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南極物語

高倉健主演 渡瀬恒彦 夏目雅子共演 ナレーション・小池朝雄 蔵原惟繕監督作品。
海上保安庁の観測船「宗谷」で南極へ向かい、オングル島の昭和基地にて、雌犬1匹と合わせ樺太犬19頭と越冬をする観測隊員達。彼らの役目は、翌年の本観測を見極めるための予備観測にあった。
だが、折角来たのだからと、小沢隊長の勧めで、潮田暁、越智健二郎、尾崎勇造医師と15頭の選抜犬ぞり隊が、ボツンヌーテン登頂に出発した。
クジラの死体や吹雪に遭いながら、犬達を励まし、タロとジロの足のケガを靴下で応急処置する越智。途中、急にゴロウが走り回り、手を焼かされる越智。越智の必死の呼び掛けに、ゴロウもようやく戻ってきた。そうして3人と15頭は絆を強めた。
そして登頂に成功し、その証を埋め、旗を立てる3人。潮田は見送りで貰った大勢の日本人の御守を埋め、岩で固めた。
だがその帰路、ホワイトアウトに襲われ、紫外線で目をやられ、視界を失った3人は、とりあえず進むが、道の間違いを不安し、越智の提案で、子犬の頃から基地で育ったタロとジロを放し、小沢隊長達を呼んでもらう事にする。
2頭は基地に辿り着き、小沢達が2頭の後を追って3人を見つける。体を心配し、小沢は3人を車に乗せようとするが、潮田は犬達と帰ると譲らなかった。
基地に戻ると、雌犬が出産をした。
第2次観測隊を乗せた宗谷は吹雪と厚い氷に阻まれ、身動きとれず、アメリカの砕氷船バートンアイランド号に救援を要請。
同じくブリザードに襲われる昭和基地だが、天候が回復。すると一機のセスナが到着し、野々宮2次隊員から、天候不順の為、奇跡的に回復したこの日に1次隊は早期引き上げと言われ、引き継ぎもなく準備。潮田と越智は順番を最終にして、最後の犬の世話をする。
タロとジロのケンカを納め、アンコの首輪が外れた為、総点検をして、引き上げ、子犬を抱えて宗谷へと戻る2人は、上空から犬達に目をやった。
アメリカからの天候不順による撤退勧告に、断る2次隊だったが、引き継ぎを終えた2人の前に基地の犬数匹を連れ帰った、残るはずの隊員が現れ、悪天候を避け、外洋で回復を待ち、再挑戦するも難航。越智は首輪の点検を悔やんだ。
岩切船長と堀込隊長は越冬を断念。基地の放棄決定に、越智と潮田は操舵室へ。
越智は犬達の回収を求め、運べないと潮田は毒殺の覚悟を伝えるが、船自体の燃料も限界で、諦めるしかなく、首輪を深く後悔した。
引き継いだ隊員からデータを返され、樺太犬を応援する人たちからの贈り物を受け取る2人。潮田は鏡を叩き割り、越智は千羽鶴を引きちぎった。

