2021年3月


オリンピックの大会組織委員長が森氏から橋本聖子氏に交代したニュースは、世界中に大きな波紋を呼びました。

森氏の女性蔑視の発言がジェンダーを標榜する人たちにとっては、許せないものだったことで、口は災いの元ということわざどうりで、謝罪しても口から出た言葉を訂正できないことを今回学びました。

そこで新会長選びとなったわけですが、菅総理が女性、若い人を望むと公言されたことには正直驚きました。これは男性や年配者に対する逆差別にはならないのでしょうか。

初めに女性ありき、しかも若い人という前に能力や、人柄を言うのであれば納得しますが、今回はそうではありませんでした。

橋本氏がいいとか悪いとかいうのではなく、今回橋本氏、丸川オリンピック、パラリンピック担当大臣、小池都知事と3人の女性を起用したことで、さも、日本は女性を大切にしていますよというアピールをしているだけで、実際には様々な面で女性が男性と同等に扱われているかと言えばそうでもないような気がします。見せかけだけの、女性重視、ジェンダーに取り組んでいますよ的なアピールは、今後問題を残すような気がしてなりません。

先日の新聞で、企業の人事の記事がありましたが、社長や専務、常務などの役員はほとんどが男性で、とても女性を大切にするとか、ジェンダーといった感じではありません。お題目だけの女性ありきで、オリンピックだけのきれいごととしか思え馬えん。

私自身の話ですが、講師としての初めのころはビジネスマナーや接遇を教えていましたので、女性講師の役割を強く感じていましたが、プレゼンテーション、ネゴシエーション、リーダーシップなど、受講者がほとんど男性の場合、企業側から男性講師にして欲しいという要望で仕事から外されたことがありました。

女性ではそのような内容は教えられないだろうという思い込みで、中には女性は教え方が優しすぎるから受講生が怠けてしまうとまで言われたこともあり驚きました。

私の教え方を知っている方が中に入って、女性、男性関係なく実力のある講師を紹介しますということで推薦の口添えをしてくださり、もし男性講師に見劣りするようなことがあればいつでも交代させますということで、研修が始まりました。

先方は大会社で、赴いたところこれまで何人もの男性、女性講師が一回で交代させられたとのこと、私にも今日うまくいかなければ二回目はないと思ってくださいとまで言われました。まるで針の筵に座っているような気分でスタートしました。

研修はいつも通り厳しさと、優しさの研修で、楽しく進めました。プレゼンテーションの実習では一人一人の良い点、改善点を指摘しアンケートもこれまでにない良い結果をいただきました。その企業様とはずっと仕事が続いていますが、最初のころの偏見のまなざしは何だったのかと思うほどです。

世の中には男性にしろ、女性にしろ素晴らしい人、能力がある人は多くいます。ただ総合職で転勤があったり、子供のことを考えると出世することをためらうのも当然かもしれません。

コロナ禍でテレワークになって会社に出社しなくても良い環境ならば、女性の活躍の場はこれからもっと増えてくるような気がします。

私もZoomで研修するようになって出張が減り、身体的には楽になりました。すべてがテレワークでできるわけではありませんが、コロナ禍で環境が変わったことで仕事への取り組みが変化し、女性が輝けるようになり、見せかけのジェンダーではなく本当の意味で能力が発揮できる世の中になってほしいと願っています。