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山登りの話題(会報掲載記事)
会報 「 かんじき 」 第9号を発行致しました。 原稿の中に異色の記事(池澤氏作成)がありますので紹介しましょう。
(年間山行日、200日を越える実績と経験の中からの話題です
。)
01 雷と鎖 02 山中ひとりテント  03 風雨の山頂に女性の声
04 猿のテリトリーとヒッチハイク 05 北海道でヒグマの習性を聴取 06 リスの二段ベット
07 サングラス代行 08 寝ぼけ朝 09 アブ、ヒル、ブヨ&カの攻撃
10 ダニとヘビ 11 離島の山々 12 役に立たない趣味ほど当人には価値
13 キノコの毒性 14 山菜と山魚 15 成人病防止の山登り
16 山の高さ 17 四国おへんど話 18 ピンクテープとビニール紐
19 年輪の幅 20 山名 21 しもつかれ
01 雷と鎖
 
山登りの落雷事故は多く、高木の下や岩場など危険箇所も多いが、山小屋の中でも安心していられない。近くに岩穴でもあれば逃げ込めるが、山頂広場などではどうにも出来ず仕方なく運に任せる場合もある。
真夏の2000年8月2日 秋山郷から鳥甲山に登ったときの出来事である。切明温泉・和山登山口から左右の展望を楽しみながら露岩を登るが山頂上部はガスが架かっている。小雨もバラツキだし下草も露っぽい事から、雨具を付けて細尾根を登る。遠くでゴロゴロと雷の音が聞こえるが雨とはならない。
一番難所の馬ノ背は両手を使ってのクサリ場である。暗くなりだし突然稲妻が走り雷鳴が轟く。避難する余裕も無くクサリを更に強く握り締める。ゴルフクラブやラッパなどなら、即投げ出すだろう。「身近に稲妻が走る落雷の窮地でもクサリは手放すどころか強く握る」現地での無心行動である。落雷時金属片から離れるということは頭脳判断で、クサリを手放すと滑落するので握り締めることは反射的行動のようである。
02 山中ひとりテント
 テントを担いで奥山を歩くと行動範囲が広がる。夜中に色々な動物がテントを訪ねて来るので楽しいものである。臆病で遠くから眺める鹿、エサはないかと嗅ぎまわる狐など可愛いものである。
 1997年8月14日 富山・濁谷山へ登頂すべく虎谷から林道に入り、林道終にテントを張って夕日を眺め独り晩餐を楽しむ。真夜中にテントを揺らす動きに目を覚ます。テントのジッパーを開けて懐中電灯でテント外を眺めても誰も居ない。風も無いのになぜテントが揺れるのか不思議なものだと、ウトウトと寝始めたころ、再びテントが揺れる。
 急速にジッパーを開け素早くテント口から顔を出すと鼻先が異物に衝突、飛びのいて驚いているのはカモシカではないか。どうやら近視のカモシカに突然キッスしたらしい。雄雌の判断はできないが変わった訪問者である。翌朝 テントの張り紐がカモシカの足によって散乱していることを確認。
 北海道ではキタキツネが目に付く。道端を歩いているが人が近付くと藪の中へ逃げる。観光地では子供連れのキタキツネが観光客に餌をねだったりしていて、人馴れしてきている。
 2001年9月19日 道南の砂原岳登山口にテントを張ったときの出来事である。
夕食時 周囲にキタキツネが動き回っているので、食物はテント内のザックに仕舞い込みガスボンベは食物と違って問題ないと判断してテント外に置いた。翌朝 驚いたことに、ボンベの上にキタキツネの糞が載っているではないか? 食事に有り付けない嫌がらせではなく、キタキツネの縄張りを示すミヤゲものと思われる。

03 風雨の山頂に女性の声
 暗い夜道を歩いていると木株が人型に見え、迷った籔を歩き疲れると木葉も車道標識に見えてくる。恐れているもの・願望しているものが幻覚となって錯覚を誘うのであろうか、

 1996年9月14日 焼走りから岩手山に登ったときのことである。焼走りに沿った登山道を登っていくと地元の登山家に行き会う。昔は焼走りの崖に沿ったガレ場を直登するルートが登山道との説明を受け同道することとなる。曇りから小雨に変わり風も強くなってくる。

