金田式 AB級70Wスペシャル ”TIM7” パワーアンプの製作 |
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最終更新 2010/7/17 |
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次の金田式アンプをどうしようと考えたのですが、手持ちのパーツをフルに使用してオリジナルに近いものを作るとなるとやはり50Wになりそうです。
120W以上は終段のトランジスタが2SB541と2SD388になりますが、メサ型の541と388の手持ちが足りないのです。
そうなると終段はA627とD188となり、最大出力は80Wが限界のようです。
それから手持ちのトランスの関係もあり最終スペックは
・最大出力70W
・A級動作50W
・終段2SA627、2SD188の4パラ
・基本回路 A級70Wと同じでアイドリングのみA級動作50Wまで下げる
となります。
まあ、製作途中でいくらでも変更できるので最終的にどうなるかは、、、、お楽しみ。
このアンプは名前を付けました。
部品を提供していただいた T さんの” T ”と I さんの” I ”とMJ4018の”M”と70Wの” 7 ”で TIM7 とします。本当に T さん I さんには感謝です。
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電源トランス |
2008/8/28 |
電源トランスはパイオニアのプリメインA717の電源トランスを使用しましょう。
40Vのトランスなので70Wに必要な35VDCは十分に取れます。
手持ちの個数は4個なので左右独立電源もしくはツインモノ構成にします。
トランスの容量は1個186VAとなっているので4個で約750VAとなり、800VAのカニトランスといい勝負になります。
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← パイオニアのA717の電源トランス
これを4個使用します。 |
これから部品を集めます。
抵抗は進の抵抗、半導体はほとんどオリジナルでいけるでしょう。
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シャーシ加工開始 |
2008/9/22 |
いよいよ製作の開始です。
モノラル2台の構成にしようかとも思ったのですが、やはり迫力重視でステレオ構成にしました。
電源は左右独立電源です。
トランス4個、ヒートシンクは12個となり結構なボリュームとなります。
しかしサイズはW464mm D352mmに抑えました。
電源のコンデンサはトランスの下に入ります。
放熱を良くする為に冷却ファンを何個か付ける予定です。
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ケースはどうしようかといろいろ悩みましたが、コンパクトにするにはオリジナルしかありません。
3mmのアルミアングルで組んでいきます。
アングルで組む利点は、穴あけをする必要が無いことです。
ヒートシンクを12個も付けると穴あけが地獄のような作業となしますが、アングルならば切ってボルトで固定するだけです。 3mmのアングルは相当な強度を確保できます。
とりあえず本日は2時間半ほどで上部の枠組みが8割ほど終わりました。
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上部のフレームは t3mm 20mmのアングルと
t3mm 20×40mmのアングルを使用
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ヒートシンクを1個だけ乗せてみました |
基板の製作開始 |
2008/10/2 |
基板の製作を開始しました。
基板のボルトは製作時の部品保護用。 裏返して半田付けをする時に便利です。
上はL・Rチャンネルの+−35Vと保護回路。 下は+−50VとDC検出基板です。
今回は取り外した半導体も使用してできるだけオリジナルに近づけるようにします。 手に入らない部品は現行の金田式アンプの部品を使用。(但し予算の関係で変更の可能性あり、、、、この辺が軟弱なところか)
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シャーシ組立とパワートランジスタの配線 |
2008/11/2 |
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12個のヒートシンク
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電源の制御トランジスタ |
部品の取付け開始
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2008/11/10 |
シャーシの塗装も終わりいよいよ部品の取付けです。
このシャーシにフロントパネルを取り付ける予定です。 本当はこのままのはずでしたが、フロントのねじ穴のパテ埋め処理が不十分でねじの跡がわかってしまうので、、、、、、。
苦肉の策でフロントパネルをもう一枚付けることにしました。
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上面
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裏面 基板取り付けのスペーサーと配線用の端子を取付け |
トランスとヒートシンクの取付け
