解 雇
 一口に解雇と言っても、会社の経営難による整理解雇や、懲戒解雇、社長の気分で「お前なんかクビだ」まで、いろいろなケースがあります。
 労働基準法では、1ヶ月以上前の解雇予告手当の支払いを雇用主に義務づけています。だから1ヶ月分の給料を支払いさえすれば自由に解雇できると信じている人もいますが、そんなことはありません。
 労働者の闘いが法律以上のルールを作ってきたのです。




近年「リストラ」と称する「乱暴な整理解雇」が横行しています。なぜ乱暴かというと、整理解雇は4つの要件を満たさなければ無効だからです。
すなわち
  1. 高度の経営危機
  2. 解雇回避努力
  3. 人選基準の合理性
  4. 労働者との充分な協議です 
これは労働者が裁判で闘った結果、確立されたルールです。「リストラ」の多くがあまりにもこのルールを無視したものだったので、交渉で解決しました。そこで経営者は「上手な整理解雇」を考えました。




 解雇には厄介なルールがあると知った経営者は、労働者が自主退職するように仕向けようとします。仕事から干すなどのいじめはよくききます。大幅に賃金を下げたり、1年の契約者員にならなければクビしかないと迫ることもあります。
 しかし労働条件を一方的に変更することは原則として許されません。ただし、解雇するよりも経営者の裁量が認められているのも事実です。
 じゃあどうするか? 職場の仲間と労働組合として闘う。これが一番!




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労災・誰が決める?

1〕 仕事でケガや病気になったら当然、労災保険が適用されます。ところがよくある誤解は、労災かどうか決めるのは会社であるというもの。あるいは医者が診断書で労災と認めてくれないとだめだと思っている人も少なくありません。
 保険の請求人は被災労働者本人なり遺族です。会社はその手続きに協力する義務があるだけ。また、医師の協力がなくても、とりあえず労働基準監督署に書類を出せば、調査するはずです。(嫌がられますが)

2〕 労災と信じて労働基準監督署に労災申請をしたのに、業務外・不支給決定となりました。あきらめるしかないのでしょうか。
 いいえ、裁判で争って労基署の処分が取り消され、労災認定されるケースは珍しくありません。なにしろ労働相の作る基準は不合理な点が多く、過労死などは裁判所から「社会的常識に反する」とまでコキ下ろされたぐらいですから。
 あきらめてはいけません。


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退職しても労災

 会社を辞めてからでも、労災補償は受けられます。労働基準法83条で、補償を受ける権利は労働者の退職によって変更されることはない、と50年以上前から決まっています。
 ところが台湾では、先頃ようやく、闘いの成果として、退職したじん肺患者が労災補償を受けられるようになりました。侵略した国の労働者が敗戦の結果得られた権利について、未だに侵略された国の労働者は闘っているという現実に、非常に複雑な心境です。




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残業代チェック!
 労働相談の際には必ず給料明細を確認します。問題を起こす会社はしばしば残業手当をきちんと支払っていないからです。労働基準法では残業が2割5分以上、休日は3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。
 残業手当の基礎に基本給しか算入しないのもよくある間違いです。通勤手当や家族手当など、算入しなくてもよい(算入してもよい)ものもありますが、役職手当など算入しなければならないものも少なくありません。




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時間は誰のもの?
 労働基準法に、使用者は労働者に1週間に40時間、1日に8時間を越えて働かせてはならないとあります。ところが近年、変形労働時間制、猶予措置などさまざまな例外が認められてきた上に、今度の法改正で裁量労働制の拡大が予想され、ますます複雑になりそうです。
 会社は労働時間を人件費(賃金)や仕事の成果とばかり直結する一方、労働者は、加えて健康や家庭生活を考慮しないわけにはいきません。




