◇アルバム解説
1stシングル「Semi-Charmed life」で一気に大ブレイクし、瞬く間にその名を世界に知らしめた
彼らTHIRD EYE BLIND。当時、ここ日本でも「Semi-Charmed life」がかかりまくっていた。そのデビュー・アルバム「THIRD
EYE BLIND」は700万枚もの売上を記録。
彼らの特徴は、メランコリーと狂喜の間を還流するメロディーに、ヒップホップのグルーヴを取り入れ、それをキャッチーにまとめ上げているところだ。U.S.の陽気さにU.K.の湿り気を加えたたかのようなサウンドであり、そのキャッチーさから、一度聴くと頭から離れなくなってしまう。ヒップ・ホップのハネるリズムが体を揺らしてくれる。
このアルバムは、ドラム、ベースもさることながら、スティーブンの歌声とケヴィンのギターが素晴らしい。スティーブンの歌声は、狂喜、投げやりさ、情けなさ、惨めさ、憂鬱、優しさ、といった感情をうまく表現できるところが魅力的だ。また、独特の節回しが曲に強烈な個性を与えている。剛ではなく柔で攻めるケヴィンのギターは、繊細なサウンドと力強いサウンドを使い分けながら曲を引き立てる。その対比が美しい。そして、ソロの部分でも彼の技がキラリと光る。
ここで、彼らのサウンドには、狂喜の他に、突然白目をむいたりする奴や、いきなり叫び出す奴(皆さんのまわりにもいるでしょう)のようなキチガイじみたものも感じる。そこに私はなんだか惹かれてしまう・・・。ところどころに出てくる彼らの突き抜けるような奇声コーラスにも、そんな底抜けのキチガイさ感じとってしまう。
歌詞には、女性にふられた男の哀れさ、惨めさなどがシニカルに描かれている。それが陽気な曲に乗っかったりするものだから、その落差がこれまた面白い。
◇戯言
このアルバムに収められている曲はどれも大好きですが、個人的には7曲目「THANKS
A LOT」が1番好きです。スティーヴンのこの歌い方が好きです。3目がコーラスも連発されます。ミドル調の美しいメロディーの中、ケヴィンの繊細なギターワークが冴え渡ってます。特に、イントロの部分と、彼のギター・ソロ部分の美しさに心を奪われました。
彼らのジャンルがよく分かりません。マッチ・ボックス・トゥエンティーやグーグー・ドールズとかと一緒のくくりにされてますが、全然似ていないし・・・。一応、オルタナティブ・ロックなんでしょうね。メディアの方も彼らの扱いに困る感じで、紹介しにくいのか、ほとんど取り上げられません。ここ日本では忘れ去られてしまっているような気もします・・・。
この1stアルバムには、激しいロック調のナンバーもあれば、スローテンポのフォークっぽいサウンド、ヒップ・ホップテイストの曲もありと、多彩な楽曲で構成されており、非常に完成度の高いアルバムに仕上がっておりますので、聴くならまず、この1stを!
UK音楽好きに聴いて欲しい1枚です。
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