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2008/11/11 |
いよいよ大物の取り付けです。
トランスとヒートシンクを取り付けました。 取付け穴もまあまあの精度で、特に修正なくして完了です。
ヒートシンクだけでも結構な重量になり、トランスを4個つけたら腰が抜けるような重量になってしまいました。
その代わりボリューム感はかなりのものです。
配線作業の間にぎっくり腰にならねば良いが、、、、、。
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上から
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裏面です |
製作再開 |
2009/3/1 |
プリアンプの製作で中断になっていましたがいよいよ再開です。
取り付け場所とその方法にかなり悩んだコンデンサも無事取付が完了しました。
トランスの取付ネジが僅かに当たってしまいましたので、取付ネジを交換してなんとかクリアランスを確保できました。
それにしてもぎりぎりで、ナットを締めるのに一苦労しました。
電源関係の配線も一部行いました。
とりあえず基板以外の部品は全て付きましたが、コンデンサのおかげでまたまた重量が増えました。
作業で一階と二階を何度も往復し、アンプの移動で腰に負担がかかり体中が痛くなってしまいました。
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コンデンサは市販アンプの流用品です。
容量抜けは無いと思うのですが。
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AC100V関係は12Vのリレーを使ってON-OFFします。
将来的にはDC12Vを使ってシステムをコントロールする予定です。 |
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ツインモノラル構成はやはり複雑になります |
青はリセットスイッチの配線
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基板周りの仮配線を行いました。
後は試運転です。
やはりツインモノラル構成は配線が複雑になりますね。 モノラル2台構成にしたほうが良かったかしら。
重くて、指をかけるところがないので、移動は手の痛みと腰の痛みを堪えながらになります。
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+−35V電源試運転 |
2009/11/9 |
+−35V電源基板の配線も終わりいよいよ試運転です。
操作回路のDC12V電源を繋ぎいざ試運転とおもいきや、12V電源のヒューズが飛んでしまいました。
ヒューズを交換したら問題なく動作。 いや〜な雰囲気。
最初に+35V側をチェックです。 入力の配線をしテスターを接続しスイッチON。 32Vが出たところでとりあえずスイッチOFF。
何とか正常のようです。 再度スイッチをONし調整用の半固定抵抗を回すと無事35Vに調整できました。
一安心。
次に−側の調整です。 配線し直してスイッチON。
ありゃ〜電圧が出ません、、0Vです。 こりゃあいかん。
気を取り直して今度は反対側の調整を行います。
+35Vは一発でOK。 しかし、−側がこちらも出力0Vです。
左右のチャンネルとも同じ症状なので、これはどこか配線ミスをしています。
基板をひっくり返しパターン配線のチェックを行いましたがミスは無いようです。
暫く回路図を見ていて、、、、う〜ん、、、あっそうか。 原因発見。
−側の調整を行う時に+側の配線を外していました。 そのため制御TrがOFFのままでした。
+側の配線も行い再度スイッチON。
今度は−側も電圧が出ました・・・・・ありゃあ?42Vも出ています。
慌ててスイッチOFF。 なんだ〜?
再度スイッチONして調整用の半固定を回してみると電圧が変化します。
んっ、半固定を回すと増えるはずの電圧が減少します。 これかー、原因は。
なんと半固定の回転が逆でした。 何回も確かめて半固定にマークまで付けたのに、そのマークが逆なんて、、。
なんというケアレスミス。
逆に回しきり調整をしたらちゃんと35Vになりました。
いつものことながら情けない、お恥ずかしい、、、トホホホホ。
その後保護回路の動作確認を行いました。 保護回路の基本チェックはOKでした。
後日DC検出と過電流保護のチェックを行います。
しかし、短時間ながらOPアンプには定格を数Vオーバーする電圧がかかってしまいました。
このあたりが金田式の難しい点で、ちょっとのミスでパーツの定格をオーバーしてしまいます。
一応正常に動作しているようですが、念のためOPアンプを交換することといたしましょう。
在庫が無かったので通販で購入してから再度調整することにします。
それにしても最近ミスが多いな〜。
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+−35V電源最終確認 |
2009/11/14 |
通販で購入したOPアンプが届きました。 基板裏の配線をそのままに(1箇所だけ外して)OPアンプの交換作業を行いました。 配線を退けながら何とか交換できました。
配線を元に戻しヒューズの両端にワニ口クリップを付けたリード線で電源供給を行います。 スイッチON。
無事に35Vが出ました。 次に保護回路の最終チェックです。
まずはDC検出からです。 DC検出端子に乾電池を繋ぎます。 ありゃあ、保護回路が動作しないぞ。
次に反対のチャンネルも試してみます。 今度もNG。 これは配線ミスか??
