彩−色について−

彩りを求めて旅に出ようと思った。色の力に頼ろうと思ったのかもしれない。
社会を色で見つめるのもひとつの方法のように思えてきたからに他ならない。
彩りの旅は、私に何を教えてくれるのだろうか。


巡礼

人々が寺社を巡りながら祈る巡礼について、秩父札所巡りを軸に考えてみたいと思った。
この不安定な共食い社会の救いのヒントが、“祈り”にあるようにずっと思っていたからである。
“祈り”とは、そこに神や仏が存在するからではなく、祈る自分を見つめることではなかろうか。



靖国神社

戦争をひきずるこの神社が気になった。戦没者を神として祭るこの神社が気になっていた。
だから撮ろうと思った。人の移ろい、ものの気配、この空間に存在する心模様を見つめたい。
まだまだ撮り続けたいと思っているこの場所の、私の通過点かもしれない。


視線

2010年春、いろいろな意味で私にとって忘れられない春がそこにはあった。
そんな心が見つめる光景を拾い集めてみた。そんな心のありかが過去になる前にである。
今の私が感ずる何かがそこには写っているはずである。今でしか撮れない大切な何かである。


桜の花を見つめていたいと思った。ただ見つめていることで何かが見えるかも、と思った。
雑踏の中の桜も、自然の中の桜も、春のひととき主人公となり、懸命に生きている姿を見せる。
桜が放つ彩と、私の心の鼓動が重なり合って、人間の目には見えざる画像を創り出す。


触発

「生きる目的」が見えなくなる恐怖に駆られることから、逃げ出したいと思うときがある。
旅に出たい。自分の姿が透けてしまうほど、ゆっくりと何かを見つめる時間が欲しいと思う。
死にかけた心を触発するものを探し当てたときに、私自身が蘇って来るように思うからである。