合−心の触発について−

写真の使命のひとつが記録にあることは確かなことであろう。
しかし、真実を暴こうとすることが真実を遠ざけてしまうこともある気がしている。
記録写真とは違う、人の記憶に寄り添って、心を動かす写真が創れないものか。
そんな思いを出発点として、写真を重ねる作業にのめり込んでしまった。
一方で、私たちは記憶の中で、多くの情景を重ねるように見つめるときがある。
「走馬灯のように記憶が蘇る」とは死の直前を象徴する出来事かもしれない。
生きるために必要な心を触発する何かを、写真で創りたい。
それは、見たこともない「私の心」に出会うための旅かもしれない。


秘花

ひとつの花にもたくさんの表情があり、じっと見つめていると私の心に何かを伝えてくれる。
そんな花の写真を透かして、幾重にも重ねて、もうひとつの写真を創る衝動に駆られてしまった。
そして、その花と艶めかしい身体とのコラボレーションは、人と自然のまぐわいかもしれない。


秘花2

泳ぐ身体とそれに寄り添う花たちの織りなす世界が生み出す力を信じてみたい気がした。
花と身体の出会いを紡ぐ作業は、もしかすると自分探しの旅なのかもしれないと感じている。
私の琴線に触れるものたちを見つけることが、人生の目的に違いないと思えるからである。


流跡

ある時間と空間の中での動く身体の表情を、幾重にも重ねる作業に憑りつかれてしまった。
目の前の身体は、時間の流れの中で空間を共有しながらも刻々と表情を変えてゆく。
ひとつの心が纏う複数の表情が重なりあって、私の心に何かを呼びかけて来る気がする。


彩花

写真を重ね合わせ、色鮮やかな作品が浮かび上がってくる、私の心に彩られた花である、
光の交差や、色の交わりは偶然の結果に他ならないものの、私の心が生み出したものに違いない。
私の琴線が音を立てて奮え、同じ琴線を持ち合わせている心の出現を待ちわびている。