田中眞弓 声の主演 宮崎駿 原作・脚本・監督作品。
空の海賊の奇襲を受けた飛行船の一室。男達に囲まれた少女は、男たちが海賊の相手をして、
無線に集中するリーダーを背後から瓶で殴り、首飾りになった石を取り返して外へ。
窓の外へ出てつたう少女は、海賊の手から逃げようとして、落ちてしまう。
海賊の女ボスは口惜しそうに「飛行石」と口にした。
落下する少女は気絶。しかし首の飛行石が光り、落下速度はゆっくりに。
街の飲み屋で残業用の食事を調達した少年・パズーは、仕事場の鉱山のリフト調整室に戻ると、
空から降りてくる少女を発見。抱きかかえて受け止めるが、親方に呼ばれすぐさま仕事へ。
しかし、結果が芳しくなく、残業は中止になった。
翌朝、少女に自分のベッドを譲り床で寝たパズーは、屋根の上でトランペットを吹き鳴らす。
目覚めた少女も上に登り、エサを求める鳩たちに囲まれながら自己紹介。シータと名乗った。
石の話になり、パズーは石を借りて飛び降りるが、そのまま落下し、レンガの天井を突き破る。
パズーを追って下に降りたシータは、飛行機を置いたその部屋で、パズーの亡き父が撮った空を飛ぶ島『ラピュタ』の写真に目を奪われる。
窓の外に海賊たちが迫るのを見つけた2人。パズーはシータを変装させ、脱出するもすぐにバレ、親方に食い止めてもらい、
親方たちが殴り合いをしている隙に、裏口からトロッコ列車に乗り込む。
だが、海賊ドーラ一家の女ボスは目ざとく2人を見つけ、車でそのまま線路に乗って追いかけるが、貨車を離され、逃げられる。
貨車をみんなで線路から谷へ捨てていると、空には軍の飛行艇が飛んでいた。
2人の前方から軍の装甲列車が現れ、保護を求めるが、中から出てきた男の姿にシータは逃亡。パズーも追いかけ、追ってきたドーラ一家に挟まれ、脇の線路へ。
装甲列車からの砲撃に橋脚が崩れ、ぶら下がるパズーとシータは落ちるが、飛行石の力で浮遊しながら地底へ。
ドーラ一家は砲撃を受けながら、次の段階への準備に向かった。
地底に着いた二人は、鉱山の中を進み、地底湖で目玉焼きトーストの朝食をようやく食べる。
両親に先立たれたシータは残してくれた家と畑と家畜で暮らしていたが、男たちがやって来てさらわれたという。
石に詳しいポムじいさんに遭遇した2人は、石が光り騒がしいと聞き、光る飛行石を見せ、これは飛行石の結晶で、結晶化技術はラピュタ人によるものと知る。
そして今、石が騒いでいるのは、ラピュタが頭上近くに来ているからと聞き、喜ぶパズー。だがポムじいは飛行石の危険性を注意した。
ポムじいと別れ、外に出た二人。シータは母が死ぬときにラピュタの名を受け継いだという。
すると、軍の飛行艇が現れ、軍隊に囲まれた2人。抵抗したパズーは昏倒されてしまった。
牢屋で目覚めたパズーは光の隙間に首を突っ込むが、聞こえてくるのは軍隊の歩行訓練の声。そこは軍の基地だった。
男たちを束ねるリーダー、ムスカ大佐は基地の最高責任者である将軍閣下の叱責にも対等な立場を保ちつつ、
おもてなし待遇を受けるシータを地下に連れ、空から落ちてきたという壊れた科学兵器を見せる。
ムスカは、ラピュタがいまだ解明できない科学帝国であり、シータがその末裔で女王であると告げた。
シータはパズーの安全のためにムスカに協力することにし、パズーに別れを告げ、パズーは金貨3枚を握らされる。
解放されたパズーはとぼとぼと谷へ。帰宅すると居座っていたドーラ一家につかまり、ドーラのママからシータの真意、その後のピンチ、
そして流れてきた軍の暗号通信の内容を聞き、シータを救うため、協力を申し出る。
シータの懐柔に利用できると考えたママは仕度を言いつけ、パズーは鳩に別れを告げ、ママの小型艇に乗り込んだ。
部屋で思い出を辿り、言葉を思い出したシータ。飛行石が光り輝き、壊れていたはずのロボットが復活。
暴れだし、ビームを出して、シータの元へと進みだした。
シータが塔の上へ出ると、飛行石が天空を光で指し示し、シータの元にたどり着いたロボットは、ムスカの指示で信管を抜いた砲撃を浴び、倒れ、
その衝撃で倒れたシータは飛行石を落とす。
安心した軍人たちが塔に登ると、しかしロボットは復活し、基地を焼き払い、それだけでなく近隣の町にもレーザーを浴びせる。
パズーたちが到着し、シータ救出を試み、ロボットもまたシータの願いに応じ、シータを渡すように掲げる。
そしてシータをパズーに渡した直後、砲撃を浴びたロボットは今度こそ倒れた。
ムスカは石を拾い、その道しるべに出発を告げた。
谷に戻り、用済みの2人を解放しようとするドーラだったが、パズーとシータはラピュタの正体を知るために同行を希望する。
承諾したママは本船に2人を乗船。シータに進路を確認させ、パズーはエンジンルームで整備の手伝いに入った。