もしかして左右逆になっているのでは・・・と思い反対チャンネルのDC検出に乾電池を繋ぐと見事に動作。
よーく見ると左右逆に繋いであります。 35Vの基板は+と−が前後に並んでいるので思わぬ勘違いでした。
残るは過電流保護の確認をを行って、正式に配線するだけです。
それにタンタルコンデンサも接続しなくては、、、、。 何せ耐圧が35なので電源が完成しないうちは接続できません。
無理に耐圧ぎりぎりのタンタルにしなくても良いとも思うのですが、その辺が金田式のスリリングな部分でして・・・。
時間が無いので続きは後日。
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+−35V電源確認結果 |
2009/11/15 |
電圧と保護回路の動作確認を行ったので正式な配線を行いました。 電源が2組入っているので配線が込み合っています。 こういうのは宜しくないな〜。
再度保護回路のチェックをします。 DC検出、過電流とも正常に動作しているようです。
次にオシロを繋いで発振等が無いかの確認を行います。
結果は・・・・・。
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Lチャンネルの結果 上+側 下−側
2mV/DIV 0.5ms/DIV
これはノイズでしょう
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Rチャンネルの結果
こりゃあいやな波形が
0.2V/DIV 5μsec/DIV
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RチャンネルがNGですね。
電圧調整用の半固定抵抗の金属部分をやOPアンプの周囲の部品を触ると僅かに周波数が変化します。
ご指定のコンデンサがタンタルコンデンサなのですが容量が足らないので、ケミコンをパラっているのですが、このあたりも関係しているのか? 基板の部品配置や配線パターンはオリジナルに近いのですが、何箇所か恐れ多くもアレンジしているのが原因でしょうか。
それにしても何でこんなにトラブルのでしょうか。 まあ、あえてオシロで確認しなければ「電圧が出たところで、メデタシメデタシ」で祝杯をいっぱいキューっとやるのですが、これでは悩みの種が増えたようなものですね。
近年の金田氏発表のアンプは電源は非安定化で、これなら少なくとも電源が発振するというような恐ろしい事は無いわけで、それだけでもかなり作りやすくなっているのでしょうね。
そんな時代に、初期の発振しやすいアンプを、それもあろう事かツイン・モノ構成にして狭いところにパーツを押し込んだアンプを作ること自体、ほとんど狂気の沙汰である・・・・と我ながら思います。
製作を開始して1年2ヶ月を超え、もう少しで完成というところまでいって発振じゃあ涙が出てきます。
・・と泣き言を言っていてもしかたが無いのでもう少しがんばって音を出しましょう。
先輩諸兄のアドバイスをお待ちしております。
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+−35V電源完成 |
2009/11/17 |
一昨日の続きで電源のチェックを行いました。
ためしに−側を外して+側だけチェック。 やはり同じ状況です。 そうすると+側がおかしいのかなあ?
保護回路までの配線2本とア−スの線を外して基板をひっくり返し(といってもほぼ直立が限界)位相補正あたりの半田付けをチェック。
なんでもないようだなあ。 OPアンプを交換してみようかな、、、でも面倒くさいし。 半分やけくそで、もう一度配線し直してスイッチON。 おっと、出力電圧を見ていたテスターの表示が60Vだ!!
慌ててスイッチを切ってテスターのリードを確認。 間違いないな〜。 試しにもう一度スイッチON(晩酌のアルコール効果か、、、恐ろしい)・・・・やはり60V。 なんだ〜。 おーっとアースを繋ぐの忘れているぞ!
こりゃあOPアンプはたまらんだろうな。 これでOPアンプを交換せざるを得なくなり、拡大鏡片手にやっと交換終了。
細かいことを考えずに配線し直し、テスターとオシロを繋いでスイッチON。
35Vに調整して完了。 そうするとなんということでしょうか、変な波形は綺麗さっぱりなくなりました。
やはりOPアンプだったのでしょうか。 本によると標準補正の1/5程度とのことで、OPアンプの個体差が出るのでしょうか。 何はともあれ結果オ〜ライ。
何とか電源が完成しました。 メデタシメデタシ。
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アンプ基板組立完了 |
2009/11/19 |
部品は既に実装済みで、パターン配線も半分は済んでいたのであっという間に組立完了。
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使えそうな部品は全て流用。 部品の劣化がなければよいのですが、、、、。
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コンデンサはあえて当時のマイラーを流用しました。
半固定抵抗などもバイアス調整以外は流用。 なにせDCバランス用は今となっては”幻”のコパルのNX-13Tですから。 バイアス用はトラブルが心配なので新品に交換しました。
音が出るのも近い。
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片側だけですが音が出ました |
2009/12/14 |
