2018年10月



このところの気象の変化には、驚くばかりです。

台風の多さと規模の大きさ、強さは何十年で初めてというものばかり。被害の大きさにも、心を痛め目を覆いたくなります。

北海道の地震の日、私は青森にいたのですが、すごい揺れを感じて飛び起きました。テレビをつけても民放は放送しておらず、NHKだけが伝えていましたが、被害状況がわからないだけに、寝るに寝られずとうとう朝まで心配で起きていましたが、その間、余震もあり怖い思いをしました。

九州地方を襲った豪雨の時は福岡にいました。JRはすべてストップしましたし、道路は水かさが増していて、ホテルにはタクシー待ちのお客さんが長蛇の列、私も待ちましたが30分待っても一台も来ない状態で、ずぶぬれになってしまいました。

先日は京都からの新幹線で、静岡あたりで1時間に60ミリもの雨が降り新幹線がストップしてしまいました。1時間30分以上止まったままで、動き出してからもノロノロ運転、東京へは1時間58分遅れで到着しましたがヤレヤレでした。

東京でも車で買い物に行き、その帰り道ゲリラ豪雨で驚きました。ワイパーが効かないくらいの雨なんて、昔はなかったのにと思いますと、やはり何かがおかしいのでしょう。

これまで、スイス、オーストラリア、カナダなどを旅行した際に氷河に行ったことが何回かあります。
雪上車で氷河の上まで行き、降りて歩くという経験をしたのですが、そこで耳にするのは、どの国でも氷河が薄くなっているとか、後退していて今に氷河がなくなるのではないかということや、アイスランドでは氷河がいとも簡単に広範囲にわたって海に落ちていく様を目にし、それは地球の海面が上がることにつながりますから、海岸線が変化し、陸地が減少するという結果を招いているということにつながるという話でした。
いずれも地球温暖化によるものです。

京都議定書で温暖化を防ごうと取り決めがされもう10年を経過しているにもかかわらず、アメリカのトランプ大統領のように、温暖化を無視した発言や政策にはいったいどういう考えなのかと信じがたい気持ちでいっぱいです。アメリカファーストの現れとはいえ、あまりにもひどく、日本のように生真面目に議定書での約束を守ろうとしている企業のことを考えると、なんともやり切れません。

とはいえ、正直を売り物にしてきた日本も最近は、障害者雇用で、省庁がそれを全く守っていないとか、民間ではデータの改ざんとか、売るためには本来の姿を忘れて平気で嘘をついたり、数字をごまかしたりが多く、日本の姿そのものが疑われる事態を招いていて、心が痛みます。

先日「乱反射」というテレビドラマを見ました。簡単にストーリーを紹介しますと、若い夫婦に2歳くらいの男の子がいる家庭の話です。

夫の父親が病で倒れて、嫁と子供が見舞いに行きます。いつもは見舞った後帰るのですが、姑からご飯に誘われて食事をし外に出たところ、強風が吹いています。タクシーが見つからず母親はバギーを押しながら歩いていきます。

場面は変わって、ある男性が犬の散歩をします。でも糞をしたあと始末をしないまま知らん顔で行ってしまいます。毎日その繰り返しで、街路樹の根元は糞だらけです。道を挟んだ向こう側の食堂の店員が頭にきて、市に苦情の電話をします。

電話を受けた男が始末に行きますが、それを見た子供たちにからかわれ「公務員試験を受けて、晴れて公務員となった俺が、なんで糞の始末なんだ!」と怒り、そのまま帰ってしまうのです。

市の街路樹は5年ごとに、樹木師に虫食いがないかなどを判断してもらうことになっていて、ちょうどその日に診断する予定になっていたのですが、その道は近く道路を拡張することになっていて、それに異を唱える女性グループが、調査のために木を診断に訪れたにもかかわらず、木を伐採すると思い込み、作業員を締め出そうとします。さらに悪いことに作業の男が無類の潔癖症で、犬の糞を見た途端逃げ出してしまいます。
そこにベビーバギーの母親が歩いてくるのですが、強風で根が腐っていた大木が倒れ、ベビーバギーにぶつかり、子供は大けがを負います。母親は半狂乱になり、近くの人が救急車を呼び、すぐそこの病院まで搬送されます。

ところが病院には非常勤の内科の医師がいるのみで、看護師が緊急なので見てほしいといったにもかかわらず、風邪の患者が大勢いるからと断ります。学生は夜間の診療ならば待たされることがないので、わざと救急を利用しているということです。医師はもし子供がなくなりでもしたら自分の責任問題なので、ほかの病院へ回すよう指示します。

でもほかの病院が見つからず、2時間後に遠くの病院に連れていったときには亡くなってしまいます。

警察は単なる事故として処理してしまうのですが、ジャーナリストである父親はなぜなくなったのかを調べ始めます。

すると、犬の散歩からの一つ一つが繋がるというストーリーです。
「乱反射」というタイトルが最初はわかりませんでしたが、最後にようやく理解でき、こういう負の連鎖ってあるような気がするのです。

姑は「私が食事に誘わなければ」と嘆き、潔癖症の男は遺族に謝りますが、市の職員は自分が糞の始末をしなかったことがそんなに悪いことなのかと怒り、医師は風の患者が多かったので仕方なかったと言い訳をし、樹木伐採反対を叫ぶグループは口をつぐみ、責任逃れをしようとします。

そして結局誰も罪にならないのです。犬を散歩させている男は相変わらず糞の始末をしないまま散歩を続けます。

本人にはそれほど重要ではなく、また、罪悪感もないことが連鎖していく過程で、だんだん大きな問題になってしまうということが、私たちの知らないうちに起っているのかもしれません。

政権におけるモリカケ問題のデータ改ざんや虚偽証言、障害者の数の水増し民間でも鉄鋼や、車のデータ偽造なども乱反射でしょう。

日本人がもともと持っていた、正直さや、生真面目さはなくなってしまったのかと、情けなさを感じます。

自然災害も、「想定外」などとは言えなくなっているこの頃、もっときちんと対策を考えなくては、大変なことになるようで恐ろしささえ覚えます。
あなたはどう考えますか?