ピースボート
乗船者は未来を担う若者と先の短い年寄りである
言うなれば無職者たちの船である。沈没しても困る者なし
若きらが九十日も旅できる仕事もせずに、さすが日本だ
中年の男がポツリ呟けり。リストラなんや、じゃなきゃ乗らんよ
縮図だな日本の国の。この船は優雅に見えて悩み深しか
十年前ロシアの豪華客船で旅するなんぞ思いせなんだ
それに亦女性クルーがよく動くキャビンメイドのカチューシャ見ても
彼ら言う、船で働く幸せね。国に帰れば? 仕事・・・それよね
船内生活
極楽はあの世に行きてあわよくばゆける処と思うていたが
囲碁、麻雀、社交ダンスにサッカーとゴルフ以外は何でもござる
午前二時、船内酒場は若者の熱気みなぎりまだ宵の口
早朝はシルバー連が甲板を行ったり来たり健脚競う
( 5 ) PEACE BOAT
2000.5〜(28th)
心臓に機械埋(うず)める男あり。不平はいつも「飯が不味い」だ
午前午後二時間ずつの講義あり訪問国を事前に学ぶ
学校をドロップアウトした子らは習性なのかここでもサボる
われも亦彼らに負けじと甲板で甲羅干しして黒さを競う