2024年9月
先日のことです。テレビを見ていましたら、70代の男性が、「もう会社に行くこともないし、趣味もないし、朝の散歩くらいしかやることが無い。でもこの暑さだからそうそう歩けないので、30分で帰って毎日一本の缶ビールを飲むことだけが人生の最高の喜びで、あとは何もない。」と語って、その一本の缶ビールを「あー」と何回も言いながらおいしそうに飲んで、後はテレビの前でぼんやりと画面を見ている様子に人生のあり方を考えさせられました。
これまで懸命に働いて行きついた先がビール一本ですから、見ている私が辛くて、胸が詰まりました。奥さんには先立たれて一人暮らしの男性の典型かもしれません。
女性は一人になっても、生き生きとあちこち旅行したり、食事におしゃべりにと楽しく過ごしている方は良く見かけますが、男性は全く違うようです。
私は旅行が好きで良く出かけますが、行く先々で見かけるのは、女性のグループです。男性グループに比べると女性グループの方が圧倒的に多いのです。
知り合いの中には、夫婦での旅行はまっぴらという人がいます。一緒にいると旦那さんがあれこれとうるさいから、女同士で行った方が楽しいということのようです。
あるいは、普段から寝室を別にしているので、旅行先で一緒の部屋は嫌という人もいました。時間のずれや、いびきの問題なども関係しているのでしょうが、だから旅行しないというのも寂しいことのように思います。
70歳を過ぎて、あるいは定年を迎えて、何もすることが無いというのは何ともむなしいことです。
私の利用する駅は駅ビルになっていて、スーパーや、ドラッグストアー、カフェ、スポーツジム、病院まで入っていますが、なんと区の図書館もかなりのスペースであります。個人のデスクもたくさんあり、受験勉強で利用する人も多くいます。
その中に、毎日同じ場所で、ほぼ一日中座っている70代とおぼしき男性がいます。黒いシャツに黒のズボン、机の上には2本のペットボトルと何冊もの資料、そしてノートなどが置かれ、いつも何かを書き写しています。初めは気にならなかったのですが、いつ行っても同じ席で、同じスタイルですから、そのうちに何故か目を止めるようになりました。
ノートには細かな文字で、びっしりと書いているようです。どこかの先生をされていたのでしょうか?
恐らく定年を迎えて、自分がやりたいことをされているのでしょうが、図書館はまるで自分の書斎のようです。朝からずっとそこに座って、一人黙々と何かをされています。パソコンや、タブレットは使わないようでもっぱら本とノートのみで作業をされていますので、最近では稀有なスタイルかもしれません。もしかしたら、今こそ生きる喜びを感じているのかもしれません。
テレビで見た男性とは全く異なる生き方と言えるでしょう。
いくつになっても、楽しいことやドキドキすることがあるというのはなんと素晴らしいことかと感じます。先月はオリンピックや、高校野球など、ドキドキする楽しいことがたくさんありましたね。大谷選手の活躍も目が離せません。そしてそういったことに一喜一憂することができるというのも、感性がまだ衰えていない証拠なので、喜ばしいことに違いありません。感動する心や言葉は大切にしたいと思います。「わー!」「あら!」「すばらしい」等という言葉を発することは、心も喜ぶことですから沢山使ったほうが生き生きと暮らせるでしょう。
世の中は暗いニュースが多くありますが、自分をしっかり見つめて前向きに過ごすことこそ、大切なことに違いありません。
今月も沢山の出会いと幸せがあることを祈っています。
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