足と基板の接続は1.2mmのポリエステル銅線で行います。
これでトランジスタソケットと同じような形になります。
 


  
実測で形を決めて長さを調整

  


  
仮組の状況
  
どうしようかいろいろな方法を考えてみましたがこれが一番最短距離で確実、且つ音質劣化が少ないかと、、、、、。
簡単なのは足を棒状の端子で伸ばすことですが、こちらの方が格好いいと思いまして。
FETの足と銅線の接続はコネクタのピンを利用して半田付けを行う予定です。
それにしても短すぎる。

配線完了 2012/12/6
 
FETの配線(接続)も何とか完了し、基板周りの配線を行いました。


  
入力のシールド線と抵抗
  
出力の配線と抵抗

   ←入力シールド線の基板側
  
FETの接続も完了しいよいよ入出力の配線をと思ったら、、、、あれまあシールド線が基板にはんだ付けできないではないですか。 FETと接続する前に基板にシールド線を配線しなくてはいけないのを忘れてました。 (大汗)
FETの接続を外す元気もないので初段FETのゲートの抵抗(R701)の両端にはんだ付け。
いよいよ試運転の日が近づいてきました。
5年ぶりに音が出るか、火が出るか!! 何とも恐ろしい試運転になりそうです。
半分以上の部品(交換の必要のないものまで)を交換したので大丈夫のはずですが。

  
調整 2012/12/10

 電源電圧のチェックを行い基板に電源の配線を行います。
各チェックポイントにテスターを繋ぎ緊張のスイッチONです。
祈るようにスイッチを入れるとテスターはほどほどの値を示しています。 これで大きなミスはないことがわかります。
調整用の半固定抵抗を回していくと徐々に規定値に近付き中間点を少し過ぎたポイントで規定値になりました。
もう一か所のチェックポイントにテスターを繋ぎ半固定抵抗を回し規定値にします。 こちらも中間点を少し過ぎたところで規定値になりました。
バイアス電流も1FET当たり200mAと規定値100〜300mAの真ん中です。
次に中点電圧の調整です。
半固定抵抗を回し規定値の5mV以下にします。 1.5〜3mVほどに調整できました。
オシロスコープで出力を見ると発振などもなく、ノイズと思われる波形も問題ない範囲です。
とりあえず電源を落とし一安心。
本日は時間がなくもう片方のチャンネルは明日にします。
何とかうまくいきそうです。

  
調整完了 2012/12/11
 
昨日に続きLチャンネルの調整を行います。
Lチャンネルは前回火を噴いた方で、ほとんどの部品を交換してあるとはいえ大いに不安がありました。
まして、HMA-9500U修理のポイントのノンカットオフバイアスモジュールもうまく動作するか、、、、。
各チェックポイントにテスターを繋ぎスイッチON。
異常な電圧は出ていません。
チェックポイントの電圧も特に問題なく調整できました。
アイドル電流もRチャンネル同様1FET当たりほぼ200mAです。
何とか調整完了です。
音出しの時間がないのでとりあえずオシロスコープとオシレータを繋いで波形が出るかの確認だけします。
ちゃんと波形が出ましたし、オシレータのレンジを切り替えても振幅に変化はありません。
これで音も間違いなく出るでしょう。
明日はいよいよ音を出してみましょう。
約5年ぶりの音はどんな音でしょう。
あ〜疲れた。

  
復活 2012/12/12

試聴の前に再調整を行います。
10分ほど電源を入れDCバランスと各チェックポイントの電圧、アイドル電流の確認・調整を行いました。
いよいよ試聴を行います。
 

 
電源を入れスピーカーに耳を近づけてもハムやノイズは全く聞こえません。 レコードに針を落とすと無事に音が出ました。
5年ぶりの音です。 購入してから8年近くになりますね。
このアンプは電源投入後30分ほどすると音の感じが変わってきます、、、という感じがします。
30分というとちょうどアルコールの効果が出始めるころで、アンプの音自体が変わるのか、当方の脳の機能が変わるのか正直言ってわかりません。
世の中エージング効果というものもありますのでこのアンプも暫く使ってみてからの評価ということにします。
5年前の改修でコンデンサは全て交換してありますので、アンプ部は抵抗数本を残して全て交換してあり、落ち着くのにはいくらか時間がかかるかもしれません。
しかし、1時間ほどの試聴で感じたことはA級50W同様MONITOR2001を強力にドライブしているようです。
いずれにしても良いアンプですね。
メンテナンスはし易いしバイアスモジュールも修理可能なので遊ぶには良いアンプですね。
このアンプのように2万円位でジャンク品を入手できればもう1台くらいは欲しいものです。
日曜日にでももう少しお化粧をしてあげましょう。
  
 
音について 2012/12/24
 
音が出てから約2週間、、、、感想を一言。
といっても音がどうのこうのというのもかなり主観的な部分なので普段からあまりこのホームページでも詳しくは書いてきませんでした。 自分の耳の周波数特性もわかっていますし、音楽を聴くのは98%はアルコールで感覚が低下しているときなのでして、、、。
しかし、やはりエージング効果というのはあるようで、ここ2〜3日音がしっかりとしてきたように思います。 低域の出方に締りが出てきました。 という程度にしておきましょう。
近いうちにA級50Wとの聴き比べをやってみましよう。 試聴位置からリレーで2台のアンプの出力を切り換えできるようにして、出力レベルもきっちりと合わせておいて交互に切り替えながら比較してみます。 これが一番確実な比較です。
音量によっても音の印象が大きく変わりますから。
その結果は後程ご報告いたします。