2021年9月


オリンピックや、パラリンピック、高校野球などスポーツ観戦で感心するのは、選手たちの躍動ぶりはもちろんですが、アナウンサーの巧みな話術がゲームを盛り立てることに気づかされます。

アメリカでの「オータニサーン」はすっかり有名ですが、アナウンサーの中でも、スポーツのアナウンサーほど難しいものはないでしょうというのが、私の持論です。

日本人ならいざ知らず、外国人で、しかも舌をかみそうな名前や、やたらに長い名前の選手でも間違えずに、タイミングよく感情をこめて放送するというのは想像以上に難しいはずです。しかも、事前に選手について調べたり、過去の成績や、対戦をチェックしたりと、やるべきことはたくさんあり、放送中は解説者との息も合わせなければならないのですから、神経も使うでしょう。

野球や、サッカーのような比較的ゲームの内容がわかっているものならばまぁできなくもないでしょうが、新しいスポーツ、たとえばスケートボード、バスケットボール3×3、スポーツクライミングなどは、私たちはルールも何も知りませんから、アナウンサーが上手に解説してくれないと理解できないんですね。しかもスケートボードで感じたのですが、予定通りにジャンプせず、全く違う技を入れてくる選手もいるので、それをとっさに見抜いて、言葉にするというのはかなり経験がないとできないことでしょう。

アナウンサー自身が選手だった経験があれば案外話せるかもしれませんが、実際には、解説者はそうであっても、アナウンサーはそうでない場合も良くあります。

驚くのは、そこに感情をこめて、声を大きくしたり、伸ばしたり、盛り上げながらのアナウンスをするというテクニックです。とても私にはまねできません。

以前サッカーのレポーターをテレビでやることになりあわてました。サッカーのルールすらよく理解できていないのですから、まずは書店でサッカーのルールなどの本を買いました。それから、選手の位置と顔、名前、もう覚えることがいっぱいで頭がごちゃごちゃです。

現地入りするときの電車の中でもずーと見ていました。これならなんとか行けるかもしれないという感じでしたが、結果は、そう簡単ではありません。ゴールした時に、誰がどうアシストして、ゴールできたのか、一瞬で判断して言葉にするのですから、これほど難しいものはありません。

ラジオでは台本がなくずーっとしゃべることをし、テレビでは何回もリハーサルをするという、全く異なったやり方に加え、スポーツアナウンサーはまさに、神業だと知りました。

ラグビー、アメフト、テニス、ゴルフ、柔道や、バスケットボールなど、どういうわけかスポーツアナウンサーはほぼ男性アナウンサーなんですね。解説者には女性も多くいますが、アナウンサーが男性なのは、瞬間的な判断能力とか、それを表現する能力に差があるということなのでしょうか?

いずれにしても、アナウンサーや、解説者が素晴らしいとゲームがぐんと盛り上がりますね。