私かね、八十九歳。同級生? あらかた逝って
今じゃ三人
若いころ肋膜病んで兵役に就かずに済んだ
これも幸い
運ですわ長生きするもしないのも強いて言うなら
「自然に生きる」
今日もまた老妻連れてカラオケへ喉をしぼりて
ここの湯に入る
体重は六十二キロこのとおり。すっくと立てば
湯気立ち昇る
老、長寿を語る
それがまた荒れたのなんの渋峠は春だというに
マイナス十度
ゲレンデはわれらのほかはニ、三組この時期
此処へ来るは酔狂
午前中十回目途にリフトへと足踏み出せど先が
見えない
凸凹に脚を奪われ二度転ぶ五回滑りて諦め宿へ
翌日は打ちて変わりて好天気リフトの停まる
五時まで滑る
渋峠
( 8 ) 抗老期