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ルパン三世 カリオストロの城

山田康雄(声の)主演 宮崎駿監督作品。
モナコのカジノから50億ドルの現金を強奪したルパン三世と次元大介。札束を詰めたフィアットをウハウハで走らせるが、札束が幻の偽札・ゴート札と気付き、2人はばら撒き捨てる。
そして2人は人口3500人の最小国連加盟国カリオストロ公国へ。一度入って、戻った者はいないという国内で、パンクを修理していると、ウェディングドレスの花嫁一人とそれを追う黒ずくめの男達のカーチェイスが過ぎていき、花嫁の味方をしようとルパン達はすぐさま追いかけ、装甲された男達の車を、森を抜け、強化弾で退け、花嫁の車の横に付けるが、花嫁は気絶中。ルパンは彼女の車に乗り移り、爆発の衝撃を受け、崖から落ちるが、ルパンがベルトから出したワイヤーで、崖に生えた木の枝からぶら下がる。
目覚めた花嫁が暴れるのを制し、ゆっくり降りようとするが木が抜け、落下。尻餅をついて、花嫁を守ったものの、ルパンは頭に落ちてきた木が当たり、気絶してしまう。
花嫁はそんなルパンに左の手袋を脱いで、傍の湖の水に浸して頭に当て、看病するが、追手が小型艇で迫り、花嫁は林の中へ逃げる。
目覚めたルパンは追いついた次元と、花嫁を乗せて引き返す小型艇を見つめながら、残った手袋を握りしめると、中に指輪が残っており、その指輪の山羊の紋章を見たルパンは血相を変え、同じ紋章が飾られた古城跡へ赴く。
すっかり変わった景色に、そこにいた老人に訊ねると、7年前の火事で国王にあたる大公夫妻が亡くなり、そのまま廃墟になってしまったという。そして今の国は摂政のカリオストロ伯爵が治めているという。
一人もの思いにふけるルパンを、イラついた次元が締め上げ、ルパンはカリオストロ伯爵の城を指し、そこに先ほどの花嫁が捕まっている事を示し、更に10年前、この国に潜入し、完敗した過去を告白。そして古風に小型ヘリ・オートジャイロで城に帰宅する伯爵を横目に、2人は古城から引き上げた。
一方、帰宅した伯爵は執事ジョドーに服を着替えさせてもらいながら、報告を聞き、ルパン達の後始末を命じる。そして北の塔で眠らせているクラリスに会うが、指輪の紛失に慌てた。
レストランで指輪に彫られた「光と影再び一つとなりて甦らん」というゴート文字を見つめ、ウエイトレスから、修道院から戻ったばかりの大公の娘クラリスが伯爵と結婚すると知ったルパンと次元は店の客の異変に気付き、スパゲティを頬張る。
そして宿に戻り、備えていると、気配を察知。急襲され、マグナムの効かない武装集団相手に、ルパンは閃光弾を使い、脱出しフィアットで逃亡した。
一方、クラリスの世話係として忍び込んでいた峰不二子は、ゴート札の出来をチェックする伯爵を監視中、しくじりを報告するジョドーの背中に貼られたルパンの予告状に、ルパンの来訪を知り、驚いた。
雨の中、荷馬車に揺られて石川五ェ門が大公城後に到着し、ルパン達と合流。伯爵の城を監視するルパンの目には、日本のパトカーで警官を引き連れた国際警察の銭形警部の姿が映るが、ルパンの仕組んだものだった。
銭形は伯爵に目通りし、協力を求めるが、伯爵は国内の警察代わりとして衛士のグスタフを紹介。グスタフの案内で伯爵の城を回ると、大量のレーザーとレーダーが敷かれ、その物々しさにルパンも驚く。
その夜、ルパンと次元は潜水し、水道を通って城内へ。だが時計塔の機関部の激流にルパン一人が呑みこまれ、次元はやむなく引き返した。

結末 ネタバレ注意

結果、無事に城内へと潜入出来たルパンだったが、風車用のくみ上げ桶で運ばれ、塔の上へ。