 地元の登山家は登頂を途中断念するが、私は誕生記念登山なので山頂を目指す。残雪の融後には季節外れのコマクサが一面に咲いている。風雨が強くほとんど何も見えないが、稜線を一直線に高み高みへ登る。
山頂近くは誰も居る筈はないのだが強風の中 微かな女性の声が聞こえる。目を見開くとガスの中に座り込んだ姿が見える。
後ろから冷たい肩を叩いて「どうかしましたか」と訪ねて正面へ廻り込むと、なんと石の地蔵尊であった。強風がピューピューと音をたてて吹いている。


04 猿のテリトリーとヒッチハイク
 野生動物には、「危険を及ぼす外敵から身を守れる距離」または 攻撃する相手から逃げ出せたり、身構えて反撃できる安全距離-----テリトリー----があるらしい。雀も遠い距離では自由に振舞うが、近付くと警戒し更に近付くと逃げる。

 2004年11月9日 栗山村湯西川集落の西の「前山」に登ったときの出来事である。栗の木が多く急斜面には栗の実が落ちている。口に含み皮を剥いて渋を取ってカリカリ食べると甘い味がする。
野生の猿集団も30m離れて同じく食べている。私が猿に近付くとその距離だけ離れ、遠のくとその距離だけ近付いてきて、常に30mを保って栗を食べている。急に近付くと警戒声を発して逃げる。ここの猿のテリトリーは30mなのであろう。

 慣れてくるとテリトリーは短くなるのか ? 人間に近付いて餌をねだる場合もある。屋久島の猿は夜は安全な山中に住んでいて、昼は餌の多い海岸線へ出てくる。車が来るとボンネットに飛び乗り、ヒッチハイクの出稼ぎをしている光景を見た。

05 北海道でヒグマの習性を聴取  
 
2001年6月29日 羅臼岳に登る前日、岩尾別ユースホテルでの説明会で聴取。ヒグマは人そのものは襲わない。襲う条件は次の三つである。
@  接近(ヒグマのテリトリー) 不意に出会ったりハンターに追い詰められた時。
A   食料(餌場、入手食物) 山菜採り場、魚捕り場、動物の肉を埋めておく。
B    親子間(子守の親熊) 熊の親子間に入った外敵。小熊は好奇心が旺盛。 

 「ハンターへの逆襲」や「山菜採りでのばったり出会」で襲われる場合が多い。音を出す登山者は滅多に襲われない。一度餌にありついて、執拗に追いかけてくることもあるので食物の匂いは出さないこと。

 熊の糞の多い所(餌場)や小熊からは、速やかに離れることが重要であり、小熊を眺め写真を撮っていて襲われたり、毎日のように写真を撮っていたプロの写真家がヒグマに近づき過ぎて襲われた例もある。
 ヒグマの多い北海道の山々を歩くとき、接近・食料・親子間を常に頭に置いて行動したいと思っている。

06 リスの二段ベッド
 ゴミを撒き散らす行為は恥ずべきものだが、観光地のいたるところにゴミを見かける。逆に国立公園から鉱物や動植物を持ち出すことは法で禁ぜられている。北海道のキリギシ山は高山植物盗掘防止のため、登山禁止となってしまったことは誠に残念である。

 北アルプス・裏銀座縦走から笠ケ岳へ向い、笠新道を新穂高温泉に降り帰宅途中の出来事である。2004年9月9日 深山荘の露天風呂で汗を流し、夕刻 駐車場を出立し帰路に付く。松本からR254三才山トンネルを走る頃、運転中の暗い足回りや膝上に異常な気配を感ずる。

 Jimnyを止めて室内灯を点け見回すと車内の飴紙が散らかっている。何も居ないのでそのまま暫く走るとフロントガラス前を横切る黒い影に気付く。駐車のとき少々窓を開けておいた隙間からリスが車内に侵入し、私の仮設ベッドの下に巣を造ったらしい。追い出すにもリスの姿が見えない。仕方なく小山自宅まで同乗、一晩ドァを開放したら逃げ出したようだ。

07 サングラス代行
 真夏の雪山は太陽光が強い。サングラスをかけて目を保護しないと眼病となり失明の危険もあるという。

 2005年6月24日 北海道の平山に登ったときのことである。冷涼ノ滝を通り雪渓を登る。照りつける太陽は強烈で目が痛い。無雪を予想しサングラスは車の中に置いて持参しないことを悔やむ。
 友達と対策を相談し、めがねレンズに黒マジックを塗る。サングラスと同様に効果抜群だ。お互いに顔を見合わせ、見栄えを楽しむ。山頂にて大雪展望を楽しんでの帰路、暗い林道にさしかかり、めがねのマジックが消えないことに遭遇。油性マジックを使用したのだ。何回も擦って無事に済んだが冷汗をかいた。

