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怒りの用心棒

ジュリアーノ・ジェンマ主演 トニーノ・ヴァレリ監督作品。
テキサス州ダラス。南北戦争で敗戦した南部のこの場所で今まさに、町を取り仕切るジェファーソン保安官はジャックを拷問し、その仲間ビルの居場所を吐かせようとしていた。
するとそこに、ビルの父親がビルの居場所を密告に現れる。それは優しさから、ビルを牢屋に拘留してもらうことで、大統領列車爆破計画の容疑者から外すためだった。
だが、それでは逆に困る、大統領列車爆破計画の首謀者であるジェファーソンは、ビルの父に伝わってしまった原因である口の軽い部下を締め上げ、ビルの父を送る。
残されたジャックは首をくくるフリをして、万人を引きつけて叩きのめし、脱出した。
ビルの父は帰宅すると、ジェファーソンの共同首謀者であるウォレスに刺し殺され、入ってきたビルとジャックは変わり果てた父の姿に呆然と立ち尽くした。だが二人はジェファーソンの手下に襲われ、死んだフリをして手下たちを返り討ちに射殺。ジェファーソンが首謀者であるとわかり、ビルは父のため、負傷したジャックを置いて、計画の阻止へと向かうのだった。

結末 ネタバレ注意

ビルは爆破が行われる橋で、仕掛け中の4人を射殺。導火線を千切ると、そこに大統領を乗せた列車が止まる。ビルは疑いを向けられ、真相を話す。だがビルは戦争中、当時大佐だった大統領によって、4年間服役させられていた。
大統領が町に到着したその夜、ビルは負傷したジャックを連れて、コットンの家へ潜伏する。
一方、知事、銀行家ピンカートン、ジェファーソンの3人は大統領の暗殺を企み、橋の一件がビルの仕業に押し付けようと考える。だが、国の仕事をして心変わりしてしまった仲間で現・副大統領の処遇に迷うのだった。
するとコットンがジェファーソンにビルとジャック、二人の潜伏を密告。
翌日、ピンカートン達は大統領の黒人人格制度に反逆。大統領はビルと会い、戦時中の反逆行為について問い質すと、偵察中に出くわした敵兵が、自分の父だったからと話した。
ビルは酒場でジェファーソンの部下たちを叩きのめし、ジェファーソンに大統領を守って見せると宣言する。
ジェファーソンは「ビルが怪しい」という記事を新聞に載せるよう記者に命令。記者は抗いたいが、スポンサーがピンカートンのため、断れない。
大統領が馬車で移動する中、ジェファーソンの手下達が馬車を狙撃。馬車に手を振っていたジャックは反撃を試みるが、コットンに取り押さえられ、犯人として扱われてしまう。
大統領が死に、ビルはジェファーソンから、ジャックがコットンも殺し、逮捕されたと知る。だが大統領の側近マクドナルドもジャックではなく、陸橋からの狙撃説を支持。副大統領が大統領になり、マクドナルドにピンカートンの悪事と自らの立場を告白し、枷となっている書類を奪取するよう、自らの死を賭けて依頼した。
一方、ビルは陸橋で、足が不自由で松葉杖が手放せない新聞記者のニックと合流し、調査すると、2発のうちの1発分の薬莢が見つかり、ジェファーソンの手下達に襲われ、逆に捕らえた。
死んだ大統領のルクレティア夫人と現・大統領を見送ったマクドナルドは、ジェファーソンの手下のスリムに拷問するビルを殴り倒し、スリムを連れてジェファーソンの元へ。
ジャックは護送され、ジェファーソンは新聞社へ自分の活躍を載せようと行き、ビルたちに捕まり、罪の告白書にサインさせられる。
一方、ジャックを護送する一団は、ジェファーソンの仲間であるウォレスたちに襲撃され、ジャックは殺された。
ジャックの死を悲しむビルの前に、マクドナルドは現れ、告白書を引き渡すよう求める。だがビルは告白書を持っていなかった。
予備審判が開かれ、マクドナルドは弁護士として、医師のハンターとジャックの恋人アニーが買収された事実を指摘。そこにビルがジャックの死体を連れて現れ、ジェファーソンが逃亡。後を追うとウォレスたちが現れ、ビルを廃村へと追い込む。
一方、マクドナルドはピンカートンに買収を持ちかけられ、駆け引きが行われるが、気絶させられてしまう。
新聞は大統領暗殺の犯人をウォレスとジェファーソンであると報じ、ウォレス達は飛び出し、ジェファーソンはビルにロシアンルーレットを強制。そこにニックが現れ、ジェファーソンの手下達にいたぶられる。だがニックは松葉杖の仕込み中で手下達を倒し、ビルは縄を解き、ジェファーソンを捕まえるが、一発しかない銃弾を使い、闇の中、葉巻の灯りを頼りにジェファーソンと撃ち合いをし、ジェファーソンはビルが前に使った手を使うが、それを見抜かれ、射ち殺された。
ビルとニックはダラスに戻り、ウォレス達はアニーやストリップスを狙い、パットが保安官の職を押し付けられたと知る。
ビルは2人に偽の札束を作らせ、瀕死のストリップスにジェファーソンに撃たれた弾を抜いてもらい、ストリップスを看取った。
ウォレスはピンカートンに書類のことで詰め寄り、ビルは外の手下達を偽札束の下に隠したダイナマイトを銃弾で起爆して始末する。
ウォレスは金庫を開けさせ、書類を取り出したピンカートンを始末し、外で呼ぶビルと決闘。弾切れを狙うが、マクドナルドの援護によって、ウォレスは撃たれた。書類を奪い去るビル。だが午前の汽車に乗るマクドナルドに返し、見送った。
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管理人の批評

1969年、イタリア・スペインの作品です。
共演:レイ・ソーンダース ウォーレン・ヴァンダース ヴァン・ジョンソン フェルナンド・レイ
今回の作品においては、私の中にあまりにも情報がなかったので、さすがに調べました。
この作品はマカロニウエスタンの中でも異色作と呼ばれています。というのも、歴代アメリカ大統領の暗殺事件をモチーフに作られているからです。中でも最大のモデルはケネディ大統領暗殺事件。さらにリンカーン大統領やガーフィールド大統領をもモチーフに、そのエッセンスが組み込まれているそうです。
日本では劇場公開されなかったものの、テレビで放送されるや大ヒット。ウエスタンと言えば「用心棒」の日本で、「怒りの用心棒」のタイトルで今日も親しまれています。媒体によっては「(復讐のダラス)」という副題が付くようです。
ジュリアーノ・ジェンマ氏は1938年、ローマ生まれ。家庭が貧しく、子供のころから肉体労働などをして家計を支えていたそうです。高校卒業後、兵役を経て、バーテンダーなどの職に就き、演劇学校に入学し、『ベン・ハー』などにエキストラ出演し、65年に『夕陽の用心棒』が大ヒット。日本でもその名は知られ、スズキのスクーターが「ジェンマ」と名付けられました。マネージャーだった女性と結婚し、2人のお子さんに恵まれました。そして2013年、自家用車を運転中、対向車との正面衝突によりお亡くなりになられました。
この作品は、やや時代劇的なストーリー構成になっているので、時代劇に親しまれている方にもお勧めです。ただ決闘で撃ち殺して終わりの西部劇とは少し違うので、ベタな西部劇を見慣れてからの方が、より楽しめるかもしれません。