ロジャー・ムーア主演 ジョン・グレン監督作品。
26歳でこの世を去った妻テレサの墓参をしているジェームズ・ボンド。緊急の呼び出しを受け、迎えのヘリに乗り込む。だがそれはスペクターのボス、ブロフェルドの罠だった。
パイロットを殺され、ブロフェルドのリモコンで右に左にと空中で弄ばれるボンド。強化ガラスで隔てられた操縦席に、外に出て回り込むボンド。操縦席に移り、遠隔操作用の線を抜いて奪還。縄梯子で屋上にいたブロフェルドを車椅子ごと釣り上げ、煙突内にポイ捨てした。
漁船に化けたイギリスのスパイ船が、爆雷を引き上げ、沈没した。情報を受けたソ連のゴーゴル将軍は沈んだ新開発の自動照準システムATACをいただこうと狙う。
海洋考古学者ハブロック卿夫妻が、一人娘のメリナを残し、キューバの殺し屋ゴンザレスに殺されてしまう。
ATAC回収のために働いてくれていたハブロック卿夫妻を殺したゴンザレスの雇い主を探すため、ボンドはゴンザレスの別荘へ。だが捕まってしまい、殺されることに。
しかし、突如飛んできたボウガンの矢がゴンザレスを死に至らせ、その隙にボンドはパラソルを奪って逃亡。そして復讐を遂げたメリナと逢い、ボンドカーが爆散したため、メリナの車で追手と山道でカーチェイスを繰り広げる。
町に入って横転したのを機に運転を交替。敵の2台をクラッシュさせて、逃げおおせた。
雪の街に移り、ゴンザレスの依頼人がエミール・ロックと知り、ゲレンデでイタリア警察のフェラーラと合流。そして事情通のアリ・クリスタドスが、オリンピックを目指してフィギュアスケーターに憧れる姪のビビをヤコブコーチに預けるのを待って、話を伺う。
町でボウガンを買うメリナを見つけ、オートバイのライダーに殺されそうになるところを助ける。だがメリナはボンドの電報でこの町にやってきたという。ボンドには電報を出した覚えはなかった。
ボンドはビビとスキー中、クロスカントリー中の東ドイツのエリックを観戦。そしてビビと別れたボンドはエリックに狙撃される。
2台のオートバイに追われ、ロッジ、山、ボブスレーコースを滑走して逃げる。
今度は車にフェラーラを待たせ、ビビからエリックの情報を聞き出し、アイスホッケーの選手に化けて襲ってきた3人を返り討ちにする。
車に戻ったボンドは、フェラーラが殺され、手には鳥のマークのピンが握られていた。
ボンドはアリと夕食をしながら、町の大ボス、コロンボと妻のリスルを見やるが、2人の会話は、テーブルに仕掛けられたテープに録られ、コロンボに筒抜けだった。
コロンボとリスルがケンカし、ボンドはリスルに近付く。リスルはボンドがスパイか探るよう言われており、2人は一夜を共にした。
翌朝、ビーチでバギーに追い立てられ、リスルはエミールの車に衝突し、命を落とす。ボンドも捕まってしまい、だがボウガンに助けられる。海から鳥の印を持った男たちが現れ、ボンドは気絶させられ、洋上のヨットへと運ばれる。
奥にいたのはコロンボ。だがコロンボは、ヘロインの密輸やエミールを雇っているのは二重スパイのアリだと話す。
ボンドはコロンボとともにアルバニアの倉庫を襲撃。エミールは爆雷を爆破して逃げる。だがボンドが先回りし、崖っぷちに追い詰められ、ボンドはフェラーラの仇を取り、車を足蹴にして落とした。
ハブロック卿の航海日誌を頼りに、ボンドとメリナは潜水艇を使い、沈んだセント・ジョージ号を見つけ、船内に入り、処理を施し、ATACシステムを回収。だがアリの部下に襲われ、敵に爆弾を付け、システムを再回収し、洋上の船へ。
だが、船はアリたちに占拠され、システムは奪われ、2人は縛られサメの棲む海へと入れられ、アリたちの船に引きずられる。
岩でロープを切り、海底で息を潜めた2人は、アリたちの確認をやり過ごし、置き去りにされた船へ戻る。追跡を諦めかけるが、オウムのマックスがセント・シリルへ行くのを覚えていた。
コロンボ達と修道士に化け、岩山のはるか上の修道院を目指し、ボンドは先行し、崖をよじ登る。
頂上に着き、用心棒に蹴落とされ、ペグを壊されるが、ナイフを投げて始末する。
納屋のウィンチでメリナたちを引き上げ、逃げるヤコブを案内役に中へ侵入。ボンドは見張りと揉み合い、ステンドグラスを破って中へ。
続いてエリックと闘い、エリックが逃げるアリに気を取られた隙に崖下へと突き落とし、コロンボがアリを追い、揉み合い、メリナがボウガンを向けるのをボンドが止め、ナイフを出そうとするアリをコロンボが投げナイフで仕留めた。
取引相手のゴーゴル将軍が現れ、迫る中、ボンドはATACシステムを崖下に投げ捨てた。ゴーゴル将軍はおとなしく引き下がり、帰っていった。
ビビは傷ついたコロンボを介抱し、コロンボは感心しスポンサーになることを決める。
そして、ボンドとメリナは洋上で愛し合い、ボンドは呼び出し音が鳴り響く通信時計をマックスに預け、マックスは海に捨てた。
1981年、イギリスの作品です。
共演:キャロル・ブーケ ジュリアン・グローヴァー トポル リン・ホリー・ジョンソン
主題歌:シーナ・イーストン
いきなりオープニングからジョークのようなシーンで始まる珍しい007ですが、スペクターとの戦いが描かれたのはショーン・コネリーの時が中心で、また原作のファンからすれば007イコールVSスペクターの構図になるので、ロジャー版ボンドは納得がいかないという声が多かったのを、逆手に取ったのでしょう。
原作のボンドはもっとシリアスでダークなスパイらしさを持っており、それは原作者のイアン・フレミングも望んでいたことではありますが、ロジャーボンドはあえてそれを壊しました。代名詞ともいえるアストン・マーチンに乗らないというのも作風です。
しかしこれは先達への経緯であり、差別化です。007は暗いというイメージを払拭することで新たな客層を開拓し、さほど007に興味のない人にも、エンターテイメント作品として、認識されました。
この作品は、やはり一人で見るべきでしょう。夜やお休みの日に、ゆっくりと観られるのがよろしいかと思います。