アンプ回路試運転からあっという間に3週間が経ちました。 不調なチャンネルはそのままにもう片方の試運転を行います。 まず電圧増幅段のチェックです。 テスターを接続しスイッチON。
電圧は特に問題なさそうです。 DCバランス等の調整を行い小休止。
パワー段の配線にヒューズとテスターを接続し、緊張しながらスイッチON。
パワー段の電流値は1.37Aです。 A級動作は30Wというところでしょうか。 再度DCバランスを調整して一度スイッチOFF。
ここまでくれば音を聴きたくなってきますね。 今日は時間が無いのでとりあえず音を出してみましょう。
入力にプリの出力を入れ、スピーカー端子に試験用のスピーカーを接続して再度スイッチON。
ボコッと音がしますがハムやノイズは無いようです。 CDをプレイにしてプリのボリュームを上げていくとスピーカーから音が出てきました。 ホッとする瞬間ですね。 これが楽しみでアンプを作っているようなものです。
試運転用の安いスピーカーですが結構良い音が出ています。
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向かって左側がNG、左側はOK
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仮配線のまま音だし |
とりあえず音が出て一安心ですが発振のチェックがまだです。
発振チェックの後正式に配線しOKならばNGのチャンネルに移りましょう。
2N3954のゲート漏れ電流かなあ。
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両チャンネル完成 |
2009/12/16 |
昨日に引き続いて不具合のあるチャンネルの確認を行います。
パワー段に電流が流れないのはバイアスが正常にかかっていないということなので、おそらくバイアスの配線が逆になっているのではないかと思われます。
アンプ基板をひっくり返しパワーTrのベースの配線を確認すると、ピンポーン!!やはり逆になっていました。
確認したつもりなのに。
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もう片チャンネルも正常動作
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あとはパイロットランプと保護回路動作表示LEDの固定 |
配線を直して再度動作チェックを行います。
今度はOKです。 アイドリング調整半固定VR最大で1.49Aです。
反対チャンネルより100mAほど多いけどとりあえずOKとしましょう。
オシロで見ても発振もなし。 ノイズやハムも問題ない程度です。
CDでの音だしもOK。 正式に配線して再度アイドリングの電流値を確認して完了。
全く発振せずに完成したのは初めてじゃあないでしょうか。
後は電源のパイロットランプ(LED)と保護回路の動作表示LEDを取り付けて、最終調整して完成となります。
シャーシも塗装の剥げが少しあるので化粧もしてあげましょう。
製作開始してから1年4ヶ月かかりました。
製作に集中すれば3ヶ月もあれば完成するのでしょうが、アンプだけではなくプラモを作ったり車をいじったりで時間だけが過ぎていきます。
まあ、楽しませてもらったといえばそれまでですが。
それと置き場所を考えなくては。
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早速トラブル発生 |
2009/12/17 |
試運転に気を良くして本格的な視聴をやろうと視聴用スピーカーを両チャンネルに接続し、プリアンプを繋いでスイッチを入れたところ保護回路が動作。 暫く経ってからスイッチを入れなおしても同じ。
スイッチを切るとしばらく経ってから「ぎゅーん、ボコッ」という音とともにスピーカーのコーン紙が前にせり出します。
なんだこりゃあと思いながら入力のピンジャックを抜いてスイッチを入れると保護回路は動作しません。
作業用のテーブルに乗せなおし再度配線してスイッチを入れると今度は保護回路も働かずちゃんと音楽がスピーカーから流れてきます。
直ったか?? 一旦スイッチを切って再度入れるとまた保護回路が動作。
その後状況を確認した結果、片チャンネルは問題なく動作はしますがスイッチを切ると「きゅ〜ん」と音を発します。
もう片方のチャンネルは相変わらず保護回路が動作します。
時間をおくと動作しないこともあります。 DC検出の配線を外しても動作。 しかしVCCにヒューズを入れても切れないので実際に過電流では無いような気がします。
保護回路の誤動作??
電源を切るとき「ぼこ、きゅ〜ん」じゃあいけません。
電源スイッチONの時の「ボコッ」もA級50Wより大きめです。
しかし、ハムはほとんどありません。
不調のチャンネルは電源の−側のコンデンサが怪しいのでそれが原因??
やはり簡単に完成とはいきませんね。
いつもの事ながらこういうトラブル時は自分の知識の無さが身にしみます。
何かアドバイスをいただければ幸いです。
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健康診断 |
2010/1/3 |
久しぶりに電源を入れました。
問題なく音が出ます。 DCバランスもまあまあです。 音もちゃんと出ます。
しばらくテスト用のスピーカーを音を出していると片チャンネルの音が変です。
LとRを入れ替えて見ようと思い、電源を落としプリの出力を入れ替えて音を出します。
今度は反対のチャンネルの音が変です。 これはスピーカーか??