外でカップ麺を啜っていた銭形は塔の風車のわずかな異変に気付き、部下を連れ、塔へ。ルパンが水の出口から出られず、身を潜めていると、銭形に部下から引き上げ命令が届き、銭形は電話へと向かう。
だが本部に電話を切られた銭形は、伯爵に抗議に向かう。しかしグスタフ達に追い返され、部下と戻る。するとグスタフの元に銭形に変装したルパンが駆け現れ、グスタフを焚きつけ、衛士隊と警官隊の大乱闘に発展させ、その隙にルパンは内部へと潜入する扉を開けるが、ルパンの策と気付いた銭形が乱闘を抜け、追いかけてドアを開け入ると、トラップが作動して落とし穴へ。ジョドーが現れ、罠を解除してグスタフを呼びに行く。
助かったルパンはトラップを戻して中へ。乱闘を制したグスタフを連れ、戻ったジョドー達は罠にかかり、落下した。
ジョドーは伯爵に詫び、伯爵は銭形警部は先に帰ったと警官達に伝えて帰すよう指示した。
ルパンは調査中の不二子と1年ぶりの再会。クラリスの居場所が北の塔の上部と知るや、壁をよじ登り、ロケットを使い、ワイヤーを塔まで張ろうとするが、火が点かず、ロケットが転がり落ち、拾おうと降りて勢いが付き、そのまま2段ジャンプで北の塔へと飛び移った。
中に入ったルパンは、クラリスに指輪を返し、救出を約束。消極的なクラリスに手品を見せて喜ばせるが、武装集団と伯爵が現れ、ルパンは追い込まれて落とし穴へ。
伯爵は二つのカリオストロ家が光と影に分かれ、国を支えるため悪虐の限りを尽くし、二つの指輪を重ね合わせる事で財宝が現れる事をのたまうが、どこからともなくルパンの声が。クラリスの指輪はルパンの作った偽物で、指輪は爆発。穴のトゲを掴んでいたルパンは水で流され、伯爵は指輪の捜索を命令した。
今度こそベルトワイヤーで降下したルパンは、多数の亡骸に驚きつつ、さまよっていた銭形と遭遇。銭形もこの国の闇に着目し始め、2人は就寝した。
翌朝、伯爵の手の者が睡眠中の2人を奇襲。だがカモフラージュしていた2人は返り討ちにし、ルパンは逃亡者を追って水路を見つけ、出入り口のジョドー達を逆に閉じ込め、2人は脱出し、上へ上がると、そこには世界中の紙幣が置かれた偽札工場があった。
そのあまりの規模に、そして戦争や世界恐慌の引き金となり、多くの偵察者達を死に追いやった偽札の発端を目の当たりにし、銭形は警察官として見過ごせず、2人は休戦をする。
一方、引き潮と感じた不二子は本性を現し、クラリスと階下の騒動を眺めていると、地下の偽札工場を火事にして、礼拝堂に出た2人がオートジャイロ乗り場へと駆け上がるのを目撃。ルパン達はオートジャイロを飛ばし、ルパンのわがままで北の塔へ。
強化ガラスは不二子の手榴弾にびくともせず、ルパンは不二子に追手の相手を任せて、屋上からクラリスを救出。そして操縦に不慣れな銭形のジャイロを追いかけ、ルパンは背後から撃たれ、ジャイロも尾翼をやられてしまう。
倒れたルパンにとどめを刺そうとする伯爵の前に身を挺したクラリスは、伯爵がルパンを見逃す条件として、指輪と共に戻る事にし、不二子の告げ口で、ルパンの襟元から指輪を回収する。
だが伯爵はクラリスと指輪を確保したら、ジョドーにルパン射殺を企んでいた。すると銭形のジャイロが滑り込むように塔の屋根を伝い、不二子はルパンを回収してジャイロに飛び乗り、クラリスは伯爵達の銃撃を抑え込むものの、指輪を奪われてしまう。
不二子は借りを口にし、ハンググライダーで飛び去り、ジャイロは不時着。投げ出されたルパンを次元達が回収して、退却した。
