2024年2月


まさか新年早々こんなにも大きな地震に見舞われるとは誰も考えてはいなかっただろうと思います。何年か前に確か2日に地震が来て、私は初詣で鶴見の総持寺に行っていた時にもかなりの地震があったと記憶していますが、今回の能登での地震には本当に驚くと同時に、この寒い時期に被災された人たちのことを思うと、言葉もありません。

能登地方は社会人になってまもなくの頃、中学校時代の友人と3人でレンタカーを借りて一周したことがありますので、被災地の名前を耳にするたびに、さまざまな思い出がよみがえります。更に和倉温泉でおもてなしとサービスについての研修で伺ったことがありますので、なおさら身近な地方です。和倉温泉では、加賀屋さんの社長が代表の温泉組合があり、多くの旅館の仲居さんはじめ従業員の皆さんのおもてなしの研修をと依頼されたのです。

私の研修は机上論ではなく、実際に即した内容で進めますので、まずは私自身が泊まってそこで感じたこと、見たこと、気づいたことを中心に、具体的に話を進めることにしていますので、講師であることを隠して事前に宿泊をしてみました。すべての旅館に泊まりたいところですが、そうもいきませんので二つの旅館を予約して宿泊し、研修に備えました。

研修当日はほとんどの方が旅館のお仕着せを着て、参加されました。加賀屋さんの社長のごあいさつの後、ロールプレイングをしながら身体で覚えてもらいながら、気が付いたことや、様々な工夫をお教えしましたが、皆さんとても素直に吸収されて私自身楽しい思い出になりました。

その数年後に、旅行で加賀屋さんに泊まった際には、研修の成果が感じられ素晴らしいおもてなしをしていただきました。私の担当の仲居さんは、来月から台湾の加賀屋さんに転勤しますとうれしそうに話され、誇りを持って仕事にいそしんでいる様子に私までもが胸が高鳴るような気持ちでした。
あの辺りには多くの旅館がありますが、どれも一度は泊まってみたいと感じさせてくれるような、素晴らしさで、地域全体でおもてなしを実践されているように思います。
それが、すべて今回の地震で崩壊してしまうとは、なんということでしょう。簡単に再建することは難しいでしょう。

輪島の朝市通りも何回か訪れました。干物や漬物、干し柿を買ったり、輪島塗のお椀やお箸も買いましたっけ。
それがもう見ることができないなんて、まるで悪夢です。
天災の恐ろしさを今更ながら感じます。地球は生きているということをまざまざと見せつけられたような思いです。

2日は日航機と海保の飛行機の大事故。これも本当に驚きました。幸いにも日航機の乗客や、乗務員は無事でほっとしましたが、海保の亡くなった方には気持ちが沈みます。地震と違い、人災による事故だけに、何故?どうして?という思いを抱かずにはおれません。

CAさんの機敏な判断と行動で、一人の死亡者もなく無事だったことが何よりでした。普段からのトレーニングのたまものでしょう。研修講師をしていていつも思うのは、テキストだけに頼った講義は、一応頭では理解できているつもりでも、恐らくは半分もわかっておらず、何回ものロールプレイングを通して初めて心に残る、腹に落ちるのではないかと感じていますので、今回の事故でも、それが証明されたと思いました。

ビジネスマナーでも、名刺のやり取りや電話応対など、テキストに書いてありますが、実際にやってみないことには身体に染みつきません。リモートで教えていてももどかしさを感じてしまうのは、おそらくそういうことなのでしょう。

春が待たれますが、被災地のライフラインが一刻も早く回復して、日常が取り戻せるようになることを祈るばかりです。