2章 エンジンに見る慣性モーメント

【何故ハーレーなのか?】

45°V型2気筒のハーレー、コンロッドのビッグエンドは共通しています。

  

@Aの間隔とABの間隔は違い、不等間隔です。

@とAの点火時期のトルク変動に違いがあります。

これらのことから、V型2気筒は独特の鼓動を生み出します。

500ccのメグロZ7は4,400回転で、最大出力25馬力。

最大回転数はハーレーと同じくらいです。 メグロZ7は3,100回転で最大トルク3,4kgmを発生します。

現在のハーレーは1450ccです。

単純に500ccを3倍するとトルクは13,2kgmになります。

1,450ccのハーレーは3,000回転で最大トルク11,75kgmを発生します。

大きなトルクを発生し、そのトルク変動は500ccの単気筒並みです。

メグロの500cc、Z7の最大トルクは毎分3,100回転で3.4kgmです。

ハーレーのトルク変動は単気筒並みですが、最大トルク11,75kgmを発生します。

ハーレーのトルクは大きいので、クラッチは異常に大きいのです。大きなトルクで、トラックでも牽引できます。

点火時期の調整はトランジスター点火より自動進角、自動進角より手動進角の方が進角調整の幅が広くなります。

左手のグリップで点火時期を調整する。

点火時期を遅らせるとトコトン、クシュン!トコトン、クシュン!

止まりそうで、止まらないアイドリング。

聞いているだけでウットリ、ハーレーに酔いしれてしまいます。

V型2気筒は鼓動が独特なため、長距離ツーリングでも疲れません。

だから、アメリカにはハーレーが合うのです。

写真はインディアンです。

  

今のハーレーは5,000回転を超え、世代交代の度にフライホイールは軽量化されています。

古いほど、フライホイールも重く、V型2気筒の味が濃く、音も柔らかくなります。

私の一押しはサイドバルブです。

   

写真は陸王です。

サイドバルブはハンドチェンジと、フットクラッチです。

トルクが大きいので、昔の手動クラッチでは力不足でした。

両手のグリップを戻し、同時にフットクラッチを切ります。

タンク横のレバーを操作し、ギアチェンジをします。

フットクラッチを繋ぎながら、両手のグリップをひねります。

操作が大変?

そんな事はありません、操作は楽です。

ギアは3段しかないし、走り出してトップに入れると止まるまでトップのままです。

トップでもエンジンブレーキは掛かります。

何しろハーレーは、エンストしたトラックを牽引するほど大トルクなのですから!

サイドバルブのシリンダーヘッドは容積が大きく、圧縮比は低くて4.5位です。

圧縮比が低いので、この音が一番柔らかい。

圧縮比が高くなると、音も高くなります。

両足のステップボードに体重をかけ、シートに乗せた尻を浮き気味にする。

重心を低くして車体を引き倒しながら、ドドッドドッドドとコーナーを抜けていく。

気ぃん持ちイィ〜!

OHVで5,000回転位が限度、1,500〜3,000回転でゴロンゴロンと回る大排気量V型2気筒が有るとイイナ〜。

誰でも1度は考える事です。

それをヤマハが作ってしまった、1600ccのX型2気筒。

こんな大昔のエンジンを現実の物にしたヤマハに拍手!

鼓動がどうなっているかは分かりませんケドネ!