銭形は本部に戻り、くすねた証拠を前に、幹部達からの出動命令を求めるが、国家ぐるみという規模の大きさ、そして世論は伯爵側に付き、さらに各国の思惑が絡み、銭形達は任を解かれて、帰国命令を出されてしまう。
一方、ルパン達は古城に居た老人の元に身を寄せ、手術を受け、休養していた。そして目覚めたルパンは老人に付き従う老犬をカールと呼び、驚く老人が、カールはクラリスの少女時代の愛犬で、名前はクラリスと自分しか知らないと明かす。だがそれでクラリスの事を思い出したルパンは、結婚式が明日と知り、回復を急ごうと食事をかき込み、就寝。
その夜、老人が次元達に、自分が大公家の元庭師で、カールをクラリスから託された事を明かし、起きていたルパンも過去を告白。かつて若かりしルパンは調子に乗ってカリオストロに潜入し、背中をやられ、茂みの中に隠れていたところをクラリス達に助けられていた。するとそこに不二子が新聞の切り抜きを投げ込み、バチカンから大司教が来る事を知らせて去り、更に、腐る銭形に電話で、ルパン逮捕なら出動して踏み込んでもお咎めは無いとアドバイス。
崖崩れが起き、渋滞が発生し、急ぐ大司教を乗せた車を現地の者が田舎道へ。不二子はテレビクルーに化け、大司教が城に到着した事を報じる。
夜、婚礼の儀が始まると、地下から亡者に扮したルパン一家が登場。その模様は中継され、外にいた銭形達も踏み込む。ルパンが手下達に剣で串刺しにされると、薬で口をきけなくされていたクラリスもショックで戻り、串刺しにされたルパンは人形で、爆発し、偽札が乱舞する。
伯爵が驚いていると大司教が指輪とクラリスを奪い、変装を解いてルパンが現れ、仕込み花火を合図に、次元の対戦車ライフルと五ェ門の斬鉄剣が唸る。逃げるルパンを伯爵が追い、銭形はルパンを無視して偽札工場へと不二子を誘い、全世界テレビ生中継で偽札作りを白日のもとに晒した。
ルパンは次元と五ェ門に任せてクラリスと先に行き、伯爵もジョドーに任せ、船で追う。
ルパンは時計台の紋章の前で指輪を向かい合わせ、現れたゴート文がすり減って読めないのをクラリスが補完。「高き山羊の眼に収めよ」にて謎が解け、2人は機関部へと向かうが、ルパンのワルサーがレーザーに溶かされてしまうものの、歯車を伝って上へ。そして破壊して入口を塞ぐ。
手下たちを倒したものの、ルパンと伯爵は歯車の上で一騎打ち。優勢だったが足を踏み外し、伯爵はクラリスを追い、時計台の針の上に追い詰める。だがルパンが指輪との取引を持ちかけ、謎を解き、指輪を置く。伯爵もそれに応じる、と見せかけ、手甲の指がミサイルとなってルパンを襲い、ルパンは落ちるもしがみつき、伯爵はそれを足蹴に踏みつけるが、クラリスが伯爵と身投げ。落ちる伯爵は剣を刺して、しがみつくクラリスの頭を踏みつけ、落ちていくクラリスをルパンも追って水中へ。
伯爵は時計の山羊座の紋章の目のくぼみに二つの指輪をセットし、激震を発生させるが、時計台の単身と長身がてっぺんで一つに重なり、挟まれて死ぬ。
時計台が崩れ、皆は戦いをやめ、溢れ返る水で偽札工場は沈んでいった。
朝、水が消えて、古代ローマの街が浮かび上がり、ルパンとクラリスは眺め歩く。
すると、インターポールの落下傘部隊が到着。クラリスはルパンに付いて行きたいと申し出るが、ルパンは説得し、額にキスをして、老人とカールが現れると、次元達のフィアットに乗り込んだ。
そこに銭形警部が一足遅れて現れ、ルパンにまんまと盗まれたと騒ぎ、クラリスは訂正しようとするが、それがクラリスの心だと知るや、クラリスはうなずき、銭形はパトカーで追いかけた。クラリスは素晴らしき人々との再会を感じた。
たそがれるルパン達の横に、バイクを走らせる不二子が。不二子は偽札の原版を入手し、ルパンは色めくが、銭形のパトカーから逃げる事を優先する事になった。
