第2章 エンジンに見る慣性モーメント
【新車の魅力】
エンジンには色々な種類が有ります。
まず始めに、2サイクルと4サイクル。
シリンダーが一つの単気筒から始まり二気筒、三気筒、四気筒とシリンダーを多く持つ者。
シリンダーをV字型に並べたハーレーやVmax。
クランクの軸を縦方向に置いてエンジンを左右の方向、水平に振り分けたBMW、ゴールドウィングなど。
エンジンだけでも色々な種類が有ります。
大きさも重さも違う数多くの種類が有ると言う事は、エンジン構成により、かなり乗り味が違うと言うことです。
角加速度が大きく影響するエンジンは、それだけ重要なパーツと言う事です。
消費者がどのエンジンを選ぶか、多くの場合、選ぶ時に試乗はできません。
雑誌の試乗記事を読んで判断します。
基本的に高回転まで回るエンジンはフライホイールが軽く、加速している時だけ快感 !
高速で走る事を前提に、必要以上に複雑な設計がなされ、車体は大きく重くなります。
大きな馬力で最高速度が速いので良いように見えますが、高回転を維持しなければ加速も速くはありません。
普通に走っていたのでは重くてつまらないバイクになり、常にアクセル全開にしたくなります。
逆に低回転のトルクを重点にエンジンを設計するとフライホイールが重くなり、高回転は回りません。
低回転で安定して、高回転は犠牲になります。
しかし、高回転を犠牲にした分、普通に走るだけで大きなトルクが得られます。
フライホイールの大きなエンジンは慣性モーメントが大きいので、低回転でも角加速度が大きく、安定しています。
この様なエンジンは低回転=低速でも安定性が強く、曲がる為には仕事が必要になります。
腰を入れて車体を寝かせないと、曲がりません。
ライダーが横Gを感じながら仕事をする、ただ曲がるだけでも面白いのです。
低回転でも大きなトルクが得られるエンジンは、周囲の交通に合わせて流していても非常に気持ち良いものです。
BMWには800ccで50馬力、1000ccで60馬力という、実用性の高い二輪もあります。
常用回転域のトルクが大きく、かなり速く峠を走ります。
1000ccでたった60馬力の二輪車、日本では作れません。(最近作るようになりました)
高回転で大きな馬力を稼ぐより、低回転で大きなトルクを得るエンジンは、常用速度域でも力強く走れます。
低回転高トルクの味付けが、人間のDNAには快感なのです。
昔はカタログから最高出力と最高速度を読んで選んでいました。
最近は其の様な最高値では無く、オートバイが持つ雰囲気と、常用速度域での味付けを大事にする様になってきました。
今は周囲と同じ速度で流し、楽しむ二輪が多くなってきています。
昔はアクセルを煽って飛ばしていました。
飛ばさないと面白くないエンジンばかりでした。
フライホィールの大きな目黒に出会い、低回転の楽しさを知りました。
人馬一体と言いますが、二輪は常に一体感が伝わって来るものです。
高回転まで回らない、低回転低圧縮比低馬力高トルクのエンジンが快感なのです !