シルベスター・スタローン主演 ジェームズ・マンゴールド監督作品。
ニューヨーク市警に勤める警察官たちは、劣悪で危険な環境を強いられていた。そこで警官たちは川向こうのニュージャージー州のギャリソンに土地を買い、そこに家族を住まわせた。そこを安全で警官の楽園「コップランド」と呼んだ。
警官たちの溜まり場のバーで遊んだ警官フレディ・ヘフリン(シルベスター・スタローン)は、帰宅中、シカを避けそこない事故に遭う。
一方、ニューヨークのバーから帰宅中の警官マレー・バビッチは、薬でイカレた黒人たちに車をぶつけられ、後を追いかける。銃のようなものを見せられ、そしてマレーの車がパンクしたことで、マレーは反撃。2人の黒人を撃ち殺してしまうのだった。
検証が始まり、警察の仲間たちや要職に就く伯父のレイ・ドンランも駆け付ける中、銃のように見えたのはハンドルロックで、パンクの原因は走り出す時に踏んだビール瓶の欠片によるものだと判明した。同僚の警官ジャック・ラッカーは偽装しようとするが救命士に邪魔され、そしてレイが「失意のマレーが川に飛び込んだ」と叫んだ。
翌日、フレディは新人女性保安官補のシンディ・ベッツとスピード違反の取り締まりを行い、さっそく1台の違反者を捕まえるが、その車内には、レイとジャック、そしてフレディたちに気付かれない様に身を潜めているマレーがいた。レイはシンディを追い払い、フレディに大目に見てもらおうとする。だがフレディにマレーを見られてしまった。
マレーの隠し場所を考えるレイとジャック。そこにレイと同期で内務調査局のモー・ティルデン(ロバート・デ・ニーロ)が現れる。軽く世間話をして、車に戻ったモーは、うっかり駐車禁止の場所に止めてしまったことに気付くが、違反切符は切られず、しかしモーは名刺をフレディに渡した。
フレディはリズ・ランドーンに、子供の落としたぬいぐるみを届けると、ゴミの不法投棄を調べてくれと頼まれる。中にあった請求書を調べ、レイの妻を訪ねると、彼女はリズの夫でNY市警のジョーイと不倫していることをほのめかした。
その夜、バーでフレディはゲイリー・フィッグスから、かつて好意を寄せたリズを助けた事、もともと片耳の聴力を失い、それでNY市警に入れず、ジョーイにリズを奪われた事を叱られる。ゲイリーの機嫌が悪いのは、おとり捜査をするにあたり、レイたちの仲間から外され、激怒したことだった。
フレディはジョーイとリズの夫婦喧嘩を仲裁。非番の日、交通事故で水没した車からリズを助ける夢を見たフレディだったが、火災現場へ向かう。そこはゲイリーの家だった。ゲイリーは留守だったが、ゲイリーの恋人のモニカがいて、死んでしまった。ゲイリーはレイを疑うが、原因は漏電だった。レイは2週間の休暇となった。
マレーの葬儀からフレディが戻ると、モーたちが来ていた。モーはレイの麻薬汚職を疑っていた。そこでフレディに出世を条件に協力を求めた。
マレーの葬儀パーティーに赴き、フレディはレイに直接訪ね、追い返されてしまう。中で呑んでいたマレーは、レイの妻からメモを渡された。
一方、フレディをリズが訪ねてくる。
「殺される」というメモを渡されたマレーは、ジャックに殺されかけ、発砲して逃走。それにより、モーは内偵調査が崩れ、憤るのだった。
フレディとゲイリーはレイたちへの捜査を始めることにし、そしてレイたちの仲間になることを拒んだジョーイが犯人にビルの屋上に拘束され、レイは見殺しにする。
一方、マレーは保護を求めてフレディの家へ。だがそこにゲイリーがいて、逃げてしまう。
ジョーイの葬儀後、フレディはレイを説得しようとするが叱られ、モーを訪ねる。だがモーたちも、レイの根回しによって、捜査を打ち切られ、フレディを追い返した。だがフレディの行動を追った。
フレディは資料を盗み、レイたちがマフィアの行動に目をつぶる事で、コップランドが作られたことを知った。
ゲイリーの元相棒のタニーも仲間の監守に殺され、シンディたちは怖気づく。フレディもジャックにNYに行ったことをつつかれ、リズにも止められ、レイの手下に銃を突きつけられる。
帰宅したフレディは、保険金を手にしたゲイリーのカバンの焦げ跡、NYで見た爆弾処理の女がゲイリーとバーにいるのを見て、ゲイリーの家の火事がゲイリーの自作自演と知り、怒る。
レイの妻から聞き、廃給水塔に隠れるマレーを連れ、ショットガンで護衛して護送しようとするが、ジャックたちに鼓膜をやられ、奪われてしまう。
フレディはレイの家に乗り込み、ジャックたちを射殺。反撃を受けるも、戻ってきたゲイリーの応援で、レイを撃つ。レイは何かを言ったようだが、フレディには聞こえなかった。
フレディたちはマレーを連れ、NYのモーの所へ。裁判はゲイリーの証言で真実が明らかになった。だがフレディは、レイを射殺したことで、世間から激しいバッシングを受け、NY市警にはなれず、保安官のままだった。
1997年、アメリカの作品です。
共演:レイ・リオッタ マイケル・ラパポート ハーベイ・カイテル ロバート・パトリック アナベラ・シオラ ピーター・バーグ ロバート・デ・ニーロ
この作品は、警察という権力を持つ人間の汚職をテーマに、それに対抗し、孤軍奮闘する正義感の強い人間の姿を描いた物語です。
スタローン主演映画ながら、アクションの要素はほとんどなく、誠実な人間ドラマを描いています。たまにあるのですが、もともとスタローンは純然たる映画俳優志望なので、こういった挑戦は決して不思議ではありません。
シルベスター・スタローンとロバート・デ・ニーロの夢の競演ですが、実際にはロバート・デ・ニーロはカメオ出演程度であり、長い時間の中で、登場はごくわずかに過ぎません。もっと共演を見たい方は、『リベンジ・マッチ』を観るといいでしょう。
今作で描かれているスタローン演じる主人公像は弱くて小さい、ヒーローと呼ばれない地味な警察官です。ですが市井に生きる小さな人々の勇気や行動が、小さな変化でしかなくても、大きな悪を止めることはできるのではないでしょうか。