フルートができるまで
知ってるようで知らないオーケストラ楽器おもしろ雑学事典(緒方英子著)より設計
頭部管
1.素材の表面をサンドペーパーで落としバフで磨いた後、管引き加工しミクロン単位の高精度なパイプを成形する。この工程はフルートの音色、音程を決定するため極めて重要。
2.頭部管に小判、小判座をロウ付けする。
3.ボリューム感を増し、遠鳴りのする響きを得るため、唄口にアンダーカットを施す。「ハンドメイドモデル」の高級品は、唄口の取り付けから孔あけ、仕上げまで職人による手作業で行う。
4.メッキの溶液に入れ、銀を電気メッキする。
管体
1.大小4種類、合計16個のトーンホールを管体から引き上げ、先端をカーリングし、ミクロン単位の高精度なトーンホールを成形する。
2.キーポストを作り、ポストリブとロウ付けし、それを管体にハンダ付けする。
3.キーポストに芯金を通すための穴をあけ、キーメカニズムをはめ込めるように、端を平面になるように削る。
4.メッキの溶液に入れ、銀を電気メッキする。
キー・タンポ皿
1.キーになる素材を大きな力でつぶし、強度を上げながら成形する。
2.キーやタンポ皿のうでなどのキー部分にカギ管を通すための穴をあける。
3.部品の形状と同じ形をしたガイドと連動させ、外形を削りながら成形する。ハンドメイドモデルの高級品は手作業で行っている。
4.キーポストとポストリブなどのキー部品をそれぞれロウ付け加工。
5.メッキの溶液に入れ、銀を電気メッキする。
6.長年のノウハウを礎に熟練工が1つ1つ時間をかけて組み込んでいく。
組み立て・仕上げ
1.タンポを組み込んだキーを、ガタつきなくスムーズに動くように仮組みする。次に仮組みした管体と頭部管・足部管を嵌合する。
2.タンポとトーンホールをなじませるため、一定の温度・湿度に保った部屋に一定期間置いておく。
3.キーポストやタンポなどがガタつきなく組み立てられているかなど、角度・すき間などを微妙に調整。
4.鳴りや響き、音程、吹奏感など厳しい機能検査を行う。
5.厳しい検査に合格し完成したフルートをきれいに磨き出荷する。