2023年8月


7月の初めに安比高原に1週間行きました。同じホテルに泊まりましたので、荷物の移動がなくそれだけでも助かる旅でした。

岩手県にある安比高原からあちこちに毎日出かけるのですが、その中で八幡平でのトレッキングが一番の思い出として心に残りました。7月とはいえ、山の上は霧で気温は10度以下、その中をガイドさんに案内されてゆっくりと進みました。このトレッキングは山頂までずんずん早く行くというよりも、木や花の説明を聞きながらゆっくりのんびりと歩くので、私のように早歩きが苦手な者でもついていくことができました。

ガイドさんはベテランで木に詳しく、花にも詳しい、そればかりではなくジョークもおもしろい方で、1時間半を楽しく歩けました。

ショウジョウバカマやコバイケイソウ、チングルマなどは私でもわかりますが、オオヤマレンゲやオドリコソウ、ウゴアザミなど知らない花もたくさんあり、とても勉強になりました。でもなかなか覚えきれません。

我が家の庭には和花、洋花、木々もたくさんありますが、とりわけ和花の美しさは他と比較できないほどです。ギボウシ、ヤマホロシツルナス、フヨウ、ミズヒキソウなど今を盛りときれいな花をつけています。日本的な雰囲気が大好きで、バラや、ヒマワリ、ポーチェラカ、ベゴニア、サマーエンジェル、ペチュニア、サフィニア等もありますが、断然和花がいいなと思っています。

いま、NHK朝のドラマで「らんまん」をやっていますが、久しぶりに興味を持って観ています。牧野富太郎を演じる神木隆之介の芝居のうまさにもひかれますが、牧野富太郎の名前を聞いて懐かしさがあるからです。私が牧野富太郎を知ったのは小学6年生の時、放送部でお昼休みに本の読み聞かせをしていた時に出会いました。

毎日、図書室で明日はどんなお話を読み聞かせしようかと考えるのですが、その時に「日本の偉人伝」という全集を見つけました。野口英世、伊能忠敬、和井内貞行、前島密などに並んで牧野富太郎の本がありました。直ぐに借りて放送の前の日には家で音読です。下読みしなくては当日まごつきますので音読します。黙読するとあっという間に数ページを読んでしまいますが、音読ではそうはいきません。この段階で、牧野富太郎という人の優しさ、あきらめない気持ち、コツコツと夢に向かって生きる姿勢に惹かれましたし、感情をこめて読むように気を付けました。ですからNHKでの放送を知った時は、本当にうれしく感じました。

私が放送局でアナウンサーになりたいと思ったのはこの経験があったからですし、今も、黙読よりも音読の大切さを感じます。
例えば本を読んでいて難しくて読めない漢字があったとしても黙読ならば飛ばし読みをしますが、音読だと飛ばし読みはしたくないという感覚が生じます。そして辞書で調べます。現在言葉づかい、特に敬語を教えていますが、これが割合すんなりと教えられるのは、本を音読して言葉づかい、尊敬語や謙譲語が体の中に入っていたからではないかと思います。

もともと、本を読むことは大好きで、仕事に出かけるときにはパソコンや資料と一緒に本を必ず持っていきます。文庫本ならさほどの重さではありませんがかなり分厚い単行本でも持っていきます。電車の中で音楽を聴くことはなく本を読みます。かなりの活字大好き派でしょう。クリックするよりもページをめくる感覚がいいんですね。時代遅れのようですが、時にはタブレットで読むこともありますよ。

寝るときも必ず本を読みますし、本が無ければ眠れないという感じです。時には面白くて寝ずに読んでしまうこともあるので、寝るときにはなるべく難しいものを読むようにスイッチしています。
新聞も大好きです。実は亡くなった父母も毎日、新聞を隅から隅まで読んでいましたし、姉や弟も本好き新聞好きです。私は新聞は1紙ですが弟は3紙読んでいるようですし、何を訊いても即答えがかえってくるのは、本を読んでいるからでしょう。時々メールで、「この人のこの本が心に響いた」などと書いてくるので「私もこの人の本は読んだ方がいいよ」と返します。

ところが、残念なことに近所にあった本屋さんが廃業してしまいました。ちょっと立ち読みなんてことができなくなりましたん。バスか電車で大型の本屋さんまで行かなくてはならないのです。勿論ネットでも購入しますが矢張りページを繰って少し読んでみないと買うのは抵抗があります。ネットで注文したら、イメージと違っていたなんてことはざらにありますから、新聞や週刊誌の書評はあてになりません。いえ、あてにならないというよりも、私の好みには合わないということでしょう。賞を取った本を購入しても「なんか違う」と読み進まなかった経験が何回もあるだけに、矢張り手に取ってみたいのです。
図書館も利用しますが、新刊はなかなかすぐには手元に届きませんので、読みたいときには購入するしかありません。

それにしても若者の本離れはすさまじく、研修の際に「最近読んだ本は?」と質問しても答えが出てきません。活字離れで親も新聞を取っていないから、子供は読むはずもありません。SNSで人の書いた言葉を鵜呑みにしてしまうリテラシーの低さの原因はこんなところに潜んでいるような気がします。

私が読んでいる日経新聞は朝・夕刊で5500円になりましたから、他の新聞に比べると高いのですが、そこから得られる様々な知識や情報は5500円以上だと思っていますから、旅行で家を空けている間も旅先で読んだり、新聞配達の人には後でまとめて持ってきてもらって読んでいます。かなりの量なので、一仕事ですが、矢張り読みたいという気持ちの方が強いのです。

本や新聞を読む習慣は小さいころからのもので、実家にいた時は4紙もの新聞を取っていましたからいろいろと読み比べたり、1つの記事に対して親と意見を戦わせたりしたことも、今では懐かしい思い出です。

願わくは、本屋さんがこれ以上少なくならないことを祈るばかりです。