2018年12月



ふるさと納税のコマーシャルがテレビでも放送されたり、専門の雑誌まで出たりと世の中、なかなか喧しいことです。

最初にふるさとを応援しようということで始まったこの制度を聞いた時には、なんと素晴らしいことかと思いました。

都会と違って税収の少ない地方では何とか歳入を増やしたいと考えるのは至極まっとうなことであり、自分のふるさとが豊かになり、発展するのであれば寄与したいと考えるのは自然のことでしょう。

誰しもがふるさとへの郷愁があり、寂れてほしくないと考えるはずですから、制度を利用して貢献したいと私も思いました。

しかし、現在のふるさと納税はふるさとを応援するという第一義から全く外れて、返礼品と称する物品や、サービスの魅力で、納税をあおっているとしか思えません。

納税者側もどこの市町村が一番お得感があるかということを考えて、寄付をするのですから、そこにはふるさと愛などのかけらもなく、ただ徳をしたいという感情のみが働いているように思えてなりません。その市町村がどこにありなに県なのかもよくわからずに納税するなんて、本末転倒としか思えないのです。

私たち日本人にもともとあった「弱い人を助けたいという思い」「困っている人に手をさし延べたい」という感情は、みじんも感じられず、ただただ自分が得をするにはどこに納税すればよいかという今のやり方は、私には理解できないのです。

最近になって、ようやく過度の返礼品はしてはならないと決まったようですが、雑誌で見るとやはり、お得感を前面に打ち出していますから、それがある限り規制できないもかもしれません。

以前ユニセフに寄付をしていた時は、途上国の子供たちが描いた絵ハガキが送られてきました。本来それが目当ての寄付ではありませんでしたが、いただいて心温まる思いがしました。

ふるさと納税も寄付という言い方をしていますから、本当は絵葉書程度でいいのではないかというのが私の持論です。なぜなら私の場合、東京ですがそこで納税している限り、返礼品はゼロで、納税とはそういうもので、得するためのものではないという考え方をしているからです。

ここまでお読みになって、きっと反論される方もいらっしゃるでしょう。

それはそれでその方の意見をお聞きしてみたいと思います。