08 寝ぼけ朝
 早朝の出発は脳の回転が遅いのか、思い込みによる失敗が多い。反対方向へ車を走らせたり、弁当の受け取りを忘れたりする。

 1993年5月22日 岐阜県洞戸村の民宿に友達と泊まり、朝食前に高賀山に登ったときのことである。広い洗面場で、二人めがねを外し二日酔いの顔を洗う。その後友人が「今朝は体調が悪く、めまいがする」と言い出す。私も何となく歩行が不安定で手元が狂ってしまう。

 しばらく登山支度をしている内に、お互いのめがねの掛け違いに気付く。焦点がボケているのは頭の方で、体不調だと思い違いをしている。

 1995年6月19日 秋田県横手市の横手グランドホテルに泊まり黒森山に登ったときの早朝の出来事である。昨夜車を停めた広い駐車場へ先行した友人が、車の鍵が開かないと戻ってくる。
私も妻から借用のマークUなので馴染みが薄い車である。二人して鍵を代わる代わる操作するが受付けない。困ってしまって自動
操作すると隣りの車で微かな音がする。全く同じ外観の車が隣り合わせで駐車していたのである。接近し過ぎの決め付け判断は避けたいものである。

09 アブ ヒル ブヨ&カ の攻撃
 虻・ぶよ&蚊に刺されると痛いがヒルは痛くも痒くもなく、ただ血が流れしばらく止まらないだけだ。それなのにヒルが一番嫌われるのはなぜか ?

 2000年8月6日 福島県金山町本名先の御神楽岳登山口にテントを張り、翌7日に霧来沢沿いの登山道を登り始める。テント周辺にも飛んでいたアブが集団となり襲い掛かってくる。追い払っても体に巻き付き髪の毛や袖の中まで浸入してくる。体を休めるとたちまち集まって縋り付く-------。

 急な早朝の動きで自然現象が発生・トイレに行きたくなる。しかしこのアブでは余裕をもって行うことが出来ない。やがて我慢できず、ズボンを下ろすとお尻にアブの行列、揺すっても離れない。悪戦苦闘 尻と紙の間にアブが入り込んで-----危ない話。

 1991年10月13日 新潟県の日本平山に登ったとき、小雨の降る中 ヒルの活動が活発で靴下の中や下着の中まで侵入される。下山後、真っ赤に染まった衣服を着替え温泉に入り汗を流し、安心して帰路に付く。ところが運転中フロントガラスや後部座席を這い回るヒルがいるではないか !  隅に置けない山の仲間なのだ。

  ヤマビルは湿気の多い山地の立木や潅木、地面の落葉の上に多く集まり、哺乳動物の通過を待っている。登山者が通れば、衣服やスパッツの僅かな隙間から侵入して血を吸う。
ヤマビルは体長が2pを僅かに越える茶褐色の小さなヒルだが、三個の顎を持ち、夫々に90個ほどの丸鋸状の歯列があって、素早く人の皮膚を破る。吸血と同時に血液の凝固を阻害するアミノ酸の化合物・ヒルジンを唾液と一緒に注入するので出血が止まりにくい。温泉でもダメ。


 最近 塩を皮膚に塗りつけると、ヒルやナメクジを防止できるという研究結果が発表されている。
 2001年11月2日 屋久島の志戸子岳に登る。南方の降雨の多い籔山のヒルは半端でない。
しかし登山ルートを見出すのと三角点を探すため、ヒルにかまって
居られない。ハードな籔漕ぎから解放され下山し、コインランドリーでヒル払いを済ませ民宿に戻る。疲れて熟睡するも夜中に布団を這い回るヒルを見て跳ね起きる。リュックザックなどの何処かに潜んでいたものであろう。

10 ダニとヘビ
 ダニは笹薮に多く居て、ヘビは日向で見かけることが多い。ヘビを毛嫌いする人がいるが、子供の頃 小ヘビをポケットに入れて遊んだ私にとっては親しみ易い存在である。家ダニとは親交がない。