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時間をめぐる攻防は 長いたたかいの歴史があります
「着替えの時間も労働時間」とする最高裁の判決が出ました。
大手企業の中で長い間実施されてきた現場面着制という制度は、作業できる状態になって現場に到着した時点からが労働時間の開始だとするもので、一方的な経営者側の理屈です。それに対して抵抗を続けてきた結果、「着替えの時間も労働時間」とする最高裁判決に結びつきました。
トヨタに対する労基署の是正勧告は、過去半年の残業分1,000万円の支払いを命じたもの。
居酒屋チェーン店白木屋では、女性たちが組合を結成して、従業員2万人全員を対象に、未払い残業代計38億円の是正を勝ち取っています。



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残業は「特別」
 1日8時間、1週40時間以上、または休日に働かせるに当たって、会社は業務の種類、延長時間などに付いて、労働者との間で協定を結び、労働基準監督署に届け出なければなりません〔労基法36条)。
 中小零細企業の多くはこれを守っていないのに、労基署の指導はナマぬるく、ほとんど違法野放し状態です。少なくとも我々労働者は、残業代を気にする前に、「特別に働いてやってるんだ」という意識を持ちたいものです。




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管理職は残業なし?

 労働基準法41条には労働時間、休憩などに付いて、「監督もしくは管理の地位にあるもの」は「適用しない」という条文があります。それで、いわゆる管理職は残業代がつかないことが当たり前のように思われがちですが、間違いです。
 労働省の通達でも「職制上の役付者であればすべてが管理監督者として例外的取扱が認められるものではない」とはっきり言っています。
 特に、カタカナ文字のわけの分からん「役付」にごまかされてはダメ。




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パートにもあります、有給休暇
 労働基準法39条で「使用者は6ヶ月継続して勤労した者に10日、以降1年毎に1日ずつ加算して有給休暇を与えなければならない」とされています。今年4月からは、2年半以降1年ごとに2日ずつ加算となります。いわゆるパートタイマーにも労働日数に比例して与えなければなりません。 134条には有休取得者への不利益扱いを禁じる旨が定められています。そういうことをする意地悪い経営者が少なくないことの証しでもあります。



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労働条件明示は会社の義務
 労働基準法15条で、労働契約を締結する際、条件を明示することを使用者に義務づけています。ただし1999年3月までは書面での明示が義務づけられているのは、賃金についてのみ。あとは口約束でも構わないので、トラブル発生の元でした。
 ようやく4月からの改正で、
  1. 労働契約の期間
  2. 就業の場所及び従事すべき業務
  3. 労働時間
  4. 退職
に関しても書面による明示が義務づけられました。
 なるべく具体的で詳しくさせることがポイントです。




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退職金がない?!
 相談活動の中で「退職金がないのは法律違反にならないのですか?」と尋ねられることがあります。労働基準法では、退職金がある場合は、適用労働者の範囲、計算・支払い方法、時期などを明示するように定めています。つまりなくても違反にならないわけです。一時金〔賞与)についても、似た質問をされることがよくあります。これも退職金以上に定めがありません。年休を取ったら一時金を下げるというのは、いじわる経営者がよくやるやり口です。



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育児時間をとろう
 1才未満の子供を育てる女子は、1日2回各30分の育児時間が請求できます(労働基準法67条〕。
 1947年の労働省通達では、実効確保するため大規模の事業場にできる限り託児所を設置するよう指導せよとしています。さらにその託児所と職場との往復時間は30分に含めない方が望ましいと、1950年の通達で指示しています。育児休業法の短時間勤務の措置とよく似た考え方は、すでに50年前から出ていたわけです。
 さて現実の方は…。




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ストライキ
 労働者の当然の権利とはいうものの、最近あまり耳にしないストライキ。しかしこれも憲法28条に団体行動権として保障されています。
 要求実現のための一手段と目されがちですが、誰が会社を、生産を支えているのかを実感する、労働者教育の「最高学府」でもあります。
 ちなみに、会社はストライキで損害を被っても、労働組合や組合員に対して損害賠償を請求することはできません。労働組合法第8条に明記されています



             
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