スピーカーに耳を近づけるとツイーターから音が出ていません。
ツイーターを外しテスターで調べると、、、成仏なさっておられました。
いつの時点でそうなったかは不明ですが、今回の試験の最中かもしれません。
新年早々これじゃあ今年も大変な年になりそうです。
音自体は問題ないようなのでとりあえず第一回の体力測定をしてみました。
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上:アンプ出力 下:オシレータ出力
1kHz
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上:アンプ出力 下:オシレータ出力
10kHz |
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上:アンプ出力 下:オシレータ出力
100kHz
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ダミー抵抗 8Ω (16Ω//16Ω) |
周波数特性はオシロの振幅からみて大体180kHz位まではフラットです。
方形波の波形も1k、10kHzで僅かなオーバーシュートが見られます。
これは「最新オーディオDCアンプ」に出ている波形とほぼ同じです。
ハムやノイズも問題なく好結果です。
出力のDC電圧も電源投入直後は55mVで10分で±数mVに落ち着きます。
うーん基本性能はまあまだな。 ということは保護回路が誤動作しているのでしょうか。
A級50Wも電源を切るときに保護回路が働くことがあるので再確認の必要があります。
どうしてもだめなら保護回路だけ最近のものに変更したほうが良いのでしょうか。
誤配線を含めて再チェック。
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原因調査 |
2010/1/11 |
保護回路が動作する件に関して再度状況をチェックしてみます。 まづは調子の悪いチャンネルから。
最初に電源を入れた場合は問題なく動作します。 DCバランスも良好ですしアイドリングも1.37Aから徐々に上昇し10分程度で1.45A位に落ち着きます。 音も実験用の安スピーカーですが問題なく出ています。
そのまま20分程経っても以上は認められません。 問題はそれからで、一回電源を切るとその後は保護回路が動作してしまいます。 DC検出を外しても保護回路が瞬時に動作します。
ということは過電流で動作していることになります。 しかし、アイドリングは安定しています。
オシロで見ても発振はしていません。 う〜ん、、、、。
考えられるのは以前電源基板のアースの配線を繋ぎ忘れたときに電源出力に62Vが出たことがありました。
OPアンプは交換したのですが、その時保護回路関係のトランジスタを道連れにした可能性があります。
交換してみるか、、、、、ということでDC検出と過電流検出のトランジスタを交換してみました。
結果は・・・同じです。 やはり1回電源を切ると保護回路が動作します。
過電流を確かめるために電流計を入れても瞬時に保護回路が働くので計りようがありません。
今までは+側に電流計を入れていましたが、試しに−側に入れてみました。
するとやはり保護回路が動作しましたが、無理やりリセットスイッチを押すと一瞬テスターの値が2Aを指した。
これはと思いつつ、しつこく電源を入れたり切ったりしてみると(半ばやけくそ状態)電流値が2.85Aを3秒ほど指してから保護回路が動作します。
再度スイッチを入れなおすと同じ状態です。 それからは瞬時に動作するので計測不可能です。
ということはスイッチを入れた直後は1.37Aでその後1.45A程度で安定し、一回スイッチを切ると2.85Aから一気に保護回路が働く電流値まで上昇するということ??
