2018年5月


最近の報道を見ていると、パワハラ、セクハラと、政財界、スポーツ界を揺るがす出来事で、大騒ぎとなっているようで、驚きを隠せません。世の中には、マタハラ、ジェンハラ(ジェンダーハラスメント)、リスハラ(リストラハラスメント)など、なんと35種類ものハラスメントがあるそうです。

相手が嫌だと感じれば、ハラスメントになるということですから、経営者やリーダーの方から「叱ったり,注意することもままならない、いったいどのように言えばよいのか教えてほしい、そういった研修をしてほしい」との要望を受けるようになりました。同じことを言っても嫌だと感じる人と、そうでない人がいるわけですから、その分、難しいと感じるのは当然でしょう。

自分の気持ちを相手に伝え、それを受けた相手も嫌な気持ちにならずに表現するには、アサーションというものがあり、最近はよく依頼を受けるようになりました。


さて、先日終わったテレビの番組ですが、「ファイナルカット」というのをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

ざっとストーリーを書きますと、ある保育園で、女児が突然いなくなり、その子が殺されるという事件が起こります。その保育園は、ビルの一室にあり、園長は女性です。その園長がちょっと目を離したすきにいなくなったのです。園長は同じビルで、男性を見かけたと警察で訴えますが、言い分を聞いてもらうことはなく、マスコミに追いかけられます。朝から夜まで、犯人扱いをされて、ワイドショーでは連日その放送を流します。それが続いてたため精神的に自分を追いこんでしまい、最後には、リストカットして亡くなります。

その時に中学生だった一人息子は、大人になり警察官になります。そして事件を調べようとするわけです。16年前の記録を探しますが、そこだけ記録が破かれていて、真相が闇の中。実は、園長が見たという男は、同じビルの弁護士の息子で、娘たちは口裏を合わせて、偽証をし、殺人を犯した息子は親が海外へ逃がします。そして、犯人は園長とされ、犯人死亡のまま事件は終わりを告げます。

さて、警察官になった息子は、真相を究明するためにあれこれと調べていくのですが、マスコミの誘導があったことを突き止めます。インタビューした女性、カメラマン、助手、企画したディレクター、キャスター一人一人を徹底的に調べます。彼らの弱みを見つけては、脅しをかけて16年前の報道が、事実とは違い、警察の誘導があり、弁護士の父親と警察との間で取引があったのではないかと推理します。そして、証拠や証言が偽装されたものであるという事実を突き止めます。


結論は、警察の誤認であり、テレビ局のご報道ということで終わるのですが、このドラマを見て一番感じたことは、マスコミハラスメントがあるのではないかということです。そんな言葉はありませんが、報道の自由という名のもとにズカズカと土足で踏み込んでくるような報道がはたして、ジャーナリズムといえるのかどうかと、疑問を持ちました。

国会でも記者の質問を聞いていますと、乱暴な言葉で、感情的にワンワン言っている場面に出くわしたり、揚げ足を取るような言葉を浴びせたりと、聞いていて何かがおかしいと思うようになりました。

私自身、放送局にいましたし、インタビューもしてきましたが、相手には敬語を使い、礼を失しない限りで質問しようと心がけていました。でも最近は正義を振りかざして、相手を追い詰めるような罵詈雑言ばかりで、しかも朝から、午後のワイドショーは、どこのテレビ局も同じことばかりで、しかも教養があるとは思えない芸人が、すべて伝聞でもっともらしいことを言う姿を見てもちっとも面白くありません。

一番腹立たしいのは、24時間、追いかけまわして、もしそれが間違いだったとしても、何の謝罪もないということです。犯人扱いされた人の家族の人生もめちゃくちゃになっても、それに対しては何の責任も取らないことが理解できません。

コメンテーターという人たちも、放送局に気に入られるような意見を言う人ばかりで、本音を言っているとは思えません。言論の自由と言いながら、自由に言えないのが、この世界のようです。不思議です。

それにしてもいつからこんな風になってしまったのでしょう?世の中では、もっともっと大きな問題がたくさんあるのに、ゴシップ記事ばかり報道しているなんて、外国の方から見たら、おかしな国といえるでしょう。