2022年12月


あと少しで新たな年を迎えます。子供のころは楽しみだったお正月も、大人になるにつれどうということもなくなり、晴れ着や、おせち料理もテレビで派手にやればやるほど、冷めた目で見てしまいます。

お雑煮だけは毎年食べますが、分量も内容も変化してきました。新潟のお雑煮と言えば、具だくさんで有名で、我が家ではサトイモ、大根、ニンジン、こんにゃく、ちくわ、鮭、イクラなどがどっさりと入ったものでした。

母は日ごろは料理を人任せにしていましたが、お雑煮とのっぺだけは自分で作り、なかなかのものだったように記憶しています。大きな鍋で作り、何杯もお変かわりしました
そのお雑煮に、ぜんざい、きなこ餅が加わり、朝からこの3種類を食べるのですから、東京から来た友人はびっくり仰天でした。しかもお雑煮を3杯、ぜんざいは2杯、きなこにはお餅3つという具合に、お餅が大好きな家族ですから、今思い出しても信じられないくらいです。私は子供時代から甘いものは苦手なので、もっぱらお雑煮専門でした。

さて、お茶を習うようになってそこで供されるお雑煮は、鶏肉、大根、柚子、三つ葉だけという、本当にさっぱりしたもので、これまた驚きました。これはこれでおいしいのですが、あまりにも具が少なく食べた気がしません。

今はさっぱりと具の少ないお雑煮と、白みそのお雑煮、新潟風のお雑煮とバリエーション豊かに、その日の様子で作るようになりました。お餅はよく売っているサイズでは大きすぎるので、半分に切って焼いて入れています。

先日食器棚を入れ替えたので、食器を片づけていたら、塗のお椀がいくつも出てきました。京都の古道具屋で見つけたもの、輪島で買ったもの、会津旅行で買ったもの、木曾を歩いていたら古い漆器屋さんがあってうな重の器が欲しいと言ったら、土蔵から出してきてくれてついでにしゃれたお椀もあったので買ったり、お椀だけでもそのほかに毎日使っているものや、トン汁などの具だくさん用の物、お料理の初めで出すお澄まし用と、最後にご飯と一緒に出す小ぶりのものなど10種類以上はあるのですから、今度のお正月には1日目、2日目、3日目と日にち代わりのお椀を用意して楽しむことにしました。

何でも買う時には欲しくてつい手を出してしまいますが、高いものは箱に入れたまま、あるいは来客があった際に使おうとしまったままのものが、なんと多いことかと感じます。

私はとにかく器が大好きで、漆器は勿論、陶器、磁器、ガラスなど「いいなぁ」と思うと前後の見境なく買ってしまう癖があるようで、食器棚は一般的な家の4,5倍の大きさにびっしりと詰まっています。作家の先生から案内状が届くとつい足を運んで、1つ2つと買ってしまいます。

日本の物だけに限らず、ロイヤルコペンハーゲンや、フランスのリモージュ、ドイツのマイセン、ロシアのインペリアル、ベネチアンガラスなども、現地で見たときにたくさんの中から、まだ日本では販売されていないものを買って、心が満たされる喜びを感じました。

これからも終活、我関せずで好きな物に囲まれて生活したいと思います。