そうなるとやはり過電流が流れて保護回路が動作しているようです。 温まると発振するのでしょうか。
それともバイアス回路の不具合で過電流が流れるのでしょうか。
今回は発振の気配もないのでバイアス回路が問題なのでしょうか。
原因を確かめるのに保護回路を外してヒューズを入れて動かしてみるのも手なのですが、無理をして他の部分まで壊れるのもばかばかしいので、とりあえずドライバー段のベースの両端の電圧でも計って見ましょうか。
バイアス回路のトランジスタかバリスタが不良ということも考えられます。 パワートランジスタの不良も。
もう片方のチャンネルは突然保護回路が働きその時は出力に8V程度のDCが出ます。
このように途中から不具合が出るというのはだめですね。 多少発振気味ながらも安定しているほうがまだ対処しやすいようです。
いっそ1回分解して確認した後1台ずつケースに入れなおしましょうか。
なぜかというと、重すぎるし、詰め込みすぎでメンテナンスはやりにくいし、、、、。
今年も新年早々から苦行の日々であります。
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原因調査その2 |
2010/1/12 |
昨日に引き続き原因調査を行います。
最初に電力増幅段のバイアス電圧とパワー段の電流値の変化を見てみました。
電源投入直後は電流値1.23A、バイアス電圧2.56Vです。 時間の経過と共に電流値は増加し、バイアス電圧は僅かに減少をはじめます。
15分ほどでバイアス電圧2.6V、電流1.47Aでほぼ安定します。 温度補償もばっちりですね。
出力のDCも2段目のコレクタ電圧も問題ない範囲です。
う〜んこの状態なら最高なのに、、、、。
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20分後に電源OFF。
再度投入でまたもや保護回路動作。 パワー段の配線を外して電源だけで出力電圧のチェックをします。
そうするとマイナス側が電源OFF後電圧が15Vまで下がると一気にゼロになり2秒後に10V位まで復帰しその後ゼロまで下がります。
プラス側はゼロまで徐々に下がっていきます。
そうか、だから電源OFF後暫く経ってからスピーカーが「ボコッ」というのか。
トランスの電圧が若干高めなのでどこかの抵抗でも変更が必要なのかしら。
もう少し回路図を眺めて見ます。
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原因調査その3 |
2010/1/13 |
どうも本当に過電流が流れているようには思われないので、今日はその部分のチェックを行います。
動作電流設定用半固定抵抗を少し大きめに設定し、電源とパワート段の間に2Aのヒューズを入れます。
保護回路の動作設定電流値は7A程度なので、いくら遮断時間が短時間でも2Aのヒューズは切れそうですし、切れないまでも何らかの変化が出ると思われます。
暫くスイッチを入れたままにしておきスイッチを切ります。
再度スイッチON。 保護回路が働きましたがヒューズは切れません。 ガラス管の中のヒューズはまったく変化が見られません。
やはり過電流ではないのか?
そうすると保護回路が誤動作している可能性が大ですね。
回路図とにらめっこしながら再確認です。
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原因調査その4 |
2010/3/4 |
あっという間に2ヶ月が過ぎました。 年明けから仕事の関係から気忙しく、最近は体調もパッとしなかったので全く手付かずの状態でした。 かといって全く作業をしていなかった訳でもなくプリアンプの第2弾に浮気をしていたこともありまして、、、、。
久々にスイッチを入れて試験用のスピーカーを繋いで片チャンネルのみチェックします。
DCバランスも問題なく、保護用に入れてあるヒューズも飛ばず、ちゃんと音も出ています。
30分位経ってヒートシンクも十分温まった状態でスイッチOFF。
その後再びスイッチON。 保護回路動作です。
定電圧電源の出力からアンプ基板までの配線を外し、DC検出の配線も外してスイッチON。
相変わらず保護回路動作です。 そうすると保護回路がおかしいということになりますね。
回路図を眺めて原因を考えます。 今の配線の状態で保護回路が働くということは、過電流検出用のトランジスタが不良になっている??そういえば以前電源のアースの配線を外したままスイッチを入れたことがありました。
その時電源出力に60Vが出たためOPアンプを交換し復旧したのですが、OPアンプだけでなく過電流検出のトランジスタも道連れになっていた可能性ありのようです。
回路図を見ると+−35V電源の出力に+−60Vが出た場合+側の過電流検出トランジスタ2SA872のベースとコレクタ間に約120Vがかかることになります。2SA872の耐圧が90V、2SA872Aが120Vということは872の場合は完全に耐圧オーバーです。872Aでもぎりぎり。
これかな〜。 一度電源基板を外して怪しそうなトランジスタを交換しましょう。
結果は後日。
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原因判明 |
2010/3/7 |
過電流検出など保護回路関係のトランジスタを3つ交換してスイッチON。
暫く”暖機運転”した後再度スイッチを入れるとまた保護回路が動作します。
最後の手段で過電流検出のトランジスタを外してみます。 全く保護が無い状態ですが、過電流に関しては+−にヒューズが付いているので、最悪の場合でもそれが切れるだけです。
これで過電流が流れているならばヒューズが切れるはずですが、スイッチを入れてもヒューズはそのままでアイドル電流も正常です。
こりゃあなんだ、なぜこれで保護回路が働くんだ??虫眼鏡で回路図を見ながらボーっとしていると、突然電源基板のあたりから”チィーー”という音が。 ありゃあ発振か〜〜。
オシロで+35Vを見ると3kHz位で発振しています。その後いろいろ確認をしてみた結果、+35Vが温まってくると発振してくるようです。 特にスイッチを入れなおすと途端に発振します。
+側の過電流検出部分の抵抗の両端で1.5V位のパルス状の波形が出ています。
これで発振が始まると保護回路が動作する事がわかりました。
原因は突き止めましたがこれから発振退治が一苦労です。
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発振停止 |