 2003年7月9日 北海道北見市でのトラブルである。5/20から北海道の山々を巡り、籔山も繰り返して登り、体にたかったダニは爪を使って引き抜いて無難に過ごすことが出来た。ダニは素早く走り回り、皮膚の軟らかい所に吸着する。

左目尻に異常を感じ調べるとダニが付いている。頭髪に潜り込んだダニが夜中に目尻に落ち込んだのかも知れない。爪先では挟めないほど深く入りこんでいる。北見市の病院で摘出してもらう。そのままではオデキのように腫上がり痛くなってくるという。

 2000年9月13日 新潟県の粟ケ岳に登ったときのこと、山道の岩陰に赤マムシが10匹ほど潜んでいる。ストックで突付いても動かない。冬篭りの相談をしているのか ? 行動が鈍い。仕方なく跨いで山道を通ったが、跨ぐ瞬間は気持ち悪いものである。
 早春と晩秋のヘビは行動が鈍いが、初夏の繁殖期はハッスルしていて好戦的なので注意が必要である。もっともヘビは脅されたり踏まれたり、身に危険を受けなければ人を噛むことはめったにない。

  2003年1月25日 ヒル・カ・ヘビに注意しながら沖縄県西表島を縦走したときのこと。特に沖縄のハブは毒性が強く命に関わる場合もあるといわれている。

真冬のためか、ヒルもハブも見られず快適な山越えの縦走を経験した。沖縄の離島には攻撃的なハブが棲息しているという。

11 離島の山々
 船の通っていない離島に行くにはどうすればいいか? 瀬戸内海では海上タクシーを利用できるが、一般の外海には海上タクシーはなく、漁船をチャーターすることになる。大きな船は高価であり小島への接岸に問題がある。小さな船は安価ではあるが、海が荒れていると出港できない。

 2004年6月に北海道の大島・小島へ渡ったときのことである。松前港に車泊して、波の静かな日を待つこと4日目の6/11出港できる。大島は江良港から船が出て、大島トリカラスノ浜に船着場がある。海は荒れてないと言っても、白波がたっている。船底に白波がドドーンドドーンと当り、フライパンの上の豆のようである。
船荷やマストにかじり付いたりゲロゲロ状態。しかし大島の草つき斜面は草木も低くオダマキ、スカシユリ、キンバイなどの花畑を通って江良岳山頂に登る。帰りは島周辺で採取した生きた海栗(ウニ)をご馳走になりながらの船旅となる。

 2004年8月 能登沖・七ッ島の御厨島・大島に渡ったときのことである。輪島港で御陣乗太鼓など観光しながら、波の静まるのを待つこと3日目の8/7出港できる。漁船は静かな海の上を快調に進み御厨島に着くが港はない。
 岩間に漁船を近づけトモヅナを結ぶため、最初に運動神経の鈍い私が岩上に飛び移る。船を強く蹴ると船が離れ海に落ち易いので注意を要す。一箇所綱を張ると次は船長が投げ縄でトモヅナを張ることが出来る。海岸の岩渡りを繰り返し島の反対側から、海鳥の巣穴が落とし穴のように続く斜面を山頂に登る。

12 役に立たない趣味ほど当人には価値
 世の中に役に立たないことが多いが、何といっても「一等三角点」探しほど無意味な趣味はないと思う。
 雑誌・新聞で賑わっている百名山登山競争の方は、中高年になって山登りを始めた人達の遭難騒ぎのおまけもあって、かなり世の中に知られている。同じ山に何度となく登っている人もいるというのに、山に登っていますと言うと「百名山は何山登りましたか」など聞かれる。

 それに比べて「一等三角点巡り」は家族もマスコミも価値を認めないし、他人に説明しようとしても深田久弥という有名人のお墨付きがないから、話が通じない。かたくなに四角い石頭を三角だと主張するのだから判らないのが当たり前、うさんくさいことを言う奴だと聞き流され、余り熱を入れて説明すると気違い扱いされかねない。

 しかし、一見役に立たないものも良く考えてみると価値のあるケースはよくあって「他人に理解されない趣味ほど、本人にとっては価値あるものだ」と妻に言っては出張ついでや泊りがけで、一等三角点探しをする言い訳としている。
 妻も内心ではバカバカしいことをやっているわいと思っても、歩く時間が少なく温泉巡りのおまけが付けば理解を示して同行してくれる。内心はテレビ劇名所やグルメ温泉行きを期待しているようだが、深く詮索するとこちらに勝ち目はなくなる。

