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アラル海 ダム新情報(2005.8)


日本カザフ研報告書13号出版(2007.2)

第13号(2007年)

カザフスタン共和国シルダリア川河口域の社会経済状況と飲料水利用の現状
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1
カザフスタン国小児に多発する健康障害
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19
カザフスタン共和国セミパラチンスク核実験場近郊における被爆実態解明の試み
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35
カザフ遊牧民の伝統的葬儀文化の研究
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53
ウズベキスタン氏族(clan)のアイデンティティと力学的関係
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73
ウズベキスタンにおける「新しいナショナリズム」の諸相をめぐって
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95
ダム完成後1年目の小アラル海水質・生物調査行
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121
日本カザフ研究会報告書目次一覧
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135






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アラル海縮小




アラル海 ダム新情報(2005.8)

石田紀郎(日本カザフ研究会、市民環境研究所)


 幾たびか建設されては崩壊して目的を達成できなかったベルグ海峡ダム(小アラル海と大アラル海を分断し、シルダリアの水を小アラル海だけに貯留して小アラル海の再生を図るダム)の再建が2003年3月から始まった。2005年8月にシルダリア河口の村カラテレンからダム建設現場を訪れ、ダム建設の進捗状況を視察した。
 新ダム建設位置は1999年4月に決壊し、再建が放棄された旧ダムの小アラル海側である(図1)


図1.ベルグ海峡ダムの位置

 総延長が15キロの堰堤からなるこのダムは中央部に水位調節用の水門(コンクリート製)が設けられている。新ダムの構造は「海岸ダム」と呼ばれる形式で、なだらかな傾斜を持った遠浅の海岸を小アラル海側(北側)に造成してダム本体とつなげ、大アラル海側(南側)は急な斜面となっている(図2)


図2.ダム断面図

 ダム上面は5mの道路と両側に2mずつの側道からなる。ダム建設材料は現地で調達できる砂を基本資材とし、底層は細かい砂を、上層は粗い砂を敷き詰める。大アラル海側のダム斜面には石を積み上げる工法である。この石をどこから調達してくるのかは不明である。
 完成時には、ダムの頂点は44.5m、基底は41.75mで、水面は42mになるように設計されている。このダム完成時の小アラル海の水量は29km3となり、完成時にはアラリスク市から20kmの地点まで水が到達するという。
 建設経費は総額は2,400万ドル(28億8,000万円、1ドル=120円換算)で、世界銀行がその内の70%(融資)、カザフスタン政府が30%を負担する。カザフスタン政府のカザフスタン政府水資源委員会が責任組織である。
 建設会社はロシアの海外水利建設会社(在モスクワ)である。この会社はモンゴル、アルメニアなどで堤防やダムを建設した経験があり、40年間の実績があるという。カラテレン村から2キロ離れた沙漠の中に現地本部の住宅と事務所が十数棟建てられている。
 ダム建設開始は2003年1月の予定であったが、2ヶ月ほど遅れて始まった。完工は2005年11月の予定である。2003年8月視察時には、工事用道路の建設と全ダム延長距離13kmの内1.5kmの工事が終了した段階であったが、今回(2005年8月)ではダム堰堤の大部分の工事は終了したようであるが、水門は8割の進捗であった。当初は150人ほどの労働者であったが、現在は倍近くの人員が従事しているようである。2003年度はほとんどの労働者はクジルオルダ市から来ていたが、今年になってからカラテレン村住人も雇用されている。現地住民を雇用する理由として、宿舎や食事の準備が不用であるためであろう。月給は250ドルから100ドルと職種によって異なる。
 2005年8月7日に、小アラル海から大アラル海につながる水路(幅20mほど)がダム上流側で堰き止められ(図3)、これで小アラル海から大アラル海へと流出する表流水は途絶えた。
ダム本体を横切って流れていたこの水路(図4)の水の干上がりを待って水路を埋め、ダムは完成する。


 図3.通水路の閉め切り(右が小アラル海)

 ダム本体を横切って流れていたこの水路の水の干上がりを待って水路を埋め、ダムは完成する。


 図4.ダム上部(右手前)と小アラルと大アラルを繋いでいた水路(中央部左右)

 コンクリート制の水門の型枠もはずされて、図5のようにその構造を見ることができた。ダムの完成も間近となり、小アラル海の水位は上昇し始める。


図5.ダム水門(2005年8月10日)

 小アラル海ダム以外に、シルダリア川に建設されつつあるアグラク・ダムもまもなく完成するものと思われた(図6)。このアクラクダムが完成すれば、シルダリアの水は分水され、カラシャラン湖、ブグン湖、カラテレン湖へ流れ込み、現在は干上がっているこれらの湖にも貯水されることになっている。


   図6.シルダリアに建設中のアグラク・ダム(2005.8.10)

 
 昨年からシルダリア河口域および小アラル海東部での漁獲高が上昇し、漁民は潤っているとのことである。その結果、カラテレン村やブグン村でも住宅の新築を多く見ることができた。ダム建設によって小アラル海の水位が安定すれば、沿岸部だけでなく、小アラル海での漁業が活性化するものと思われる。



本研究会の調査研究活動は毎年発行している調査報告書に詳述してます。

日本カザフ研究会(JRAK)報告書目次一覧(1993-2003)

「中央アジア乾燥地における大規模潅漑農業の生態環境と社会経済に与える影響」

報告書に残部がありますので、一部1,500円(送料込み)でおわけします。




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