2010/3/12 |
発振対策として一番怪しい位相補正のコンデンサの容量を増やしてみます。 現在金田標準で1,000pFとなっています。まあこの値は「最新オーディオDCアンプ」によると標準の1/5とのことですが、、、、、。
最初に500pFを追加してみます。
暖機運転を行いスイッチを一度切って再度入れると発振し始めます。
500pFのコンデンサのリードを片側だけ半田付けして、もう片方を基板から引き出した錫メッキ線にタッチすると見事に発振が止まりました。 一度発振が止まると再度スイッチを入れ直すまで発振が起きません。
次にもう少し容量を下げ220pFで試してみます。 220pFでも止まりました。
+側の過電流検出用のトランジスタを付けて再度スイッチON。 だめです、、、保護回路が働きました。
500pFに戻して再度スイッチON。 今度は保護回路は働きません。
暫く時間をおいて2度ほどスイッチをON・OFFしてみましたが、今度は保護回路は動作しません。
500pFで何とかなりそうです。
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位相補正に500pFを追加してみる
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テストの状況 |
一応致命的な不具合はなくなったのですが、電源スイッチをOFFにする時に保護回路が動作することがあります。
これはA級50Wにも時々出現する現象です。 これらの対策も考えて見ましょう。
電源基板を外して正式に修正をしなくては。
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反対のチャンネルに不具合 |
2010/3/15 |
片チャンネルは何とか正常動作を確保できたので(といっても油断できないのが金田式)、もう片方の確認作業を行いました。 入力にショートピンを挿してスイッチON、、、、各所の電圧を確認します。
特に異常なし。 それでは音出しということでプリアンプを接続しスイッチON。
すると保護回路が働きます。 出力を保護回路から外した後出力の電圧を確認すると2V少しオーバーの電圧が出ています。 オシロで見ると見事発振波形が、、、、、、。
電圧P−P2.5V、周波数3.15MHz(最近ユニバーサルカウンターの中古を入手したので周波数が正確です(笑))です。
入力ショートでは発振しません。
なかなかうまくいかないものですね。
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今日はご機嫌がよろしいようで、、 |
2010/3/17 |
今日は原因究明をして発振を止めるぞと気合を入れてアンプに向かいます。
ダミー抵抗とプリの出力を繋いでスイッチON。
おや〜発振しません。 スピーカーを繋ぎ再度スイッチON。
今度もOK。 CDプレーヤーを再生すると全く問題なく音が出ます。
オシロを繋いでも発振は全く見られません。 次に、もう片方のチャンネルもスイッチを入れて両チャンネル稼動。
これもOK。 それでは温まると発振するのではと、暫く点けっ放しにしてスイッチをON、OFFしても問題なし。
なんじゃ〜これは。 今日は機嫌が良いのかい?
左右のチャンネルのヒートシンクを触ると片方が少し温度が高いようです。
アイドリングの電流値は1.65A。 もう片方は1.37A。
アイドリング調整用の半固定は両方MAXなので1.65Aに揃えましょう。 約40WまでA級動作です。
明日も発振無しなら電源の手直しを正式にやって最終チェックです。
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最終テスト |
2010/3/21 |
何とか最終テストまでたどり着きました。
左右のチャンネルを再調整してアイドリングを1.35Aにしました。
片側が調整用の半固定抵抗の抵抗値MAXでも1.65Aだったので150Ωを付け足し、1.35Aまで落とせるように改良しました。 横にするとラックに何とか入りそうなので、サイドにパワーと保護回路動作のLEDを取り付けました。
アクセントになってちょうどいい感じです。
専用のキャスター付きの台を作りそれに載せました。 狭いラックの中に押し込むためです。
暫く試験用のスピーカーで動作の確認とエージングを行います。
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完成ということで、、、、。 |
2010/3/28 |
試験用のスピーカーでの試運転を終え、いよいよメインスピーカーに繋いでみましょう。
スピーカーに耳を近づけてもハム、ノイズは全く聞こえません。
音にも問題は無いようです。
30分ほど経つとヒートシンクも温度が一定になります。 A級動作は30W程度ですがさすがに熱くなります。
電源OFF時に片チャンネルから僅かに「キュッ」と音が出ますが、それはあまり気にしないということで解決。
そんな状態ですが一応完成ということで、、、、。
1年半に亘りお付き合いいただきありがとうございました。
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その後、、、、 |
2010/4/16 |
1日CD1枚程度の視聴を繰り返しています。
音質的には問題ないと感じています。
まあ、金田式のデリケートなところは相変わらずで、40分ほど聴いたところで電源を切ると保護回路が働きます。
ドライバー段かパワー段の電源OFF時の電圧降下の時間差の関係でしょうか。
1時間以上経ってスイッチを切ると保護回路は動作しません。
微妙だな〜〜。
それにしても発熱は結構なものです。 A級動作40Wは結構熱を出します。
ヒートシンクは明らかに50度を超えています。
これから気温が上がっていくことを考えるとファンでも付けましょうか。
まあ、重い暑い大きいはアンプの三原則と考えるのは時代遅れか・・・・・。
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閃光 |
2010/6/30 |
プリアンプも”一応”完成し久しぶりにCDでも聴こうかということで、1枚目が終わり2枚目をかけた直後に、、、。
ソファに座りボーっとしていると視野の隅っこで突然閃光が、、、。
同時にLチャンネルの音が出ません。
あらららら。 こりゃあまずい状況です。
Lチャンネルの電源LEDが点灯していません。 ヒューズが飛んだ??