無用に見えるものに価値あるという例は他にもいくらでもある。栄養学で言えば、ゴボウ・コンニャクあるいはサツマイモから炭水化物を除いた残りの植物繊維はカロリーもビタミンもなく、オナラの原料としてのみ有用(失礼!)と思われがちだが、実は腸内の善玉のビフィズス菌を増やして発ガン防止・悪玉コレステロール低減・もちろん便秘とお肌の美化 などに効果があることが証明されている。

しかし植物繊維が腸内で役立つのに対し、一等三角点探しは脳内でさっぱり役に立たないとは思えない点もある。全国津々浦々の地図に三角点へのルートを描く脳神経への刺激が老化防止となるのはマージャンに劣らぬ効果かもしれない。
 ただガムシャラに歩き回ることが足腰を鍛えるなどと我田引水の解釈もできようが、当人にとっては真面目そのもので、周りからは重傷者に見えることは避けられない。

さて、百名山など有名な山で登山道や標識も整備され、かつピークの形が明瞭な三角点はすぐ見付かるが、無名で平べったい山の三角点探しは意外に難しく、まるで宝探しになることが多い。
 平地の林や田畑の標石探しはゴルフ場で嫌われる「白杭」が頼りで、紅白の測量ポールを見つけるとポールの根元周りに目先を走らせる場合は発病の証であろう。

 予備知識がないと見つけ難いのはコンクリート枠内やマンホール内の標石であり、基線の場合など傾斜面にあるときは全く見当がつかない。やっと見つけて、なぜこんな所にあるのかと不信感と同時に、撰点・埋定の理由をつけてみては自己満足している。

 こんなことは楽な方で、酷いヤブコギそしてイバラやツル草のバリケードに押し返されて腕は傷だらけ、ズボンは穴が空いて草の実だらけ、挙句の果てはやっと一等三角点に到達して見ると、別方面から立派な舗装道路が来ている場合など-----馬鹿げたケースがよくあり、とても人様に見せられた図ではない。

 特にサルトリイバラとの格闘は猪突猛進となり、籔から出た途端 ハンターの砲列に止められるなど熊より恐い鉄砲に脅されることもある。
 平地の一等三角点探しも、街中をウロウロキョロキョロしていると「こいつ、泥棒の下見か・過激派の襲撃準備じゃないか」とばかり、うさんくさい目で見られ肩身が狭い。実物の標石を見せて説明しても「四角い石がなんで三角点なんだ! ますます怪しい」と疑われること請け合いである。

 学校や幼稚園の校内に一等三角点が設置されている例も多く、校庭をウロウロ徘徊しようものなら「変態者がいる」と警察に通報される危険性もあり、連れ込みホテルの中庭でカメラ・三脚を振り回す勇気は私には持ち合わせていない。
 経験はないが刑務所の中から這い出る感じで-----密集した笹薮を掻き分けて、横殴りの風雪にカメラ操作もままならぬ指先で、積雪に埋もれた標石を探し掘り当て、涙の一等三角点と面会するなどの苦心も多い。

 自衛隊基地内にも一等三角点があり入所許可が必要である。無断で近付くと銃口を向けられホールドアップさせられるので、命のほしい人や気の小さい人は事前に入所許可の助命手続きをして行くことを薦める。

--------以上のような一等三角点巡りをしてきているが九州・沖縄の離島の一等三角点が残っており、完登はまだ先のようだ。

13 キノコの毒性
 キノコの毒性の判定は難しいと思う。少量だと薬となり多量に食すると下痢を起こしたり、同じキノコを食べても平気な人もいれば食害を起こす人もいる。一緒に食べたものが悪い場合の食べ合わせなどもあるらしい。

 てんぐたけ科は猛毒の種類が多いがタマゴタケだけは有名な食菌で、似ている猛毒のベニテングタケにはひだ・柄が純白色であるのに対し、タマゴタケのひだ・柄・つばは常に黄色なので区別できる。昔から食菌として親しんで食してきたキノコが急に毒キノコと評価替えされたものもある。将来シイタケも毒キノコの仲間入りをするかもしれない。