一方、シータも台所で仕事を言いつけられ、デレデレした子分たちは、肩を寄せ合いながら手伝った。
食事を終え、深夜の見張りがパズーの番になり、シータもこっそり後をつけて一緒に。シータは不安を口にして、パズーは励ました。
すると真下の雲の中から軍の戦艦ゴリアテが登場。砲撃を浴びた海賊船は雲の中へ。追いかけようとする将軍をムスカが制した。
ママはゴリアテを尾行すべく、見張り台を凧にするよう指示。巨大な低気圧『龍の巣』を見つけ、その中にラピュタがあると考えたパズー。
しかしゴリアテの砲撃を受け、海賊船は破損。綱が切れた凧は巣の中へ。パズーは雲の中で、父の姿を見た。
気絶から目覚めた2人はラピュタに上陸していた。
ロボットが来て慌てるが、ロボットは凧の下敷きになった鳥の巣の卵を守ろうとしていた。
ロボットについていき、中の自然と科学力に圧倒される2人。
動かなくなったロボットを見つけると、外で爆発が。2人が外へ出ると、ゴリアテと捕らえられた海賊船タイガーモス号と縄を打たれたドーラ一家が。
軍隊は中に入り宝を見つけ略奪を開始。そんな将軍をあざ笑い、ムスカはラピュタが開いたのは王を迎えるためだと考え、何かを探し出す。
ムスカの企みに、2人はドーラ一家の救出を急ぐ。だが足場が崩れ、秘密の入り口を見つけたムスカたちに見つかり、パズーを銃弾から庇ったシータは捕まり、連れ去られてしまう。
パズーはママの下からナイフを使って縄を切り、ロケット砲をもらってシータを追いかける。
そのころ軍隊は、ムスカがゴリアテの無線を破壊したことに気づき、裏切り者の粛清に向かう。
ムスカは手下を置き去りにして、木の根に覆われてしまった内部をかき分け、中枢の巨大な飛行石にたどり着く。
そしてムスカは、自分もまたシータと同じラピュタ人の末裔だと明かす。
ムスカは将軍たちをわざと中へ誘い、雷というラピュタの科学兵器を見せつけ、将軍たちの床を抜き、落とし、残った兵たちが逃げるゴリアテをロボットたちで焼き払った。
木の根につかまり、落下を免れたパズーはロボットの射出口から中へと駆け上がる。
シータは非道なムスカから飛行石を奪い逃げ、壁の向こうのパズーに託す。
ムスカはシータの命を狙い、パズーは壁を破って急ぐ。
玉座の間に追い詰められたシータは、おさげを吹き飛ばされ、そこにパズーが合流。ムスカに時間をもらい、シータに提案。
そして2人は飛行石を握りしめ、滅びの言葉『バルス』を唱えた。
たちまち中枢の飛行石は眩い光を放ち、ムスカは目がくらむ。
そしてラピュタは崩れ、2人を待っていたドーラ一家はやむなく先行脱出。ラピュタの底の石畳が崩れるが、軽くなり、浮上。
木の根に守られた2人は凧を見つけて脱出。小型飛行艇をつなげて浮力を保っていたドーラ一家と合流。ママは髪を切られたシータを抱きしめて慰める。
しかし痛みを感じるシータに、みんなはくすねてきた少量の財宝を見せた。
2人はドーラ一家と別れ、飛んで行った。
そしてラピュタは宇宙へと舞い上がっていった。
1986年、日本、スタジオジブリの作品です。
主題歌:君をのせて
共演:横沢啓子 初井言榮 常田富士男 寺田農 永井一郎 TARAKO 糸博 鷲尾真知子 神山卓三 安原義人 槐柳二 大塚芳忠 関俊彦 林原めぐみ
言わずと知れたスタジオジブリ作品ですが、ワンピースのモンキー・D・ルフィ役でお馴染みの田中眞弓さんを一躍有名にしたのもこの作品です。
ジブリ作品に影響を受けた方は数多いですが、実は初期の作品を映画館などで観て、憧れて絵を描くようになった方などは大変貴重な存在なんです。
というのも、今でこそ、日本テレビでのパワープレイや、海外の映画祭などでの受賞エントリーなどで長編アニメの礎を築いたとされ、世界中で愛されていますが、昭和の日本ではまだまだ「たかがアニメ」という風潮でした。
しかもアニメ制作はまだコンピューターも無く、手書きで延々と描き続け、長編ともなれば数年の歳月を掛ける事もおかしくありません。
絵を描く事が好きな子供達が、将来の選択肢の一つにアニメーターを志望しようとしても、その環境を開いてくれる親や教師や人間は、昭和には多くありませんでした。
ここからは推測ですが、漫画家さんの中には多くの影響を受けた方もたくさんいる事でしょう。ワンピースの尾田栄一郎先生もこの作品の「空島」「海賊」に引っ掛かる所があり、田中眞弓さんを選んだのではないでしょうか。銀魂の空知英秋先生もラピュタ、ナウシカ、魔女宅と、ジブリネタを織り交ぜています。
この作品は絵でも内容でも、子供も大人も楽しめる作品となっております。そして宮崎駿監督のテーマの一つである、自然と科学と人間について、じっくり考えてみてはいかがでしょう?