でもヒューズの位置と少し違うような気もします。 しかし、保護回路も働いていないし、スピーカーからショック音も無く、スイッチを切ったように突然無音になったということはやはりヒューズか?
でも何でヒューズが飛ぶ?それも突然に。
可能性は定電圧電源の故障か電解コンデンサの不良か整流ダイオードの不良か、、。
定電圧回路の制御トランジスタでも壊れたかな〜。
でも何で? 最近は気温も上昇し、A級アンプにとっては”危ない”時期になってきました。
アンプ部のトランジスタも結構な発熱ですが、電源のトランジスタも負けないか、いやそれ以上かもしれません。
本日はとても原因を究明する気力も無く後日。
一日の疲れを取り去ろうと音楽を聴いたら、その何十倍も疲れることになろうとは。
スピーカーを動かし、奥からアンプを引っ張り出し、、、、。
あ〜いやだ。 こりゃあ修理が何時になるかわからんな〜
それにしても今回の閃光は発光の強さ、色とも本当に見事でした。
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原因判明 |
2010/7/6 |
いつまで待っていても自然に治るはずも無く、気合を入れてスピーカーを動かし、アンプを引っ張り出し、腰を痛めそうになりながら診察台に乗っけて、、、。
それにしてもこんな重いアンプをよく作ったものだと自分ながら呆れております。
案の定ヒューズが溶断しています。
電解コンデンサの両端をテスターで当たってみると+側が抵抗値0.6Ω。
電解コンデンサの配線を外してダイオード側を測ると0.6Ω。
こりゃあブリッジダイオードが壊れているようです。
これがまた交換しづらい所にあるんですね。
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部品箱をひっくり返して耐圧400Vのブリッジに交換しました。
試運転は後で。
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定電圧電源まで、、、 |
2010/7/10 |
ブリッジの交換も終わり、ヒューズも新しいものと交換し試運転です。
正常な方の電源を入らないようにして(こんな時左右独立試験用スイッチは便利です)スイッチON。
ありゃありゃ、電圧が出ません。 よーく見ると保護回路が動作しています。
電解コンデンサの両端ではちゃんと電圧が出ています。 アンプ基板は繋いでいないので電源基板の故障か保護回路の故障ですね。 左右の定電圧電源が1枚の基板に組んであるので部品交換する場合でも大騒ぎです。
何で左右1枚ずつにしなかったのかなあ。
ブリッジが壊れて電源基板が道連れになったのかその逆か。
いずれにしてもどの部品が壊れたかを探すまでが一苦労。
もう少し部品交換をしやすくせねば、、、、特に金田式は。
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直りました |
2010/7/13 |
基板を外す前に再度スイッチを入れてみると、どうしたことでしょう、ちゃんと電圧が出るではないですか。
これはラッキー!!
アイドリングの確認とDCバランスのチェックを行い、出力1Wでの周波数特性の確認を行いました。
少なくとも100kHzまでは全くフラットで発振も出ていません。
被害は最小限で済んだようです。
気温が上がってきてA級アンプには厳しい動作環境になってきました。
ラックに押し込む前に、シャーシ下部に冷却用のファンを付けることにしましょう。
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その後・・・ |
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音は問題なく外観も超弩級で存在感があったのですが、A級50Wに若干及ばずでした。 重すぎることと、場所をとってしまうので結局分解しパーツで売却。
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