十七歳
教職とは聖職なりや幾万の子等が「先生」と呼びて敬う
寄せ集めの言葉の渦にのまれゆく師よ目前に現れくれぬか
初夏の風止みしばし小雨降る君に届かぬ形容詞あり
小さき音もそばたてて聞く受験生深夜零時の君がケイタイ
地表より湧きてきらめく岩清水朝はすなわちここに始まる
季の節目に必ず季の雨の降る洗い流して全て新し
ひとりとは例えばひたすら降り続く月の光を射抜く夜の雨
中傷の風吹くなかれきみどりの公孫樹(いちょう)浮かべてプール
とき熟れてやさしき者のてのひらに水密桃の汗はこぼるる
父の声頼りに暗闇歩きおり母の声出口で聞こゆ