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シャーロック・ホームズの冒険

ロバート・スティーブンズ主演 ビリー・ワイルダー監督作品。
名探偵シャーロック・ホームズの相棒にして、その功績を世に伝えたワトスンの死から50年が経ち、彼の貸金庫の中にあった箱の中身が公開され、その中にはホームズがイルゼという人物へ書いた楽譜や、世に発表されなかった事件の事が書いてあった。
1887年8月、ヨークシャーから帰還したホームズは、ワトスンの誇張表現に呆れながら、小さな事件依頼を即解決。タバコの研究に飽きると、退屈しのぎに麻薬を手にした。
匿名のプレゼントにより、バレエ鑑賞に出かけた2人。ホームズは総責任者ニコライに案内され、プリマのマダム・ペトローバから、お近づきのしるしに高級ヴァイオリンをプレゼントされるが、引き換えに優秀な遺伝子を求めているので子作りしてくれと頼まれ、ゲイと偽り、逃げる。一方、残されたワトスンも踊る相手を女性からゲイダンサー達に交代させられ、事情を聞き、怒り帰宅してホームズに詰め寄る。
ワトスンが淡白なホームズの女性愛に悩み、深夜、御者がテムズ川から溺れて記憶を無くした美女を連れてくる。彼女の手にはメモがあり、ここの住所が記されていた。
彼女の持ち物、衣服、指輪から、ベルギーのブリュッセルでエミールという夫を持つガブリエルという女性だと推察。
翌早朝、目覚めたガブリエルはホームズを夫と勘違いし、抱きついた。

結末 ネタバレ注意

少し取り戻した記憶をホームズに喋るその右手には、「301」と記されていた。
ホームズに起こされたワトスンはガブリエルの寝場所がホームズの部屋のベッドに移動している事にびっくり。ホームズは既に駅の預り所からガブリエルのカバンを持ち帰り、2人は中を検める。すると目覚めたガブリエルが、技師としてヨナ商会に雇われた夫が音信不通になり、その捜索に来たという。
ホームズは夫の住所に囮の手紙を送り、その住所の建物に侵入し、そのがらんとした部屋で隠れて待っていると、車椅子の老婆が現れて手紙を回収して行き、ヨナ商会の者たちが、24羽のカナリヤを持って行き、老婆は手紙を置いて帰った。
ホームズがその手紙を見ると、自分宛で呼び出しとあり、ディオゲネスクラブに居る兄マイクロフトと会うと、この件から手を引くよう注意、命令された。
マイクロフトがイチイの木の谷に何かを送ると知り、ホームズはガブリエルを駅に送るふりをして、途中で合流。鳥かごにあった手掛かりのインバネスへと向かう。
列車内でワトスンは怪しい修道士を見かけ、ホームズはガブリエルに女性不信は女性犯罪者を何人も見て来たから、そして婚約者が流感で亡くなった事を話す。
駅に到着し、「イチイの木の谷」とは墓場を指すと知る。近所のネス湖で父と老け顔の子供二人の死体が上がり、その葬儀を目の当たりにしたホームズは子供2人は行方不明になったサーカスの小人達と気付き、父の方はエミールであった。エミールの指輪は緑に、カナリヤは真っ白になっていた。
投宿し、エミール達の死因を塩素系ガスによる窒息と判断。外を見ていたワトスンはネス湖に怪物が出たと叫ぶ。
古城を巡り、休憩。修道士たちが通り、ガブリエルは蜂を追い払うため傘を開閉する。
改修工事中の古城に立ち寄り、ホームズはガイドにカマを掛け、偽者と見抜く。そしてカナリヤと再会し、塩素ガスを作っていると気付き、ボートで湖から様子を窺う。
怪物を見つけ、追うが、湖に落ち、ガブリエルは傘を無くす。そして怪獣は城の中へと入った。
宿に戻り、怪獣の正体が機械とわかるが、偽名を使っていたホームズは正体がバレ、シャンパンを持たされて偽ガイドと城へ。するとマイクロフトに迎えられ、潜水艇の製造、そして実験中の事故で浸水し、硫酸と塩水が反応して、エミール達が死んだのだと見抜く。
だがマイクロフトから、ガブリエルはエミールの妻ではなく、ドイツのスパイ、イルゼ・V・オスマンスタールと知らされ、驚く。
マイクロフトは女王を迎え、お披露目。だが女王は騎士道に反すると怒り、孫の飛行船計画の方も中止に向かった。
マイクロフトは残った潜水艇をドイツにやると決め、寄宿したホームズはイルゼを起こし、修道士たちに傘で合図を送る。ドイツのスパイたちは潜水艇を入手し、出航するが、沈没した。
マイクロフトはイルゼを連行。弟の案でスパイ交換に使うと説明した。イルゼはホームズに見破られたと勘違いして悔しがり、馬車から「再会」の合図を送った。
後日、朝食時にマイクロフトから手紙が。日本で活動中のイルゼが捕まり、秘密裁判によって銃殺されたという。その時、イルゼが使った偽名は、ホームズと夫婦として投宿した時の偽名だった。
ホームズはファイルを出し、イルゼへ作曲。ワトスンも後日譚として書き足した。
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管理人の批評

1970年、アメリカの作品です。
共演:コリン・ブラッカリィ クリストファー・リー ゲネビウブ・ページ
イギリスの名探偵シャーロック・ホームズを、「お熱いのがお好き」などの巨匠ビリー・ワイルダー監督が手掛けた奇跡の作品です。
シャーロック・ホームズは今もなお愛され、ロバート・ダウニーJrやベネディクト・カンバーバッチ、「エレメンタリーホームズ&ワトソン」といった海外作品や、日本の人形劇、三谷版「シャーロック・ホームズ」など日本でもオリジナルホームズが展開されています。そして「名探偵コナン」など影響を受けた作品は数知れずです。
原作を私は読んだ事があるのでわかりますが、この映画はオリジナル作品で、原作にはありません。ですがなぜ受け入れられるかというと、原作のエッセンス、ファンならわかるいかにもな設定や演出、小ネタにホームズ愛を感じるのです。
なぜこんなにもホームズ作品のカバーなどは許されるのか?元々コナン・ドイルが書いたホームズは四つの長編と100にも満たない短編のみです。連載中から原作の人気はうなぎ上りになり、中には実在すると錯覚する人も出てきて、依頼の手紙をコナン・ドイルに送った人もいたそうです。
そんな中、なぜドイルが筆を折ったのか。一説では科学技術の進歩が挙げられます。1800年代末期を舞台に物語を展開する中で、当初は無かった電話や自動車が産まれ、格段に便利になり、逆に使わない事が不自然になると感じ、ホームズを書くのをやめたと言われています。
ですが人気は消えません。人々の心は消化不良です。そんな中、フランスの作家モーリス・ルブランが「ルパンVSホームズ」という作品を書き(もしかすると「ルパンVSコナン」シリーズはこれへのオマージュかもしれません。)、勝手に登場させながらも(原題ではホームズの名を微妙に変えているが、日本語訳した際、わかりやすくしたため、こうなった)、ホームズの特徴をとらえ、ライバル国だからと決して卑下する事なく、痛み分けに終えています。
これが大ヒットし、今日まで数多くのホームズ物が作られ、中国版まであるそうです。
ちなみに、ワトソンでもかまいませんが、ワトスンと書いているのは、新潮文庫版の癖に倣いました。