2019年4月



春は何となく心が浮き立つ季節で、やはりうれしいような、ほんわかとした気持ちになります。

今年は年号が変わるということもあってか、何か新たなる出発というような感じもしますし、とくに4月は新年度で私にとっても新入社員研修が忙しくなる季節です。毎年この4月は大勢の新入社員の皆さんと接することができますから、楽しみな反面、もちろん不安もあるわけです。

ビジネスマナーの全般を教えますが、彼らが一番苦労するのが言葉づかい、敬語です。尊敬語、丁寧語、謙譲語の区別ができない、その上、日常的に使っている言葉が、めちゃくちゃで「私的には」「やばい」「〜っていうかー」など、会話を聞いているととてもビジネスでは通用しない言葉が多く、驚くばかりです。

話は変わりますが、相撲の貴景勝関が大関昇進を果たしインタビューに答えているシーンをご覧になった方も多くいらっしゃると思いますが、彼の言葉遣いは素晴らしいですね。

例えば、インタビューで「お父様は厳しかったですか?」という質問に「父親は厳しいところもありますが〜」という言葉で答えていましたね。好物のピザが出てきたときは「子供時代は1枚食べられたのですが、今はそんなに食べられませんね」と、ラ抜き言葉ではなくちゃんとした言葉づかいで話していましたので、驚きました。

最近の有名人と言われている人たちはそういったインタビューの際に「お父さんは」と答える人が非常に多くいますし、「食べれます」食べれません」とラを抜かして話す人がほとんどです。

言葉遣いはその方の育った環境で決まってしまうといわれますが、きっと彼は小さいころから厳しく躾がされたのでしょう。小さいころからの躾ってとても大切だと思うのですが、最近はその躾ができない親が多く、年配者が口を出そうものなら、睨まれてしまったり、関係ないでしょうと、一刀両断のもと、きっぱりと否定されてしまいますから、こちらも怖くて何も言えません。

躾という文字は身を美しくと書きますね。なんと素晴らしい文字かと思います。身を美しく保つことができれば、おのずと他人への心づかいができますし、言葉づかいもきれいになってくると思います。それなのに、家庭でも学校でもそういったことを教えないでいるなんて、何かおかしいと思ってしまいます。

私は小さいころに親以外にも、近所のおじさんや親戚の人からいろいろと教わったことが、今、心の玉手箱にあります。「そんなことをしてはいけません」「親の顔に泥を塗るつもりか」あるいは「附属の子供なそんなことをしてはいけないんだ」「友達には親切にしなさい」など、つねに誇りを持って生きることを教えられ、他人への心遣いを忘れないようにと注意されましたが、きっとこの頃の子供たちにはないのでしょうね。

私のビジネスマナーの講義はとても厳しいという評価で、それを望んでくださる企業が多く、ぜひとも厳しくピシッとお願いしますと依頼されます。私の中ではビジネスマナーというよりも躾の部分が多く、例えば休憩時間は10分と言って皆さんがトイレに行ったりするわけですが、10分後に私語等していたら静まるまで待って、そこから教育が始まるわけです。

一人1分でも無駄にすれば、30人場合30分を無駄にしたことになり、これをお金で換算して、毎日、これを続けていると、1月で、1年でこうなりますというようなことです。ですからこれはビジネスマナーというよりも躾でしょうね。まさに親ならどう注意するかというような事柄です。

さて、今年の新入社員はどうでしょうか?楽しみでもあり、怖さもありますが一所懸命に取り組んでいくのみです。