結末 ネタバレ注意

ブリザードが終わり、エサの無い犬達は暴れ、アンコ、ジャック、リキ、ジロ、シロが首輪を抜け、基地内を回るが何もなく、他の犬が倒れ、エサ探しに出発。風連のクマ、タロ、最後にデリーが首輪を切り、合流した。
犬達はクラックと呼ばれる満ち引きで出来る割れ目から魚を食べるが、デリーが海に呑まれてしまう。そしてゴロも死んだ。
初夏、潮田は北海道大学の地質学研究室を辞め、教授からは世間の非難を忘れてオーストラリアに行くと良いという誘いを断った。
タロとジロはリキとクマに教わり、アザラシ狩りを覚える。そして人間の痕跡を辿ろうと、ボツンヌーテンへ向かう事にして、再び出発。風連のクマはクラック沿いに残った。
太陽の無い時期が訪れ、オーロラの訪れに、犬達は見とれた。
京都大学地球物理学研究室に戻った越智は、ほったらかしにしていた婚約者に誘われ、祇園祭へ。だが、犬を連れた見物人に犬好きと気付かれ、そそくさと立ち去る。
馴染の喫茶店に立ち寄ったマスターから雑誌の記事を見せられ、潮田が謝罪行脚をしている事を知らされる。
リキの提供者である姉妹の姉に、留守の妹の為にと請われ、最後の様子を伝え、子犬を渡す潮田。駅のホームに佇み、リキの夢を見た事を思い返すと、子犬を引っ張った妹が泣きながら、「こんなのいらない」と子犬と怒りを潮田にぶつけた。
リキ達は食事休憩の場所の残飯を戴き、アザラシ肉にありつく。崖から落ちたシロは、クジラの死体に辿り着き、息を引き取った。
稚内の樺太犬追悼式典を遠まきから見ていた潮田は、外国人女性記者に見つかり、取材で責められ、さすがに怒り返すが、越智が現れる。
樺太犬研究所で、越智は自分も犬が気になっていると告白した。
4頭は疲れ果て、南極は冬を越えたが、自然は厳しく、アンコは流氷にさらわれ、リキはタロとジロをシャチから庇い負傷。タロとジロはアザラシの死体を見つけ、リキを案内するが、途中で力尽きた。
研究所にリキの飼い主の姉の方が現れ、また犬を飼う事にしたと告げ、リキと名付けられた子犬を観る。潮田と彼女は犬達の無事を祈り、潮田は毒殺処分しようとした事を反省した。
南極の春、タロとジロは基地へ戻り、そこに風連のクマがアンコを連れて合流。クマをリーダーに、エサを求め、アザラシ狩りをしていると、深追いしてしまい、アンコが海に呑まれて死ぬ。
クマは大陸へと走り、タロとジロは基地周辺に残った。
日本では、再び越冬計画が持ち上がり、報じた新聞記事を婚約者に見せられた越智は一度は否定するが、婚約者に後押しされ、東京へ応募に行く。
潮田と越智は宗谷で南極へ。ヘリに乗り、基地に着いた2人は雪をかきわけ、空の首輪や氷漬けの犬の死体を見つける。
そして、近くの丘の上に2頭の犬を見つけ、近寄った2人はタロとジロと見極めると、潮田が合図を叫ぶや、2頭は2人の元へと駆け寄り、抱き締められた。
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管理人の批評

1983年、昭和58年、日本のフジテレビジョン作品です。
この映画は2014年11月21日、主演俳優高倉健さんの訃報を受け、予定を変更して急きょ追悼放送されました。
ですがこの映画は、犬の映画です。タロとジロ達犬の生命力を描くため、犬が中心であり、犬との絆を描く形で、南極観測隊が登場します。
ですが最近ではTBSで木村拓哉さん主演で『南極大陸』という連続ドラマが作られたため、ご存知の方も多いでしょう。あれが日本にとって、最初の南極越年観測だったのです。南極観測隊の話だけでも、充分濃厚ですが、敢えて犬達の話のみに絞ったのがこの映画ですので、気になる方はそちらもどうぞ。
ちなみに、現在も南極観測隊は続いており、夏と冬の2回行われているとか。また小堺一機さんのお父様が参加したというエピソードも有名ですね。また、堺雅人さん主演で『南極料理人』という映画も実話を基に作られました。そちらもぜひご覧くださいませ。
この映画は大ヒットし、それまでの興行成績を塗り替え、製作総指揮の日枝久氏は現在ではフジテレビジョンの会長です。ですからフジテレビといえば、この映画なのです。
この映画では高倉健さんの出番は少なく、高倉健さんの見どころは限られますが、やはり、謝罪行脚のシーンは、世間の批判を受け止め、飼い主の少女の憤りを受け止めてやる事が出来るのは、高倉健さんしかいないでしょう。
この作品への出演を迷っていた際、相談されたのが大阿闍梨の酒井雄哉氏で、座右の銘となる言葉も、この時戴いたそうです。
『SMAP×SMAP』に出演された際、北極と南極の両方で撮影されたと明かしてくれました。映画の世界を志し、技術スタッフになろうと思いながらもスカウトされ、俳優になる事になり、ドーランを塗られ涙を流した高倉健さん。そして履歴書を誰かに送られ、事務所に呼ばれて踊るうち、いつの間にかアイドルデビューさせられ、自分が何になるのか、何をしたいのか分からないままのSMAP。目標を訊ねても答えの出ない彼らに、ひょっとしたら自分と同じものを重ねて、出演されたのかもしれません。
ちなみに、司会進行役の中居正広さんは緊張のあまり、最後に高倉健さんの名前を呼び捨てする形になってしまい、少し経ってから気付いて、撮り直したそうです。
高倉健さんのご冥福をお祈りします。

さて、渡瀬恒彦さんと夏目雅子さんは直木賞受賞作『時代屋の女房』で共演されます。ぜひご覧ください。
また、ナレーションの小池朝雄さんは『刑事コロンボ』シリーズの初代コロンボとして、聞き馴染みの方も多いと思われます。懐かしみたい方もぜひ。
佐藤浩市さんが犬の世話を引き継ぐ若手隊員として出演されていますので、ぜひチェックしてみてください。