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管理人の批評

1979年、日本の作品です。
主題歌:「炎のたからもの」 声の共演:島本須美 石田太郎 小林清志 井上真樹夫 納谷悟朗 増山江威子 永井一郎 宮内幸平
おそらく日本で一番知名度があり、テレビで放映された回数が一番多い映画ではないでしょうか?一テレビ局の年に一度の一曜日の夜の2時間程度にしか放送されていませんが、圧倒的知名度、そして今もなお色褪せない、昭和を否定するわけではありませんが、とても昭和の真っただ中に描かれたとは思えない名作です。
スタジオジブリの凄いところは、アニメというものが低予算でありながら(その原因を作ったのは虫プロとも言われていますが)、更に低予算ゆえに期間も短縮せざるを得ない事情を抱えながら、制作期間を長期に設け、背景や名も無きモブキャラの動きを事細かに描いているというこだわりです。
更に、個人的な話ですが、私はこのページの制作にあたり、映画を観て、一時停止しては途中までの内容をノートに書き、それを繰り返すわけですが、通常の映画なら、1ページで済み、多少多くても上下に書き足すくらいですが、この作品は2ページぎっしり書かされました。超大作や海外長編アニメなら2ページにもわたりますが、2時間弱の作品でここまで長く書くことはありません。更に前述の通り、日本人のほとんどが知っているこの作品を書いたところで、更に無料で見られるわけですから、アフィリエイト収入も見込めない…。にもかかわらず書きたいと思ったのは、やはりこの映画の素晴らしさによるものです。
ルパン三世については、ウィキペディアや先述の『ルパン三世 ルパンVS複製人間クローン』の項を参照ください。
小ネタになりますが、オープニングの車に貼られたルパンのメッセージが寄りの画と引きの画で「ごくろうさん」と「ごくろうさま」と違っているところにもぜひ注目ください。
ルパンと次元がレストランで食事をするシーンでは伯爵の部下がどこに映って、どういう動きをしているのか、その細かな動きをアニメーションで描いている所にご注目ください。
とにかく映像へのきめ細かいこだわりに注目してほしいというしかありません。ルパンが水流に流され、その出口から銭形が覗きこむ、という水の中でゆらゆらしたルパンや銭形を嫌というほど書き込んだその神経に、終わってからでも想いを馳せてください。
クライマックスのカリオストロ伯爵の残忍度がドンドンと上がっていく救いようの無さに、伯爵の末路に一片の文句も許さないという見事な演出が施されています。
この映画のメッセージ性というものを考えた時に、まずとにかく素晴らしいドラマを見たなという感想が胸いっぱいに広がります。それは弱気を助け、強きをくじくという勧善懲悪からの心地よさなのですが、主人公が泥棒である事が、違和感、あるいはミスマッチを生んでいて、そしてさらに警察が黙認するという更なるミスマッチが、人々の脳に混乱と快感を引き起こし、更にアニメ=子供向けといううがった図式を逆手にとって、してやられた感を何度観ても常に与えてくれるんだと思います。
この映画から学ぶべき事を無理矢理浮かべるなら、職業や肩書に制限される事などなく、自分の信念のままに、正しいと思う事をやり通せ、という事ではないでしょうか?金があるから偉いのか?地位や名誉があるから偉いのか?巨大組織に所属しているから偉いのか?それこそ虎の威を借る狐でしょう。人間の大きさや偉大さ、深みというのは、信念を通してやり遂げた時に初めて出来上がるのではないでしょうか?