第1章 燃え尽きて、灰になるまで慣性モーメント
【地球ゴマの慣性モーメント】
天秤ばかりは同じ重さでも支点から遠いほど、腕が長いほど大きなモーメントが得られます。
重さ×腕の長さ=モーメント、腕は短いほど大きな力が必要になり、長いほど小さな力ですみます。
「釘抜き」や「自転車のブレーキレバー」等のように小さな力で大きな仕事ができる道具、モーメントを利用した工具は非常に多くあります。
どれも腕が長いほど大きな力が得られます。
「車はすぐには止まれない」、力を加えなければ動いている物体はそのまま動き、止まっている物体は止まったままです。
どんな物でも今のままが好きなのです、これを「慣性(かんせい)の法則」と言います。
コマを回します。
回転が止まると倒れます、回っていると倒れません。
地球ゴマを回します。
回っているコマの軸を水平にするとコマは縦の方向に回ります。
進みはしませんが倒れません、自転車と同じです。
回っているコマは回っている状態をそのまま維持しようとします。
回転が遅くなると大きく重い円盤の方が、小さく軽い円盤より安定します。
回転が遅くなると、半径の小さな円盤のコマは倒れてしまいます。
フィギュアースケートでは両手を閉じると、回転は速くなります。
高回転する時は両手を閉じて、体は細長い棒のようになっています。
両手を開くと回転は遅くなり、次の動作に移ります。
自転車ではロードレース用の軽くて細いタイヤより、マウンテンバイク用の重くて太いタイヤの方が安定します。
重くて半径の大きな円盤の方が腕の長さが大きくなり、モーメントは大きくなるのです。
慣性の法則に回転運動が加わると、慣性モーメントを考えなければなりません。
モーメントは重さと腕の長さで決まりますが、慣性モーメントは回転体の半径Rの2乗に比例します。
半径は2乗に比例するので、半径を少しでも大きくできると効果的です。
慣性モーメントが大きいと、そのままの状態を維持しようとします。
回転が遅くなると、そのままではいられません。
回転が遅くなったコマは不安定になり、軸が傾いて倒れます。
慣性モーメントは重さが大きいほど、大きくなります。
慣性モーメントは回転体の半径Rの2乗に比例しますので、重さ以上に回転する物体の半径が大きいほど、大きな円盤ほど大きな慣性モーメントが発生し、遅い回転でも大きなエネルギーで回る事ができるのです。
ロードレース用の軽くて細いタイヤより、マウンテンバイクの重くて太いタイヤの方が慣性モーメントは大きく、安定するのです。