 2004年10月16日 富山県城端町から小杉山に登ったときのことである。同道の山友のきのこアドバイザー・Nさんに薦められスギヒラタケを大量に採取し、宿にて「茹でて塩漬け」とし持ち帰る。
 帰宅し毎日の美味しいきのこ料理も終る頃、N氏から「先日のスギヒラタケはどうしたい。なに食べた。どこもおかしくない? 」との電話を受ける。お前の方がおかしいぜ。

  きのこアドバイザーは食菌可否を判定するのではなく、菌の種類を判定し「食べている人が多いとか、多量に食べて下痢した人がいる」などの情報を提供アドバイスすることらしい。従って食べるか否かは本人の判断にお任せし(自己責任)、素人が無責任に「食べられるとか、食べられない」など言っているとのこと。

14 山菜と山魚
 ウドは山菜の王様と言われるが、確かに 積雪の融けた柔土にニョッキリ生えたウドを土から掘り出して即、白くて太い根元を生で食べたときの美味は忘れられない。なぜ採ってから時間が経つと灰汁が強くなるのだろう。

 山や にはウドと並んでの好物はコシアブラの芽であろう。コシアブラはウド・タラノキと同じうこぎ科に属し、この木から樹脂液を採り漉して塗料に使ったのでこの名が付いている。福島県米沢の白木の一刀彫りはこの幹を利用している。

 アケビは関東では甘い実を食べるが東北では皮を食べる。アケビの皮の中に細かに切った肉を入れて、テンプラに揚げるとアケビの苦味が旨い。

 2003年6月28日 北海道の風烈山に登った帰りの一線沢下りの出来事である。徐々に水嵩が増し川幅も少々広がり、山友と並んで狭い川を下る。目前に泳いでいイワナが見え、逃げ惑い石の間に背をだしているイワナもいる。
スティクを振り下ろし浅瀬のイワナを一撃。イワナは脳振蕩を起こし白い腹を見せる。山菜も山魚も煮たり焼いたり、そして天婦羅・味噌漬けにしたり、貴重な食材として役立つ。

15 成人病防止の山登り
 「適度の運動が成人病の防止に効果がある」ことは医者も薦めている。糖尿病などは平地の散歩より小高い山に登ることがより効果的であるらしい。
 私は3年前から高山へ行かないとき トレーニングとして、大平町の上山田林道から晃石山へ平均6回/月ほど直登している。ストレス解消には丁度よいようだ。

  晃石神社前で平日登山者の話を聞いていると、半数は趣味の登山・半数は成人病予防の登山のようである。何も食べない人、やたらに食べる人、酒を楽しむ人、話題の豊富な人、黙っている人 いろいろな人に付合えて楽しいものである。

 晃石山山頂には日本で一番大きな一等三角点の標石が埋定されている。国土地理院の一等三角点の規格では縦横18p・高さ21pであるが、晃石山は縦横21p・高さ18pになっている。誰かが間違えたのであろう。

16 山の高さ
 日本の山の高さは東京湾の平均潮位から測量して定められている。しかし[2.5万分ノ1]の地形図は山頂が最高地点でない三角点の高さや位置で表されたり、山名もまちまちである。それらを統一するために国土地理院では千の山を選んで再調査を行い「日本の山岳標高一覧---1003山---」として平成3年に発表している。

 1003山は千山に絞りきれない結果らしいが、山数も一山一峰ではなく、複数の峰(山頂)を持った複雑な構成の山もあり、峰数が1058峰に増えている。

 1997年7月20日 東北の森吉山の山小屋に泊まったときの出来事である。酒を飲みながら「なにを目当てに山に登っているだ」と聞かれ「センミッツの山だ」と答えて皆に大笑いされ、センミッツ目当と言って、何で笑われたか判らなかった。

 センミッツ(1003)とは確率の低い(3シグマ)ことで、東北地方では「1000ケの話をして本当のことは3ケ」とさげすんで《山やの大法螺吹き》と称しているとのことである。今後 私は戦後生まれでもないのに、東北地方へ行ったときは「戦後派(1058)の峰を目当てに山登りをしている」と言うことにしたい。

17 四国おへんど話
  急いでいたり気にかかることがあると肝心なことを忘れることがある。四国の民宿に泊まったときの話である。1996.12.28 朝食後、コーヒーをご馳走になりながら民宿の女将の話を聞く。本日 不入山(イラズヤマ)に登頂後 小山まで帰る積りの私の急ぎを知ってか?知らずか?

