街−都市について−

都市は人間によって創られた。そして、都市が人間を変えてゆく。
匿名性、多様性、現代都市の特徴は、人間関係を強制しない自由にある。
インターネットに代表される対面性を条件としない関係は、都市そのものを象徴している。
しかし、関係性の希薄さは、心の起伏を無くし、平坦な感情を創りあげてゆく。
皆が熱くなって存在を信じた時代から、冷ややかな空虚をあきらめる時代となった。
そして、何もかもが不確実な時代のキーワードは、“癒やし”なのかもしれない。
そんな現代の都市にも、自分をやさしく包んでくれる大切な空間があるはずだ。
いや、そんな現代社会だからこそ、そうした場が人間にとって必要なのだ。
私の旅は、都市のそんな時間と空間探しの旅なのかもしれない。


渋谷の街の物語

都市型社会の迷い人たちは、日常から心を解き放す場所を求めている。
渋谷の街をさまよう人々が、心を語っている。「私の存在を受け止めてください。」
それは、多くの他者のまなざしが必要な声と、ひとりのまなこを求めているつぶやきがある。



Tokyo Holiday

節目を必要としない社会において、娯楽以外の目的では祭日は特別な意味を持たない。
祭日は、日常を補う祭礼としての重要な日から、日常から心を解き放す休息の日へと変わった。
その東京の祭日を拾ってみた。何か大切にしたいものがあるように思えてならない。


Window

ガラスは、鉄やコンクリートとともにモダニズムの産物として都市形成の一躍を担った。
そのガラスの一形態としてのウインドウが、街と建物内部を視覚だけを頼りに関係付ける。
時に透過性を強調しながら、時に反射性を織り交ぜながら、街に呼びかけてゆく。


太子堂・三宿−木造住宅密集地域−

国は都市再生を合い言葉に、防災上危険な木造住宅密集地域の緊急整備に取り組み始めた。
20年以上もまちづくりに取り組む太子堂・三宿地区もこの対象となり、街の変貌が予想される。
この街を写し残すことにした。都市再生とは裏腹に大切にしたい街の匂いを拾い上げてみた。



浅草−三社祭のまち−

浅草は東京の大観光地である。毎年5月にはこのまちを舞台に三社祭が繰り広げられる。
隅田川のそよ風、雷門の賑わい、浅草寺のざわめき、まちの香りが三社祭へとつながってゆく。
下町独特のどこか懐かしさを感じるこのまちの模様に、遠い視線を注いでみた。



東京レインボーブリッジ

橋は端(ハシ)でもあり、空間と空間を結ぶと同時に、異空間の接点をも意味している。
東京レインボーブリッジ、今は面影がうすい水の都東京をさらに外へ繋ぐランドマークである。
お台場の雑踏へと向うこの橋にも、橋独特の人の心を違う世界へと誘う作用がある気がする。