2019年1月



新しい年が明け、心清らかな気持ちで穏やかに過ごせたらと願うばかりです。

昨年は未曽有、前代未聞、前例のない、等々、災害の多い年で心休まることが少ない一年でした。自分の身に降りかからなくても、報道で目にするたびに被災者の方、被害にあわれたかとを思うと心が痛みました。

そんな中、平成も終わり新しい年号になるという今年ですから、昭和、平成と生きてきた私にとっては感慨深いものがあるのは当然でしょう。特に昨年末の天皇陛下のお言葉は胸が詰まるような思いで、聞きました。

また数々の皇室に関しての報道を見るにつけ、美智子皇后と出会われ困難や反対を押し切ってのご成婚、そして和やかで暖かなご家庭を築きながら、国民のために祈りをささげ続けられた姿は、私には窺い知ることの無い長い旅のように感じました。

私たちは疲れればゴロンと横になったり、足を組み背もたれに寄りかかってテレビを見たり、欠伸をしたり、夜更かしをして、朝寝坊をしてと行儀の悪いことをしながら毎日を生きていますが、両陛下にはそれは許されず、自分の時間もほとんどなく、それが毎日続くのですからどんなにか大変なことかと思います。

私の育った家では大みそかには早めに入浴し新しい下着に着替えて、まず年神様に一年無事に過ごせたことのお礼と、来年ひとつ年を取らせていただくことへの感謝をこめて、燈明を灯して家族で手を合わせます。床の間の年神様の前にはお正月のお料理が整えられています。そのあと燈明を持って玄関に行き、一年死人を出すことがなかった御礼と、くる年もよき人を迎いいれることができますようにと祈ります。

仏間、居間、台所ではおいしい食事へのお礼の祈り、トイレや、ふろ場でも祈ります。そのあとようやく部屋に戻り、年神様のお神酒をかわらけで全員が頂き、年越しのお料理をいただきます。この時に食べる料理は一年で一番のごちそうに思えました。いわゆるおせち料理ですが、牛肉や、ゴマ豆腐などもありましたからもう食べきれないほどで子供ながらうれしい時間でした。

除夜の鐘が鳴るころにこのあたりで言う七福神めぐりに出かけました。私は七とこ参りと言っていましたが、雪の多い時は2時間ほど歩きますから、なかなか大変です。小さいころは父と私弟二人と一緒でしたが、父が神社総代で不在になると3人で出かけました。雪道で滑らないように、道を間違えないようにと気を使いながら故郷を後にするまでずっと続けました。

元旦はお雑煮ときなこ餅、ぜんざいが定番です。おせち料理の残りもあったでしょうか。私は甘い餅は食べませんのでもっぱら雑煮のみいただきます。新潟の雑煮は醤油仕立てでサトイモ、大根、ニンジン、ごぼう、こんにゃく、かまぼこ、ちくわ、鮭が入り、上にイクラを乗せます。この雑煮を3、4杯食べていましたから今考えると大食ですね。

家にはそれぞれのお正月があるでしょう。皇室には皇室の行事があるようですが、元旦にはまだ夜も明けぬうちからの行事をこれまで続けてこられた両陛下にはこれでもう来年からはゆっくりなさってほしいと願うばかりです。

さて、今年はどんな年になるでしょう?災害の少ない穏やかな年であってほしいと思います。そして、未曽有、前代未聞というような言葉が使われることがないようにと願うばかりです。

よき年でありますように。本年もよろしくお願いいたします。