 女将がはじめて寺巡りをした時のこと------ある寺に早朝訪れた際 札所の坊さんが早朝の庭掃除をしている。次の寺へのバス連絡便が近く急いでいたので、納経・宝印・料金払いを頼みますと、「先に御参りをするように」と言われました。御経と納経帳を受付に置いて、御参りの間に「宝印---寺印」を押してくれるものと思い、先に御参りを済ませました。

 札所に戻ると「御経は仏の前に捧げ、御参りするのが納経ですよ」と長が〜いお説教を頂きましたが、急ぐ心を抑え なるほどと納得し お礼を述べて料金払をし、納経帳を受け取り急いでバスに乗り次の寺へ向かいました。次の寺で参拝寺順を聞かれましたが、自由順と答えて気にしませんでした。

 家に帰って納経帳を開きますと、例の寺の宝印が押されていないことに気付きました。お説教して下さったお坊さんは、急いでいてもその場で間違えを正さねば納経にはならないと思ったのでしょう。私は一人合点で納経したと考えていました。納経の本質は何か? 間違えは即 その場から改めよ! と言うことだと、今になって気付きました。------と女将の話

 私は女将にお礼を述べながら急いで民宿を出立しましたが、宿代を支払うために、再び民宿に戻るはめになりました。

18 ピンクテープとビニール紐
 複雑な登山道や籔漕ぎをしながら登ったルートを再び下山するとき、意外と登ったルートを間違えることがある。GPSを使ってまめにインプットするには時間も掛かり木の枝を折った程度では気が付かない。

 登山道の分岐や屈曲する場所には、帰り行く方向にピンクテープ(蛍光塗料入テープ)の短片を吊り下げると判断し易い。左折は行く手方向の左側に・右折は行く手方向の右側に吊り下げるルールとなっている。
 道のない草地や薄い籔の場合は、その見透せる長さでピンクテープの短片を次々に吊り下げて登る。もちろん下山時には回収することがマナーである。

 見透しの利かない密生樹林や背丈の高い笹薮などを進む場合は、ビニール紐(一巻き500b)を腰に下げ、引いて置いたまま登る。ビニール紐は赤・青・黄(白は雪やガスの中では目立たない、緑・茶は見難い場合があるので避けたい)が目立ってよいようだ。
 回収しながらの下山はルートを誤らない。北海道などの籔山ではピンクテープ短片とビニール紐に大いに世話になっている。

19 年輪の幅
 切り株の年輪の幅で方位が判る? 年輪の幅が広い方向が日の当る成長の良い「南」方向だ-----という人がいるが本当であろうか。
年輪の幅が広いのはその部分の細胞が大きく、数も多いことは事実であろう。細胞を作る養分は木の葉で作られ、幹を螺旋状、又は扇状に下りていくと考えられている。つまり、細胞の成長の良さと日の当る方向とは無関係、生えている場所の傾斜の方向によって年輪の幅が変化するのが事実のようだ。

 針葉樹では斜面の下側で年輪の幅が広くなり、広葉樹では逆に上側で広くなることを現地で確認した上、他人に話しをしたいものだ。

20 山名
 白馬(シロウマ)岳の山腹には春雪解けの頃、黒い岩肌が馬の形に見えるところがあり、それが現れると代掻きを始めたという。代馬[シロウマ]⇒白馬[シロウマ]⇒はくば すなわち、黒い馬形がハクバに化けたのである。なお 日本海側から白馬連山方面を見ると、主峰の白馬岳を中心に蓮華のかたちに広がっているように見えるので、大蓮華岳とも呼ばれている。

 最近は「はくばだけ」と呼んでいる若者を見かけるが、いやあれは黒馬・大蓮華だよと、私は答えている。

21 しもつかれ
 下野国の郷土料理「しもつかれ」は残菜を利用した保存食である。塩鮭の頭と大根おろし、煎り大豆などで作る郷土料理は、いまも栃木の早春の一品として家庭に伝えられている。油揚げなど入れる所もあり、各家庭ごとに味の違いがあり興味深い。子供の頃から食べなれた味が最良という人が多い。

 語源は 稲荷に供えたとき、早春の寒さで「凍みついた」からきているらしい。シミツイタ⇒シモツカレは栃木訛であろうか。下野カレーではうますぎる。