2024年3月


暖かくなったり、寒くなったり、2月は気温の乱高下で驚くばかりでした。冬物のコートをクリーニングに出そうと思ったら、寒くなってまた着たり、かと思えばシャツだけでも過ごせそうになったりでしたね。

しかし、着物の世界では季節を重んじますので、2月は大炉と言って、普通よりも大きな炉で暖かさを演出することになっていますので、いくら暑い日とはいえそれを崩すことはできません。着物も袷のままでまだ何カ月も過ごすしきたりです。これは最近の時代にはそぐわないと分かっている習慣でも、自分で勝手に変えることはできませんから、お茶のお稽古の日の気温はとても気になります。

私の通っている先生のところでは、8畳と6畳を繋げてお稽古をしますが、3か所に同時に釜をかけてのお稽古ですので、冬は暖かくて過ごしやすいものの、夏になるとエアコンを入れていても火の近くは相当な暑さです。毎回初めに当番に当たった人が炭手前というお稽古をしますが、ずっと火のそばですので、なかなか大変なことです。

私の通う曜日は11人の生徒ですが、そのうち4人は自宅で生徒を取って教えている方ですので、お互いにアドバイスしながら先生の目の届かないところをカバーしてお稽古をつけてくれます。教授の方ですので、皆さんとても親切に私にも教えてくださるので、お稽古が待ち遠しくてなりません。

お稽古の前の日には着物や帯を取り出してどれを着ていこうかと悩むのも楽しみの一つです。帯締めや帯揚げの色や材質などもあれこれと迷いながら決めているのですが、洋服と違い季節感を重んじるために、例えば桜の柄は桜が咲く直前まで着ますが、それ以外の季節には袖を通すことができませんので、今年も一度きりしか日の目を見ることがありません。

花柄の着物を買わなければよさそうなのですが、なぜか、梅、桜、あやめ、菊などの季節を感じるものを買ってしまいます。同門の中にはいつも無地の着物しか着ない方もいらっしゃって、それはその方によく似合っていて素敵なのですが、私はどちらかと言えば柄物が好きなようで毎回違うものを着て出かけます。

デパートへ行けば必ず着物売り場を覗きますし、呉服屋さんも大好き、着物の本も愛読書の一つです。
ところが私の体型が着物向きではないのか、どう見ても上手に着こなしているとは言い難いのです。肩幅がありすぎるのでしょうか?着物はなで肩の方がぴったりですし、首もほっそりと少し長めの方が美しいに違いありません。
髪の形もおそらくアップの方が襟足も見えてきれいでしょうが、私はベリーショートです。どう見ても和服にふさわしくないでしょう。女優さんや、舞妓さん、芸者さん、演歌歌手の皆さんは本当にきれいに着こなしているので、驚きます。
そして所作もそれにふさわしく、立ち振る舞いもきれいです。残念ながら私はひざを痛めてからは、立ち座りがしづらく美しくとはいかないので大変な思いをしています。

茶道の世界はお点前だけではなく、お軸や花、茶杓、茶入れや仕覆、茶碗そのほかの器物など勉強することが山のようにあるので、見て、聞いて、触って、お香を聞いたりお茶そのものも薄茶と濃茶とお菓子を味わったり、時々は懐石料理も楽しんだりと奥の深さには驚くばかりです。

私の好きな言葉に「人生は頂上のない山登り、息切れしたところが頂上となる」という含蓄のある言葉がありますが、これは、仕事の上でもいつも考えていることですが、息切れしないように毎回勉強して上を目指して修行しなければと心にとめています。

研修の仕事も毎回同じとはいきません。伝えたい内容はある程度同じでも、参加者によって具体例を変えたり、使うパワーポイントもその場その場で変えています。一日の講座には200枚くらいのパワーポイントを用意しますが、毎回それらすべてを見せているわけではなく、進捗状況を見ながら使うか使わないかを決めています。そのパワーポイントもデータを入れたりしますので、作ったら終わり完成とはいかないのです。なかなか骨の折れることですが、それなしでは生きた研修はできないのではないかと思い息切れしないように努力しています。

先日読んだ本に今の大学生が授業中に寝たり、何かを食べたり、私語をしたりスマホを見たりしているのが当たり前のように書かれていてびっくりしました。私が教えている大学でも、最初に行った時はほとんど全員がスマホを手にして、席は後ろから座っていて驚きました。私はスマホはしまうよう促し、席は後ろには座らずに前から座るように、私語は禁止としたところ、学生は戸惑ったようでしたが、すぐに私の意をくんで素直に従って、受講してくれました。ちゃんと伝えれば理解してくれるのです。

思うに、何かを食べたり私語をしたりしていても教える方が何も注意しないのは間違えているのではないかということです。本来は躾で、当然の事なのにそれを何も言わないというのは、教える側にも責任があると思えてならないのです。

4月になると新入社員のビジネスマナー研修が始まります。大学と社会人との違いに戸惑うことばかりでしょう。でも、ビジネスマナーをきちんと覚えることの大切さ、また行動できないようではこれから先社会人として恥ずかしいことに違いありません。マナー研修を受けてよかったと言われるように、私も頑張って毎日を過ごしたいと思います。