2020年3月


先日雑誌を読んでいたところ、終活という特集がありました。一般的に考えれば私自身もそろそろ身の回りを整理しなければならない年代に入っているのかもしれませんが、ちっともそんな気にならず買いたいものがあれば買ってしまい物は増え続けているという状態です。欲しいものを我慢できればそれはそれでいいでしょうが、私には無理なこと。ストレスになりそうです。

父母が他界して久しいのですが、昔譲り受けた指輪などが私の手元にいくつか残ったままで、どうしようかと考えていました。以前指輪のリフォームをしようと買い求めた銀座のお店に持っていき、デザインをお願いして作成してもらったのですが、想像以上の金額になりましたので、その後はリフォームをためらっていました。そんなわけで、父が外国のお土産に買ってきてくれた宝石や母が残してくれた指輪は最近のデザインとは言い難く、直すにしてもどこにお願いしたら良いのかわからず、そのままになっていました。まさにタンスの肥やしです。

テレビで買い取りサービスを宣伝していますが、以前着物や、バッグ、洋服、小物等を買取してもらいましたが、驚くほどの安さで躊躇するほどでした。でも着ないものは着ませんからすべて引き取ってもらいました。それにしても、何十万円もする着物が数千円、数百円とは情けないもので、誂えてくれた母に申し訳ないやらがっかりするやらでした。

昨年夏、白のインナーに、ブルーの色石のペンダントをして出かけましたら、何人かの方に素敵ですねと褒めていただきました。そこで、ペンダントならば日常的に着けられるのではないかと思い宝石店で話を相談をしてみました。

話をしたのが若い女性の店員さんだったせいか、あまり知識がないようで後日専門家が来るのでその時に相談しましょうということになりました。

ところが灯台下暗しです。夫とそんな話しをしたところ知り合いに宝石のデザインをやっている人がいるというんですね。さっそく来ていただいて手持ちの指輪を見ていただきました。私の仕事着は基本的にスーツです。インナーを着た際の首元にペンダントとして蘇れば着ける機会が多くなります。小山さんというそのジュエリーデザイナーさんが石に合わせていくつかのデザイン画を描いてくれました。

どれも素敵なデザインで迷いましたが、私が見たことの無いデザインで気に入ったものを選びました。最初にお願いした宝石はダイヤです。デザインが決まると、それを制作する工房の職人さんと話し合いをして、またデザインに手を加えて、型を作り制作するので、時間がかかりますがその間待っている楽しさがありました。

さていよいよ納品の日を迎えました。イメージはできているものの、実際のペンダントトップを見て、首からかけてみなければ重さや、顔との相性がわからないので、ドキドキでした。

石の大きさに合わせて、デザインに工夫をして更に石の持つ意味や、母の気持ちを大切にしながら作ってもらいましたので、想像以上の出来栄えです。世界にたった一つしかないペンダントです。どこでも販売していないマイジュエリーです。

信用のおけるデザイナーさんですので、安心して預けることができ、しかもご自分で店舗を持たずにされているので、とてもリーズナブル。とはいえ、イタリアでの展示をされたりかなり有名な方です。ペンダントの中に香水を入れるもの等、新しい作品も注目されているようです。

小山さんや工房の職人さんの仕事ぶりを見ていると決して手を抜かないこと、クライアントの気持ちをしっかり汲み取って仕事をする姿勢、無理に押し付けないこと、どうしたら喜んでもらえるかということを考えるなど、私にとって学ぶことが多くありました。

研修やセミナーをお引き受けする際に、私が一番気をつけていることは、クライアントの皆さんが何をどうして欲しいかをしっかり受け止めるということです。

そしてその気持ちをくみ取って、何をどのようなスタイルで提供させていただけば効果的かを重要視しています。例えば新入社員のマナー研修と一口で言っても、企業によって希望されるレベル、内容がそれぞれ違います。
例えば、代表電話の企業と個人のスマホで受ける企業では、かけ方や受け方が違いますし、身だしなみ一つでもファッションの企業と、金融では全く異なりますから、相手のことを勉強し打ち合わせを密にして、初めて良い研修につながります。

また、研修は一方通行にならないように、常にコミュニケーションを取りながら進めますので、朝は一番早く会場に行き、始まる前に受講される方とのコミュニケーションをとって、垣根をなくすような工夫も心がけます。

今回、宝石のリフォームを通して様々なことを学びました。そして私の仕事と共通性があることも知りましたし、私の鏡になってくださっていることにも感謝の気持ちで一杯です。

まだ何点かお願いしているのですが、お蔵入りしていた宝石が形を変えて生まれ変わり、父母の思いを身に着けることができるなんてとても素晴らしいことに違いありません。うれしいニュースをお伝えしました。